日本橋の首都高地下化計画について

 もし、富士山が何らかの原因で汚れるか崩れるかして、見る影もない姿になってしまったとしよう。これではあまりに無残だし、観光資源としても価値がないから、日本国として税金を投入して元の姿に戻すことにした。では、あなたはその費用として、いくらまでなら出してもよいと思えるだろうか。

 筆者なら、5億円だといわれたら、それくらいで元に戻るならいいかと思える。もし50億円なら、まあ日本の象徴でもあるし、この程度の支出はやむを得ないかという人も多いと思う。では5000億円といわれたらどうだろう。いや、いくら天下の富士山でもそれはちょっと額が大きすぎる、もう少し安上がりな方法を考えてよ、という人が多いのではないか。

 なんでこんなことを書いているかといえば、日本橋の首都高の件である。日本橋は、家康の時代以来日本のあらゆる道路の原点であり、始まりの地であった。しかし50年ほど前、首都高速道路が建設されることになり、この地の風景は一変した。この近辺では日本橋川の川底に橋桁を立てて高架の道路が作られ、日本橋をまたぐ形となってしまったのだ。
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川をまたぐ形で日本橋がかかり、その上にクロスして首都高の高架がある。

 これが見苦しいという指摘は、ずいぶん以前からあった。というわけで日本橋の首都高(正確には、竹橋JCT~江戸橋JCT間の2.9km)を、地下トンネルとして埋めてしまえという話が進行中なのである。このための経費が約5000億円と試算されているのだ。

 日本橋の首都高地下化の話は何度も繰り返されていて、2001年には扇千景国土交通大臣が、2005年には小泉首相が地下化検討の指示を出しているが、その後進展はなかった。ところが、これが2016年頭あたりからまた復活し、国土交通省にて「具体的に検討」する流れになったらしい。

 筆者は道路趣味者の一人であるけれど、この件に関しては全く反対である。日本橋の歴史的・文化的価値はよくわかっているつもりだし、国道の原点たる地点なのだからできる限り美しくあってほしいと願うものの、さすがに5000億は出せないだろうと思う。それだけの巨額を突っ込んで首都高をひっぺがしても、現れるのは狭い川と古い橋でしかないというのに。

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首都高の橋桁の下を流れる日本橋川

 しかしこの話、あまりマスコミで大きく取り上げられるでもなく、粛々と進んでしまいそうな雰囲気である。金額からいえば、大問題となった新国立競技場や豊洲市場に匹敵する規模であるのに、である。豊洲問題に一応のけりをつけた小池都知事が、今度はこちらに噛み付いてきたりはしないかと多少期待したのだが、ニュースによれば

 東京都の小池百合子都知事は21日の定例会見で、「歴史とか文化とかを無視した形で、利便性のみを追求してきた。今までのインフラの悪しきモデル――とまで言ってはあれですが、私としては『イケてない』モデル」と述べ、「100年後にも誇れる東京の姿を未来に残していきたい」と意気込みを語った。

だそうで、あーあである。豊洲では地下深くの微量のベンゼンであれだけ大騒ぎしたのに、日本橋に関しては都知事のAIとやらは働かなかったらしい。

 (1)首都高の景観
 日本橋の首都高が「イケてる」姿かどうかは、いろいろな意見があろうかと思うし、すでにあちこちで論じられているので、筆者としてはあまり踏み込まない。非常に美しいとは思わないが、あれはあれで東京らしい風景であり、都市のエネルギーを感じさせる姿だとは思う。参考までに、いくつかリンクを張っておく。

 日本橋川に空を取り戻す会
 首都高を「醜い景観」と呼ぶ残念な人たち(北大・岡本亮輔准教授)
 空、本当に取り戻すべき? 日本橋と首都高、日本らしいのは(首都高研究家・清水草一氏)
 日本橋について思うこと(写真家・大山顕氏他)
 東京・日本橋 首都高の地下化構想 景観論議、深める好機(毎日新聞)

