2016年ということで八王子を訪ねる

 2016年ということで、読者のみなさま今年もよろしくお願いいたします。ついでに新著「国道者」もどうぞよろしくお願いいたします。

 さて年が明けると一部の数学系の人々の間では、その年にちなんだ数字遊びが始まる。たとえば今年なら(1×2-3+4-5+6)×7×8×9 = 2016とか、1+2+3+……+62+63=2016とか。このへんにまとまっているが、いろいろなことを考える人がいるものだと感心する。

 国道趣味者としても、やはり2016年にちなんだネタを探すべきであろう、と不必要な義務感に駆られた筆者は、さっそく地図をひっくり返してみることとした。もちろん国道2016号などというものはないのだが、国道20号と16号の交点なら存在する。場所は東京都八王子市だ(ちなみに201号と6号は残念ながら九州と関東・東北なので、かすりもしない)。

 その20号と16号の交差点だが、3つある。16号はこのあたりで現道と八王子バイパスが2本並走しており、現道は20号とクランク状に重複しているため、交差点でいうと3つということになるのだ。

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 ちなみにこの「現道」というのは、既存の国道とバイパスが両方とも現役である場合、古い方の道を指す言葉だ。一般にはあまり使われない言葉だが、16号八王子バイパス入口付近で、案内看板内に「現道」の文字が確認できる(ここ)。筆者の記憶する限り、「現道」という単語が道路案内に使われているのは、この場所以外に見たことがない。果たしてここを通るドライバーには、この意味が通じているのだろうか。

 よく使われる「旧道」という言葉は、バイパスができて既存の道が国道指定を外された場合に使う。 バイパスが有料道路である場合、無料開放された日をもって既存の道が降格するケースが多い。16号八王子バイパスは2015年10月に無料開放されたが、今のところこの現道は降格せず、国道のまま健在であるようだ。

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20号と16号の重複区間。青看内だんごはあるものの、正規おにぎりは20号の標識が立てられているのみ。

 さてこの20号と16号の3つの交差点のうち、真ん中に位置する八日町交差点には、道路ファンにとってちょっと嬉しいアイテムが設置されている。「八王子市道路元標」がそれである。道路元標とは、大正時代の道路法にのっとって設けられたもので、詳しくはこちらの記事でもご覧頂きたい。すでにこの道路法は効力を失っているが、八王子では2002年に改めてこれを設置したらしい。

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交差点付近に設けられた「八王子市道路元標」。

 ただこの元標、タイルとして歩道に直接貼られているので、設置から15年もたたないのに、ご覧のようにずいぶん傷んでしまっている。日本橋の元標レプリカのように、踏まれないような展示の仕方をすればよかったのにと思ってしまう。

 とはいえ、こうして元標を復活させるのは、街と道路の関わりを考えさせるという意味で面白い試みと思う。もし自分の街に、いま元標を置くとしたらどこだろうか――などと考えてみると、なかなか面白いのではと思う2016年の初頭なのであった。

新著「国道者」発売中

 ふだんこちらのブログで使っている「である」調では書きづらいので、この項目のみ「ですます」調で書くと致します。このたび、筆者の通算10冊目の単著で、2冊めの国道本となる「国道者」が発売となりました。表紙は下のように、グレー地のシンプルなデザインです。


 この本、「新潮45」誌上の連載に、加筆修正の上まとめたものです。基本的なテーマは、「国道の謎解き」。なんでこの道はこんなところで終わってるのとか、なんでこの道はこんな変な経路なのとか、国道の不思議を歴史を紐解きつつ追いかけていくという内容です。

