いろいろ書かねばならぬものが多く、そのため恐ろしいことにブログを半年ほども放置してしまった。読者のみなさまには大変申し訳ありません、って楽しみにしてくれている人がいるのかどうかわからないけれど。

  そのお仕事の成果ということで、また次の国道の本が出ることになった。「新潮45」誌に連載中のエッセイ的なものをまとめた本で、タイトルは「国道者」。11月27日あたりに発売ということなので、見かけたら手にとってやっていただければありがたき幸せである。

 この手の本の悩みどころは、世の中には「国道の本」というジャンルが存在しないので、書店のどこに並ぶのかよくわからないというところである。旅行ガイドの棚に置かれるのか、鉄道本の隅っこあたりに紛れ込むのか、さてどうなるのだろうか。こういう本が増え、ジャンルとして成り立ってくれると嬉しいのだけれど。

 で先日、この本のために、神奈川の厚木あたりに写真を撮りに行った。その時ついでに撮影した標識について書いてみるとしよう。 このあたりは、だんご標識に関してちょっとした特異ポイントなのである。

 厚木市中心部を南北に縦断しているのは国道129号なのだけれど、市南部では246号と重複している。通常、重複区間では若い番号の国道が優先的に表示されるか、両者が同格で並んで表示されるのが普通なのだけれど、この区間に関してはどうも246号が上の扱いに見える。最近、多少129号の扱いが良くなったようではあるが、青看などでは246号のおにぎりが描かれていて、129号はないがしろにされている。不憫である。

129+246
ここでは一応同格にはなっているが、妙に離れて置かれているのが気になる。

 まあ129号は番号こそ若いものの基本的に神奈川県管理の国道だ。一方の246号はほぼ全線が国土交通省管理となっていて、この重複区間も例外ではない。管理者の観点からは、129号が246号に間借りしている形なのである。また歴史的にも、この区間はもともと246号として1956年に指定され、1963年に129号が後から指定されたという経緯がある。この辺の事情を考え合わせると、129号の扱いが小さいのはある程度やむを得ないかという気はする。

 しかし、同じ厚木市内にはもう少しひどい下克上を受けているだんご標識もある。国道412号の分岐近くにあるこれである。 

r60+R412

 全国のだんご標識を網羅しただんごリストを作成中であるけれど、本来上位に来るべき国道標識が、県道標識の下に置かれている事例は、今のところ全国で3ヶ所だけである(他は福島県道12号+国道399号、鳥取県道51号+国道9号)。国道としてのプライドをズダズダに引き裂かれつつも、けなげに頑張っている412号に同情の涙を禁じ得ない。

 そしてもうひとつ、厚木付近のだんごといえばこれという逸品がある。県道40号で相模川を渡ってすぐ、海老名市に入ったところにある県道3連だんごである。県道40号・43号・51号のトリオが織りなす県道三重奏である。

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 そしてさらにサービスのよいことに、角を左折したところにまた3連だんごがある。こちらは40号・46号・51号の三連星だ。

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 今のところ、県道のみの3連標識は、この他に鳥取県北栄町の県道151号+250号+297号の組み合わせが見つかっているのみだ。ということで、全国に3つしかないものが2つ固まっているわけなので、 だんごファン的には奇跡のエリアと呼ぶべき場所なのである。

 この近辺、2連標識などもあってよさそうなものだが、なぜか見当たらなかった。管理者の方も、やはり3連は珍しいから標識を立ててみる気になったのだろうか。ということで、他にこうした標識をご存知の方がおられたら、ご一報をいただければ幸いである。