2007年04月
2007年04月30日
【つぶやき】そして次期へ
今期テストプレイ最終回。
お疲れ様でした。
そして次期も継続参加です。
PTメンバーも全員そのまま。
カレンPLさんとはこんなネタを肴にメッセで二人して発奮しておりました。
キツネ子かわいい。
超かわいい。
髪の色的にもちょっとギャルっぽく見えそうなところとか含めて超萌える。
カレンさんも、カレン之助Ver.は好色だそうなので、隙を見せたら押し倒されること必至。
ミス・ムルシドも妖しすぎます。
法衣の下は裸…はちょっとまずいのでボンテージファッションだと思われます。
食物連鎖的にはミス・ムルシド→カレン之助→キツネ子っぽいので、油断するとカレン之助もピンチ!
と、言う訳で次期が始まったら全員で、悲劇的伝説のある呪いの泉に落ちましょう!
古いネタだな。
====================
次期キャラはは名前も愛称もキツネ。
愛称の方はちょっと変えるかも。
■初期振り
魔力特化で、最終的には体格もどんどん振る事になるのでどちらも6。
ここは恐ろしく効率重視した。
あとの3は天恵です。
1更新分の能力CPでは魔力が上がらず、ある程度のHPが確保できるようになった頃にでもモリモリと振っていこうかと思っております。
敏捷や器用は今期でちょっとだけ振りましたけど、正直良くわからんかったので捨てた( ̄¬ ̄)
魔法系のクリティカルもアレですし。
■初期技能
魔術/火霊/合成
呪術取って脇を固めてから魔術と言うのも考えましたけど。
マジックミサイルとウーンズの使い勝手は諦められなかった。
補助は炎上の便利さも踏まえて火霊しか。
生産は合成。一点特化でうわーっと行く。
魔石作製出来ないので皆さんが頼りです。ぶるぶる。
最終的には魔術/呪術/幻術/火霊/隠密はガチ。
残り1枠は光霊とか。これは単に紫電一閃狙いなんですが。
相反する特製とか耐性とかがどうなるかが正直謎のままだったので、呪術絡みで闇属性技のイビルフレイムやウィキドリングが弱くなるなら考え物?
忍術を早め早めに取得して、場合によっては幻術も隠密も忘却する事も検討。
でも忘れた所で何を覚える、と言う代わりの物もないのですが。
■守護者
熱血
隠者や聖人も考えましたが、難しい事やめた。
マテヲ2のラジオ以来の大艦巨砲キャラを目指します∈(・ω・)∋
====================
■設定
基本的には引き継ぎです。
ただ、どうしても自分の中で枷になってしまうのがニンジャと言う物。
本当はアホの子を野郎としていたのですが、少しだけ真面目にしたりしているウチにその辺がままならなくなってきて。
島の変な物理法則とかのせいにして、普通に忍者を名乗ろうかしら。
もしくは忍術を取得した辺りで。
====================
■次期への空白期間
島を出て秋津島(故郷)へ帰り、そこでとんでもない事実を知り、厨設定沢山ぶら下げて、更にヨーロッパ圏とイスラム圏(に相当する国)に行ってPM2人と絡みネタの伏線でも張ってみます。
っていうか、カレンさんの故郷はヨーロッパ圏じゃなくてカルマートなんですが。
異世界的でもあるので、船が霧にでも包まれて辿り着いたのがゴルドラ大陸のはじっこの方って事にでもしておくべきかしら。
白面が滅ぼした王朝は、秋津島の中央朝廷(秋津島には朝廷が複数あります)、紅い帝国(中国扱い)、天竺(インド扱い)、北の連邦(ソヴィエト=ロシア扱い)と脳内設定しておりましたが、他にも赤い砂の帝国(イスラム圏)と、騎士の王朝(カルマート内で創作)とかその辺もいっちゃう? いっちゃう?
もう収拾付かない!
お疲れ様でした。
そして次期も継続参加です。
PTメンバーも全員そのまま。
カレンPLさんとはこんなネタを肴にメッセで二人して発奮しておりました。
キツネ子かわいい。
超かわいい。
髪の色的にもちょっとギャルっぽく見えそうなところとか含めて超萌える。
カレンさんも、カレン之助Ver.は好色だそうなので、隙を見せたら押し倒されること必至。
ミス・ムルシドも妖しすぎます。
法衣の下は裸…はちょっとまずいのでボンテージファッションだと思われます。
食物連鎖的にはミス・ムルシド→カレン之助→キツネ子っぽいので、油断するとカレン之助もピンチ!
と、言う訳で次期が始まったら全員で、悲劇的伝説のある呪いの泉に落ちましょう!
古いネタだな。
====================
次期キャラはは名前も愛称もキツネ。
愛称の方はちょっと変えるかも。
■初期振り
魔力特化で、最終的には体格もどんどん振る事になるのでどちらも6。
ここは恐ろしく効率重視した。
あとの3は天恵です。
1更新分の能力CPでは魔力が上がらず、ある程度のHPが確保できるようになった頃にでもモリモリと振っていこうかと思っております。
敏捷や器用は今期でちょっとだけ振りましたけど、正直良くわからんかったので捨てた( ̄¬ ̄)
魔法系のクリティカルもアレですし。
■初期技能
魔術/火霊/合成
呪術取って脇を固めてから魔術と言うのも考えましたけど。
マジックミサイルとウーンズの使い勝手は諦められなかった。
補助は炎上の便利さも踏まえて火霊しか。
生産は合成。一点特化でうわーっと行く。
魔石作製出来ないので皆さんが頼りです。ぶるぶる。
最終的には魔術/呪術/幻術/火霊/隠密はガチ。
残り1枠は光霊とか。これは単に紫電一閃狙いなんですが。
相反する特製とか耐性とかがどうなるかが正直謎のままだったので、呪術絡みで闇属性技のイビルフレイムやウィキドリングが弱くなるなら考え物?
忍術を早め早めに取得して、場合によっては幻術も隠密も忘却する事も検討。
でも忘れた所で何を覚える、と言う代わりの物もないのですが。
■守護者
熱血
隠者や聖人も考えましたが、難しい事やめた。
マテヲ2のラジオ以来の大艦巨砲キャラを目指します∈(・ω・)∋
====================
■設定
基本的には引き継ぎです。
ただ、どうしても自分の中で枷になってしまうのがニンジャと言う物。
本当はアホの子を野郎としていたのですが、少しだけ真面目にしたりしているウチにその辺がままならなくなってきて。
島の変な物理法則とかのせいにして、普通に忍者を名乗ろうかしら。
もしくは忍術を取得した辺りで。
====================
■次期への空白期間
島を出て秋津島(故郷)へ帰り、そこでとんでもない事実を知り、厨設定沢山ぶら下げて、更にヨーロッパ圏とイスラム圏(に相当する国)に行ってPM2人と絡みネタの伏線でも張ってみます。
っていうか、カレンさんの故郷はヨーロッパ圏じゃなくてカルマートなんですが。
異世界的でもあるので、船が霧にでも包まれて辿り着いたのがゴルドラ大陸のはじっこの方って事にでもしておくべきかしら。
白面が滅ぼした王朝は、秋津島の中央朝廷(秋津島には朝廷が複数あります)、紅い帝国(中国扱い)、天竺(インド扱い)、北の連邦(ソヴィエト=ロシア扱い)と脳内設定しておりましたが、他にも赤い砂の帝国(イスラム圏)と、騎士の王朝(カルマート内で創作)とかその辺もいっちゃう? いっちゃう?
もう収拾付かない!