 目次は次の通り。
・網走監獄のルーツとなった道(北海道・国道333号)
・竜飛崎に全国唯一の階段国道(青森県・国道339号)
・デコボコ道で昭和を体感(山形県・国道458号)
・秘湯にあった国道だけど登山道(福島県・国道289号)
・阿武隈高地の隘路(福島県・国道349号)
・ある町の海の国道(茨城県・国道6号) 
・永遠の開かずの国道(福島県/群馬県・国道401号)
・わずか7メートルの最短県道(長野県道162号)
・国道になれなかった道(茨城県道14号)
・4県をまたぐ県道(茨城/埼玉/群馬/栃木県道9号)
・日本橋の小さな空(東京都・国道1号他)
・謎の永田町バイパス(東京都・国道246号)
・東京湾に消える道(千葉県/神奈川県・国道16号)
・裏街道246号の逆襲(神奈川県・国道246号)
・消えた「開かずの踏切」(神奈川県・国道1号)
・東名高速を削り取った男(神奈川県・国道271号)
・権力者のいた風景(山梨県・国道52号)
・今昔天城越え(静岡県・国道414号)
・あゝ青崩峠(静岡県・国道152号)
・伊勢神宮で終わる国道(愛知県/三重県・国道23号)
・恐るべき道、暗峠(奈良県/大阪府・国道308号)
・最古の国道は町中の「酷道」(大阪府・国道166号)
・車線を削られた阪神国道(兵庫県・国道43号)
・神戸税関前に「最短国道」(兵庫県・国道174号)
・起点が米軍基地内だった道(山口県・国道189号)
・無理矢理高地に集まる8国道(高知県・国道32号他)
・東シナ海に消えるトマソン国道(鹿児島県・国道499号)
・沖縄の「左右」が入れ替わった日(沖縄県・国道390号) 
 といった具合で、全国の変な道、変わった国道を追いかけています。定番の「ああアレね」という道も多いのですが、コラムなども含めてけっこうレアなネタも仕込んでいます。マニアから「道路趣味って何?」という方まで、楽しんでいただけると思います。

 筆者にとって「良い本」の条件というのは、「読み終わった後、世界が変わって見える本」だと思っています。この本は、何も画期的に目を開かされる、今後の人生の指針となるといった本ではないですが、読後にはふだん見慣れた道が「ああ、こういう理由でこうなっているのか」「よく見りゃこの道も不思議だな」とちょっと違って映るようになるのでは、と思っています。

  この本、初版部数がそれほど多くない上、書店では文芸書だったり旅行だったり趣味だったり車だったりと、かなりまちまちな場所に置かれているようで、やや見つけづらいかもしれません。アマゾンなどで注文していただくのが、手っ取り早く確実かと思われます。というわけで、お楽しみいただければ幸いです。

厚木・海老名だんごエリアを行く

 いろいろ書かねばならぬものが多く、そのため恐ろしいことにブログを半年ほども放置してしまった。読者のみなさまには大変申し訳ありません、って楽しみにしてくれている人がいるのかどうかわからないけれど。

  そのお仕事の成果ということで、また次の国道の本が出ることになった。「新潮45」誌に連載中のエッセイ的なものをまとめた本で、タイトルは「国道者」。11月27日あたりに発売ということなので、見かけたら手にとってやっていただければありがたき幸せである。

 この手の本の悩みどころは、世の中には「国道の本」というジャンルが存在しないので、書店のどこに並ぶのかよくわからないというところである。旅行ガイドの棚に置かれるのか、鉄道本の隅っこあたりに紛れ込むのか、さてどうなるのだろうか。こういう本が増え、ジャンルとして成り立ってくれると嬉しいのだけれど。

 で先日、この本のために、神奈川の厚木あたりに写真を撮りに行った。その時ついでに撮影した標識について書いてみるとしよう。 このあたりは、だんご標識に関してちょっとした特異ポイントなのである。

 厚木市中心部を南北に縦断しているのは国道129号なのだけれど、市南部では246号と重複している。通常、重複区間では若い番号の国道が優先的に表示されるか、両者が同格で並んで表示されるのが普通なのだけれど、この区間に関してはどうも246号が上の扱いに見える。最近、多少129号の扱いが良くなったようではあるが、青看などでは246号のおにぎりが描かれていて、129号はないがしろにされている。不憫である。

