地球温暖化、原油価格の上昇という二つの問題が世界を揺るがしています。石油エネルギーに無批判に依存していられる時代ではなくなってきた現在、新たなエネルギー源の開発は人類に課せられた最大の急務の一つでしょう。そして現在最も理想に近いと考えられるエネルギー源が水素(H2)であることは、このページでもたびたび述べてきた通りです。水素は燃やしてもCO2を一切出さず、廃棄物は水だけという究極のクリーンエネルギーです。
水素は水の電気分解、メタノール、天然ガス、石油、各種バイオマスなど様々な資源から取り出しが可能で、地球上どこでも入手が可能であることも大きなポイントです。また水素は電気、動力、燃料など様々な形のエネルギーに変換が可能です。この意味で、水素は石油の代替となる燃料の一種というよりも、電気などに変わる有用なエネルギー媒体と考える方が近いともいえるでしょう。
そして水素の難点が、製造にエネルギーとコストがかかること、気体であるため貯蔵が難しいことの2つであることも何度か書いてきた通りです。ボンベに詰めるのは重く、圧縮のためにエネルギーを消費しますし、パラジウムなどの水素吸蔵合金も重く、極めて高価です。
当ページで紹介してきたいくつかの方法も、どうやら一長一短です。カーボンナノチューブに吸収させるのが有望と見られた時期もありましたが、これはその後の研究で残念ながら大した吸収力は望めないことがわかっています。水-THFに閉じこめるのは貯蔵量が必ずしも十分でなく、水素化ホウ素化合物は合成に多量のエネルギーが必要なためロスが大きいという問題があります。
が、最近ごく単純な有機化合物が水素貯蔵に有用な素材となりうることが示され、注目を集めています。メチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン(デカリン)などの6員環を持つ飽和炭化水素がそれで、「有機ハイドライド」と総称されます。
これらの化合物を熱した白金触媒の上に送り込むとそれぞれ3分子・5分子の水素を放出し、トルエンやナフタレンなどの芳香族炭化水素に変化します。できたトルエンやナフタレンは白金触媒で水素化し、簡単に元に戻すことができます。![]()
これらの化合物は安定に持ち運び可能であり、70リットルあれば燃料電池車を500km走らせることが可能だといわれます。これは現在のガソリンエンジンに近い数字であり、十分実用化を目指せる範囲であるといえるでしょう。ただし問題は、高価な白金やロジウムなどを触媒として用いなければならない点で、このあたりを解決できればずいぶんと実用に近づくのではないでしょうか。
しかし水素化ホウ素ナトリウムの分解による水素の放出、白金触媒による芳香環の水素化などは、いずれも有機化学者にとってよく知られた基本反応です。「水素の貯蔵技術が環境問題の切り札になりうる」という問題意識さえ持っていれば、解決のヒントは我々の目の前に転がっているわけです。こうした問題は、実は他にもかなりたくさんあるのではないでしょうか。
有機ハイドライドにしても、単純なデカリンなどでなくちょっと工夫をすれば、ニッケルなどの安価な金属で水素の脱着が可能な、安定で低価格の媒体が可能になるかもしれません。有機化学者が環境問題に貢献できる範囲は、今思われているよりずいぶん大きいのではないかという気がします。
コメント一覧 (41)
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- 2008年02月19日 17:03
- はじめまして、新しくランキングサイトを作りました!よかったら是非、登録していただけないでしょうか?まだサイトが少ないのでランキング上位になります!興味がありましたらお返事下さい^^
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- 2008年02月19日 17:43
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メチルシクロヘキサンやデカヒドロナフタレンを白金触媒上で脱水素して、生じた水素を燃料電池に使うことは理解できますが、残ったメチルベンゼンやナフタレンに水素添加しなければ反復使用出来ないはずですし、そこで必要となる水素源があるのなら、もともとそれを燃料電池に使えば済む話しではありませんか?
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- 2008年02月19日 20:26
- 大変失礼なコメントをしました。水素の運び屋としての飽和六員環化合物のことでしたね。確かに白金触媒は高価に過ぎますので辛いところです。
只、昔石油屋だったもので、水素の発生源にこだわってしまうのです。天然ガスがベストだと思いますがやはり水蒸気改質法でしたら、最終的には二酸化炭素が出来てしまうのです。
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- 2008年02月19日 23:08
- 検索していたら、たどり着きました。
見やすいサイトになっていますね。
これからも訪問したいと思います。
頑張って下さい!!