 ただ、みなさんそんなに日本橋に思い入れがあるんですか、とは思う。富士山などと違って、遠くの住人には関わりのない話だし、東京都民だって「ない方がスッキリするんじゃない?」程度で、どうしても首都高をどけろという人が、地元民以外にそんなにいるとは思えない。首都高撤去を求める署名が44万人分集まったというが、署名をした人たちは5000億円かかると知った上だったのだろうか。

 ちなみに舛添前知事は、
というご意見だそうだけれど、もし日本橋を広重の浮世絵みたいにしたいのであれば、首都高よりはるかに高くそびえ立っている、周辺のビル群を全部破壊するほうが先だろう。明治44年にできた現在の日本橋も、江戸時代風の木造に戻さねばなるまい。

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初代歌川広重「江戸名所日本橋」(国立国会図書館ウェブサイトより)

 そもそも、なぜ日本橋の首都高ばかり目の敵にするのか、筆者には疑問である。日本橋よりはるかに多くの観光客が集まる渋谷や秋葉原や六本木、さらにはずっと歴史のある京都や大阪にも高速道路は通っているが、これらを地下に埋めろという話はあまり聞いたことがない。世界遺産である、五箇山の合掌造集落付近には東海北陸道の橋桁が威圧的に張り出していて、風情ぶち壊しであると筆者の目には見えたが、こちらはどうでもよいのか。

 日本橋付近は「コレド日本橋」を始めとした新しいビルが建ち、盛んに再開発が進められている。首都高の地下化の話も、これとリンクした事柄のようだ。「日本橋の大家さん」ともいわれる不動産会社の株価がずいぶん動くんではという話もあるようで、首都高地下化もその筋の意図が働いた結果なのだろう。だからダメ、とは別に言わないが、ドライバーや納税者、一般市民のためになる話なのだろうか。

 (2)地下化費用
 ただ、首都高自体は建設から半世紀を経て、改修が必要なのは事実だ。この区間を普通に改修するなら、約1400億円かかると試算されているから、5000億円かけて地下化する場合との差額は、約3600億円ということになる。だが、ほんとにそれで済むのだろうか。

 首都高研究家の清水草一氏は、「現在は資材や人件費が高騰しているため、これ(5000億円)を大きく超えることは確実」と指摘している。元東京都知事で、道路公団民営化の指揮を取った猪瀬直樹氏も、
という見解のようだ。当該区間には半蔵門線、銀座線など4本の地下鉄が通っており、これを避けて通らねばならない。後述のように、かなりの高低差をクリアする必要もあるから、「針の穴を通すような」難工事になるという(参考)。となれば、想定外の事態が起きて費用が高騰する可能性も高いだろう。

 ボストン市内を横断する高速道路を地下化した「ビッグディグ・プロジェクト」では、当初25億ドル程度と見られていた費用が、最終的に6倍近い146億ドルに膨れ上がって大きな批判を浴びた。ちなみに東京オリンピックの費用も、立候補時には約3500億円といっていたものが、2兆円だの3兆円だのという話になっている。このへんを見ていると、日本橋地下化が5000億で収まる可能性は相当に低いだろうなと思える。

 今のところ地下化費用は、国や都、首都高速株式会社に加え、利益を受ける周辺の企業などにも応分の負担を求める方向だという。その配分はこれからの話し合いだろうが、予想より費用が膨らんだら、結局のところ税金で補填する他なくなるのではないか。納税者の一人としては、冗談じゃねえなあと思わざるをえない。

 (3)ドライバーの立場から
 で、この件で疑問なのは、景観の話、経済の話はずいぶんなされているけれど、実際に走る立場からの話がほとんど出てきていないように思える点だ。道路は鑑賞してもらってもよいし、経済を支えるものでもあるけれど、やはり第一に走るものであり、ドライバーのものだろう。

 首都高を走る一人として、たとえば5000億円投じるにしても、今より格段に安全で走りやすい道路になるというのなら、ある程度納得もできる。だが、長いトンネルは心理的圧迫感が強く、苦手だという人は多い。筆者も、山手トンネル内の合流などは、かなり怖いと感じる方だ。

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首都高・山手トンネル(Wikipediaより)