129+246
ここでは一応同格にはなっているが、妙に離れて置かれているのが気になる。

 まあ129号は番号こそ若いものの基本的に神奈川県管理の国道だ。一方の246号はほぼ全線が国土交通省管理となっていて、この重複区間も例外ではない。管理者の観点からは、129号が246号に間借りしている形なのである。また歴史的にも、この区間はもともと246号として1956年に指定され、1963年に129号が後から指定されたという経緯がある。この辺の事情を考え合わせると、129号の扱いが小さいのはある程度やむを得ないかという気はする。

 しかし、同じ厚木市内にはもう少しひどい下克上を受けているだんご標識もある。国道412号の分岐近くにあるこれである。 

r60+R412

 全国のだんご標識を網羅しただんごリストを作成中であるけれど、本来上位に来るべき国道標識が、県道標識の下に置かれている事例は、今のところ全国で3ヶ所だけである(他は福島県道12号+国道399号、鳥取県道51号+国道9号)。国道としてのプライドをズダズダに引き裂かれつつも、けなげに頑張っている412号に同情の涙を禁じ得ない。

 そしてもうひとつ、厚木付近のだんごといえばこれという逸品がある。県道40号で相模川を渡ってすぐ、海老名市に入ったところにある県道3連だんごである。県道40号・43号・51号のトリオが織りなす県道三重奏である。

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 そしてさらにサービスのよいことに、角を左折したところにまた3連だんごがある。こちらは40号・46号・51号の三連星だ。

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 今のところ、県道のみの3連標識は、この他に鳥取県北栄町の県道151号+250号+297号の組み合わせが見つかっているのみだ。ということで、全国に3つしかないものが2つ固まっているわけなので、 だんごファン的には奇跡のエリアと呼ぶべき場所なのである。

 この近辺、2連標識などもあってよさそうなものだが、なぜか見当たらなかった。管理者の方も、やはり3連は珍しいから標識を立ててみる気になったのだろうか。ということで、他にこうした標識をご存知の方がおられたら、ご一報をいただければ幸いである。 

国道めぐり選手権

ゴールデンウィークということで、彼女なり仲間なり家族なりとお出かけになっている方も多いと思う。しかし出先となれば、国道マニアたるものはできる限り多くの国道をめぐってみたいと考えるものだ。というわけで、一定時間だけ自由時間をもらい、その間に国道狩りに出るというシチュエーションを考えてみよう。そこで、なるべくたくさんの国道をめぐるためには、行き先をどこにすべきであろうか。まあいろいろ本末転倒であるが、そこらは突っ込まないでいただきたい。

  移動手段は何でもいいが、さすがにヘリで移動とかいうのはなしにして、徒歩・車・電車などで回るということにしよう。「国道をめぐる」という条件は、重複区間でなく単独区間を、自分の足あるいは車のタイヤで踏むことを指すことにする。たとえば、新潟本町交差点に立っただけでは8本の国道を踏んだとは認められず、一番番号の若い7号と116号だけがカウントされる。

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新潟本町交差点(赤色のマーク)付近の国道

 さてそうなると、どこをスタートしてどうめぐれば、一番たくさんの国道を踏めるだろうか。ひとまず制限時間を1時間とうことで考えてみよう。上記の新潟市内は国道密集地帯ではあるものの、単独区間が遠い道が多いため、ここをスタートに選ぶのはあまり得策ではなさそうだ。

 東京・日本橋を出発するケースを考えてみると、日本橋起点の1・4・6・14・15・17・20号に加え、246号・254号くらいまでどうにか踏めるのではないだろうか。とすると9路線ということになる。渋滞をうまく回避できれば、130号や122号などにも到達できるかもしれないが。



 大阪だとどうだろう。筆者はあまり大阪を走り慣れていないので、渋滞状況などはあまりよくわからないが、梅田新道付近の1・2・25・176・423号に加え、26・43・172・308・479号の10路線くらいまで回れるだろうか。このへん、詳しい方のご意見をいただきたい。



