さて前回からの続き。
歌に取り上げられる国道は、やはり幹線道路が多いわけだが、中にはマイナー路線の歌だってある。例えば異色なところで、スピッツの「353号線のうた」がある。彼らが海を目指してドライブした時の思い出を描いた一曲だという。353号は群馬県の山地から新潟県柏崎市へ、山から海へ駆け下る国道で、ワインディングの楽しさは関東屈指。若き日のスピッツにインスピレーションを与えるだけのことはある名ドライブコースだ。この曲はインディーズ時代の作品であり、非常なプレミアがついていて気軽に聞けなくなっていたが、今はYouTubeというものがあるからありがたい。
湘南の海沿いを行く国道134号(神奈川県横須賀市〜同大磯町)は、場所柄もあって歌への登場回数も多い。村田和人の「134号線ストーリー」、杉山清貴&オメガトライブの「Route134」などが代表的だ。TUBEの「オ・ネ・ガ・イRADIO」という曲にも、歌詞中に登場する。しかしこのへん、いかにも80年代の雰囲気で、わたせせいぞうのイラストが似合いそうだ。
134号線ストーリー。てかMCが面白い。
歌詞にはっきりと歌われているわけではないが、サザンオールスターズの名曲「希望の轍」のモデルになったのも国道134号であるというのが、ファンの間では定説になっているそうだ。筆者のカラオケの十八番でもあったりするが、まあそんな情報は誰も求めていないと思うので、ひとつ桜井和寿と競演したレアなバージョンでもお楽しみいただきたい。
だがこれらの路線を抑えて、音楽に登場する国道の圧倒的トップは国道246号だ。都心の三宅坂を出発し、六本木・青山・渋谷を抜けて世田谷・横浜の高級住宅地を貫いてゆくという、日本最強のロケーションを誇る。道のスペック自体もずっと4車線以上が確保されており、下手な2桁国道など寄せつけないオーラを放つ。
90年代に一世を風靡したリンドバーグのデビュー曲がそのものズバリ「ROUTE246」だし、稲垣潤一・椎名へきる・クラムボン・及川光博・深田恭子・荻野目洋子といった多彩な面々が、246号をテーマにした曲を歌っている。246号だけがかくも偏愛されているのは、前述したロケーションのよさに加え、「246」という並びがよく覚えやすいナンバーも幸いしたのではないだろうかと思う。
リンドバーグの「ROUTE246」。バブルの残り香を感じる。
しかし同じくロケーションに優れ、数字の並びもよい路線である国道357号(千葉市-横浜市)が登場する曲が見当たらないのはちょっと不思議だ。東京湾岸に沿って走り、お台場やレインボーブリッジなど歌詞になりそうな風景には事欠かないこの道、もう少し認知度が上がってもよさそうに思う。
こうして見ると、どうにも北海道・東北をテーマにした曲が少ない。松山千春に「国道38号線」という曲があるのが目につく程度だ。狩人の「国道ささめ雪」は紅白歌合戦でも歌われた名曲だが、残念ながら何号なのかまでは歌われていない。冬の日本海をイメージさせる歌詞から、さしずめ国道7号か101号あたりだろうか。
国道ささめ雪
もちろん北日本にも、題材になりそうな道はありあまるほどある。北海道であれば白神岬を回る229号、富良野・美瑛の丘を行く237号、日本最北端からオホーツクを走り抜ける238号、襟裳岬をいく「黄金道路」336号、東北なら三陸のリアス式海岸を行く45号、奥入瀬の美しい風景の中を走り抜ける102号、五色沼など観光地を行く115号など、題材には事欠かない。鉄道路線を歌ったご当地ソングは多いが、国道もぜひテーマとして考えてみてほしいところだ。
最後に、国道45号を歌った曲を紹介しておきたい。青森市から仙台市まで、三陸のリアス式海岸沿いに走るこの道は、国道6号と並んで今回の震災で最も深い傷を負った路線だ。
45号を呑み込む津波(岩手県宮古市)
最近、岩手県出身のシンガーソングライター・濱守栄子が、この道にまつわる思い出を歌った「国道45号線」という曲を書いている。
単純に、いい曲であると思う。売り上げの半額は義援金として寄付されるとのことだ。気に入った方は買ってみてはどうだろうか。
