EliskaFarewell

  幸福、感謝、惜別が入り混じった会場の空気感
 2017年10月27日、28日両日に行なわれた札響第604回定期演奏会のライヴCD。
 多くの方がご存じのように、エリシュカの札響最後のステージである。

 プログラムは、スメタナの歌劇「売られた花嫁」序曲、ドヴォルザークの「チェコ組曲」。そしてリムスキー=コルサコフの交響組曲「シェエラザード」。

 「シェエラザード」はエリシュカが札響を初めて指揮した2006年12月の第494回定期でのメイン・プログラム。
 今回の札響での最終公演では当初のメイン・プログラムはベートーヴェンの交響曲第3番だったが、エリシュカの希望で「シェエラザード」に変更された。
 衝撃的な、そして運命的と言っていい両者の出会いとなった曲を、この輝かしい時代の締めくくりとして再びもってきたのだろう。

 3つの曲の演奏について、アンサンブルが、楽器のバランスが、テンポが、アクセントが、フレージングが 、ダイナミクスがetc,etc……といったところで、何の意味もなさない。空虚でばかばかしいだけだ。

 つきなみな言葉だが、最初から最後まで『ニンゲンみのある音楽』が織りなされる。
 厳寒の雪まつり会場で口にするホットミルクのように、ほっとする温かみがある。

 「売られた花嫁」序曲は、どこかぎこちない。エリシュカがシューベルトの5番でやったようなスピード感はない。でも、それはまるで1つ1つの音が進むのを惜しんでるようにも感じる。

 「チェコ組曲」はこのディスクで初めて聴いたが、切ない激情の曲。
 初めて聴く曲なのに、さすがエリシュカと思わされるのが自分でも不思議。

 「シェエラザード」は、この曲の絢爛さを強調したものではなく、また土臭くもない。むしろ都会的な味わい。
 それにしても、札響の各奏者の上手さが際立つ。
 エリシュカとの最後のステージだという、ハンパじゃない気合が伝わってくる(コンサートマスターはけっこう緊張しただろうな。もちろん、このソロもお見事!)。

 上で、“アンサンブルが~”と書いたが、札響の演奏は、そのどれもが完璧ともいえるレベルであることを、申し添えておく。というか、完全にエリシュカと札響は一体化している!

 このディスクにはもう1曲、ドヴォルザークの序曲「謝肉祭」も収められている(この音源は『札響50年誌』の付録CDにも収められていた)。
 2010年4月の第528回定期演奏会でのもので、私も聴きに行っている(A日程)。
 そのときの感想は“オケが乗り切れていない感じ”だったが、あらためて聴くと、けっしてそんなことはない。テンポがやや遅めなのが-「売られた花嫁」序曲に通じるものがある-そう感じさせたのか(中間部ではそれがかえって郷愁をそそる)、収録音源がB日程のものなのか(付録CDのものはB日程の日付が記されていたが、今回のは両日が記されている)、それともあの夜は私の方が乗り切れていなかったのか……

SSO528th

 最終公演に話を戻すと、『レコード芸術』2018年1月号の『読者投稿箱』に、神奈川県の加茂さんという方が、このコンサートについて寄稿している。
 演奏と会場の様子を見事に描いたとてもすばらしい文章だ。勝手に載せさせていただきごめんなさい。

RecoGei201801Dokusha

   このCDの詳しい情報 【タワレコ】
   ※10/9 11:00~10/12 23:59 ポイント10倍キャンペーン開催