 地上20メートルの高架から、一気に地下深くまで潜り、また地上に出るとなると、かなりの急勾配にならざるを得ない。ご存知の通り、上り坂は速度が落ちやすく、渋滞の原因となる。トンネルの心理的圧迫感もあるから、より渋滞は起きやすくなると思える。大きな事故が起きた場合の処理なども、トンネルでは面倒になるだろう。

 まして今回の区間は首都高でも屈指の交通量(約13万台/日)がある区間であり、その先には渋滞の名所・箱崎JCTが待っている。5000億円をわざわざ投じて、渋滞ポイントを新たに作りましたというのでは、ドライバーとしては目も当てられない。

 ドライバー視点の議論がなされていないというのは、景観の話も同じだ。首都高を走りながら見下ろす東京の街の眺めは、なかなか他で見られるものではない。他国にも都市高速道路というのは例がほとんどないから、大都市のビル群を縫うように駆け抜けながら眺める夜景などは、東京が世界にアピールしうる観光資源だと思う。

 この日本橋付近の区間も、ビル街の中を道路が駆け抜け、これぞ東京というべき風景だ。首都高を地下化するということは、ドライバーや同乗者から、この景観の一切を奪うということに他ならない。首都高の景観について論ずるなら、「首都高を観る」視点だけではなく、「首都高から観る」視点もぜひ考慮してほしいものと思う。

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wikipediaより、首都高1号線

 では地下化案にはメリットはないのか?ドライバーにとっての地下化案のメリットは、清水氏が前出の記事で指摘している通り、工事期間中の渋滞が少なく済むことだろう。地下化案なら、現状の首都高をそのまま生かしながら、地下で工事が進められる。これは小さくないメリットとは思うが、5000億円以上の費用に見合うとは、筆者には思えない。

 また一般的には、高架よりも地下を通したほうが震災には強くなる。ただしそれならば、この区間だけを地下化してもさほどの意味はなく、首都高全体を埋めてしまわねばならない。これには百兆円単位の金がかかるだろうし、長期的な都市計画のもと考えるべき話だろう。

 (4)首都高撤去論について
 では結局どうすべきか。これに関して、最近ある記事が注目を受けた。地元日本橋で老舗和菓子店を営む、細田安兵衛氏のインタビューだ。90年にわたって日本橋を見守ってきた氏の論考は切れ味鋭く、一読に値する。そして細田氏の意見は、地下化でも修繕して現状維持でもなく、日本橋の首都高を「撤去せよ」というものだ。

 日本橋を愛する細田氏が、このような意見を唱えるのはよく理解できるし、一本筋が通った見解には大いに敬服した。そして撤去して済むなら、安上がりでもあるし跡地のスペースも活用できるし、一番いいに決まっている。ただ筆者としては、首都高撤去案にはとても賛成し難い。都心環状線の重要部分をぶった切ってしまうのは、影響が大きすぎると思える。

 氏は、日本橋で乗り降りしている車はほとんどなく、全部通過交通だということを撤去論の根拠に挙げている。だが、たとえば山手線の駒込駅や田端駅の乗降客数が少ないからといって、この区間の線路を撤去せよという人はいないだろう。上野から池袋に行く人も、日暮里から新宿に行く人もたくさんいるのだから。

 また、日本橋の首都高は昔はずいぶん渋滞していたが、今はすうすう通っているともおっしゃっているが、そうもいえない。渋滞情報など見ていると、この区間は朝から夕方までだいたいオレンジ(混雑)か赤色(渋滞)になっている。中央環状線開通前よりはずいぶんましになっているだろうが、竹橋JCT~江戸橋JCT間の交通量が、今も首都高屈指であることは変わっていない。

 中央環状線・外環・圏央道が開通し、そちらの料金を下げれば日本橋を通る車はいなくなるとも述べておられるが、中央環状線とて容量があり余っているわけではなく、現状でも渋滞だらけだ。外環の大泉から先(関越~東名間)はいまだ着工の見込みさえ立っていないし、圏央道での迂回は多くの場合遠回りになりすぎる。