歌に取り上げられる国道は、やはり幹線道路が多いわけだが、中にはマイナー路線の歌だってある。例えば異色なところで、スピッツの「353号線のうた」がある。彼らが海を目指してドライブした時の思い出を描いた一曲だという。353号は群馬県の山地から新潟県柏崎市へ、山から海へ駆け下る国道で、ワインディングの楽しさは関東屈指。若き日のスピッツにインスピレーションを与えるだけのことはある名ドライブコースだ。この曲はインディーズ時代の作品であり、非常なプレミアがついていて気軽に聞けなくなっていたが、今はYouTubeというものがあるからありがたい。
湘南の海沿いを行く国道134号(神奈川県横須賀市〜同大磯町)は、場所柄もあって歌への登場回数も多い。村田和人の「134号線ストーリー」、杉山清貴&オメガトライブの「Route134」などが代表的だ。TUBEの「オ・ネ・ガ・イRADIO」という曲にも、歌詞中に登場する。しかしこのへん、いかにも80年代の雰囲気で、わたせせいぞうのイラストが似合いそうだ。
134号線ストーリー。てかMCが面白い。
歌詞にはっきりと歌われているわけではないが、サザンオールスターズの名曲「希望の轍」のモデルになったのも国道134号であるというのが、ファンの間では定説になっているそうだ。筆者のカラオケの十八番でもあったりするが、まあそんな情報は誰も求めていないと思うので、ひとつ桜井和寿と競演したレアなバージョンでもお楽しみいただきたい。
だがこれらの路線を抑えて、音楽に登場する国道の圧倒的トップは国道246号だ。都心の三宅坂を出発し、六本木・青山・渋谷を抜けて世田谷・横浜の高級住宅地を貫いてゆくという、日本最強のロケーションを誇る。道のスペック自体もずっと4車線以上が確保されており、下手な2桁国道など寄せつけないオーラを放つ。
90年代に一世を風靡したリンドバーグのデビュー曲がそのものズバリ「ROUTE246」だし、稲垣潤一・椎名へきる・クラムボン・及川光博・深田恭子・荻野目洋子といった多彩な面々が、246号をテーマにした曲を歌っている。246号だけがかくも偏愛されているのは、前述したロケーションのよさに加え、「246」という並びがよく覚えやすいナンバーも幸いしたのではないだろうかと思う。
リンドバーグの「ROUTE246」。バブルの残り香を感じる。
しかし同じくロケーションに優れ、数字の並びもよい路線である国道357号(千葉市-横浜市)が登場する曲が見当たらないのはちょっと不思議だ。東京湾岸に沿って走り、お台場やレインボーブリッジなど歌詞になりそうな風景には事欠かないこの道、もう少し認知度が上がってもよさそうに思う。
こうして見ると、どうにも北海道・東北をテーマにした曲が少ない。松山千春に「国道38号線」という曲があるのが目につく程度だ。狩人の「国道ささめ雪」は紅白歌合戦でも歌われた名曲だが、残念ながら何号なのかまでは歌われていない。冬の日本海をイメージさせる歌詞から、さしずめ国道7号か101号あたりだろうか。
国道ささめ雪
もちろん北日本にも、題材になりそうな道はありあまるほどある。北海道であれば白神岬を回る229号、富良野・美瑛の丘を行く237号、日本最北端からオホーツクを走り抜ける238号、襟裳岬をいく「黄金道路」336号、東北なら三陸のリアス式海岸を行く45号、奥入瀬の美しい風景の中を走り抜ける102号、五色沼など観光地を行く115号など、題材には事欠かない。鉄道路線を歌ったご当地ソングは多いが、国道もぜひテーマとして考えてみてほしいところだ。
最後に、国道45号を歌った曲を紹介しておきたい。青森市から仙台市まで、三陸のリアス式海岸沿いに走るこの道は、国道6号と並んで今回の震災で最も深い傷を負った路線だ。
45号を呑み込む津波(岩手県宮古市)
最近、岩手県出身のシンガーソングライター・濱守栄子が、この道にまつわる思い出を歌った「国道45号線」という曲を書いている。
単純に、いい曲であると思う。売り上げの半額は義援金として寄付されるとのことだ。気に入った方は買ってみてはどうだろうか。