書籍「ふしぎな国道」(仮)10/17発売

 さてだいぶ更新の間が開いてしまった。というか放置してしまった。 その間、別に遊んでいたわけではなく、ついに長年の野望がかない、国道の本を出版することになったのである。版元は、なんと講談社現代新書。科学の本を書いてほしいといってきた編集者氏を説得し方向をねじ曲げ、この本を書くことになったのであった。50年の歴史と伝統を誇り、数々の名著を生み出してきたレーベルから、こんな本を出してしまっていいのだろうかと思いつつ、出てしまうのである。

 実はアマゾンにももうページができ、予約開始となっている。 内容紹介がなかなかアレで、”道を極めろ!「酷道マニア」「標識マニア」「非国道走行マニア」など 国道に異常な愛情を持つマニアの生態を活写した記念碑的作品”だそうで、なんだよ異常な愛情って、別に普通やんけと自分では思うのだが、傍からはそうは見えないのであろうか。

 講談社現代新書の表紙といえば、白地にいろいろな色の正方形がひとつというデザインであるのだけど、この正方形を特別に「おにぎりマーク」にしていただくことに決定。いろいろ遊んでくださるものであります。色はもちろん国道標識色、フタロシアニンブルーの予定。

  まだ校正作業など済んでいないのだけど、いろいろな方の手を借り、貴重な写真を提供していただいて出来上がった一冊なので、まずはみなさまに感謝。そしてこれをきっかけに、もうちょっとこの趣味に光が当たるとよいなと思う次第であります。

 発売日は10月17日の予定である。また、これを記念したわけでは全然ないのだけど、 その前日の16日、大阪梅田の東急ハンズで、土木学会主催の「どぼくカフェ」にて講演的なものを一席ぶたせていただくことになりそうなので、ご近所の方(遠方の方も)は来られるとよいのではないかなと思う次第であります。

 以上お知らせでありました。 

お知らせなど

 さてだいぶ更新の間が開いてしまいました。国道の本の執筆に追われていたためであります。まだ発売時期など未定ですが、さすがに今年中には出せると思います。しばし待て。

 さてその前に、「どぼくカフェ」なるものでしゃべらせていただくことになりました。土木学会の主催する集まりで、月2回ペースで全国で開催中とのこと。で、筆者は7月29日の名古屋の回に登場予定であります。内容はどうしようかと思いましたが、ひとつ「国道標識」にテーマを絞ってぶちかましたいと思います。

 当日は山形みらいさんも登場とのことで、筆者にとっても初顔合わせ。参加費無料、事前申込不要(だと思います)。頑張りたいと思いますので、近郊のみなさまはお誘い合わせの上ご参加のほどを。詳細は、決定次第またこちらでお知らせします。


 えー、これだけでも何ですので、国道クイズでも出してみます。
(1)最も多くの都道府県を通過する国道は何号?
(2)3桁国道のうち、 最も多くの都道府県を通過する国道は何号?
(3)港国道以外で、通過する市町村が最も少ないのは何号?
(4)港国道以外で、接続する国道が最も少ないのは何号?
(5)最も長い国道の重複区間はどこで、何号と何号?

 コメント欄にでも回答いただければ幸いです。

謎の永田町バイパス

 バイパス道路というものは、全国<津々浦々に存在する。要するに既存の道がしょぼい時、それに並行して作られるもっと広い道である。たとえば茨城県だと、国道294号常総バイパスなどが典型例だろう。


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新旧国道294号
 
 上の地図では、国道カラーのオレンジに塗られた道が2本並走しているが、実際には右側の常総バイパスのみが現在の国道294号であり、左側の道は県道357号へと降格している(これに限らず、最近グーグルマップの道路色分けはグダグダである。以前はちゃんとしていたのに、なぜこんなことになっているのだろう)。このように、基本的にバイパス道路が完成すると、旧道の方は国道指定を外され、県道あるいは市道などに降格されるのが通例である。

 だが、新旧2本両方が、国道として併存し続けるケースもある。埼玉県越谷市から栃木県宇都宮市まで走る新4号バイパスが完成しても、以前からある道が降格せずに残っているケースなどがそれだ。こういう場合、古い方の道は「旧道」ではなく「現道」という呼び方をする。

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左が現道、右が新4号バイパス

 茨城県の水戸市を走る国道50号もこのケースで、南側にバイパスが完成しているが、現道の駅前通りも降格せずに残っている。このように、バイパスと現道が両方生きているケースというのは、都市開発などで新たな道が作られるケースに多いようだ。

  だが、よくわからないケースもある。国道246号の永田町バイパスがそれだ。246号は、三宅坂交差点で国道20号から分岐して始まるが、そこから数百メートル進んだ「平河町」交差点から、バイパスが伸びているのだ。バイパスは国会議事堂の裏を通り、「特許庁前」交差点まで続く。図でいうと下のようになる。ご覧の通り、バイパスといっても現道に並行しておらず、枝線といった方がよさそうな姿である。