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- 2008年02月21日 12:14
- 私は教育現場にいる者ですが、『水素の貯蔵技術が環境問題の切り札になりうる』というようなシンプルかつ具体的な課題を含むメッセージを、私も中高生にどんどん発信していかなくてはとつくづく思わされます。
ところで話し変わりますが、昨日電車の中づり広告を見てびっくり。プレジデント・ファミリー4月号の特集「頭のいい子の本棚拝見!」に、見慣れた表紙『有機化学美術館へようこそ!』が載っているではありませんか!うれしくて車内でひとりニヤニヤしてしまいました。
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- 2008年02月22日 01:19
- >ざわわさん
まあ水素貯蔵さえできれば地球温暖化はすぐ解決!というわけではなく、チョイボラさんのおっしゃる通り水素源の問題も大きいですのでそう簡単ではないでしょうが……。
ただ水素貯蔵の論文は最近NatureやScienceにバンバン載るようですので、期待の大きい技術であることは間違いないと思います。
温暖化の問題は一つの技術で万事解決ということはなく、我々のライフスタイル全般を変えていかねばならない、極めて難しい問題と思っております。
-
- 2008年02月22日 09:20
- 水素の発生源としては可視光で水を水素と酸素に分解する触媒の開発が各地で行われているようです。
もしこの触媒がエネルギー源として使えるレベルまで効率的になったとしたら、水を突っ込めばエネルギーである水素が出来るという、夢のような話ですね。
さとうさんが仰っている水素貯蔵の問題と水を分解する触媒の問題が解決すれば、「タンクに水を入れれば走る車」が開発可能なわけですね(笑)。
まぁ、随分先の話にはなると思いますが…
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2001/pr20011206_1/pr20011206_1.html
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- 2008年02月23日 17:18
- >タンクに水を入れれば走る車
太陽光のエネルギー密度はおよそ1kW/m^2.
もしこの全エネルギーを利用できたとしても,1m^2分の
太陽光を10時間積算してさえ,そのエネルギーはヘキサン1Lの燃焼熱と同程度でしかありません.
そんなわけで,自動車単体で太陽光由来のエネルギー
のみで走行させるのはエネルギー的に無理です.
まあ,10日充電して1日走るとか,そういうもので良ければ
可能かもしれませんが.
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- 2008年02月24日 17:48
- >JNさん
根本的に考え方が間違っています。
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- 2008年02月25日 15:49
- こういうところでのやりとりは、言われた方にとっては非常にカチンと来るものですので、丁寧な言葉遣いでお願いいたします。
水素エネルギーは優れた点は多いですが、インフラ整備なども大変ですので、いつかたどり着くべき理想のエネルギーというような位置づけに今のところなるのかなと思います。
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- 2008年02月25日 19:24
- >9の方
mit33さんの「タンクに水を入れれば走る車」という部分に
関してですので,根本的な部分で間違っているとは思わないのですが,
どのあたりが根本的に間違っているのでしょうか?
ご指摘いただけると助かります.
無論,どこかに大規模な設備を作ってそこで水を分解->水素発生
とし,それを輸送・貯蔵して車を走らせることを否定する
わけではありませんが,水分解光触媒と水素の貯蔵の
二つの技術に基づき,かつ「タンクに水を入れれば走る車」
という言葉から私がイメージできるものは,車単体に
光触媒をつけ,そこへの光照射のエネルギーにより水を分解,
そして生じた水素を保持/走行する自動車(この場合
前述の
通りエネルギー的には無理ですが)となるのですが,
まったく違うもののことなのでしょうか?
(とするとタンクに水を入れれば走る,という部分がちょっと
不明といいますか)
-
- 2008年02月25日 22:35
- >JNさんへ
言葉足らずですいません。
「タンクに水を入れれば走る車」に関してですが、これができないとおっしゃられていますが、これは全くの同意見です。別にこの意見がおかしいといっているのではありません。
>太陽光のエネルギー密度はおよそ1kW/m^2.
もしこの全エネルギーを利用できたとしても,1m^2分の太陽光を10時間積算してさえ,そのエネルギーはヘキサン1Lの燃焼熱と同程度でしかありません.
