HaydnSunrise  同郷の人に会えた喜び
 先週の土曜の夜、観て見ぬふりをしていた、ただつけっぱなしだったテレビから「アメリカ」のメロディーが流れてきた。


 サックスなどのためにアレンジされたものだが、なかなか感じがいい。


 それはAJINOMOTOの企業CMだった。

 AJINOMOTOの企業CMといえば、以前はショスタコーヴィチの「タヒチ・トロット」を使っていて(というよりは、ユーマンスの「二人でお茶を」というべきか)、これまたセンスがよかった。さすが、サトウキビからAJINOMOTOである。意味不明の納得だが。

 
 ドヴォルザーク(Antonin Dvorak 1841-1904 チェコ)の弦楽四重奏曲第12番ヘ長調Op.96,B.179アメリカ(The American)」(1893)。

 「新世界交響曲」「チェロ協奏曲ロ短調」とともに、ドヴォルザークがアメリカ滞在中に書いた傑作である。

 この曲は、ドヴォルザークがアイオワ州スピルヴィルというチェコからの移民集団が住む街を訪れたときに作曲された。アメリカに入植した人々に触れ、望郷の念と温かな感情が沸き起こったのだろう。そういう感情にあふれた音楽だ。

 アメリカ的なメロディー、つまり黒人霊歌などの宗教的な民衆の歌(スピリチュアル)を思わせる旋律で(タイトルが'America'ではなく'The American'なのだ)、ちょっぴりおセンチになる第2楽章もあるが、活き活きとしていて、聴いていて気持の良い曲。
 まさにドヴォルザークにしか書けない音楽だ。

 タカーチ弦楽四重奏団の演奏を。

 1989録音。デッカ。

  一人で茄子を
 このときのTVではCook DoのCMも流れた。なぜなら、その番組はAJINOMOTOの提供だからである。

 商品は“きょうの大皿 豚バラなす用”であった。

 そういえば冷凍庫に豚バラ肉を大切にしまってあることを思い出した。


201705Matsuzaka 翌日。
 スーパーに行き、まずは野菜売り場でナスを見てみる。
 いやだわ、とっても太くて大きい黒々としたナスが1つの袋に3本も入ってる……(写真は間接的イメージ。ったく、どーしよーもない)。


 私はカゴに入れた。


 次にCook Doなんかが置いてある売り場に行ってみる。

 いろんな商品があるが、目的のものが見当たらない。


 いやっ!この黒々とした大きくて太くてたくましいナスを手放すことなんてもうできない。


 何度も棚を見返して、ようやく“きょうの大皿 豚バラなす用”を発見。以外にもすぐ目の前にあった。
 アタシったらどうしちゃったのかしら。

 夕方になって豚バラなす用を使って-これだけじゃ、読んでいるあなたはいったいどんな味かわからないだろう-料理を完成させた。

 “米みそに濃厚な風味の八丁味噌をブレンドして、きざみ生姜でアクセントをつけたソース”なわけで、要するにナスと豚ばら肉の甘みそ炒めである。

 で、さすがCook Doだけあって、なかなかおいしい。
 独り暮らしの私は、たっぷりできたみそ炒め-量的に大皿の看板に偽りなし。わが住まいには、その盛り付けに合った大皿はないが-を、懸命に食べた。


 懸命に食べたが、1/3は翌日の朝食に持ち越すことになった。


  しかも、ミックスフライといってもメインはコロッケ……
 朝から前夜と同じもの-すでにナスはふにゃふにゃにしぼんでいた-を食べたわけだが、この日の昼はHotto Motto に買いに行った。


 何の考えもなしに、日替わりランチを頼んだあと、私は愕然とした。
 この日は“ミックスフライ&なす味噌”弁当だったのだ。


 やれやれ……


 しかも、私が作ったCook Do プレゼンスのなす味噌の方がおいしかった。


 も一度、やれやれ……


 しばらくなす味噌は勘弁だ。

 アメリカといえば、カフカに「アメリカ」という小説があるが、いまでは「失踪者」というタイトルにあらためられているらしい。

 知らんかった……