4/12(木)に日本オラクルで「11歳の君へ」の上映と
出演者の前田 健成さんの講演も行われました。
以下、前田さんの講演の文字起こしです。
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アメリカには、3つの大きなゲイの街があります。3大ゲイタウンの1つ目はサンフランシスコ、2つ目はニューヨーク、3つ目はロサンゼルス(手話ではラスベガスとなっているがロサンゼルスが正しい)。
このようにゲイタウンが多いです。その中で、サンフランシスコへ、(ダスキン愛の輪の)研修を受けに行きました。
そこで、ろうLGBTとたくさん交流をしました。研修の目的は2つあって、1つは情報についてです。ろう者は情報弱者、情報が足りません。
ろうLGBTも同じです。どうやって情報を得ているのかを知ることが1つ目。2つ目は、ろうLGBTの社会への理解を広める方法を知ること。その2つの目的のため、アメリカへ行きました。研修の中では、多くのろうLGBTにたくさんの質問をしました。その結果、サンフランシスコとシリコンバレーを含むベイエリアと地域、そこはアメリカの中で最も理解が進んでいる街、LGBTに理解のある街で、そこでは、ろうLGBTであることで悩んだり辛かったりすることがないように感じました。快適な生活で、困難もなく、恋人も簡単に作ることができます。ただ、LGBTの部分では問題はないのですが、聞こえない部分では、困難がたくさんあることを知りました。ろう者の権利はまだ獲得されていません。LGBTの権利では、最高裁判所で同性婚が認められ、同性婚の権利を獲得しました。ろう者とのその差が歴然とあることを知りました。
日本に帰ってきて、僕は何をしたらいいだろうか、LGBTとして頑張るのか、ろう者として頑張るのか迷いましたが、LGBTの面では、社会的に活躍している人がたくさんいるからお任せすることにしました。
僕のやるべきことは何か、ろう、そしてろうLGBTの支援、その2つがが必要だと気づきました。そして、4つのことをやろうと考えました。
1つ目は、ロールモデルです。僕はろう者でゲイであることを、子どもや大人に示すことができます。
2つ目は可視化です。「僕はここにいるよ!」と。子どもたちが、「ろうLGBTはいない、探してもいない」という時に、僕がここにいると示すことができます。
3つ目は、家族の支援です。僕が窓口になって、悩みの多い子どもや親の相談にのることができます。
4つ目は、社会に啓発していくことです。この4つの成果を上げながら活動できるところは、学校、教育現場になります。
その時、良いタイミングで、ある学校からメールをいただきました。学校の先生をやらないかという内容でした。そして、学校に就職しました。
その学校は「明晴学園」という私立学校で、バイリンガル教育、日本語と日本手話を教えている日本で唯一の学校です。今、そこで働いています。
2年間、小学3年4年の担任を務め、今年の4月から非常勤講師に変わりました。小学部で算数と社会を教えています。
その中で「可視化」を示しました。
これが大切なのは、今ここにいらっしゃるモンキー高野さん、石神井ろう学校の先輩です。以前、僕がろうでゲイなのかと悩んでいた時、モンキーさんがトランスジェンダーでLGBTの仲間だということは知っていました。僕は大学の時に男性に恋をして、はっきりとゲイなんじゃないかと思って、それでも揺らいでいました。誰かに相談したいと思った時、モンキーさんがいると思い出し、会いたいとメールをしました。
モンキーさんに会った時、「僕はゲイ?」聞いたら、「うん!あなたはゲイ!」とはっきり言われて。
このように、学校時代にろうのゲイの先生がいたなあと子どもたちが覚えていて、大人になってから悩んだ時に僕のところに相談に来てくれるかもしれません。だから可視化は大切だと思っています。
学校に就職したばかりの時に、子どもに「今は同性婚できるよね」と言われました。ニュースを見たと。情報が早いなあと思いました。ニュースの効果はすごいです。子どもがそのようなことを言った時、一般的な学校の先生は「同性同士の結婚は無理」と言ったと思います。でも、僕のような立場の人がいれば「うん。今後できるよ。あなたはどっちがいいの?」という話ができます。僕がいる意味があると分かりました。
他の例では、体育の授業で、ストレッチをやってる時に、「あなたゲイだよね?」と聞かれて、びっくりしました。インターネットで知ったそうです。その時、「『こち亀』って漫画知ってる?その中にマリアというMtFのトランスジェンダー知ってる?」と聞かれました。「知ってるよ」と答えると「先生は結婚してないの?」と。「してないよ。日本では同性婚できないよ」と答えました。「アメリカに行けば同性婚できるよ」と子どもが言うのです。僕は、「アメリカに行くには、英語を勉強しなきゃ、無理だよ」と。すると、「英語の勉強を頑張ればいいじゃん」と言われました。体育の授業中にこんな会話をしました。