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 都内の鉄道が一ヶ所止まっただけで、しわ寄せがあちこちに及んで大混乱になるのは、首都圏在住の方ならよくご存知の通りだ。日本橋の首都高を撤去し、一日13万台の車が他に回るとなれば、これと同じことが起こる。これら多数の車を遠回りさせ、渋滞を我慢させてまで、日本橋の空は取り戻されるべきものなのだろうか。

 日本は車社会ではなくなるとも言っておられるが、それは東京だけの話だ。地方の住民に車は必須だし、物流の大半もトラックが担っている。この現状が、あと数年で大幅に変わることはないだろう。20年、30年先には首都高の撤去も検討課題になるだろうが、さすがに今はまだその時期ではないと思える。

 (5)結論
 ということで、筆者としてはこの区間の首都高は、普通に改修して費用を最小限にとどめるべきだと考える。前述した通り、筆者も道路好きの一人であるから、日本の道路の原点たる日本橋にはできるだけ美しい姿でいてほしいとは思うが、やはり物事には優先順位というものがある。

 これから首都高は老朽化であちこち修繕しなければならないだろうし、全国には整備が進まぬまま「酷道」のまま放置され、住民が難儀している道がいくらでもある。それを放り出して、日本橋だけに金をかけるべきとは、筆者には思えないのである。

 東京都にしたところで、都知事は満員電車ゼロとか待機児童ゼロとかブラック企業いろいろな政策を掲げていたと思ったが、解決に向けて進展しているとは聞かない。1000億円もあれば、ゼロとはいわぬまでもずいぶんいろいろなことができることだろう。貧困に苦しむ人も、十分な教育を受けられない人もたくさんいる。みんなで日本橋川から空を眺めることは、これらの問題よりも優先されるべき課題なのだろうか。

 筆者は本業がサイエンスライターだから言っておくと、ここ数年日本の科学技術の失速が世界中から指摘されている(一例)。若手研究者の地位は不安定だし、トップどころも雑事に追われて研究に手が回らない。このことは諸外国に対し、日本は投資先、留学先、提携先として不適格な国という印象を強く与えてしまっている。

 いま、日本中の大学や研究機関全てに対する助成金(科研費)の総額は、2284億円だ(平成29年度)。別に5000億とは言わない。50億円もここに回して分配してくれれば、素晴らしい研究を成し遂げてくれる若手がいくらでもいることは保証できる。多くのドライバーが望んでも頼んでもいないトンネルを掘るよりは、ずっとよい金の使い方だと筆者は信じる。


 長々と書いてきてしまったが、しょせんは一介の道路好きによる、素人の私見でしかないのも事実だ。プロの目で見た時、費用はどのくらいになる可能性があるのか、渋滞はどうなるのか、メリットはどの程度あるのか、きちんと根拠を示してシミュレートし、示してほしい。いつの間にか、なんとなくことが進み、気がつけば膨大な額が投じられているという事態はもう見飽きた。

 「品格ある国づくり」「美しく文化的な都市空間」といったポエムや、経済効果だの満足度だのといったガバガバな数値なんぞは別に見たくもない。5000億から1兆という今の日本にとって貴重な資金を、いかに使うのが最も適切なのか、結論ありきではなくゼロベースで議論し、納得の行く結果を出してほしいと願う。

自転車一方通行標識を見に行く

 さてこの間書いた通り、ぼちぼちと道路標識全種コンプリートを目指してみております。といっても、最近はあまり出歩けていないので、ペースはまるきり上がっていませんが。

 で、ネットでいろいろと情報を集めてみると、やはり道路標識は種類ごとに設置数に大きな差があることがわかります。たとえば、「自転車及び歩行者専用」(325の3)を除けば、自転車関連の標識は基本的にレアものが多いようです。たとえば一番基本的な「自転車専用」(325の2)でも、こちらのサイトでは5段階中☆3の評価です。まあ実際、河原の自転車道などでも歩行者が通れるところが多いですから、「自転車専用」の道はそうありません。

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「自転車及び歩行者専用」(325の3)と「自転車専用」(325の2)