  もし制限時間がもっと長く、24時間であったりするとどうだろう。この場合、混み合う都会の道をこせこせ駆け回るよりも、渋滞の少ない国道4号あたりを一気に北上しながら、交差する国道を順に狩って行くのが得策かもしれない。あるいは東名高速を使い、主要都市のインターで降りては国道を狩るという作戦もありそうだ。さてどういう戦略がベストだろうか。

  制限時間3時間くらいの場合が、一番考え甲斐があるかもしれない。国道の本数が多い東京・大阪がやはり有利かとも思うが、あるいは充実した高速道路網を生かしつつ、名古屋~岐阜付近を回る作戦もありかもしれない。いろんなファクターがからむので、実践してみると意外な穴場が見つかる可能性もある。

 「国道を踏んだ証拠として、おにぎり標識を撮ってくる」ということにすると、 さらにゲーム性は上がるかもしれない。大阪など標識設置率が低いので、おにぎりが見つからずドツボにハマるといったケースもありそうだ。

 しょうもないことであるが、こういうことは真剣に考え、試してみるほどに楽しい。というわけで、みなさまも自分のまわりの街で、ぜひチャレンジしてみていただきたいと思う次第である。

国道だんごリスト

以前から何度か書いているけれど、国道には重複区間というものがあり、見た目には1本の道が、2本以上の国道あるいは県道に指定されていることがある。いわば道路の世界における二重国籍である。

 そうした区間には、国道または県道の標識が2つ並べで設置されているところがある。愛好者はこれを称して「だんご標識」と呼ぶ。おにぎり2つのもの、3つのもの、県道とのミックスのものなどいろいろなタイプが存在し、これもマニアの収集の対象となったりする。

R19+361
 だんご標識の例

  重複区間なら必ずだんご標識があるかというとそうでもなく、一番若い番号の標識だけが表示されていることもよくある。このへんは県によって違うようで、たとえば福島や栃木などはだんご標識の整備に熱心であるが、茨城や千葉は基本的に若い番号だけだ。

 また、重複区間でなく、国道同士の交差点付近に、矢印標識つきのだんごが設置されるケースもある。これを「ねぎまタイプ」と呼ぶ人もいる。

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交差点にあるねぎまタイプ。しかも大きい番号が上に表示された下克上タイプでもある。

  こうしただんご標識は、以前マニア間で全国版のリストを作っていた。こういうことになるとヒートアップするのはマニアの常である。しかし最近はどこに行ったか見当たらないようだ。こういうのはどんどん変わっていくので、ここらで新たに作りなおすのもいいだろう。というわけで言い出しっぺが作れということになり、筆者がひな形を作ってみた。こちらである。

  凡例のところに書いた通り、正規のおにぎり(専門用語でいえば118-A)とヘキサのみを対象にする。そとばとか、青看内の2連・3連は取り扱わない。また、重複区間のものと、交差点タイプとを記載する欄を用意した。

 どこまでをだんごと見るか、という問題もある。歩道橋などに横並びに設置されているものもあるので、これもカウントすることにする。下のもののように微妙なものもあるが、まあこれもOKということにしよう。

1+171

 もちろんリストはまだ全く不完全だ。編集はだれでも可能ということにしてあるので、リストにないものがあったらご記入いただければ幸いである。特に県道を含むだんごは穴だらけなので、ご協力を願う次第であります。

 こうして見ると、いろいろ疑問も出てくる。まず、4連以上のだんごはないのか?4本以上の国道が重複している区間は存在するが、だんご標識は残念ながらなさそうだ。新潟や高知の8起終点にあれば壮観なのだろうが。また、県によってだんご整備度は大きく異なると書いたが、全くだんごのない県はあるのだろうか?たとえば茨城には、国交省管理区間の国道4号+125号にだんごがあり、おそらくこれが唯一だ。

 そういえば、1~2桁国道+県道というだんごも見た記憶がない。1~2桁国道のほとんどの区間は国交省管理だから、県道の標識は共存し得ないのかもしれない。さてどこかにあるだろうか。

  
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