とありますが、この「例え」を出した意味が僕には分からなかっただけです。特に意味が分からなかったのは、「もしこの全エネルギーを利用できたとしても」「エネルギーはヘキサン1Lの燃焼熱と同程度でしかありません」という意見です。こういった問題(エネルギー密度の問題)の解決策として「光触媒」があると思うのですが。
むしろ、接触反応であること、量子収率の問題、使用波長領域のほうが大問題だと思うのですが。
-
- 2008年02月26日 12:57
- >12
>こういった問題(エネルギー密度の問題)の解決策として
>「光触媒」があると思うのですが。
前文で言いたかったことは,「エネルギー密度から考えて,
その場で水素を作って走るのは無理ですよ」という事だけです.
もちろん太陽光のエネルギー密度が(現実の系よりも)十分
高ければ可能となりますので,無理だということを概算で
示すために(全照射光をすべて化学エネルギーに変えられる
ような理想的な光触媒を利用して)全エネルギーを利用しても
高々この程度で実用的ではないですよ,というのを示す以上の
意味はありません.
量子収率等は確かに問題ではありますが,まあ上述のように
「車と同じサイズの受光体で車を走らせるのは無理」
というのを言いたかっただけなので,理想的として無視しています.
-
- 2008年02月26日 19:48
- >JNさんへ
僕は文章ベタなので、長いグダグダとした文章になるかもしれません。
ですので気が向いたときにでも読んでください。
コメント8番目で「もしこの全エネルギーを利用できたとしても」、また、コメント13番目で「全照射光をすべて化学エネルギーに変えられるような理想的な光触媒を利用して」とありますが、この主張の意味が僕にはどうしても分かりません。
全照射エネルギーとありますが、赤外光も含めてという意味で書いたのですね。
長波長の光に応答する光触媒を開発しようとしたら、バンドギャップを小さくさせる必要がありますよね。伝導帯の準位を下げることは光触媒活性を下げることになりますから、当然、高い伝導体を維持したまま価電子帯を持ち上げなくてはいけません。
が、どこまでも持ち上げれるわけではありません。
-
- 2008年02月26日 19:48
- 光触媒で水分解を考えたとき、持ち上げれる価電子帯の上限はO2/H2Oですから水素標準電極電位に対して+1.23Vまでです。つまり、理論的にはバンドギャップは1.23 eVまで小さくできるとなります。1 eVは1240 nmですから、1.23 eVは1008 nmぐらいでしょうか。つまり、水を分解させるのに必要な光エネルギーは理論上1008 nmまでです。太陽光は2500 nm以上の光も含みます。ですから、あなたの言う「全照射光をすべて化学エネルギーに変えられるような理想的な光触媒を利用して」というのは理論上ありえないのです。僕が、根本的に考え方が間違っているといったのは、あなたは「水が分解可能なバンド構造」という一番初めに考えなくてはいけないことを全く持って無視して議論しているところです。どんな有能な光触媒がこの先できようが、1008 nm以上の光を照射しても水は分解できないのですよ。
-
- 2008年02月26日 20:19
- 2つ目に「エネルギーはヘキサン1Lの燃焼熱と同程度でしかないのでエネルギー的に無理」という考え方です。
あなたは光エネルギーの密度「しか」考えていませんが、これは根本的におかしいと思います。なぜなら水を分解するのは「光エネルギー」ではなく「光触媒」だからです。当たり前ですが、水に光「のみ」を照射しても分解しませんよね。あなたの言葉をかりるならば、「エネルギー密度の低い太陽光をいくら当てようが水は分解しない」というわけです。
その系に酸化チタンが入り、その酸化還元力が生み出されて初めて分解されるわけです。あなたの言葉を借りるならば「太陽光はエネルギー密度が低いはずなのに、ヘキサン1Lの燃焼熱と同程度でしかないはずなのに、なんとなんと水が分解した。」というわけです。
-
- 2008年02月26日 20:30
- 水の完全分解はは4電子系ですから、水1分子分解させるのに最低4個の光子が必要ですよね。極端な話、エネルギー密度が小さかろうが大きかろうが、へキサン1Lの燃焼熱と同程度だろうがでなかろうが、たった4個の光子があれば1分子の水を分解できるわけです。
もちろん、エネルギー密度が高いほど、単位面積当たりの光子数も増え、処理時間は格段に減少するでしょう。つまり、あなたのいうようにエネルギーが高ければ高いほど処理日数も短くなるわけです。そういう説明をしてくれたら僕も納得できます。
-
- 2008年02月26日 20:32
- しかし、あなたの説明は「ヘキサン1Lの燃焼熱なので車を走らすのは無理」と熱?で考えています。しかも、これは光のエネルギーです。車を走らせるのは「ヘキサン1Lの燃焼熱と同程度の光エネルギー」ではなく「光合成のようにエネルギー蓄積型で貯められた化学エネルギー(水素エネルギー)」です。
この議論に「ヘキサン1Lと同程度の燃焼熱しかない」という主張は全く持って意味が分かりませんでした。
そこが根本的におかしいのではと書きました。
-
- 2008年02月26日 23:46
- 元々(ってか今もですが)私は物性物理やら物性化学やらの
人間ですので,まずエネルギー収支で考える癖があり,その
詳細に関しては後回し(もしくは無視)であることをご了承
ください.以下が私の思考過程です.