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青い線が永田町バイパス

 しかしこの道、グーグルマップやYahoo地図を含め、ほとんどの地図では国道ではなく、都道として表記されている。筆者が確認した限りでは、「スーパーマップル関東道路地図」が唯一、この道を赤色の国道カラーで表記していたのみだ。というのは、この道は最近まで都道だったのが、2006年4月1日に国道246号に指定されたばかりだからだ。新しく建設するのでなく、既存の道をバイパスとして国道に組み込むのは、異例に属することである。

  しかしまた、なぜこの区間が突然国道になったのか、理由は明かされていない。何しろこの道が通っているのは、国会議事堂、衆・参議院議員会館、首相官邸、内閣府などが立ち並ぶ、日本の心臓ともいうべき一帯だ。いかにも何かありそうではないか。

 現地を歩いてみると、足元に小さな砲弾型キロポストが立てられている。間違いなくここが国道である証左である。街灯のステッカーなど見ると、確かにここは都管理でなく、国土交通省直轄の国道であることが読み取れる。

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国道246号のキロポスト

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街灯に貼られたステッカー 

 国会の周辺だけあり、角々に警官が立っていて警戒はものものしい。黒塗りの高級車が、高官らしき人を運んで走り去る。沖縄の基地関連で座り込みをする人たち、何やら訴える中国人学生などもいて、なかなか緊張感漂うエリアである。

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永田町バイパスから望む国会議事堂。植え込みのところにキロポストがある。

 しばらく行くと、国道246号のおにぎりも立てられていた。しかし何でこれが国道指定されたのか、現地を歩いてみても理由はさっぱり見えてこない。

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永田町バイパスに佇むおにぎり

 国道だる理由がわからなければ、聞いてみればよいではないか。というわけで、この道を管理する東京国道事務所に、メールを出して聞いてみた。回答は以下のとおり。

「国道246号の起点である三宅坂交差点の渋滞が激しいことから、交差点の交通の円滑化と併せて国の中枢である国会議事堂及び首相官邸のアクセスの向上を図るために、既に都道として供用されていた区間について国道246号のバイパスとして指定したものです。」

 ……わからん。別にここを都道から国道にしたところで、三宅坂の渋滞には関係ないだろうに。というわけで、結局このバイパスの存在意義は謎である。場所が場所であるだけに、何か地下に埋めてあるんじゃないかとかいろいろ妄想をしたくなるが、あまり変に探りを入れて国家機密に触れてしまってもアレなので、このへんにしておこうと思うのである。

一方通行の国道

 知らない町で思わず裏通りに入り込んでしまい、一方通行に遮られて「ほげえええ」となった経験をお持ちの方は多いことだろう。道が狭いから仕方ないとはいえ、ドライバーにとってはチッと舌打ちの一つもしたくなるのが、一方通行というものである。

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 一方通行の道が多いのはやはり住宅街などで、たとえば世田谷の経堂あたりは一通の魔窟として有名である。確かにこのあたりでは、都道118号とか423号とか偉そうな名前の道が、狭っ苦しい一方通行であったりする。本職のタクシードライバーですら恐れるくらいであるから、初心者ドライバーは近寄らぬに越したことはない。


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都道423号・経堂本通り
 
  で、国道と名のつく道にも一方通行は存在し、こちらにリストとしてまとめられている。けっこうあるもんだと思えるが、実はこれらは徐々に消滅している。たとえば国道459号の福島県喜多方市内は、下の地図の黒線がかつての国道で、これが北西向きの一方通行であった(こちら)。しかし最近、下の地図にある通り北→西へのわかりやすい経路に国道が変更された。道路を使うだけの立場からは最初からこうしとけよと思ってしまうが、こういう場所こそ旧街道の名残なのであろう。道の歴史を追うという観点からすると、こういう箇所が消えるのは残念でもある。


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 茨城県行方市の国道354号にも、一方通行区間があった。通常こうした場所では「国道なのにこれかよ」と突っ込まれたくないためか、国道標識は設置されていないケースが多いのだけれど、ここは平然とおにぎりと一通標識が並び立っている。何やら異世界の入り口然とした雰囲気がなかなか好きだったのだが、どうやら北浦バイパスの開通でここも格下げになるようだ。スムーズな道路交通のために存在する国道のあり方としては、まあ当然ではある。

R354
国道354号の一通入り口

 そうした一通国道の中でも、千葉市の国道14号はなかなか異色な存在だ。14号という幹線国道が、政令指定都市たる千葉市のど真ん中で一方通行になってしまう、珍しい市街地酷道なのである。

