さて日本には1号から507号まで、459本の国道がある。なんのこっちゃといわれそうだが、これは欠番があるためだ。この辺も興味深いのだが、まあおいおい語るとしよう。興味ない?まああろうとなかろうと語りますけどね。

 で、この459本の国道は全てつながっている。このへん、お役所仕事というのは極めて律儀であるので、他から切り離されて存在している国道というものは一本もない。え?北海道とか沖縄にも国道があるじゃない?という方もおられようが、あれもちゃんとつながっているのである。

 本州と北海道は、278・279・338号の3路線が間をつないでいる。津軽海峡の区間はフェリーが通っており、法律上はこのフェリーも国道扱いなのだ。本州・九州間は関門トンネル(国道2号)、本州・四国間は3本の本四架橋(国道28号・30号・317号)で直接につながっているし、九州~四国間は197号の九四フェリーが連絡している。

 で、沖縄はどうかというと、国道58号がほんのちょろっとだけ鹿児島市内にあり、これが国道10号と鹿児島港を結んでいる。58号はここからフェリーを介して種子島・奄美大島を経由し、沖縄本島にまでつながっているという建前になっているのである。下の地図の「朝日通り」というのが58号で、要するに「全ての国道はつながっている」という建前のために指定された区間だ。まあ律儀というか役人の執念というか、こういうところは無駄に緻密である。  実は他にも国道が通っている離島はいくつもある。たとえば350号は、新潟市を出発して日本海を渡り、佐渡島を横断して再び本土の上越市に帰ってくる。壱岐島に向かう382号は、佐賀県の呼子にちょろっとだけ道が存在する。また隠岐諸島を通る485号は、本土の境港市にほんの1kmほどの区間を持つ。別に離れたところに国道があったって何も困ることはないだろと思うわけだが、このへん一つの例外もありはしない。

大きな地図で見る
呼子の382号。ここから壱岐に向かうフェリーが出ている。

 国道マニアというものはだいたいにおいて、国道標識の撮影をして回るということをやるのだが、上記の理由のため、沖縄本島以外の離島にはわざわざ行かなくても全国道コンプリートは可能だ。
R058
鹿児島市内の58号標識。


 こうしたちょろっとだけある国道区間の中で、一番奇妙なケースは499号だ。長崎市を出発して長崎半島を縦断し、末端の野母崎まで行って終了……のように見えるのだけど、実はここで終わっていない。海を挟んで遠く80km先、ブログ市長で有名になった鹿児島県阿久根市にちょろっと499号があるのである。
R499
海を隔てて存在する499号。


 で、この阿久根市の499号は、国道3号から港までわずか61mしかないらしい。下の地図の阿久根駅前から北さつま漁協までの通りがそれなのだが、あまりに短すぎて見落とされたのか、Googleマップでも国道の色に塗られていない。

大きな地図で見る
akune
国道499号阿久根区間全景。
 で、呆れたことに、この野母崎~阿久根間には、フェリーも通っていない。両者は名実共につながっていないのだ。本当に何のこっちゃと思うような区間である。もし近辺を通ることがあったら、ちょっと車を降りて眺めていってほしい。海岸へ向かうほんの短い道に、国道標識がドンと鎮座している不思議な光景が見られるはずだ。前市長の残したわけのわからん壁画群と合わせて、阿久根名物を見学して行くのもまあ一興ではないかと思うのである。