 さらなるレア物標識としては、「自転車一方通行」があります。そんなもん聞いたことないぞという方が多いと思います。筆者もそうでした。これは2011年ごろから導入された標識らしいですが、いまだ設置例はごくわずかのようです。

 そのレア標識が、神奈川県相模原市と川崎市にあるということで、ちょいと行ってきました。相模原市の標識は、中央区中央1丁目から5丁目という、まさに街のど真ん中感溢れる場所に設置されたとのこと。駅を降りてしばらく南下し、国道16号を越えたあたりになります。
 
 その16号沿いの歩道には、先ほどややレアだと言ったばかりの「自転車専用」標識が怒涛の如く立ち並んでいます。自転車の街を全力でアピールしているかのようで、早くも期待感が高まります。

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 (※これはズームで撮ったので、圧縮効果によってやたらに並んでるように見えるだけで、実際にはこんなにアホな密度で標識が立ってるわけではありません)

 と、胸の高鳴りを抑えつつ現場に到着。桜並木をバックに、それは静かに佇んでいました。「自転車一方通行」(326の2-A)であります。普通の一方通行標識は青地に白矢印のシンプルなものですが、その矢印が短くなり、後ろに自転車のイラストが入っています。

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オオゥ!

 ようやく出会えたレア物件、ありがたく拝むべきでありましょうが、変な人と思われそうなのでやめておきました。4月にやってきたのも、桜を撮っているような顔で撮影すれば、変な人と思われなくて済むかと思ったからであったり。我ながら芸が細かいというか、気が小さいというかです。

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歩道の様子。

 道幅は十分あり、自転車もかなり多く走っています。この区間に、上下合わせて十数枚の標識が設置されていて、道路の反対側には走行方向に合わせて鏡像の標識が立てられています。きっちり仕事してますね。ちなみにこの標識の設置は2012年5月のことだそうで、静岡市葵区につづいて全国2例目であったとのこと。


 さてもう一ヶ所の川崎市の自転車一方通行はどうか。こちらは川崎駅付近、県道9号及び川崎市道に立てられています。設置は2012年11月とのこと。「自転車専用道路」との併設で、ご覧のとおり縦型の標識(326の2-B)です。相模原は全て横型、川崎は全て縦型とくっきり分かれました。

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自転車一方通行(326の2-A)

 下の写真でわかる通り、こちらは車道を削って自転車レーンが作られたようです。間違っても車が入ってこないようしっかりガードされている他、路面を青くペイントし、わかりやすくするなど工夫が凝らされています。

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 ここは、JRの高架をくぐる形の道で、急な下り坂の上にカーブがきつく、スピードが出過ぎて自転車同士の衝突死亡事故も起きていたとのことです。車道を削ってまで対策が打たれたのは、こういう背景があってのことでしょう。

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ガード下をくぐる自転車レーン。

 一方通行の出口には、進入禁止の標識及び蛍光色のプレート、「逆走禁止」の看板を林立させ、逆走防止に必死になっている感じです。

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 ただ、これだけやってさえ、やはり逆走している自転車もいました。反対側の店に入るためには大きく回り道をしなければならないので、正直言って面倒だということでしょう。ここで自転車交通の法規についてあれこれ論じる気はありませんが、定着のためには課題が多そうです。 

 というわけで制定から5年を経過した今も自転車一方通行レーンの普及は進んでおらず、今のところ標識の設置例は静岡・相模原・川崎の3ヶ所のみであるようです(他にもご存知でしたらご教示を)。 大きな状況の変化がない限り、「自転車一方通行」はまだしばらくは激レア標識の地位を保ちそうです。

平成27年度末に移管される国道(2)

ということで、平成27年度末をもって県管理へ移管される国道のまとめ、前回の続きです。

 ・国道41号高山国府バイパス現道


 川の東側を走る国道41号現道が降格し、高山国府トンネルを通るバイパスに一本化される模様。降格された道が何号になるかは見つけられませんでしたが、一部は県道89号に吸収でしょうか。 