2007年04月28日
【25日目】ぼくらが旅に出る理由
…ちり…ん!
遠くで鈴の音がした。
懐かしい音。
遠く遠く、はるか昔のあの夏の日。
最後に聞いたのはあの暑い夜だった。
「…キツ…ネ、逃げなさい。私が私でなくなる前に…!」
次の瞬間、姉上は真っ二つに裂けた。
腰紐に結びつけていた鈴が、りん…り…んと鳴って転がっていった。
ぶ…ちぶちぶち…
姉上の腹を破って何者かの「指」が五本十本と飛びだし、うねうねと蠢いたかと思った刹那、扉を開けるかの様な仕草で、まるでぼろ布を引き裂くかの様な音を立て、姉上は「人間」から、ただの「肉」になった。
大きな肉の塊が姉上の体から飛び出し、遠くへ転がっていった。
一瞬おくれて、ぼとぼとぼと…と、姉上の臓物が地面にこぼれ落ちる。
「気持ち悪い」
そう思いながらも俺は、姉上が人間であった事の残滓を必死でかき集めていた。
頭の隅では、それがなんの意味をなさない事もわかっているのに。
ついさっきは笙鼓が死んだ。
化け物に犯され、体中のあらゆる所に牙を、爪を突き立てられボロボロの穴だらけにされ、最後には首だけがゴロゴロと転がっていた。
その一部始終を俺は見ていたが、笙鼓がいつ死んだのかはよくわからない。
犯され始めた時か、俺の名を叫ぶ力もなくなった時か、それとも体を七つか八つに食いちぎられた時か。
俺は哭いた
姉上の体から飛び出した「それ」から腕が生え、頭が飛び出し、ぬらぬらと光った人間の様な「何か」が四つんばいで吠えている姿があった。
腰の部分からは九本の尻尾が生えていた。
俺はその顔を、近くにあった岩を叩きつけて潰したはずだ。
…姉上と同じ顔をした「それ」を。
…ちり…ん…
遠くで鈴の音がした。
目の前には獣使い…エドが「半分」になってのたくっている。
放っておけばじきに死ぬ。
それくらいの傷であったはずだ。
だって俺は…こいつを殺すつもりで魔法の矢を撃った。
倒すだけじゃない。殺すつもりでだ。
俺たち3人の攻撃を受け、両脚で立つ力も失って芋虫の様に地面で這い続けるヤツに馬乗りになり、片手で頭を地面に抑え付け、腹の中に直接魔法の矢を喚んだ。
喚んだ魔法の矢の数に合わせて四度、エドの体が大きく跳ね、一瞬の間を空けて腹から下が四散した。
ぼっッ!
薪が爆ぜる時よりもまぬけな音がしてエドはあの時の姉上や笙鼓と同じ様に、ただの「肉」になったはずだ。
エドという名前だった肉に背を向け、後ろで顛末を見守っていた兄貴や姉さんの方へ歩み出す。
べちゃ
ぼとり
エドが四散した時に浴びた血や臓物が一歩歩くごとにこぼれ落ちる。
べちゃ
ずる…
兄貴も姉さんも、おぞましい物を見る様な顔で俺を見据えている。
無理もない、俺の形相はさぞかし醜かった事だろう。
ずるずる…
ずる…ずるずる…
カレン姉さんが俺の名を呼ぶ。
「キツネ…くん… う、うしろ…」
振り向いた俺の眼前にあったのは…
「いたたた・・・、うんオッケーだよ。先に進んでごらん?」
そんな間の抜けた言葉と共に、飛び散った臓物が…血飛沫が、ずるずるとヤツの体に戻って行き…傷が再生し、何事もなかったの様な顔で立ち上がるエドの姿。
同様に二匹の獣も炭の中から桃色の肉が盛り上がり、皮が拡がり、濡れた様な毛皮が再生した。
嘘だ。
獣はどっちも消し炭になった筈なのに。
エドは屠殺場の家畜みたいにぐしゃぐしゃになった筈なのに。
「ふぅ…ん、驚いているみたいだね。でも、僕たち「門番」がどうして何度も何度もお前達の前に現れるのか…よく考えてごらんよ」
「術式が乱れるたびに再構成されるこの島で、僕たちは何億年も前から同じままでここに在り続けてきた」
…なに…?
「宝玉の黒い光を浴びた僕達が本気を出せば、君達なんて造作もない」
「いいかい? ここまではあくまでも「試験」 …次は…殺すからね」
そう言い残すと、エドと二匹の獣は一陣の風と共に消え去った。
後には、戦いの傷で動く事すらままならない俺達3人だけが取り残された。
====================
その晩、どうにか最後の力を振り絞って野営地を決め、兄貴がこしらえてくれた夕飯を食べる。
「…食卓を囲むのは家族だけとは限らない。ただ、生死と苦楽を共にし、そしてささやかな夕餉の為に食卓を囲む私達は家族で、何物にも替えがたい晩餐の席だ」
兄貴がそう言って、パンを切り分け、スープを器に注いでくれた。
カレン姉さんはその言葉に涙ぐんでいた。
…ちぇ。なんだかんだ言っても女だな…ちゃんと守ってやらないと…
そう思いながら啜るスープは、健康食を推奨する兄貴にしては珍しいくらいにしょっぱかった。
「うまいなぁ。今日のは塩を入れすぎだけど、兄貴の飯…はうまい…なぁ」
…駄目だ、涙が止まらない。
俺はみっともなくしゃくり上げ、変な言い訳をしながら声を上げて泣いた。
カレン姉さんも堰を切った様に涙をこぼしている。
羅喉丸は俺達にそっと寄り添い、兄貴も強い力で抱きしめてくれた。
「その時が来たら再会しようではないか。必ずだ」
いつの間にか泣き疲れて俺は眠ってしまっていた。
====================
そして最後の戦いに臨み勝利した俺達は、遺跡を出る段になっての人混みにもまれカレン姉さんとはぐれ、船着き場に着く頃には兄貴とも離ればなれになっていた。
でも心配する事はない。
その時が来れば必ず俺達は再会するだろう。
想いが、心の力がきっと俺達を導いてくれる。
そして俺は島から出航間近の連絡船に飛び乗った。
船室にゴロリと転がり、窓から月を見上げる。
秋津島の…葛の葉の事を思い出す。もう戻れないあの頃の事を。
あれから3年、姉上や皆の墓参りもしていない。
そうだ、帰ろう…故郷へ。
そして新たなる出発の足がかりとするんだ。
牀前明月光
疑是地上霜
挙頭望山月
低頭思故郷
異国で習った詩を呟きながら、眠気に身を委ねる。
朝を迎える頃には、最寄りの港へも着くだろう。
そして、また新しい1日の始まりだ。
駈け出そう、何よりも速く…何よりも高く。
遠くで鈴の音がした。
懐かしい音。
遠く遠く、はるか昔のあの夏の日。
最後に聞いたのはあの暑い夜だった。
「…キツ…ネ、逃げなさい。私が私でなくなる前に…!」
次の瞬間、姉上は真っ二つに裂けた。
腰紐に結びつけていた鈴が、りん…り…んと鳴って転がっていった。
ぶ…ちぶちぶち…
姉上の腹を破って何者かの「指」が五本十本と飛びだし、うねうねと蠢いたかと思った刹那、扉を開けるかの様な仕草で、まるでぼろ布を引き裂くかの様な音を立て、姉上は「人間」から、ただの「肉」になった。
大きな肉の塊が姉上の体から飛び出し、遠くへ転がっていった。
一瞬おくれて、ぼとぼとぼと…と、姉上の臓物が地面にこぼれ落ちる。
「気持ち悪い」
そう思いながらも俺は、姉上が人間であった事の残滓を必死でかき集めていた。
頭の隅では、それがなんの意味をなさない事もわかっているのに。
ついさっきは笙鼓が死んだ。
化け物に犯され、体中のあらゆる所に牙を、爪を突き立てられボロボロの穴だらけにされ、最後には首だけがゴロゴロと転がっていた。
その一部始終を俺は見ていたが、笙鼓がいつ死んだのかはよくわからない。
犯され始めた時か、俺の名を叫ぶ力もなくなった時か、それとも体を七つか八つに食いちぎられた時か。
俺は哭いた
姉上の体から飛び出した「それ」から腕が生え、頭が飛び出し、ぬらぬらと光った人間の様な「何か」が四つんばいで吠えている姿があった。
腰の部分からは九本の尻尾が生えていた。
俺はその顔を、近くにあった岩を叩きつけて潰したはずだ。
…姉上と同じ顔をした「それ」を。
…ちり…ん…
遠くで鈴の音がした。
目の前には獣使い…エドが「半分」になってのたくっている。
放っておけばじきに死ぬ。
それくらいの傷であったはずだ。
だって俺は…こいつを殺すつもりで魔法の矢を撃った。
倒すだけじゃない。殺すつもりでだ。
俺たち3人の攻撃を受け、両脚で立つ力も失って芋虫の様に地面で這い続けるヤツに馬乗りになり、片手で頭を地面に抑え付け、腹の中に直接魔法の矢を喚んだ。
喚んだ魔法の矢の数に合わせて四度、エドの体が大きく跳ね、一瞬の間を空けて腹から下が四散した。
ぼっッ!
