SSO172nd  重鎮現る!
 札響が岩城時代(1975年10月正指揮者、1978年10月音楽監督・正指揮者、1981年8月音楽監督)になってから、集中的に(ってほどでもないが)客演した指揮者にジャン・バティストゥ・マリ(Jean-Baptiste Mari 1912- )がいる。

 1977年6月に行なわれた第172回定期演奏会では、ラヴェルの組曲「マ・メール・ロア」、プロコフィエフのピアノ協奏曲第3番(独奏:D.アレクセーエフ)、リムスキー=コルサコフの「シェエラザード」を振った。

 当日のプログラムノーツには、マリのプロフィールが次のように記されている。


 パリのコンセール・ラムルー管弦楽団の首席指揮者。日本にも屡々(しばしば)来演しており,諸外国ではアメリカ,ドイツ,オランダ,ルクセンブルグ,スイス,ポーランド,ユーゴスラヴィア,ルーマニアなど数多くの国で活躍しており,シャルル・ミュンシュと共にオルケストル・ナショナールとのアメリカ演奏旅行で絶賛を博す。63年~69年にはパリ交響楽協会の会長をつとめている。札幌は今172回定期が初指揮。


 ONTOMO MOOK「指揮者のすべて」(音楽之友社:1996年)での記述はこうだ(執筆は吉村溪氏)。

 東フィルへの客演が多い。アルジェリアのパレストロに生まれた。父にチェロを教わり、同地の市立劇場の奏者を経験した後、パリ音楽院でP.バズレールに師事。26年にはレオポルド・ベラン賞を受けている。卒業後アルジェリアに帰国し、アルジェリア放送響のチェロ奏者として様々な指揮者の下で研鑽を積んだ。46年からパリなどで本格的に指揮活動を始める。62年にラムルー管の常任指揮者に就任。76年まで同ポストにあった。その間フランス交響楽協会の会長を2期務めている。81、85年来日時のライヴが東フィル創立80周年記念の「名演集」の中に収録されており、ドビュッシーの「小組曲」や「アルルの女」組曲は濃厚な表情を伴った熱い演奏。

 「小組曲」で濃厚で熱いというのが想像できないけど、まあ、それはよいとして、何度か来日しているわりにはそんなに話題にならないのは評価が高くないのか?
 いや、これがN響ならテレビに映っちゃって、国内での知名度はそれなりに上がった可能性もある。


 もともとはチェリストだったところは、P.シュヴァルツと一緒だ。単なる偶然だろうけど。


 1912年生まれということは、77年のときにはまだ65歳くらいだったわけだが、元気ながらもけっこう老いて見えた。そのせいか、風貌はまったく異なるのだが、エリシュカを最初に見たときにはマリのことを思い出してしまった。
 重鎮とは書かれているが、当時は外国人指揮者ならメジャー・レーベルに録音しているようじゃないと二流みたいに見られる風潮があったが、世が世ならマリだってエリシュカのようにブレイクしたかもしれない。

  工藤の魅力をたっぷり引き出した指揮
 私がマリの演奏を聴いたのは、初来札となった第172回を含め計3回。

 残りの2回は、

 第198回定期('79.11.20)
  ・ドビュッシー/牧神の午後への前奏曲
  ・イベール/フルート協奏曲(独奏:工藤重典)
  ・ベルリオーズ/幻想交響曲


SSO198th

 第205回定期('80.6.23)
  ・シャブリエ/狂詩曲「スペイン」
  ・モーツァルト/ピアノ協奏曲第17番(独奏:小林道夫)
  ・ムソルグスキー(ラヴェル編)/組曲「展覧会の絵」


SSO203_206th

 このころは、定期会員をずっと続けていながらも、何かと忙しくというかちゃらちゃら出歩いている状況下になく-なにせ浪人生の身-コンサートに行けないことが多かったのだが、マリが登場するときには欠かさず-といっても3回だが-足を運んでいる。

 マリが登場するときのプログラムが、またまたか、たまたまか、私好みの曲ばかり。その点でもひじょうに印象に残っている指揮者だ。
 ただ、プログラムが魅力的だっただけではない。マリが登場した夜は、いつも盛大な拍手がおくられた。つまり、札幌の聴衆にとっては毎度毎度期待を裏切らない良い指揮者だったのである。

 私もどの回も、日々の憂うつから解放してもらうことができたのだった。やっぱりマリちゃんは私を裏切らなかったのだ。

 第172回は、1曲目のラヴェルの「マ・メール・ロア」がとってもチャーミングに演奏された(ような気がする。あるいは濃厚だったのだろうか?)。
 プロコフィエフの第3協奏曲も興奮もの。そして、「シェエラザード」で叩きのめされた。

 第198回は、私のとって初めての生「幻想」だったが、打楽器奏者の動きとその響きにすっかりメロメロ。
 受験勉強なんてやめて、大太鼓奏者の弟子入りをさせてもらいたいと思ったほどだ。
 札幌出身の工藤重典のテクニックも最高!演奏後のカーテンコールでマリが工藤を盛んに讃えていたのが印象的だった。

 第205回は最初の狂詩曲「スペイン」が、これまたチャーミングで楽しくて……
 で、この日の演目でいちばん印象に残っているのも、シャブリエである。
 
 私が知る限りでは、マリが札響を振ったのはこの3回。
 それが正しいとすると、なぜそのあと来なくなったのか気にかかるところ。

 まだご健在なのだろうか?いや、100歳超えてるってことになるからなぁ……

  岩城/札響 黄金時代の1枚
 リムスキー=コルサコフ(Nikolai Rimsky-Korsakov 1844-1908 ロシア)の交響組曲「シェエラザード(Scheherazade)」Op.35(1888)は、札響でも何度も聴いている作品。

 そのなかでも強烈に印象に残っている演奏は、この曲を初めて聴くことになった北電ファミリーコンサート(指揮は飯守泰次郎)だが(ここでも触れている)、現在、札響の「シェエラザード」では岩城宏之が指揮したCD(SACDハイブリッド=通常のCDプレーヤーでも再生できる)がリリースされている。

SSO263rd

RKorsakovScheSakkyo

 1985年10月に行なわれた第263回定期演奏会のライヴ。

 岩城にしては-という言い方はまっこと僭越だが-情感豊かにたっぷりとメロディーを歌わせていて、アンサンブルもピシッと決まっている、ドンチャン騒ぎに陥らない高レベルな演奏。

 なのに私には記憶がない。
 会場で聴いた音楽も、ステージの光景もすっぽり記憶から欠落している。

 どうしちゃったのかしら、ワタシ?
 んっ?だから勉強しても頭に入っていかないんだって?
 それって、核心を突きすぎです。

   このCDの詳しい情報 【タワレコ】
   リムスキー=コルサコフ: シェエラザード; 武満徹: スター・アイル<タワーレコード限定>

 なお、もともとレコーディングするために収録した音源ではないため、音響的にはちょっぴりハンデがある。
 だが、透明度の高い札響サウンドはきちんと耳にできる。

    

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