  ・国道1号浜名バイパス現道


 太平洋ぎりぎりを走る浜名バイパスに国道1号が一本化され、東海道線と並走している現道が移管されます。静岡新聞の記事によれば、”浜松市西区の篠原インターチェンジ(IC)交差点から湖西市新居町の栄町交差点までの9・7キロは、浜松市と県が管理する国道301号に移管する。栄町交差点から大倉戸IC入口交差点(湖西市新居町)までの3・5キロは一般県道417号新居浜名線になる”とのこと。今まで表示はありませんでしたが、もともと篠原IC~栄町間は国道1号と301号の重複区間だったので、1号の指定解除で301号が浮かび上がってくる形です。

 ・国道42号紀宝バイパス現道


  三重~和歌山県境付近の国道42号は、トンネル経由の紀宝バイパス完成につき、現道が移管されるとのこと。見た感じ、県道35号に組み込まれることになりそうな塩梅です。

  ・国道8号塩津バイパス現道


 国道8号は、琵琶湖北端をかすめるところでやや狭くなり、異常気象時に通行規制がかかっていました。ここに塩津バイパスが開通し、8号は少しだけ琵琶湖の上を走る形になります。この現道も、平成27年度末で移管です。以前移管された、付近の旧国道8号は滋賀県道336号に変わっていますので、この区間も県道336号に組み込まれることでしょう。

 ・ 国道9号出雲バイパス現道


 ここは出雲市役所沿いの国道9号が県に移管され、北側のバイパスに一本化されます。ここは国道184号の起点が接しているところなので、渡橋中央交差点以東が国道184号へ、西側が県道28号か162号へ変更、といったところでしょうか。

  ・ 国道2号岡山バイパス現道


 岡山市内の旧国道2号は、以前から国道250号・県道21号その他に変更されていますが、なぜか新京橋西交差点~大供交差点の間だけ、国道2号として残されていました。事情はよくわかりませんが、共同溝の管理の都合か何かかもしれません。

 しかしこの区間も、平成27年度末をもって移管される模様です。大雲寺交差点を境に、国道250号と県道21号に組み込まれる形になるのでしょうか。もっともこの国道2号別線には、確か国道の表記は何もなかったと思いましたので、見た目上は何も変わりがないかもしれません。

  ・ 国道2号三原バイパス現道


 国道2号はもう一箇所、三原市役所沿いの現道が移管されます。こちらのブログによれば、国道185号・広島県道75号・広島県道344号に分割される模様。事前にこうして準備しておくのですね。というわけで、国道185号も終点が動くことになりそうです。

  ・ 国道54号可部バイパス現道


 広島市北部の国道54号も、東側の現道が移管。ここは南半分が国道191号、北半分が県道5号でしょうか?もしそうなると、島根・広島県道5号は、全国3位(たぶん)の長距離県道へ浮上するかと思います。

 (※追記)この区間、国道183号に変更になったとの情報をいただきました。

 ・国道57号犬飼バイパス現道


 ここは犬飼バイパス・犬飼千歳道路他と並走する、現道部分約25kmがまとめて県道へ降格します。番号はどうなるのかと調べていたら、大分合同新聞の記事に行き当たりました。「番号はそのまま 国道57号が県道に 地元の“愛着”に配慮」だそうで、この部分の国道57号はまとめて大分県道57号になるようです。

 たとえば東京都や神奈川県では、国道1号との混同を避けるため、都県道1号は欠番としています。他の県でもこうした配慮をしているケースが多いのですが、ここではあえて同じ番号をつけるということです。珍しいケースですが、混乱はないのでしょうか。大分県の2桁県道は1~56号までで、57号以降がちょうど欠番になっていたという偶然もあったようです。

 ・国道329号石川バイパス現道


 沖縄県の金武湾に面した国道329号も移管されます。さてここはどうなるのでしょうか。しっくりくる県道がないので、新しい県道番号が新設されるかもしれません。

 というわけで、降格区間が何号になるか予想したりというのも道ヲタの楽しみなわけです。3月31日から4月1日にかけては、移管される区間で工事やら標識つけかえがあるかもしれませんので、見に行ってみるのも一興ではないかと思います。

