考えてみれば今回の胃内視鏡検査は、昨年、十二指腸潰瘍が一応の完治をみた際、「1年後も念のため胃カメラで調べた方がいいですよ。二重の検査になるので人間ドックではバリウム検査は受けけなくてもいいでしょう」と医師に言われ、受けたものだった。

 つまり、どこか異常があってカメラを飲まざるを得なくなったわけではない。
 なのに、アタシったらすっかり再検査を受けるような気持になってしまって、前夜はよく眠れないし、朝に駅へ向かう時には葬送行進曲に合わせて歩みを進めているようだったし、A江が沈滞した空気を(悪い意味で)破ってくれたものの、検査開始前にはコフマンが振るショスタコーヴィチの交響曲第8番第1楽章が頭の中を浮遊する始末だった。

 これ、ひとえに1~2週間前から続いているのどつまり感、水を飲んだときなどの胸の引っかかり感があったせいだ。そのためにすっかり食道の異常を再検査すべく病院を訪れることになった、未来のない人間のような感覚に陥ってしまっていたのだった。

 現場判断による速報値ながらも食道に問題がないということは、こののどの違和感はなんなのだろう?毛玉がのどに詰まっているのだろうか?いや、私には毛づくろいの習慣はない。それに毛が詰まっているのなら、マジックハンド以上に高度な機能を有している内視鏡のことだから、きっとつまんで外に取り出してくれただろう。

 その葬送行進曲についてだが、クラシックを聴き始めたころ、音楽評論家の大木正興氏が「あの葬送行進曲の演奏のすばらしいこと」とラジオで言っていたのを耳にしたことがある。まだ祖父の家では、水道ではなく井戸水をくみ上げていた大昔の頃のことだ。
 それはカラヤンが振る「エロイカ」(ベートーヴェン/交響曲第3番)の第2楽章のことだったが、それは私にとって初めて聴くもので「知ってる曲と違う」と思ったものだ。

 じゃあ当時、私が知っていた葬送行進曲ってどんな曲だったかというと、「ダァーンダーダダァーン、ダーダダーダダーダダー」ってもので、何書いてるんだかさっぱりわからないだろうけど、ショパンのピアノ・ソナタ第2番の中の曲であった。

 当時はこれがショパンの曲だとは知らず、というよりもクラシック音楽作品だということも知らなかったが、かなりの幼少の頃からなぜかこのメロディーは知っていた。たぶんTV番組のいろんなところで使われていたんじゃないかと思う。

 “ブロックくずし”がきっかけとなってアーケード・ゲームがブームとなったころの話だが、スペース・インベーダーの大ヒットの少し前に、人間(ピエロ?)をシーソーでジャンプさせ上空(画面上部)に並んで浮かんでいる風船を割るゲームがあった。

 このゲームの名前すら知らないが、私はけっこう好きで、当時はたいていの百貨店にもゲームコーナーがあって、今は無き五番館(のちの五番館西武→西武札幌店)の上の方の階にもあり、このゲームのアップライト型の機械が置いてあった。五番館の良いところはとにかくゲームコーナーもすいているということで(だから西武になってしまったのだが)、都会っ子の私はしばしばここでゲームに興じた。

 このゲーム、風船に当たった後に落下してくる人間をシーソーで受け損ねると死んでしまい、そのときに流れるのがショパンの葬送行進曲なのであった。
 ゲームが下手な私は、何度この曲を耳にしたことか!

a7e501c5.jpg  そんな悲しい思い出の反動があってかどうかは知らないが(んなわけないか……)、この曲、今ではあまり聴くことがない。

 ショパン(Frederic Francois Chopin 1810-49 ポーランド)のピアノ・ソナタ第2番変ロ短調Op.35(1839)。

 全4楽章から成り、「葬送行進曲」は第3楽章。そもそも「葬送行進曲」は1837年に作曲されていた独立した作品で、それをこのソナタの第3楽章に用いたのであった。
 ソナタ自体にタイトルはつけられていないが、しばしば「葬送」とか「葬送行進曲つき」と呼ばれる。

 全体にくらーい曲だが、ショパンの作曲の意図は知られていない。

 以前はポゴレリッチのライヴ盤(1980録音。レーザーライト)をたまに聴いていたが、これは録音がひどく悪い。実はゲームで悔しい思いをしたせいではなく、後年になってこのCDのために私はショパンの第2ソナタを遠ざけてしまったんだと思う。

 そんなわけで今日はアルゲリッチによる演奏を。
 1975録音。グラモフォン。

  Chopin: Piano Sonatas No.2, No.3, Scherzo No.3 / Martha Argerich(p)

 ところであのシーソーゲーム。
 ゲーム開始のときの音楽が好きだったなぁ。

 ところでここ何回か、ブログのタイトルにその日取り上げる音楽作品名を“曖昧記”してきたが、どうもこれが微妙に不評なようだ。

 「タイトルを見て、クラシック音楽の曲についてまじめに書いてあるブログだと思ったのに、読んでみたら、胃カメラを上手に飲めただの、親子丼が美味しかっただのという雑文であきれた」
 「これじゃあ意味ありげなタイトルで誘導する迷惑メールのようだ」

 というようなクレームが、私の知らないところで飛び交っている気がする。

 だから、もとに戻すことにした。
 改革失敗である。
 
 さてと、今日明日は旭川に出張。
 あさってとしあさっては東京に出張。
 頭は働かせていないが、物理的移動で体は働かせている私である。
 
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