考察すべき対象は「水を(搭載した何らかの装置により)
太陽光により分解してエネルギーを発生し,それで自走する
自動車は可能か?」というものです.
まず,太陽光のエネルギーを利用する場合,得られるエネルギーは
(それがどのような形であれ)太陽光のエネルギーを超えません.
まあこれは保存則から自明ですね.
このとき,「太陽光の全エネルギーを(方法は問わず)利用した
場合に(通常使用に耐える速度で)自走可能である事」が
前述の検討課題が実現できるための必要条件となります.
-
- 2008年02月26日 23:47
- さて,太陽光のエネルギー密度はわかっていますし,
常識的な車のサイズ(1m^2の桁)も分かっていますので,
この仮想的な自動車に降り注ぐ全エネルギー(=利用できる
エネルギーの最大値)は計算可能です.
おおよそ求めると,10時間の降り注ぐ太陽光のエネルギーを
積算したものが,ヘキサン1Lの燃焼熱と同程度ということが
わかります.
(自動車の内燃機関の熱効率はおよそ30%程度ですから,
この太陽光から得られるエネルギーを100%自動車の駆動に
使用できれば実際にはガソリン3-4Lと同等なのですが,
とりあえずこのファクター3-4は置いておきます)
-
- 2008年02月26日 23:47
- つまり,この(太陽光の全エネルギーを転換して推進できる
という理想的な)光変換自動車は,一日10時間ほど日当たり良好な
場所で充電して,ようやく(通常の自動車が)ガソリン1Lで
走行できる距離を走れるにすぎない,ということになります.
つまり単純にエネルギー収支だけを考えると,光-化学
(電気でもいいですが)変換型の自動車では実用的ではない
という結論が得られます.
まあ8のコメントで書いたように,数日に1日しか乗らない
とかなら可能ではありますが
(もちろん水素を自動車そのものではなく外部から供給する
などの場合はこの限りではありませんが,あくまで最初の
議論の対象が水を入れて光を当てると走る自動車,という
事ですので)
-
- 2008年02月26日 23:48
- *前述のファクター3-4もかかりますが,光変換型の自動車でも
モーターなり燃焼部分なりの何らかのロスが近い程度あります
ので,劇的には変わらないことでしょう.
また,光-化学(エネルギー)変換部分の詳細な機構に関しても,
何であれ効率を落とすものでしかない(まあ上で考えて
いるのが効率100%の仮想的機関ですので)ので,議論
(上述の自己水素発生型自動車が現実的か否か)には何も
関係してこないため考慮しておりません.
実際には通常の単段吸収の光触媒/太陽電池等ではエネルギーの
利用効率が1よりはるかに小さいことも存じておりますが
(一応その辺もやっている研究に関連しておりますので……),
同様に無視しております.
-
- 2008年02月26日 23:51
- 要は,うちら物性屋がよくやる考え方で,
「前提条件を緩く取って,その緩い条件でも実現不可能なら
現実の系では当然実現不可能,緩い条件でできるか微妙そうなら
もうちょっとまっとうな途中の機構やらを考えて詰める」
という流れにおいて,今回の検討対象は最初の緩々の条件に
おいてすらバッサリ切られるよ(だから無理),というだけの事を言っています.
