個別労働関係紛争のあっせん件数が対前年度比で28.3%増加 2009年7月2日のブログ記事「平成20年度後半以降激増する解雇や労働条件引下げの労働相談」では、東京労働局が公表した「平成20年度における個別労働紛争解決制度の施行状況」の集計結果について取り上げましたが、これに関連する情報として先日、中央労働委員会より、平成20年度の「労働委員会で行う個別労働関係紛争のあっせん件数について」の集計結果が発表されました。

 これによれば、平成20年度の都道府県労働委員会で行う個別労働関係紛争のあっせん新規係属件数は481件(前年度375件)と、前年度比で28.3%の大幅増となっています(グラフはクリックして拡大)。昨年度途中より急速な経済環境の悪化で雇用問題が深刻化したことが直接的な原因ではありますが、そもそも労働委員会は労働組合法、労働関係調整法などの関係法令に基づき労働争議の調整や不当労働行為の審査を行う組織であることを考えると労働組合が関係した個別労働紛争が増加していると見ることもできるでしょう。

 なお、紛争内容の上位を見ると、解雇が212件、賃金未払いが93件、職場の人間関係(嫌がらせ)が43件、解雇手当が42件となっていますが、いずれにしても労働トラブルが増加している状況を理解した上で、適切な人事労務管理を行うことが望まれます。


関連blog記事
2009年7月2日「平成20年度後半以降激増する解雇や労働条件引下げの労働相談」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51580875.html
2009年6月21日「増加の一途を辿る個別労働紛争解決制度の利用」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51570847.html
2009年3月5日「前年比16.8%の大幅増となった労働基準監督署への解雇申告件数」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51512926.html

参考リンク
中労委「労働委員会で行う個別労働関係紛争のあっせん件数について(平成20年度)」
http://www.mhlw.go.jp/churoi/houdou/other/h090713-1.html
厚生労働省「中央労働委員会:都道府県労働委員会所在地一覧」
http://www.mhlw.go.jp/churoi/chihou/pref.html

(大津章敬)

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