フルハーネス化の法改正対応が日本国内で進む最中ですね。
胴ベルト→フルハーネス化に伴い、各方面から、
・5m以下は胴ベルトでないと危険なんですよね?
・第2種アブソーバは、第1種よりたくさん伸びるから危険なんですか?
・フルハーネスのほうが、地べたまで落ちる危険性が高いってどういうこと?
といった質問をいただいてきております。
まず、みなさんに、「アブソーバー」の構造と機能を正しく理解してもらいたく、協会内で過去に行われたアブソーバ関連の実験動画を編集して公開します。
どうも、みなさん、アブソーバーは墜落すると、1.6m近い伸びしろが全部出てきてしまうと勘違いしているようですが、そんなことはありません。
落下距離に応じて5cmしか出ない場合もあれば、4mの墜落で90cm伸びることもあります。まず、アブソーバーがどう機能するのかを正しく理解いただきたく思います。
アブソーバの機能を正しく理解すると、
グランドフォールリスクに関する高さ5m、6.75mの議論自体がそもそも、「現場を無視した机上の空論」であることも理解できます。
墜落制止を考える際に大切なのは、
・けがをしないように墜落衝撃荷重を6kN以下に抑える(フルハーネスの場合)→アブソーバの利用
・なるべく落下距離を最小化するよう、1.ランヤードの長さ、2.ランヤードのたるみ、3.大径フックをかける位置と高さ、を常に配慮する
→適切なランヤードの選定、腰よりなるべく高い場所にフックを掛ける
という、適切な知識に基づいた、正しい装備の選定と、現場での安全行動の組み合わせが不可欠です。
従来の胴ベルト型安全帯時代の「とりあえず、フックをどっかに掛けてつながっとけばOK」から脱却し、「作業員が自分で考えて、安全な墜落をデザインする。」という時代へと移り変わってゆきましょう。