-
- 2008年02月27日 07:58
- その前提条件が大幅に、そして、根本的に間違っているといっているのです。
まず、あなたは1008nm〜2500以上の使えない光までを含めて計算しています。ここで大幅にずれているといっているわけです。物理屋さんでかつその道で研究したことがあるのなら、当然、あなたの計算法がいかにおかしいかわかりますよね。1008nm〜2500nm以上という、ありえないエネルギー分も含めているわけです。
-
- 2008年02月27日 07:59
- 第2に、水を分解する際に必要な最低バンドギャップは1.23 eVですから、当然、水より1.23 eVの光エネルギー分高くったのが水素・酸素のポテンシャルエネルギーです。つまり、光エネルギー分の1.23 eV(237KJ/mol)エネルギーが蓄積されるわけです。これは1.23 eV=1008 nmのときですね。では、1008 nmより短波長ならどうなるのか?たとえば400nm あたり3 eVでも蓄積できるのは当然1.23 eVですので、(3-1.23)eV分の光エネルギーが無駄になるわけです。ここでまた大きく計算がずれます。
-
- 2008年02月27日 07:59
- つまり、現実はもっとエネルギーが低くなるわけですよね。だから僕は車を自走させるのは不可能という意見です。あなたの文章をみてもあなたも同じように「実際はもっと低くなる」という考え方なのはよく分かります。しかし、あなたの出した前提条件はあまりにおかしいのです。1008nm以上の光を含めたりした時点で、前提条件としては根本的に間違っています。他人のプログで第3者同士が話し合うのもなんですし、さすがにこれ以上の書き込みは控えます。もしまだ納得がいかないようでしたら、議論の場を移しませんか?
-
- 2008年02月27日 12:37
- ああ,なるほど,そこが気になるわけですか.
私のスタンスは,あくまで前述の水素駆動車(A)が不可能である
ことを示したい,というもので,そのためには
・実現が不可能であることを主張するためには,
非現実的なほどの好条件でも不可能であることを
示せば十分である.そのためには,光のエネルギー
すべてを利用する自動車(B)ですら非実用的である事を
示せば事足りる.
というものです.ですのでAの細かな機構/現実的な条件に関しては
議論するつもりもありませんし,する必要もないわけです.
やりたいことはAの否定,その手段としてA∈Bであるから
Bを否定すればよい,という論法です.
-
- 2008年02月27日 12:58
- あ,失礼.上の∈は,「BはAを元として含む」です.
さて,なぜ機構の詳細に関して踏み込まなかったかといえば,
それが面倒だからです.例えば
>400nm あたり3 eVでも蓄積できるのは当然1.23 eVですので、
>(3-1.23)eV分の光エネルギーが無駄になるわけです。
と書かれていますが,これは正しくありません.
例えば光を利用する機構として,まず波長分解を行い,
それぞれの波長域において最適な励起エネルギーをもつ
何らかの異なる分子に吸収させ,さらに水分子を分解できる分子
複数個にうまく分配できるシステムが存在したとしたら?2個分の
解離エネルギーを,水を分解できる分子*2の励起へと移動できれば
無駄は格段に少なくなります.
-
- 2008年02月27日 12:59
- また
>1008nm〜2500nm以上という、ありえないエネルギー分も含めているわけです。
に関しても,では多光子過程やら,多種類の分子で低い
励起エネルギーを吸収し,それを次第に蓄積して多段階で
別の分子の高い励起エネルギーにまで持ち上げる分子群から
なる何らかの機構が存在したら?(極端な話,0.1Vの太陽電池を
直列につなげば似たような機構になるわけですが)
それらすべてが不可能だと言えるでしょうか?
その他さまざまなこの世の中に存在もしていないし実証も
出来ていない(それどころか考え付かれてもいない)ような
ありとあらゆる手法を用いても実現不可能である事を示すには,
より根本的なところ(保存則やら,熱力学法則やら)で否定する
のが常道ですので,その方針で進めました.
>議論の場を移しませんか?
確かに.
もし続きがあるようでしたら,
lepton@dream.com
までメールにて.
-
- 2008年02月27日 18:35
- すいません,続きはメールでと書いておいてあれですが,
表現のまずいところがありましたのでその部分だけ訂正します.
27の「AはBの元」ってのは変ですね.