3月に卒業式がありましたよね。生徒が、家に帰って卒業式用の服を見て「スカート!嫌だ」と言ったという報告がありました。家庭の中のことまでは介入は無理です。ズボンにしなさいとは言えないので、しょうがないと静観しました。残念だなと思いながら。次の日卒業式、彼女がズボンを履いてきました。「見て!ズボンだよ!嬉しい!」と。服だけで、こんなに安心する気持ちになるぐらいの悩みがあるということなのだなと思いました。
また、4月の入学式、4月から全国的に中学生で制服を選べるようになりました。僕の学校で女の子が入場してくる時、詰襟の学生服で並んでいました。親も先生も、何の違和感もなく、みんなおめでとうという状況で、とても感動しました。
最後の例ですが、毎日毎日「**さんが好き」と報告してくる子どもがいます。「あの女の先生が好き!」と。僕は「わかったよ」と答えました。次の日、また報告があり、「わかったわかった」と。次の日も「好き」と。「はいはい」毎日毎日報告してくる子がいます。もし、何も知らない先生であれば、「女性が好きなんていけません。男性が好きなのが当たり前です。女性は男性と結婚するのが当たり前です」と言うと思います。でも、僕は僕の立場で聞くことができます。
僕がゲイであることは、ろう学校の先生、みんな知っています。理事長も校長も理事会の先生方もみんな知っています。知ってもらった上で、明晴学園で働いています。子どもの様子から、発見しながら、性の問題などを学び始めているところです。
今明晴学園で働いてる中では、LGBTの部分で葛藤はありません。みんな知っています。保護者も知っている人もいます。特にそのことで質問されることもありません。子どもは聞いてきます。「ゲイなの?」「うん、そうだよ」と答えます。自然な環境の中で、みんながLGBTが特別なことじゃなく、男らしく、女らしくと考えることなく生活する環境がある珍しいところです。
全国的に教育の現場を考えると、難しい課題がいっぱいあります。先生たちにカミングアウトすることが難しいとか、校長先生に理解がないとか、課題がいっぱいあると思います。明晴学園が職場の例として、皆さんのモデルとして示せれたらいいなと思います。
僕はダスキン愛の輪の経験者で、今村さんはダスキン愛の輪の先輩にあたります。僕も今村さんも研修に行きました。その縁で、このDVDの依頼がありました。教育現場で使える、大学でも使える、ろう関係、ろう学校、それだけじゃなく一般学校でも使える、いろんな場所でこのDVDを使って欲しいと思います。僕からの話は以上で終わります。
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出演者の前田 健成さんの講演も行われました。
以下、前田さんの講演の文字起こしです。
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アメリカには、3つの大きなゲイの街があります。3大ゲイタウンの1つ目はサンフランシスコ、2つ目はニューヨーク、3つ目はロサンゼルス(手話ではラスベガスとなっているがロサンゼルスが正しい)。
このようにゲイタウンが多いです。その中で、サンフランシスコへ、(ダスキン愛の輪の)研修を受けに行きました。
そこで、ろうLGBTとたくさん交流をしました。研修の目的は2つあって、1つは情報についてです。ろう者は情報弱者、情報が足りません。
ろうLGBTも同じです。どうやって情報を得ているのかを知ることが1つ目。2つ目は、ろうLGBTの社会への理解を広める方法を知ること。その2つの目的のため、アメリカへ行きました。研修の中では、多くのろうLGBTにたくさんの質問をしました。その結果、サンフランシスコとシリコンバレーを含むベイエリアと地域、そこはアメリカの中で最も理解が進んでいる街、LGBTに理解のある街で、そこでは、ろうLGBTであることで悩んだり辛かったりすることがないように感じました。快適な生活で、困難もなく、恋人も簡単に作ることができます。ただ、LGBTの部分では問題はないのですが、聞こえない部分では、困難がたくさんあることを知りました。ろう者の権利はまだ獲得されていません。LGBTの権利では、最高裁判所で同性婚が認められ、同性婚の権利を獲得しました。ろう者とのその差が歴然とあることを知りました。
日本に帰ってきて、僕は何をしたらいいだろうか、LGBTとして頑張るのか、ろう者として頑張るのか迷いましたが、LGBTの面では、社会的に活躍している人がたくさんいるからお任せすることにしました。
僕のやるべきことは何か、ろう、そしてろうLGBTの支援、その2つがが必要だと気づきました。そして、4つのことをやろうと考えました。
1つ目は、ロールモデルです。僕はろう者でゲイであることを、子どもや大人に示すことができます。
2つ目は可視化です。「僕はここにいるよ!」と。子どもたちが、「ろうLGBTはいない、探してもいない」という時に、僕がここにいると示すことができます。
3つ目は、家族の支援です。僕が窓口になって、悩みの多い子どもや親の相談にのることができます。
4つ目は、社会に啓発していくことです。この4つの成果を上げながら活動できるところは、学校、教育現場になります。
その時、良いタイミングで、ある学校からメールをいただきました。学校の先生をやらないかという内容でした。そして、学校に就職しました。
