ElgarEnigmaSolti  そういう話したことなかったもんね
 先週、同期入社でいまは本社勤務の宮光さんが支社に来た。

 目的はいろいろあったようだが、少なくとも私と打合せするためではない。
 なので、立ち話程度の会話を座りながらちょこっとしただけだ。


 彼とは一緒に仕事をしたことはないが、何度か酒を飲んだりする仲である。

 その彼が、座りながら立ち話をしているときに言った。


 「ねえ、このあいだ東京のIさんから聴いたんだけど、MUUSANってクラシック音楽が好きで、しかも詳しいんだって?」
 「まぁ、中学生の時から聴いているからそこそこ」
 「へぇ~、全然知らなかった」


 考えてみれば一緒に飲んでいるときだって、そんな話をしたことはなかった。

 子どもは何年生になっただの、奥さんの皺は増えただの、カルビを食べると胸焼けするようになっただの、そんな話をしているときに、どうして「チャイコフスキーはコレラで死んだんだ」なんてことを口にできようか?


  そういう話想像もしてなかったもんね
 宮光さんは黒光りした顔を私に向け、懺悔するように静かに語った。


 「オレもクラシックが好きなんだ」


 今度は私が大いに驚く番だった。
 彼がクラシックを好きだったなんて、ヒアリが日本に生息している以上に思ってもいないことだった。

 だいいち、Kitaraで彼の姿を見かけたことも一度もないし、タワレコや今はなきPALS21で出くわしたこともない。

 なぜか私の頭には「タンホイザー」の凱旋行進曲のファンファーレが響き渡っていた。

 私は宮光さんに言った。

 「欲しいCDがあれば、遠慮なく落札して。いま、けっこうオークションに出品してるから」


 彼は寂しげな笑みを浮かべて、そのあと支社をあとにした。


 ところで宮光さんは、どんな傾向の曲が好きなんだろう?
 肝心のことを聞くのを忘れた。というのも、彼も私にそういうことを尋ねなかったからだ。
 今度、ゆっくり話をし、いつからクラシックを聴くようになったのか、好きな作曲家は誰か、初恋は何歳のときかといった謎を解き明かしてみたい。


 エルガー(Edward Elgar 1857-1934 イギリス)の「エニグマ(謎の)変奏曲(Enigma Variations)」Op.36(1898-99)。


 ここに書いているように、エルガーの友人たちを描いた曲で、各変奏曲にはエルガーの妻や友人たちを暗示したイニシャルが書かれている。


 ショルティ/シカゴ交響楽団の演奏を。


 1974年録音。デッカ。


   このCD(同一音源)の詳しい情報 【タワレコ】
   エルガー:行進曲≪威風堂々≫(第1番~第5番) エニグマ変奏曲/序曲≪コケイン≫ イギリス国家:ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン

    

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