「Aにできることの集合は,Bにできることの集合の元」
に訂正いたします.BでできないことはAでもできない,です.
失礼いたしました.
-
- 2008年02月27日 18:37
- >JNさんへ
JNさんの主張を読ませていただきました。
せっかく、メールアドレスを教えていただいたのですが、どこのだれか知らない人にメールアドレスがばれるのは抵抗がどうしてもあるため控えたいと思います。申し訳ございません。
そして、あなたたとの議論ももうやめたいと思います。はじめはさとうさんにも迷惑がかかるので「あなたとどこか別の掲示板で議論したいな」とも思いました。しかし残念ながら、あなたは屁理屈ばかりで全く持って現実のない空想論ばかりの返信しかしてこられません。たぶん、僕とあなたがあと100万回メッセージをやり取りしても、終わらないでしょう。
-
- 2008年02月27日 18:57
- 最後に、せっかく解答してもらったのに、返信しないのは失礼だと思うので、返信だけしておきます。
>多光子過程やら,多種類の分子で低い
励起エネルギーを吸収し,それを次第に蓄積して多段階で別の分子の高い励起エネルギーにまで持ち上げる分子群からなる何らかの機構が存在したら?
まず、太陽光の光量レベルで、多光子吸収など起こるのでしょうか???
「レーザーみたいな強力な光源を使って」とでもいいたそうですが、1008nm以上の光で水を分解させるために、わざわざ、そのような複雑な系を構築し、そして維持していくつもりでしょうか。
大幅なエネルギーロスですね。
-
- 2008年02月27日 18:58
- 続いて、「多種類の分子で」とありますが、光触媒の系に「有機物」を混合するおつもりでしょうか?もちろん、光触媒は水だけではなくあなたが用いようとしている「多数の分子」も無駄に分解していくでしょうね。加えれば加えるほど、無駄な副反応もおこるでしょうね。そして、その「多数の分子」を導入するコスト・エネルギーも相当なものですね。可視領域を使えばほっといても水素が得られるものを、わざわざ1008 nm以上の光を利用するために、そのような無駄をしたいとはずいぶんと面白い案ですね。「0.1Vの太陽電池を直列につなげば」とありますが、1008 nm以上の光を利用するためにまた無駄な設備とエネルギーを使うのですか?
-
- 2008年02月27日 19:08
- 「システムが存在したとしたら?」
「何らかの機構が存在したら?」
「それらすべてが不可能だと言えるでしょうか?」
「何らかの異なる分子に吸収させ」
全て具体性のない言葉でつづられた反論ですね。
システムがあるのなら、どういった物質を用いて、どう構築して、どのような理論で、どのようにするとエネルギー効率の採算があうのか議論してはどうでしょうか。
あなたの頭の中ではちゃんとした道筋が見えていても、僕には全く見えませんでした。
僕が馬鹿なだけで話がついていけないのなら、これ以上やり取りするのはあなたに失礼なわけですし、
反対に、あなたの主張が単なる屁理屈だとしたら、僕は付き合うつもりもありません。
したがって終わりにしたいと思います。
-
- 2008年02月28日 01:10
- たぶん観点が違うんですよ.
私が議論したいのはあくまでも,「あるシステムを考えたときに
可能なのか不可能なのか」
ではなく,「原理的に禁止されないどんなシステムを持って
こようが不可能」ということなのです.
これを示すためには,「現状の技術レベルで不可能だが原理的
には禁止されない過程」を用いたとしても不可能である,ことを
示す必要があります.
ある提示された永久機関の動作を否定をするのに,個別のシステムを
持ってきて議論する代わりに,たとえばニュートン力学と電磁気学の
基礎事象すべてがエネルギー保存的であり,ゆえにそれらを
どんなふうに(想像もつかない方法を含めて)組み合わせても
エネルギーは湧き出てこないと示すようなものです.
-
- 2008年02月28日 01:16
- >太陽光の光量レベルで、多光子吸収
多光子吸収ではなく,多段過程を想定していました.
光吸収->変形->さらに吸収,など.なんでもいいのですが.
別解としては,タンデム型太陽電池のようにいったん電気的な
ポテンシャルにしてしまってもかまいませんが.あれはまさに
多段にすることにより低エネルギー側,高エネルギー側を
効率よく活用するシステムですよね.