薪が爆ぜる時よりもまぬけな音がしてエドはあの時の姉上や笙鼓と同じ様に、ただの「肉」になったはずだ。
エドという名前だった肉に背を向け、後ろで顛末を見守っていた兄貴や姉さんの方へ歩み出す。
べちゃ
ぼとり
エドが四散した時に浴びた血や臓物が一歩歩くごとにこぼれ落ちる。
べちゃ
ずる…
兄貴も姉さんも、おぞましい物を見る様な顔で俺を見据えている。
無理もない、俺の形相はさぞかし醜かった事だろう。
ずるずる…
ずる…ずるずる…
カレン姉さんが俺の名を呼ぶ。
「キツネ…くん… う、うしろ…」
振り向いた俺の眼前にあったのは…
「いたたた・・・、うんオッケーだよ。先に進んでごらん?」
そんな間の抜けた言葉と共に、飛び散った臓物が…血飛沫が、ずるずるとヤツの体に戻って行き…傷が再生し、何事もなかったの様な顔で立ち上がるエドの姿。
同様に二匹の獣も炭の中から桃色の肉が盛り上がり、皮が拡がり、濡れた様な毛皮が再生した。
嘘だ。
獣はどっちも消し炭になった筈なのに。
エドは屠殺場の家畜みたいにぐしゃぐしゃになった筈なのに。
「ふぅ…ん、驚いているみたいだね。でも、僕たち「門番」がどうして何度も何度もお前達の前に現れるのか…よく考えてごらんよ」
「術式が乱れるたびに再構成されるこの島で、僕たちは何億年も前から同じままでここに在り続けてきた」
…なに…?
「宝玉の黒い光を浴びた僕達が本気を出せば、君達なんて造作もない」
「いいかい? ここまではあくまでも「試験」 …次は…殺すからね」
そう言い残すと、エドと二匹の獣は一陣の風と共に消え去った。
後には、戦いの傷で動く事すらままならない俺達3人だけが取り残された。
====================
その晩、どうにか最後の力を振り絞って野営地を決め、兄貴がこしらえてくれた夕飯を食べる。
「…食卓を囲むのは家族だけとは限らない。ただ、生死と苦楽を共にし、そしてささやかな夕餉の為に食卓を囲む私達は家族で、何物にも替えがたい晩餐の席だ」
兄貴がそう言って、パンを切り分け、スープを器に注いでくれた。
カレン姉さんはその言葉に涙ぐんでいた。
…ちぇ。なんだかんだ言っても女だな…ちゃんと守ってやらないと…
そう思いながら啜るスープは、健康食を推奨する兄貴にしては珍しいくらいにしょっぱかった。
「うまいなぁ。今日のは塩を入れすぎだけど、兄貴の飯…はうまい…なぁ」
…駄目だ、涙が止まらない。
俺はみっともなくしゃくり上げ、変な言い訳をしながら声を上げて泣いた。
カレン姉さんも堰を切った様に涙をこぼしている。
羅喉丸は俺達にそっと寄り添い、兄貴も強い力で抱きしめてくれた。
「その時が来たら再会しようではないか。必ずだ」
いつの間にか泣き疲れて俺は眠ってしまっていた。
====================
そして最後の戦いに臨み勝利した俺達は、遺跡を出る段になっての人混みにもまれカレン姉さんとはぐれ、船着き場に着く頃には兄貴とも離ればなれになっていた。
でも心配する事はない。
その時が来れば必ず俺達は再会するだろう。
想いが、心の力がきっと俺達を導いてくれる。
そして俺は島から出航間近の連絡船に飛び乗った。
船室にゴロリと転がり、窓から月を見上げる。
秋津島の…葛の葉の事を思い出す。もう戻れないあの頃の事を。
あれから3年、姉上や皆の墓参りもしていない。
そうだ、帰ろう…故郷へ。
そして新たなる出発の足がかりとするんだ。
牀前明月光
疑是地上霜
挙頭望山月
低頭思故郷
異国で習った詩を呟きながら、眠気に身を委ねる。
朝を迎える頃には、最寄りの港へも着くだろう。
そして、また新しい1日の始まりだ。
駈け出そう、何よりも速く…何よりも高く。
2007年04月22日
【つぶやき】次期に向けてとか、色々。
笙鼓の復讐日記(このカテゴリ分けが既に間違っている気がします。復讐するのはキツネに、呪うのは他の人なので正確には呪い日記?)がかなり放置、最後駆け足やっつけ気味ですいません。
更新結果の方の日記もだいぶやっつけでした( ̄¬ ̄)
さて、次期はどうしましょう。
キャラは続投なので、島からの強制退去ロールを挟んで、休み期間中は秋津島(故郷)に帰る事にしました。
■技能
まず悩むのは技能です。
初習得システムが変わってしまう様なので、呪術+火霊でのイビルフレイムを絶対に急ぐ必要はなくなったのかな、と。
ただ、技EXPの導入により初期状態ではやや弱かったりすると、やっぱり習得は急ぎたい所です。
むずかしい。
毒物は効果がそこまではっきりとは見えていませんが、おそらく次期では習得する事はないでしょう。
おそらく火霊を覚えてPT内で合わせたい所。
戦闘技能は初期が魔術、次いで呪術。
この辺でひとまず一旦休んで、幻術と隠密を追っかけ取得して忍術に供えたい所です。
上手に技を覚えて持久最大値は18までなるべく上げておきたい所。
この時点で残り1技能。
本当は呪術+光霊の紫電一閃の為に取りたいなーと言う希望はあります、シャイニングフォースなんかもこっそり魅力的だし。
ただ、光霊によるHP補正はそこまで強烈な物でもないのですよね。
■守護者
実は能力値が後からでもこんなに上昇させられるゲームだとは思ってませんでした。
能力の1/10のCPを消費して、やっと1点あがるとか。
なので初期に天恵に振りつつ熱血を守護者にしましたが、次期は隠者・魔王・大穴で聖人とかその辺を考慮しています。
更新結果の方の日記もだいぶやっつけでした( ̄¬ ̄)
さて、次期はどうしましょう。
キャラは続投なので、島からの強制退去ロールを挟んで、休み期間中は秋津島(故郷)に帰る事にしました。
■技能
まず悩むのは技能です。
初習得システムが変わってしまう様なので、呪術+火霊でのイビルフレイムを絶対に急ぐ必要はなくなったのかな、と。
ただ、技EXPの導入により初期状態ではやや弱かったりすると、やっぱり習得は急ぎたい所です。
むずかしい。