平成27年度末に移管される国道(1)

 さて年度末ということで、いろいろみなさま慌ただしいことと思います。国道業界では、この4月1日から全国で、いくつか主要国道の移管が行われる模様です。なんでも地方分権の流れに沿って、国土交通省管轄の国道を、県または政令指定都市の管理に移すのだそうで、当然番号の付け替えなど行なわれる予定です。

 対象になるのは、並行するバイパスが開通している国道の、現道区間であるようです。リストがこちらにありますので、そのうち平成27年度末に移管される主要な国道区間をまとめてみることとします。

  ・国道4号渋民バイパス現道(岩手県盛岡市)




 この左側の道路が、岩手県の管理に移るとのこと。県道何号になるとかの情報は見つけられませんでしたが、見た感じでは県道169号が延長される感じかもしれません。

 ・国道4号仙台バイパス現道(宮城県仙台市)


 地図左方の国道286号交点から勾当台公園前まで、仙台市の目抜き通りともいうべき東二番丁通りが、国道4号から286号へと変更になります。国道4号は、この東側を通る4号仙台バイパスに一本化されることになります。

 ・国道48号仙台西道路現道


 仙台市ではもう一本、国道48号も移管される模様です。勾当台公園から愛子付近までの現道(北側のうねった道)が降格され、仙台西道路(南側の国道48号)に一本化されます。この仙台西道路はなぜか中途半端な場所から始まっていますが、他の道を組み込んで、仙台市道路元標のある勾当台公園前につなぐようです。くわしくは新聞記事を。現道が県道に変わるか市道に変わるかはわかりませんが、地図で見た感じでは県道55号を延伸するのがしっくりきそうです。

 ・国道4号郡山バイパス現道
 郡山市も4号が2本並走していましたが、西側のバイパスに統一されます。東側の現道は、国道288号・福島県道296号・57号・17号に分割されることになるようです(福島県土木部資料、PDF)。


 一本で都合よく収まる道があればよいですが、あまりうまく当てはまるものがないため、付近の県道などに分割統治ということになったようです。なかなか難しいもんです。

 ・国道52号甲西バイパス現道


 これはかなり大規模な変更で、韮崎市から富士川町に至る約19kmの国道52号現道が降格し、西側のバイパス(中部横断道に並走する道)に一本化されます。こちらによれば、この現道区間は全て山梨県道42号へと変更になるようです。今まで山梨では、2桁県道は41号までしかなかったので、新規県道の指定ということでしょう。

 まだいくつかありますが、ここからは次回に。

国道イベント開催のお知らせ

 さとうです。みなさまどうもこんにちは。

さて来る3月11日(金)、書籍「国道者」発売記念イベントを行なうこととなりました。発売してから3ヶ月以上たって記念イベントをやるんかという声もあるでしょうが、まあそこは気にしない方向でお願いします。

 筆者一人でもぞもぞしゃべってもつまらんかなということで、今回は強力なゲストをお招きすることとなりました。 国道の歴史研究の第一人者・松波成行氏です(ウェブサイトこちら)。深い造詣と高いトーク能力を兼備した松波さんをお迎えすることで、筆者は大船に乗ったつもりになっております。

 場所は新宿区神楽坂の「la kagu」で、たいそうオサレな場所とのことです。そんな場所で国道の話などしてよいものかと思いますが、まあやってくれということなので全力でぶちかますことと致します。時間は19時より20時半までですので、大人の春の夜を満喫していただければ。

 チケットは2000円です。聞きに行ってやってもいいぜという奇特な方は、ぜひこちらより申し込みいただければと思います。また何か決まりましたら、こちらのブログあるいはツイッターなどで告知してまいります。
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さとう

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誰もが見慣れた道には、気づかぬ不思議がある?国道をめぐる謎解きの旅。



筆者初の国道本。道路趣味の魅力を説く、国道マニアの入門書。



国道研究の第一人者・松波成行氏の労作。ファン必携。



酷い国道・「酷道」走行の集大成。


「山さ行がねか」の平沼氏の新著。道路の基礎からマニアまで。
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