いわば
>1008 nm以上の光を利用するためにまた無駄な設備
のようなものです.短波長側も使いますが.
>光触媒の系に「有機物」を混合するおつもりでしょうか?
そもそも,私の考察しているのは現存する光触媒だけではありません.
「光を駆動力に水素(エネルギー)に転換する全システム」
です.ですから,当然ある種の(いまだ存在しない高効率な)
人工光合成システムも含みます.
-
- 2008年02月28日 01:20
- 私の見たところ,そちらの論点は
「現実の系では**などの要因でそんな変換効率はどうやっても
実現できない.もっときちんとした考察に基づくべきだ」
ということだと思うのですが,私の8での論点は,
「現実の系よりはるかに効率の高い非現実的な系をもってしても
実現は不可能であると示せた.だから当然より能力の劣る
現実の系でも(その詳細は考慮せずとも)そんなことは不可能だ」
というだけなんですが.この論法は別に間違ってはいないと
思うんですが,どのあたりが気になるんでしょうか?
-
- 2008年02月28日 01:23
- つまり,現実の系に立って,その限界を取り入れて議論を進めると,
遠い将来にわたって作り出される(かもしれない)別の機構の
より高効率なシステムに関しては再度検討する必要が生じる
可能性がありますが,それらも含めたより大きな枠組みで
否定してしまえば,今後どのような仕組みが生まれてきたとしても
変わらず否定できる分だけより強力な否定になっています.
あくまで無理なシステムの否定が目的ですので,より厳しく
否定する議論に問題はないと思いますが.
-
- 2008年02月28日 03:35
- とりあえず,最初に立ち返って8での議論の流れをまとめます.
1:命題 太陽光で自ら水素を作り走る自動車Aは非現実的である.
2:前提a Aは太陽光を変換して走る自動車Bの一種である
3:前提b Bのエネルギー変換効率が1を超えることはありえない
4:前提c 太陽光のエネルギー密度は有限である
5 3,4と常識的な自動車のサイズより,Bの利用できるエネルギー
には上限値が存在し,それは太陽光のエネルギー密度*受光面積*
変換効率(この積をE0と置く)以下である
6 簡単な計算により,E0は自動車の日常使用からみると非実用的と
呼べる程度には小さい.
7 6より,E0以下のエネルギーしか使えないBは非現実的である.
よってその要素Aも非現実的であり,命題は示された.
以上です.6の非現実的の判断基準にはまあ任意性が残りますが,
それ以外の点って特に突っ込みようがない気が.
-
- 2008年02月28日 03:47
- しつこくすいません.
ちょっと読み返していて思ったんですが,もしかして私が
「太陽光の全エネルギーを利用できる」
と主張しているように受け取られていたりするんでしょうか?
そうではなくて,私が主張しているのは,
「たとえ太陽光の全エネルギーを何らかの手段で利用できたと
しても非現実的(だからもっと低いエネルギーしか利用できない
現実の様々な機構も当然非現実的)」
です.
太陽光のエネルギーのどこまでが利用可能かは当然どのような
システムを組むかに依存しますので,それは議論していません.
(あらゆる複雑な機構を許容すれば,自明な制限は熱力学的な
制限しかありませんので,具体的にあらゆる系を含めた中での
最大効率がいくつか,というのは考えるのが大変.そのため
考えてません.比較的単純な太陽電池でさえ,単段で30%ぐらい
なのに,多段にすれば理論効率はそれこそ8-90%ぐらいは行きますし)
-
- 2008年02月28日 07:13
- >JNさんへ
返信ありがとうございます。
もう書かないと思いましたが、質問されていながらそれに答えないのは「やり逃げ」みたいで大変失礼なので返信させていただきます。
>「太陽光の全エネルギーを利用できる」
と主張しているように受け取られていたりするんでしょうか?
とありますが、まさにそう受け止めていました。
>「たとえ太陽光の全エネルギーを何らかの手段で利用できたとしても非現実的(だからもっと低いエネルギーしか利用できない現実の様々な機構も当然非現実的)」
とありますが、あなたの言いたいことはよく分かりました。
まぁ、はじめてコメント9番目を書いたときは、まさかここまで話が続くかとは思いませんでした(笑)。でも、そうした中でいろいろ考えさせられましたし、僕自身、勉強にもなりました。
ありがとうございました。
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