毒物は効果がそこまではっきりとは見えていませんが、おそらく次期では習得する事はないでしょう。
おそらく火霊を覚えてPT内で合わせたい所。
戦闘技能は初期が魔術、次いで呪術。
この辺でひとまず一旦休んで、幻術と隠密を追っかけ取得して忍術に供えたい所です。
上手に技を覚えて持久最大値は18までなるべく上げておきたい所。
この時点で残り1技能。
本当は呪術+光霊の紫電一閃の為に取りたいなーと言う希望はあります、シャイニングフォースなんかもこっそり魅力的だし。
ただ、光霊によるHP補正はそこまで強烈な物でもないのですよね。
■守護者
実は能力値が後からでもこんなに上昇させられるゲームだとは思ってませんでした。
能力の1/10のCPを消費して、やっと1点あがるとか。
なので初期に天恵に振りつつ熱血を守護者にしましたが、次期は隠者・魔王・大穴で聖人とかその辺を考慮しています。
2007年04月21日
【24日目】出会いの終わり、別れの始まり。
話を聞く限り、誰もがみんなしてこんな夜を過ごしたそうだ。
焚き火を囲み、一緒に夕飯を食ったとしても、どこかみんな無口で。
かと言って落ち着いている訳でもなく、みんなソワソワしている。
俺たちもあながち例外ではなかった。
思い起こせば…何日前だろう。
門番の様に遺跡内に立ちふさがる奴らがいる、と言う噂を聞いたのは。
先行している奴らが次々と門番に打ち倒され、島の管理局の奴らの担架に乗せられて運ばれていくのを横目に見つつも、その時は既に俺たちも引くに引けない状態で。
そして、強襲してきたあの鎖野郎と2匹の黒い獣に蹂躙され…
消耗しきって這々の体で遺跡外まで逃げ出した。
俺たちの必殺の戦術を真っ向から否定する物理法則で組み上げられた存在であった事は確かだ。
正面から力技でぶつかっても勝てる訳がない。
増してあの頃の俺たちは、どこか危機感に欠けるこの遺跡に対し、何の準備も出来ていないに等しかった。
だから狩られたのだ。
しかし今度はそうはいかない。
残された時間も少なく、これ以上の敗北は許されない。
勝ってみせる。必ず…!
====================
夕飯はいつもの様に兄貴が準備してくれている。
カレン姉さんは、明日の決戦に供えて俺たちの武具の手入れを。
俺は辺りの哨戒を。
野営地から少し離れた所まで来た辺りで懐の中に潜んでいた火群が語りかけてきた。
「おう、チビギツネ。お前、気が付いているか?」
「…ああ、もうすぐ消える。今は漲っているが、長くは保たない」
そうだ。
この島にたどり着いてからの修行で、俺はより大きな力を手に入れた。
だがしかし、ここ何日かの島の地磁気の変化か、吐き出し口の壊れた酒樽の様に、力が奔流になって漏れだしている。
一般的には力が漲っていて理想的な状態だが。
異常なのは、一向にそれが止まらない事。
そして、どれだけ休息を取ってもあふれ出た力は回復する兆しを見せない事だ。
このまま行けば明後日を過ぎた辺りで力は完全に枯渇する。
この世界を構成する魔力…魔雫(マナ)が枯れた場合は厄介だ。
肉体と精神に蓄積した力も合わせて焼き切れてしまう為に、経験としては数年単位の昔に戻ってしまうだろう。
俺だったら…おそらく葛の葉を出た直後くらいに。
そうなれば何の力もない。
その時に白面の手下やこの島の門番に襲われたらひとたまりもないはずだ。
「それでもまだ続けるのか? 力がない間はまた危険が伴うぞ」
火群がそっと呟く。まるであきらめを促しているかの様だ。
「続けるさ。復讐なんてのは本来は無意味な物だ。だがしかし、俺は逃げ出す事も立ち止まる事も許されない」
「…笙鼓の事でまいってるかと思ったがそうでもねぇな」
火群が軽く溜息を吐きながらそう言う。
「何も思わないわけじゃない。でも、笙鼓の為でもあるからこそ俺は白面を…殺す」
コロス、と言う単語を吐いた途端、心の中で何か黒いものが渦巻いた気がした。
できればこんな言葉とは縁のない平和な生活をしたいとは思っていた。
それが当たり前だとずっと思っていたのに、俺は変わってしまった。
「ふん…まあいいさ、気長に行こうぜ。あのツルツルも姉ちゃんも、なんだかんだで目指す物はある様だから。またよろしくやっていこうじゃないか」
「…でも、島に戻るまでの間に一度秋津島に帰ろうと思うんだ。姉上やみんなの墓参りもしたいし、修行もし直さないと」
「好きにすればいいさ。俺は美少女さえいれば文句は言わない」
「…いつかカレン姉さん達に酷い目にあわされるぞ…」
「そんなヘマはしないって! …そろそろ飯の時間じゃねぇか? 帰ろうぜ」
「…そうだな、帰ろう。みんなの所へ」
そう言って俺は野営地への道を駆け出した。
…迷う事はない。
目的があるならそれを諦めずに進めばいい。
道がないなら切り開く。
それでもどうしようもなければ回り道だって良い。
だけど、絶対に諦めるな、立ち止まるな。
そう言い聞かせ俺は戦ってきた。
だからこれからも決して立ち止まらない。
焚き火を囲み、一緒に夕飯を食ったとしても、どこかみんな無口で。
かと言って落ち着いている訳でもなく、みんなソワソワしている。
俺たちもあながち例外ではなかった。
思い起こせば…何日前だろう。
門番の様に遺跡内に立ちふさがる奴らがいる、と言う噂を聞いたのは。
先行している奴らが次々と門番に打ち倒され、島の管理局の奴らの担架に乗せられて運ばれていくのを横目に見つつも、その時は既に俺たちも引くに引けない状態で。
そして、強襲してきたあの鎖野郎と2匹の黒い獣に蹂躙され…
消耗しきって這々の体で遺跡外まで逃げ出した。
俺たちの必殺の戦術を真っ向から否定する物理法則で組み上げられた存在であった事は確かだ。
正面から力技でぶつかっても勝てる訳がない。
増してあの頃の俺たちは、どこか危機感に欠けるこの遺跡に対し、何の準備も出来ていないに等しかった。
だから狩られたのだ。
しかし今度はそうはいかない。
残された時間も少なく、これ以上の敗北は許されない。
勝ってみせる。必ず…!