R14
一方通行出口側から撮影。
 
 しかしこの一通区間も、どうやら消滅が決まったようだ。昨日、熊谷俊人千葉市長がツイッターで、下のようなツイートをしていたのだ。
 今までの一方通行区間をよけて通るような、下図のルートに変わるということだ。ちょっと不自然な経路にはなるが、これがベストの解ということだろう。まあこうした経路変更を行うのも、きっと行政的には相当に面倒なのだと思う。市長の英断なのではないだろうか。

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国道14号の新経路(千葉市ウェブサイトより)

 こうしてまた変な国道は消えてゆく。まあこれは残念でもなく当然ではあるが、せいぜいこうして道路の変化の歴史を記録しておくとするのである。一方通行は他にもあるので、そのうち書くとしよう。

海の上を行く道

 「海上国道」という言葉がウィキペディアに載っている。「海上部(海上区間)を含めて一連の道路となる一般国道を指す」のだそうで、要するに離れた陸地にまたがって通っている国道だ。たとえば国道2号の関門海峡とか、国道279号の津軽海峡区間を指す。橋がかかってたり、フェリーでつながっていたりいなかったりなど、事情はそれぞれいろいろである。

 だが、これ以外にも「海上を通る国道」はありうる。要するに、道路が陸地からはみ出してしまっている 場所だ。もちろん好き好んでそんな道を作るわけもなく、どうしても場所がなくやむを得なかったケースだ。たとえば北陸自動車道は、新潟県の親不知付近でいったん海にはみ出している。

 親不知は、北アルプスが海へなだれ落ちる「天下の険」で、ここを通る者はたとえ親子でも互いを省みる余裕がなかったためについた地名という。狭い平地には国道8号とその旧道、そして北陸本線がトンネルで通っており、高速道路は海上を通すよりなかったのだろう。

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道の駅親不知ピアパークから観察可能。

 これは高速道路の例だが、国道ではどうかというと、150号大崩海岸の例があった。これも険しい地形の場所で、道路が海上にはみ出している。よくぞこんなものを作ったなと思うような道だ。

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旧国道150号・大崩海岸

 ただしここも2004年に新日本坂トンネルが開通し、海上区間は静岡県道416号へ降格した。この一帯は、東名高速・国道150号・東海道新幹線・東海道本線などのトンネルが並走しており、まさにトンネル銀座の様相を呈している。よくこんなにぶつかりも崩れもせず、たくさんのトンネルを掘れたもんである(小並感)。


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 ということで今は海にはみ出す国道というのはないのかと思ったが、実は筆者の郷里である茨城県日立市に開通していた。2008年に供用開始した、国道6号日立バイパスがそれである。

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6号日立バイパス

 日立市は関東平野が終わるところにあり、平地はほとんどない。しかしそこに銅山が発見され、明治から昭和前半にかけて開発が進んだ。さらに、鉱山で使う機械の修理部門が大きくなり、有数の電機メーカーに成長したのが、現在の日立グループである。というわけで、日立市は典型的企業城下町として発展し、本来なら街ができるような場所でないところに、20万都市が成立してしまったわけである。

 というわけで、日立市を南北に貫く国道6号の渋滞っぷりときたら、見るも悲惨なものであった。しかし平地は工場と市街地に埋め尽くされており、バイパスを作るスペースはない。というわけで、市南部には西側の山地をゆく「山側道路」 、中部に海の上を行く「6号日立バイパス」を作ったわけである。と、書くだけなら簡単だが、実際にはえらい代物である。

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国道245号から分岐し、海へ乗り出す。

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冷たい波が橋脚を洗う。 

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けっこう海岸から離れたところを通っている。

 愛称は公募によって「日立シーサイドロード」と決まったそうだが、いやこれはサイドじゃなく明らかに海の上やないかいという気もしないではない。ともかく、海の上を突っ走れる機会はそうあるものではない。ロードパークなども整備されてなかなか風景も美しいので、新たな国道名所に認定する価値は十分にあると思う。

Sutamina
本筋に関係はないが、何だこの落書きは。

 太平洋の荒波に洗われる日立近海で、耐久性など大丈夫なのかという議論はあったようだが、これは思わぬ形で実証された。2011年3月11日、東日本大震災によって起きた高さ4.2mの津波に、見事この橋は耐え切ってみせた。多少の段差が生じ、支えのゴムに亀裂が入るといった程度の被害はあったようだが、あの揺れと津波を受けて、よくそれで済んだものと思う。


 ともあれ、全国でも珍しい海上区間、ドライブ好きの人なら一度は走っておいて損はない。逆にいうと、これだけの観光資源を活かそうとしない茨城県は、そりゃまあ魅力ランキングで47位に沈むわなあなどとも思ってしまうわけである。  
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