その学校は「明晴学園」という私立学校で、バイリンガル教育、日本語と日本手話を教えている日本で唯一の学校です。今、そこで働いています。
2年間、小学3年4年の担任を務め、今年の4月から非常勤講師に変わりました。小学部で算数と社会を教えています。
その中で「可視化」を示しました。
これが大切なのは、今ここにいらっしゃるモンキー高野さん、石神井ろう学校の先輩です。以前、僕がろうでゲイなのかと悩んでいた時、モンキーさんがトランスジェンダーでLGBTの仲間だということは知っていました。僕は大学の時に男性に恋をして、はっきりとゲイなんじゃないかと思って、それでも揺らいでいました。誰かに相談したいと思った時、モンキーさんがいると思い出し、会いたいとメールをしました。
モンキーさんに会った時、「僕はゲイ?」聞いたら、「うん!あなたはゲイ!」とはっきり言われて。
このように、学校時代にろうのゲイの先生がいたなあと子どもたちが覚えていて、大人になってから悩んだ時に僕のところに相談に来てくれるかもしれません。だから可視化は大切だと思っています。
学校に就職したばかりの時に、子どもに「今は同性婚できるよね」と言われました。ニュースを見たと。情報が早いなあと思いました。ニュースの効果はすごいです。子どもがそのようなことを言った時、一般的な学校の先生は「同性同士の結婚は無理」と言ったと思います。でも、僕のような立場の人がいれば「うん。今後できるよ。あなたはどっちがいいの?」という話ができます。僕がいる意味があると分かりました。
他の例では、体育の授業で、ストレッチをやってる時に、「あなたゲイだよね?」と聞かれて、びっくりしました。インターネットで知ったそうです。その時、「『こち亀』って漫画知ってる?その中にマリアというMtFのトランスジェンダー知ってる?」と聞かれました。「知ってるよ」と答えると「先生は結婚してないの?」と。「してないよ。日本では同性婚できないよ」と答えました。「アメリカに行けば同性婚できるよ」と子どもが言うのです。僕は、「アメリカに行くには、英語を勉強しなきゃ、無理だよ」と。すると、「英語の勉強を頑張ればいいじゃん」と言われました。体育の授業中にこんな会話をしました。
3月に卒業式がありましたよね。生徒が、家に帰って卒業式用の服を見て「スカート!嫌だ」と言ったという報告がありました。家庭の中のことまでは介入は無理です。ズボンにしなさいとは言えないので、しょうがないと静観しました。残念だなと思いながら。次の日卒業式、彼女がズボンを履いてきました。「見て!ズボンだよ!嬉しい!」と。服だけで、こんなに安心する気持ちになるぐらいの悩みがあるということなのだなと思いました。
また、4月の入学式、4月から全国的に中学生で制服を選べるようになりました。僕の学校で女の子が入場してくる時、詰襟の学生服で並んでいました。親も先生も、何の違和感もなく、みんなおめでとうという状況で、とても感動しました。
最後の例ですが、毎日毎日「**さんが好き」と報告してくる子どもがいます。「あの女の先生が好き!」と。僕は「わかったよ」と答えました。次の日、また報告があり、「わかったわかった」と。次の日も「好き」と。「はいはい」毎日毎日報告してくる子がいます。もし、何も知らない先生であれば、「女性が好きなんていけません。男性が好きなのが当たり前です。女性は男性と結婚するのが当たり前です」と言うと思います。でも、僕は僕の立場で聞くことができます。
僕がゲイであることは、ろう学校の先生、みんな知っています。理事長も校長も理事会の先生方もみんな知っています。知ってもらった上で、明晴学園で働いています。子どもの様子から、発見しながら、性の問題などを学び始めているところです。
今明晴学園で働いてる中では、LGBTの部分で葛藤はありません。みんな知っています。保護者も知っている人もいます。特にそのことで質問されることもありません。子どもは聞いてきます。「ゲイなの?」「うん、そうだよ」と答えます。自然な環境の中で、みんながLGBTが特別なことじゃなく、男らしく、女らしくと考えることなく生活する環境がある珍しいところです。
全国的に教育の現場を考えると、難しい課題がいっぱいあります。先生たちにカミングアウトすることが難しいとか、校長先生に理解がないとか、課題がいっぱいあると思います。明晴学園が職場の例として、皆さんのモデルとして示せれたらいいなと思います。
僕はダスキン愛の輪の経験者で、今村さんはダスキン愛の輪の先輩にあたります。僕も今村さんも研修に行きました。その縁で、このDVDの依頼がありました。教育現場で使える、大学でも使える、ろう関係、ろう学校、それだけじゃなく一般学校でも使える、いろんな場所でこのDVDを使って欲しいと思います。僕からの話は以上で終わります。
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DVD『11歳の君へ 〜いろんなカタチの好き〜』
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