====================
夕飯はいつもの様に兄貴が準備してくれている。
カレン姉さんは、明日の決戦に供えて俺たちの武具の手入れを。
俺は辺りの哨戒を。
野営地から少し離れた所まで来た辺りで懐の中に潜んでいた火群が語りかけてきた。
「おう、チビギツネ。お前、気が付いているか?」
「…ああ、もうすぐ消える。今は漲っているが、長くは保たない」
そうだ。
この島にたどり着いてからの修行で、俺はより大きな力を手に入れた。
だがしかし、ここ何日かの島の地磁気の変化か、吐き出し口の壊れた酒樽の様に、力が奔流になって漏れだしている。
一般的には力が漲っていて理想的な状態だが。
異常なのは、一向にそれが止まらない事。
そして、どれだけ休息を取ってもあふれ出た力は回復する兆しを見せない事だ。
このまま行けば明後日を過ぎた辺りで力は完全に枯渇する。
この世界を構成する魔力…魔雫(マナ)が枯れた場合は厄介だ。
肉体と精神に蓄積した力も合わせて焼き切れてしまう為に、経験としては数年単位の昔に戻ってしまうだろう。
俺だったら…おそらく葛の葉を出た直後くらいに。
そうなれば何の力もない。
その時に白面の手下やこの島の門番に襲われたらひとたまりもないはずだ。
「それでもまだ続けるのか? 力がない間はまた危険が伴うぞ」
火群がそっと呟く。まるであきらめを促しているかの様だ。
「続けるさ。復讐なんてのは本来は無意味な物だ。だがしかし、俺は逃げ出す事も立ち止まる事も許されない」
「…笙鼓の事でまいってるかと思ったがそうでもねぇな」
火群が軽く溜息を吐きながらそう言う。
「何も思わないわけじゃない。でも、笙鼓の為でもあるからこそ俺は白面を…殺す」
コロス、と言う単語を吐いた途端、心の中で何か黒いものが渦巻いた気がした。
できればこんな言葉とは縁のない平和な生活をしたいとは思っていた。
それが当たり前だとずっと思っていたのに、俺は変わってしまった。
「ふん…まあいいさ、気長に行こうぜ。あのツルツルも姉ちゃんも、なんだかんだで目指す物はある様だから。またよろしくやっていこうじゃないか」
「…でも、島に戻るまでの間に一度秋津島に帰ろうと思うんだ。姉上やみんなの墓参りもしたいし、修行もし直さないと」
「好きにすればいいさ。俺は美少女さえいれば文句は言わない」
「…いつかカレン姉さん達に酷い目にあわされるぞ…」
「そんなヘマはしないって! …そろそろ飯の時間じゃねぇか? 帰ろうぜ」
「…そうだな、帰ろう。みんなの所へ」
そう言って俺は野営地への道を駆け出した。
…迷う事はない。
目的があるならそれを諦めずに進めばいい。
道がないなら切り開く。
それでもどうしようもなければ回り道だって良い。
だけど、絶対に諦めるな、立ち止まるな。
そう言い聞かせ俺は戦ってきた。
だからこれからも決して立ち止まらない。
2007年04月14日
【23日目】さよなら大好きな人
呼ぶ声がした。
──誰を?
俺の名だ。
俺の名を呼ぶ声がした。
──誰が?
笙鼓だ。
幼馴染みで、狐巫女の候補で、武門の長である「狐」の家と祭祀の長である「鼓」の家同志が勝手に決めた許嫁だった。
年上なのに泣き虫で、世話焼きでヤキモチ焼きで、胸はぺたんこで、子供の頃はこんな女と祝言を上げられる訳がないと思っていた。
====================
月明かりの下にいる。
──誰が?
俺と、笙鼓だ。
姉上が狐巫女になり、一生涯を岩倉で過ごす事が決まったあの日、俺は癇癪を起こして家を飛び出した。
いつまでも帰らない俺を心配し、握り飯を作って迎えに来たのが笙鼓だった。
悪態をついて泣き叫び、姉上と離れたくないとみっともなく喚いた。
それを笙鼓は優しく抱きしめて、頭を撫でながら俺が泣き疲れて眠るまで子守歌を歌い続けてくれた。
笙鼓はいつもそうだ。
俺がどんなわがままを言っても、どんなにキツイ言葉を浴びせても「しょうがないなぁ」と笑って抱きしめて、全てを包み込んでくれる。
化粧っ気もなく地味な印象の笙鼓だったけど、月明かりに照らされたその貌は、俺が今まで感じた事のない神々しい美しさに溢れて、飾りっ気のない着物の胸元からは良い香りがした。
きっと、この時に俺の胸の奥に産まれた鈍い痛みを伴う疼きが、恋というヤツだったんだと思う。
====================
そして、運命の夜が訪れた。
俺はその地獄絵図の様な光景を、ただ阿呆の様に見続けるだけだった。
──笙鼓が何匹もの化け物に組み敷かれ、犯されるのを
──葛の葉の里で一番の美声で、祭祀の神歌の担い手であるその喉が、狂った獣の様な声で助けを呼ぶのを
──指を、足を、腹を、胸を、腕を、顔を、頭をバラバラに食いちぎられ、化け物に咀嚼されるのを
──淫らで凄惨で、気の狂う様な光景を
小便を漏らしながら、目を離す事も出来ずにただ見続けるだけだった。
犯されながら、笙鼓は確かに俺の名を呼んだのに。
何刻もの間、何千回も。
俺の名を呼んだ。
そして、巨大な顎で喉笛を噛みちぎられた笙鼓の頭は、何間も先の茂みの中の俺の目の前まで転がってきて。
──でもその瞳は、俺の姿はおろかもうなにも映す事はなかった
その瞬間からしばらく俺の記憶はない。
気が付いた時には、火群と一緒に血塗れの体を折り曲げ、地面に屈して九尾の高笑いを聞かされていた。
====================
それからの3年間は秋津島を出て、大陸の赤い帝国や、極北の連邦、そして天竺を回って九尾の足跡を辿り、ついに手に入れたのがこの島への招待状。
そして、葛の葉を出てからしばらくしてから、その視線には気が付いていた。
影の中、闇の奥、物と物の隙間。
そこには決して在るはずの無い誰かの気配を感じていた。
いや、俺は気が付いていた。
それがあの懐かしい香りである事に。
喪った想い、失った人。
もうどうしようもない事だと、気が付かないフリで背中を向けて俺は逃げ続けた。
====================
だがしかし、その視線は次第に強くなり。
いつしか背筋を凍らせる様な悪意を秘めた物に変わるのに、そう時間は費やさなかった。
そしてあの日の晩、いつもの様にムルシド兄貴が作ってくれた夕飯をたいらげた後、体の中で何かが暴れ始めた。
瞳孔は開き、心臓は早鐘の様に鼓動し、三半規管が狂い天も地もわからなくなって、俺は壊れた人形の様に地面に崩れ落ちた。
====================
──夢を見た。
笙鼓が泣いていた。
近寄ろうとしても笙鼓はその分遠ざかる。
──ぐにゃり
足の裏の嫌な感触に飛び退いた。
足下の俺と笙鼓の間には、無数の人間の部品が転がっていた。
作り物ではない。
ほんの数瞬前までは息をしていたであろう「人」だ。
ねじ切られた様な断面、こぼれ出た臓物、汚物と血の海。
──その中で笙鼓は泣いている
助けなきゃ。
足下の「それ」をどかしながら、飛び越えながら。
時には足を取られ、それらを踏み砕き、足を滑らして血の海に倒れ込んだりもした。
何刻も何十里も、よたよたと歩み続けた。
カレン姉さんに繕って貰った白銀の服が、上から下までべっとり赤黒く染まってしまった。
──これは罪だ。
──そして呪いだ。
──購う事の出来ない咎、赤黒く苦い柘榴の様な味。
俺が笙鼓を傷つけたから。
あの晩、俺は笙鼓を見捨てたのだから。
いつだって俺は笙鼓の事を省みなかった。
あんなにも笙鼓は俺の事を愛してくれたのに、最後の瞬間まで俺に助けを求めていたのに。
そして、うず高く積み上げられた「それ」の上で泣く笙鼓にやっと手が届いた。
笙鼓がそっと顔を上げる。
そうだ、笙鼓はいつも困った様に笑っていた。
またその笑顔が見られるはずだ。
その顔が、笙鼓の事が俺は好きだったんだ。
だから笙鼓、もう一度笑ってく
──ぼっ!
