■ネット・コミュニケーション、そして…。■海外Webサービス事例紹介

2008年04月08日

■個人的経歴と「デジタルウィル」への想い5

私は、10数年前に電子出版の草分けであるボイジャー・ジャパンに数年お世話になったことがある。ボイジャーは、当時のデジタル・コンテンツ業界や出版業界でデジタル化に関心を持っている人々の間では有名な会社だ。
その頃から、インターネットでの電子出版のことを考えると、最終的には「Web遺言」サービスに行き着くのではないか?と漠然と考えていた。
「遺言」というと信託財産がどうとか遺産相続がどうとか、というシリアスなイメージを持ちやすい。しかし、もっとカジュアルに後世に自分の証しをデジタル・コンテンツとして遺したい、という気持ちは、少なからずネットで情報発信をしている人々にとっては共通した想いではないだろうか。
「デジタル墓場」という表現も一時使っていたが、これだとあまりに死のイメージを纏い過ぎており、どうしてもプライベートの問題というよりも遺された親族・友人・知人のためのセレモニーの場という印象が強くなる。
いろいろ考えて辿り着いたキーワードは「Digital Will(デジタルウィル)」という造語だった。英語のニュアンスとしては違和感がありそうだが、Willには「意思」の他に「遺言」の意味もあり、個人的にはしっくりくる言葉だった。

10年程前にAOLジャパンに在籍していたときに、ライフ・チャンネル(生活情報)やコミュニティの企画・制作・運営を担当していた。このとき、「AOLシニア」という小さなコミュニティを立ち上げた。国内では、まだまだシニア層のネット・ユーザーは少なかった時代だが、USのAOLではシニア・コミュニティが盛んで、シニア層を中心とする各種団体のオンライン・コミュニティが立ち上がっていた。
その「AOLシニア」をきっかけにシニア層のネット(パソコン)・ユーザーと関わりを持ちたい、と思い、「コンピューターおばあちゃんの会」のパソコン教室のお手伝いを定期的にしていた。
現在も各種メディアに取り上げられることが多い「コンピューターおばあちゃんの会」には、ネット(パソコン)を楽しむ元気なおじいさん、おばあさんが大勢参加している。
この時の印象は強く、いろいろ個性的な人々と出会うことができた。
Tシャツに自分のデジタルカメラで撮影した綺麗な花の写真をプリントアウトする講座。
写真のレタッチやトリミングも上手にやられている、おばあさんがいっぱい。
自分で作曲してMIDIソフトに取り込んだ曲をホームページで再生できるようにする講座。
絵画を趣味にされている方は、スキャナーで取り込んで適当な大きさにしてホームページに掲載。
その頃、普及し始めた携帯電話の使い方を勉強する講座も開いていた。機種によって、いかにバラバラか?ということを説明することがメインになってしまったが…。
某大手SI企業を退職した方は、ネットワーク技術に詳しいので、裏方スタッフのお一人としてサポートをしている。「せっかく仕事で身につけたことですからね。役に立つと嬉しいですよ。」不動産業を自営している方は、パソコン初心者で、立派なノートPCを購入されてキーボードの配列を書き写した図を持っている。「このF1からF12というのは、どういう役割なんですか?」と質問を受けたことがある。「いやー、仕事で使っている我々も滅多に使わないキーが多いですよ。覚えなくても大丈夫だと思いますよ。」と答えたところ、「全部のキーの役割を知らないと気持ち悪いんですよ(笑)。我々の世代は、全部覚えないと気がすまない性質なんですよ。」とのこと。
「孫が海外留学しましてね。メールのやり取りをしたくって、パソコンを一から覚えることにしたんですよ。」という、おじいさんもいた。

その後、私は外資系生命保険会社のWebマーケティングの仕事をしていた。
このとき、所属していたマーケティング部署で企画したのが「夢の保険コンテスト」。
いろいろユニークなアイディアが集まってきたが、中でも多かったのが宝くじ的アイディアと遺言をカジュアルに残すアイディア。(死亡補償の)生命保険の場合、残された家族に保険金と共にメッセージを残したい、という想いは誰もが考えることなのかもしれない。

「デジタル資産の遺し方」は、生前に自分の死を見つめることによって想定しなければならない諸々の要素のうちの一部に過ぎない。例えば、生命保険の死亡補償や財産分与の法的遺言、自分の身の周りの品々の処分方法やペットの世話をどうするか?という問題まで、人によって様々なケースが考えられる。

次章では、「デジタル資産の遺し方」にフォーカスする前に、こうした人々のニーズを満たすために、どういった取り組みやビジネスが存在するのか?を概観してみよう。

roomrag at 17:26│Comments(0)TrackBack(0) Digital Will 

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