SSo361_362  ええ、聴くだけなのに緊張してたんです
 1994年9月7日の第361回定期演奏会は、札響初となるマーラーの交響曲第2番「復活」。

 指揮はデヴィット・シャローンである。

 シャローンといえば、1987年6月の第282回で、これまた札響初となったマーラーの交響曲第5番を振り、北海道厚生年金会館を興奮のるつぼと化した危険な指揮者である。
 あのとき、最後の音が鳴りやむかどうかというときに、「もう、アタシがまんできない」とばかりの割れんばかりの拍手。まるで保管庫の打ち上げ花火に引火したような大騒ぎだった。それは、エリシュカ最後のコンサートの「シェエラザード」が終わったあとの拍手喝采に勝るとも劣らないものだった。

 それが今度は第2番である。
 期待しない方がおバカというものだろう。
 「復活」はアマチュアではあるが北海道交響楽団の演奏を生で聴いたことがある。だから、生だとどんな感じかはわかっているつもりだ。でも、愛する札響の演奏だ。悪いが、北海道響とは比較にならないだろう。

 当日、仕事のせいで会場の厚生年金会館に着いたのはぎりぎりだった。
 ホールに駆けこむと、もうオーケストラはステージ上でチューニングを始めている。
 はあはあ言いながら席に着き、すぐに指揮者が登場。演奏が始まった。
 しまった!トイレに行きそびれてしまった。まずい!かなりまずい!
 第1楽章と第2楽章の間に、作曲者の指示通り最低5分のインターバルがあるだろうか?そのときに抜け出して排出しなければ、私の席は感動の涙ではなく、粗相の尿で濡れてしまう。

 ってな、夢を前日みた。これ、本当の話である。
 それぐらい、聴き手の私にも根拠のないプレッシャーがかかっていたのである。

Mahler2E  熱狂するつもりが……
 当日はそのようなトラブルもなく、きちんとトイレに行き、演奏に臨んだ。

 マーラーの5番では熱狂させられたが、この日の2番では穏やかな感動に包まれた。
 とても良い演奏だった。
 マーラーの2番は、他の彼の作品同様、あるいはそれ以上に大きな音が鳴り渡る作品だが、実演に接し興奮するのとはまた違う面をもつ、深遠な音楽だということに気づかされた。
 それは、シャローンのはったりをきかせないアプローチのせいもあっただろう。
 札響の上手さを十分に堪能できる曲でもあった。

 忘れられない定期演奏会の1つである。

 マーラーの2番のCDとして、ここではエッシャンバッハ/フィラデルフィア管弦楽団他による演奏をご紹介しておく。

 2007年ライヴ録音。ONDINE。

   このCDの詳しい情報【タワレコ】
   ※ポイント10倍キャンペーンは本日12日 23:59まで
   Mahler: Symphony No.2 "Resurrection" (5/2007) / Christoph Eschenbach(cond), Philadelphia Orchestra & Singers, Simona Saturova(S), etc