なんだかまぬけな音がした。
これは俺の左肩から先が吹き飛んだ音だ。
──びしゃびしゃびしゃッ!
小滝の様な音。
これは俺の血が噴き出して地面に水たまりを作る音だ。
笙鼓が味わった痛み、恐怖。
いや、それは俺が味わっている物の何万倍も激しい物であったはずだ。
──キツネ…
うん、笙鼓…やっと会えた
──遅いよキツネ まったく…しょうがないなぁ
ごめんごめん
──…でも、もうお別れだよ
そうだな、俺はもう死ぬんだろ? 笙鼓を見殺しにした罰だ
──違う 私が逝かなくちゃ
なぜ?
──私が虚無に喰われちゃうからだよ 白面と契約した者は最後には魂を全部喰われて無になるの
じゃあ、白面を倒せばいい もう少しだけ待ってくれ! いかないでくれ!
──駄目なんだよ わたしばかだから もう全部白面に食われちゃった
──それにもう私一度死んでるんだもん
──白面がこの世に転生する最後の引き金を引いたのは私
──葛の葉のみんなを食い殺した化け物を作ったのも私
──白面の誘惑に負けて、魂を少しだけ囓られちゃったんだよ
──それからもずっと、キツネが私を見殺しにした事が許せなかった
──でもキツネの側に私以外に他の人間がいる事も許せなくて
──そのつど私は魂を白面に切り売りして、闇にだけ生きる怨霊になって、キツネの側に近付く人をみんな呪い殺して
──いつしか白面に差し出す魂も足りなくなって、力も貰えなくなって
──ついさっき、魂の最後の残りも白面に差し出しちゃった
──それでキツネの回りにいた人達を呪い殺して
──キツネの魂は彼岸に行く前に捕まえて
──そしてこの闇の中で二人ずっと一緒に漂っていようと思っていた
──外から呪えないなら、食べ物に呪詛をかけて中から蝕めば良いと思った
──でも駄目なんだ、あの人達は眩しいの
──女の人はキツネを救おうと、自分の命も省みずに行動した
──あの大男も自分に治癒術を使わず、真っ先にキツネを救おうとした
──唐獅子も、自分の力を大きく削る術を惜しげもなく解呪の為に使った
──クダギツネは、あの晩の傷を癒す為に喰い続けたキツネの血肉を逆流させて、キツネの命を救おうとした
──みんなキツネが生きる事に全力を尽くしているのに
──わたしは全てを呪い、壊す事しか望まなかった
──あの日からずっと、魂が喰われるたびに私は正気を失っていった
──本当はこんな事望んでいなかったのに
──心に刺さった棘から、いつしか白面の甘い毒に犯されて狂っていった
──そして最後に全てを失ってから、正気を返すなんて
──だったら最後まで全てを憎んだまま逝かせてくれれば良かったのに
──…でもしょうがないよね きっとこれは私に与えられた罰なんだから
──だからもう、逝かないと
笙鼓! 待ってくれ!
──ごめんね 傷…痛いでしょう?
──でも、この何年間もわたしのせいで白面の障気に晒されたキツネが、堕ちない様にするには血を全部抜くしかないの
──大丈夫、あとはあの人達が呼び戻してくれるよ
──だから…これでお別れ
──ねえ、キツネ…
…うん
──泣かないで
…うん
──笑ってよ
…うん
──大好きだよ
…俺も笙鼓の事…大好きだ
──ありがとう、うれしいよ
──…さよなら、大好きな人
──…おやす、み…
…おやすみ…
====================
次の瞬間、黒い天は裂けて青空が広がった。
屍の山は消え、どこまでもどこまでも無限に続く桜の園が広がる。
俺はそのただ中に一人立ちつくしていた。
吹き飛んだはずの左手の中に握りしめていたのは女物の櫛。
…何年前だったろう…夏祭りの晩に、都から来た出店で笙鼓に買ってあげたものだ。
折角買ったんだから使えばいいと言ったのに、いつも箪笥の奥にしまっていたから、もう5年以上経つのに新品の様だ。
風が吹き、桜の花びらも散る。
もう葉桜の時期だ。
春は終わりを告げ、風に乗って夏の匂いが届く。
足下に続く道の向こうからムルシド兄貴とカレン姉さん、羅喉丸や火群の呼ぶ声が聞こえる。
──帰らなきゃ
俺は笙鼓の櫛を握り、声のする方向に駆けだした。
最後にもう一度だけ、今来た道を振り返る。
遠く遠く、手を伸ばしても大声で叫んでも届かないくらい遠くに笙鼓がいた。
──風よ届け
──もう一度、俺の大切な人である彼女にこの想いを届けてくれ
そっと俺は呟いた
──さよなら、大好きな人
──誰を?
俺の名だ。
俺の名を呼ぶ声がした。
──誰が?
笙鼓だ。
幼馴染みで、狐巫女の候補で、武門の長である「狐」の家と祭祀の長である「鼓」の家同志が勝手に決めた許嫁だった。
年上なのに泣き虫で、世話焼きでヤキモチ焼きで、胸はぺたんこで、子供の頃はこんな女と祝言を上げられる訳がないと思っていた。
====================
月明かりの下にいる。
──誰が?
