2009年05月24日

パッキャオ周辺とBOXING WORLD

ハットンのラッシングパワーをも簡単に攻略してしまったパッキャオには賞賛の声しかないわけだが、パッキャオ周辺には続々とストーリーが出来ていて面白いことになっている。

パッキャオとの対戦が相思相愛と言われ、復帰が決まったメイウェザーがアメリカ・ボクシング界の威信としてもPPV売り上げとしても重要な存在でもう一方の主役となるのだが、復帰戦の相手というのがマルケスというのが非常にリスキーというかスリリングな相手なのが、また堪らない。おしっこ漏れそう。
個人的にはマルケス好きのメイウェザー嫌いなのでマルケス応援になるが、パッキャオとの試合としては2回戦っているマルケスよりも無敗のメイウェザーの方が観たいし、商業的にも華やかになることだろう。

何となくパッキャオ×メイウェザーが既定路線のように考えられているが、
ハットン×メイウェザー、パッキャオ×マルケスをベースに考えてみても、メイウェザーをもってしても簡単にクリアできる相手ではないんだよ、マルケスというのは。しかも復帰戦だ。マルケスが勝つ可能性だって十二分にある。
先日のファン・ディアス戦が今年のベストバウト有力候補だったが、おそらく技術戦としてはかつてない位にハイレベルな攻防が見られるだろうし、これでメイウェザーを終盤KOしてしまった日には、この試合がベストバウトになることだろう。

この試合の勝者がパッキャオの対戦相手として最有力ではあるが、ミゲール・コットという選択肢もあるらしい。

このメガマッチが12月頃に予定されるだろうからという理由で、パッキャオとしても調整のために一試合挟むというプランもあるらしい。
そこにエドウィン・バレロの名前もあがっているらしい。

バレロといえば、さかんにビッグネーム(とくにパッキャオやマルケス)との対戦をアピールしてライト級に階級を上げたものの、ライセンス問題もあって未だビッグマッチに恵まれていない。
つい先日のピタルアとの試合では軽くKOしてアッサリとライト級タイトルを取った。階級を上げても全くスタイルを変えずにパワーで圧倒したところが印象的だった。
かつてはリナレスと同様に帝拳ジムがマネージメントしていたが、優等生リナレスとは違い、素行の悪さが原因で現在は袂を別ったようだ。数ヶ月前のBOXING WORLD誌(以下BW誌)にも、バレロの我儘っぷりがいかに酷いかが書かれていた。
とにかく態度が悪いらしいが、プロの世界ではそんなところも魅力的に映るってもので、バレロの動向にも目が離せない。

怪我やらインフルエンザで試合機会に恵まれないリナレスも遠くない将来、この周辺に顔を出してくること必至。バレロ無き今、帝拳の切り札でもある。

バレロ×ピタルアの少し前、アミール・カーン×マルコ・アントニオ・バレラの試合を観た。なんとなくカーンがバダ・ハリのように見えた。中東系の血統や、アップライトな構えからのリズムの取り方もそうだが、ハメドというよりバダ・ハリの方に近さを感じる。
カーンといえば、デラホーヤ戦の前にパッキャオのスパーリング・パートナーとしてガチスパーの相手を務めたことでも有名だ。
バレラを一方的に仕留めたことで、また一歩スーパースターへの階段を上がった。英国ボクシング界の威信をかけてハットンのリベンジを挑む機会が来るとしたら、それもまたストーリーとしては相当面白い。


このように中量級のボクシング界は面白くなっているにもかかわらず、それを伝える日本のメディアが手薄だ。愛読しているBW誌も今月号で休刊することになってしまった。
週刊プロレスと同様に一誌体制となる。

常々思っていたことだが、BW誌にしてもボクシング・マガジン誌にしても、誌面が弱すぎるというか、プロ格誌から比べると雲泥の差で企画が弱いように感じるのだ。プロ格のタフさは凄いものがある。
この企画の弱さが業界の弱さに繋がっているし、プロレス的手法を否定しているがために陥った潔癖さが首を絞めているように見えたりもする。

これまた数ヶ月前のBW誌に載っていたことだが、徳山昌守のインタビューで「長谷川穂積戦が実現するのであれば、半年もらえたら体を作れる」と言っていた。長谷川が強すぎて適当な相手が見つからずラスベガス進出も儘ならない中、このカードの実現に動こうとするプロモーターがいないっていうのが何とも不健康というか、ボクシング界は何やってんだって話で。

プロ格好きでボクシング好きの戯言ですけどね。




ボクシングワールド 2009年 06月号 [雑誌]
最後のBOXING WORLD

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この記事へのコメント
その通りだと思います。

海外で評価されつつあった長谷川はまだ国内防衛路線歩む中、
西岡がメキシコでアップセットを興しました。
今回の勝利で西岡は、軽量級でのビックマッチにからむ可能性が確実に増したと言えるでしょう。

ボクシング雑誌は確かに、企画が乏しいですよね。私もよっぽどの事(今回のパッキャオの勝利等)がないかぎりは購入しなかったですから。

その点格闘技系の雑誌は実際の試合よりも、読む方が面白い所があります。
ボクシングは試合を観る事ありきなので、活字だけで売るのは難しいかもしれません。
Posted by たかみ at 2009年05月24日 15:33
たかみさん、非常に遅レス申し訳ないっス。

プロレスとか格闘技の雑誌ってインサイダーな情報というか政治的な話が多いじゃないですか。そこだけでも違うと思うんですよね。
試合レポートばかりだったら売れなくなるのも当然で、ジムに気を遣いすぎているばかりにつまらない記事ばかりになるという悪循環に陥ってしまっているのでしょうか。
Posted by たみお at 2009年06月06日 09:58