俺と、笙鼓だ。
姉上が狐巫女になり、一生涯を岩倉で過ごす事が決まったあの日、俺は癇癪を起こして家を飛び出した。
いつまでも帰らない俺を心配し、握り飯を作って迎えに来たのが笙鼓だった。
悪態をついて泣き叫び、姉上と離れたくないとみっともなく喚いた。
それを笙鼓は優しく抱きしめて、頭を撫でながら俺が泣き疲れて眠るまで子守歌を歌い続けてくれた。
笙鼓はいつもそうだ。
俺がどんなわがままを言っても、どんなにキツイ言葉を浴びせても「しょうがないなぁ」と笑って抱きしめて、全てを包み込んでくれる。
化粧っ気もなく地味な印象の笙鼓だったけど、月明かりに照らされたその貌は、俺が今まで感じた事のない神々しい美しさに溢れて、飾りっ気のない着物の胸元からは良い香りがした。
きっと、この時に俺の胸の奥に産まれた鈍い痛みを伴う疼きが、恋というヤツだったんだと思う。
====================
そして、運命の夜が訪れた。
俺はその地獄絵図の様な光景を、ただ阿呆の様に見続けるだけだった。
──笙鼓が何匹もの化け物に組み敷かれ、犯されるのを
──葛の葉の里で一番の美声で、祭祀の神歌の担い手であるその喉が、狂った獣の様な声で助けを呼ぶのを
──指を、足を、腹を、胸を、腕を、顔を、頭をバラバラに食いちぎられ、化け物に咀嚼されるのを
──淫らで凄惨で、気の狂う様な光景を
小便を漏らしながら、目を離す事も出来ずにただ見続けるだけだった。
犯されながら、笙鼓は確かに俺の名を呼んだのに。
何刻もの間、何千回も。
俺の名を呼んだ。
そして、巨大な顎で喉笛を噛みちぎられた笙鼓の頭は、何間も先の茂みの中の俺の目の前まで転がってきて。
──でもその瞳は、俺の姿はおろかもうなにも映す事はなかった
その瞬間からしばらく俺の記憶はない。
気が付いた時には、火群と一緒に血塗れの体を折り曲げ、地面に屈して九尾の高笑いを聞かされていた。
====================
それからの3年間は秋津島を出て、大陸の赤い帝国や、極北の連邦、そして天竺を回って九尾の足跡を辿り、ついに手に入れたのがこの島への招待状。
そして、葛の葉を出てからしばらくしてから、その視線には気が付いていた。
影の中、闇の奥、物と物の隙間。
そこには決して在るはずの無い誰かの気配を感じていた。
いや、俺は気が付いていた。
それがあの懐かしい香りである事に。
喪った想い、失った人。
もうどうしようもない事だと、気が付かないフリで背中を向けて俺は逃げ続けた。
====================
だがしかし、その視線は次第に強くなり。
いつしか背筋を凍らせる様な悪意を秘めた物に変わるのに、そう時間は費やさなかった。
そしてあの日の晩、いつもの様にムルシド兄貴が作ってくれた夕飯をたいらげた後、体の中で何かが暴れ始めた。
瞳孔は開き、心臓は早鐘の様に鼓動し、三半規管が狂い天も地もわからなくなって、俺は壊れた人形の様に地面に崩れ落ちた。
====================
──夢を見た。
笙鼓が泣いていた。
近寄ろうとしても笙鼓はその分遠ざかる。
──ぐにゃり
足の裏の嫌な感触に飛び退いた。
足下の俺と笙鼓の間には、無数の人間の部品が転がっていた。
作り物ではない。
ほんの数瞬前までは息をしていたであろう「人」だ。
ねじ切られた様な断面、こぼれ出た臓物、汚物と血の海。
──その中で笙鼓は泣いている
助けなきゃ。
足下の「それ」をどかしながら、飛び越えながら。
時には足を取られ、それらを踏み砕き、足を滑らして血の海に倒れ込んだりもした。
何刻も何十里も、よたよたと歩み続けた。
カレン姉さんに繕って貰った白銀の服が、上から下までべっとり赤黒く染まってしまった。
──これは罪だ。
──そして呪いだ。
──購う事の出来ない咎、赤黒く苦い柘榴の様な味。
俺が笙鼓を傷つけたから。
あの晩、俺は笙鼓を見捨てたのだから。
いつだって俺は笙鼓の事を省みなかった。
あんなにも笙鼓は俺の事を愛してくれたのに、最後の瞬間まで俺に助けを求めていたのに。
そして、うず高く積み上げられた「それ」の上で泣く笙鼓にやっと手が届いた。
笙鼓がそっと顔を上げる。
そうだ、笙鼓はいつも困った様に笑っていた。
またその笑顔が見られるはずだ。
その顔が、笙鼓の事が俺は好きだったんだ。
だから笙鼓、もう一度笑ってく
──ぼっ!
なんだかまぬけな音がした。
これは俺の左肩から先が吹き飛んだ音だ。
──びしゃびしゃびしゃッ!
小滝の様な音。
これは俺の血が噴き出して地面に水たまりを作る音だ。
笙鼓が味わった痛み、恐怖。
いや、それは俺が味わっている物の何万倍も激しい物であったはずだ。
──キツネ…
うん、笙鼓…やっと会えた
──遅いよキツネ まったく…しょうがないなぁ
ごめんごめん
──…でも、もうお別れだよ
そうだな、俺はもう死ぬんだろ? 笙鼓を見殺しにした罰だ
──違う 私が逝かなくちゃ
なぜ?
──私が虚無に喰われちゃうからだよ 白面と契約した者は最後には魂を全部喰われて無になるの
じゃあ、白面を倒せばいい もう少しだけ待ってくれ! いかないでくれ!
──駄目なんだよ わたしばかだから もう全部白面に食われちゃった
──それにもう私一度死んでるんだもん
──白面がこの世に転生する最後の引き金を引いたのは私
──葛の葉のみんなを食い殺した化け物を作ったのも私
──白面の誘惑に負けて、魂を少しだけ囓られちゃったんだよ
──それからもずっと、キツネが私を見殺しにした事が許せなかった
──でもキツネの側に私以外に他の人間がいる事も許せなくて
──そのつど私は魂を白面に切り売りして、闇にだけ生きる怨霊になって、キツネの側に近付く人をみんな呪い殺して
──いつしか白面に差し出す魂も足りなくなって、力も貰えなくなって
──ついさっき、魂の最後の残りも白面に差し出しちゃった
──それでキツネの回りにいた人達を呪い殺して
──キツネの魂は彼岸に行く前に捕まえて
──そしてこの闇の中で二人ずっと一緒に漂っていようと思っていた
──外から呪えないなら、食べ物に呪詛をかけて中から蝕めば良いと思った
──でも駄目なんだ、あの人達は眩しいの
──女の人はキツネを救おうと、自分の命も省みずに行動した
──あの大男も自分に治癒術を使わず、真っ先にキツネを救おうとした
──唐獅子も、自分の力を大きく削る術を惜しげもなく解呪の為に使った
──クダギツネは、あの晩の傷を癒す為に喰い続けたキツネの血肉を逆流させて、キツネの命を救おうとした
──みんなキツネが生きる事に全力を尽くしているのに
──わたしは全てを呪い、壊す事しか望まなかった
──あの日からずっと、魂が喰われるたびに私は正気を失っていった
──本当はこんな事望んでいなかったのに
──心に刺さった棘から、いつしか白面の甘い毒に犯されて狂っていった
──そして最後に全てを失ってから、正気を返すなんて
──だったら最後まで全てを憎んだまま逝かせてくれれば良かったのに
──…でもしょうがないよね きっとこれは私に与えられた罰なんだから
──だからもう、逝かないと
笙鼓! 待ってくれ!
──ごめんね 傷…痛いでしょう?
──でも、この何年間もわたしのせいで白面の障気に晒されたキツネが、堕ちない様にするには血を全部抜くしかないの
──大丈夫、あとはあの人達が呼び戻してくれるよ
──だから…これでお別れ
──ねえ、キツネ…
…うん
──泣かないで
…うん
──笑ってよ
…うん
──大好きだよ
…俺も笙鼓の事…大好きだ
──ありがとう、うれしいよ
──…さよなら、大好きな人
──…おやす、み…
…おやすみ…
====================
次の瞬間、黒い天は裂けて青空が広がった。
屍の山は消え、どこまでもどこまでも無限に続く桜の園が広がる。
俺はそのただ中に一人立ちつくしていた。
吹き飛んだはずの左手の中に握りしめていたのは女物の櫛。
…何年前だったろう…夏祭りの晩に、都から来た出店で笙鼓に買ってあげたものだ。
折角買ったんだから使えばいいと言ったのに、いつも箪笥の奥にしまっていたから、もう5年以上経つのに新品の様だ。
風が吹き、桜の花びらも散る。
もう葉桜の時期だ。
春は終わりを告げ、風に乗って夏の匂いが届く。
足下に続く道の向こうからムルシド兄貴とカレン姉さん、羅喉丸や火群の呼ぶ声が聞こえる。
──帰らなきゃ
俺は笙鼓の櫛を握り、声のする方向に駆けだした。
最後にもう一度だけ、今来た道を振り返る。
遠く遠く、手を伸ばしても大声で叫んでも届かないくらい遠くに笙鼓がいた。
──風よ届け
──もう一度、俺の大切な人である彼女にこの想いを届けてくれ
そっと俺は呟いた
──さよなら、大好きな人
2007年04月13日
【呪】名前も顔も思い出せない
×月□日
このままでは埒があかない。
このままでは間に合わない。
■■■の側に他の誰かがいるのが我慢出来ない。
もう■■■の名前も顔も曖昧にしか思い出せない。
時間がない。
だからわたしは、白面に最後の魂の欠片を差し出した。
そうだ。
簡単な事だ。
もどかしいのは、私と■■■が同じ世界にいないからなんだ。
こっちがわに来て貰えば良いんだ。
ついでに目障りな奴らも殺そう。
純粋で単純な呪いだ。
食べ物に呪詛をかけ、内と外から共振させる。
邪な物を「弾く」事に長けているやつらとて、内から蝕む物は防げるはずがない。
なぁんだ。
こんな簡単な事だったんだ。
うれしいよ。
やっと■■■を抱きしめられる。
肉は腐ってしまうから、骨になるまできれいに洗ってあげるね。
抱きしめて眠ろう、ずっと一緒にいよう。
■■■、大好きだよ。
このままでは埒があかない。
このままでは間に合わない。
■■■の側に他の誰かがいるのが我慢出来ない。
もう■■■の名前も顔も曖昧にしか思い出せない。
時間がない。
だからわたしは、白面に最後の魂の欠片を差し出した。
そうだ。
簡単な事だ。
もどかしいのは、私と■■■が同じ世界にいないからなんだ。
こっちがわに来て貰えば良いんだ。
ついでに目障りな奴らも殺そう。
純粋で単純な呪いだ。
食べ物に呪詛をかけ、内と外から共振させる。
邪な物を「弾く」事に長けているやつらとて、内から蝕む物は防げるはずがない。
なぁんだ。
こんな簡単な事だったんだ。
うれしいよ。
やっと■■■を抱きしめられる。
肉は腐ってしまうから、骨になるまできれいに洗ってあげるね。
抱きしめて眠ろう、ずっと一緒にいよう。
■■■、大好きだよ。
2007年04月12日
【呪】唐獅子を呪う
×月◆日
やつらのペースに飲まれてはいけない。
そう反省し、今日は唐獅子を呪う事にした。
ヤツをまず落とせば、後はだいぶ楽になるはずだから。
川で髪を洗っていて、その髪の美しさを嫉んだ恋敵に後ろから頭を割られ、川に流されて死んだと言う女の霊がいたので、それを呼び寄せた。
その怨念が強大だったので、今回こそはいけるという手応えを感じた。
唐獅子が水場に来た所を狙い、水の中から髪を絡みつかせ引きずり込む…
「ぶしゅんッ!」
…あろう事か、水面に向けて唐獅子がくしゃみをしたその勢いで霊が消し飛んだ。
秋津島の神官が使う技の様に、息吹一つで悪霊払いをされてしまったのだ。
(今回はちょっと違うが)
だが最後に残った怨念が唐獅子に絡みつき邪悪の黒い光が迸る。
唐獅子の体毛がざわざわと逆立ち、その一本一本に黒い呪詛が絡みつく…、だがしかし「殺った」と思ったのも束の間、もう一発のくしゃみで今度こそ本当に全部消し飛んだ。
また失敗した。
そう思ったが、去りゆく唐獅子の姿を見て少しは気も晴れた。
異常なまでにさらさらと風になびく、まっすぐな髪を。
やつらのペースに飲まれてはいけない。
そう反省し、今日は唐獅子を呪う事にした。
ヤツをまず落とせば、後はだいぶ楽になるはずだから。
川で髪を洗っていて、その髪の美しさを嫉んだ恋敵に後ろから頭を割られ、川に流されて死んだと言う女の霊がいたので、それを呼び寄せた。
その怨念が強大だったので、今回こそはいけるという手応えを感じた。
唐獅子が水場に来た所を狙い、水の中から髪を絡みつかせ引きずり込む…
「ぶしゅんッ!」
…あろう事か、水面に向けて唐獅子がくしゃみをしたその勢いで霊が消し飛んだ。
秋津島の神官が使う技の様に、息吹一つで悪霊払いをされてしまったのだ。
(今回はちょっと違うが)
だが最後に残った怨念が唐獅子に絡みつき邪悪の黒い光が迸る。
唐獅子の体毛がざわざわと逆立ち、その一本一本に黒い呪詛が絡みつく…、だがしかし「殺った」と思ったのも束の間、もう一発のくしゃみで今度こそ本当に全部消し飛んだ。
また失敗した。
そう思ったが、去りゆく唐獅子の姿を見て少しは気も晴れた。
異常なまでにさらさらと風になびく、まっすぐな髪を。
2007年04月11日
【呪】乳の大きい女を呪う
×月◎日
妬ましい。
前々から気になっていたけれど…なんなのアレは。
…キツネの姉である狐巫女もそうだった。
あんなに巨大な物を吊り下げて色香を振りまくなんてうらやまし…、違う…妬ましい…でもなくて…とにかく目障りだッ!
今日は必殺の呪詛だ。
母に捨てられ、飢え死んだ子供の霊を大量に呼び寄せ、あの女の乳を呪いで蹂躙してやる。
霊に精気を吸い尽くされ、シワシワの老婆の様になってしまえばいいんだ!
『ぅぁあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ー』
木の股から、石の下から、川の中から…肉体が無惨に朽ち果てた姿を保ったままの霊体が大量に湧きだしてくる。
その数は20を超えて、必勝の構えだ。
今日こそはいけると思った。
『ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ぁあああああああああああああああああああああ』
霊体達が、正気の人間が聞けばそれだけで気の狂う様な叫びを上げて次々に女に飛びかかる…
と、その時。
あの大男が女の前を不意に横切ったせいで、その霊体の全てが大男に突撃する形になった。
おもわずその筋肉に覆われた体に貪り付いてしまう霊体達。
『ぎぎぎぎぎぎぎぎぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁああああああああああああああちちちがぁぁぁぁぁぁぁあああううううぅぅぅぅ』
と悲鳴を上げて全てが消し飛んだ。
大男は体に何か違和感を感じたくらいで、筋肉をピクピクと奮わせながら立ち去って行った。
妬ましい。
前々から気になっていたけれど…なんなのアレは。
…キツネの姉である狐巫女もそうだった。
あんなに巨大な物を吊り下げて色香を振りまくなんてうらやまし…、違う…妬ましい…でもなくて…とにかく目障りだッ!
今日は必殺の呪詛だ。
母に捨てられ、飢え死んだ子供の霊を大量に呼び寄せ、あの女の乳を呪いで蹂躙してやる。
霊に精気を吸い尽くされ、シワシワの老婆の様になってしまえばいいんだ!
『ぅぁあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ー』
木の股から、石の下から、川の中から…肉体が無惨に朽ち果てた姿を保ったままの霊体が大量に湧きだしてくる。
その数は20を超えて、必勝の構えだ。
今日こそはいけると思った。
『ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ぁあああああああああああああああああああああ』
霊体達が、正気の人間が聞けばそれだけで気の狂う様な叫びを上げて次々に女に飛びかかる…
と、その時。
あの大男が女の前を不意に横切ったせいで、その霊体の全てが大男に突撃する形になった。
おもわずその筋肉に覆われた体に貪り付いてしまう霊体達。
『ぎぎぎぎぎぎぎぎぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁああああああああああああああちちちがぁぁぁぁぁぁぁあああううううぅぅぅぅ』
と悲鳴を上げて全てが消し飛んだ。
大男は体に何か違和感を感じたくらいで、筋肉をピクピクと奮わせながら立ち去って行った。