「フォトクロミック化合物」という言葉をご存知でしょうか。「単一の化学種が光の作用によって分子量は不変のままで、吸収スペクトルの異なる二つの状態間を可逆的に異性化する化合物」のこと――と定義はややこしいのですが、要は「光を当てることで分子構造が変化し、色も変わる化合物」のことです。よく知られたフェノールフタレインやBTBはpHに反応して色が変わりますが、こちらは光に対応して変色する分子ということになります。
この類のものとしては入江正浩教授の開発した「ジアリールエテン」と呼ばれる化合物群が有名で、光メモリなどに実用化が期待されています。またフォトクロミック化合物の中には、日光に当たると色がつくサングラスなどとしてすでに商品化されているものもあります。このあたりについてはそのうちまとめて本館に書いてみたいと思っています。
さてこのほど青山学院大学の阿部二朗准教授のグループから、面白い化合物が報告されたのでご紹介しましょう。紫外線を当てたところがすぐさま緑に変わり、また元に戻る性質の分子です(Org. Lett., 10 (14), 3105–3108, 2008. DOI:10.1021/ol801135g フリーでダウンロードできるようです)。
2,4,5-トリフェニルイミダゾール(TPI)誘導体は、光を当てるとラジカルを発生することが以前から知られていました。ただしこのラジカルは反応性が高すぎ、周囲の分子と反応してすぐ壊れてしまいます。

2,4,5-トリフェニルイミダゾール
そこで阿部らは、このTPIを2つナフタレン環に縛りつけ、強制的に向かい合わせにした化合物を設計しました。


(黄:元の分子、緑:光が当たった時)
紫外線によって環が開裂するとビラジカルが発生し、化合物は緑に変化します。しかしこれは熱または光によって再結合し、すぐに無色の分子に戻ります。
この様子を収めた動画がYouTubeに上がっています。面白い映像ですのでぜひご覧下さい。
論文で見ると門外漢にはとっつきにくい研究でも、動画で見ればその面白さはすぐ理解できます。ネットの威力を感じると同時に、このような興味深い化合物を自在にデザインし、創り出せる化学という分野の面白さを再認識させてくれる研究です。
この類のものとしては入江正浩教授の開発した「ジアリールエテン」と呼ばれる化合物群が有名で、光メモリなどに実用化が期待されています。またフォトクロミック化合物の中には、日光に当たると色がつくサングラスなどとしてすでに商品化されているものもあります。このあたりについてはそのうちまとめて本館に書いてみたいと思っています。
さてこのほど青山学院大学の阿部二朗准教授のグループから、面白い化合物が報告されたのでご紹介しましょう。紫外線を当てたところがすぐさま緑に変わり、また元に戻る性質の分子です(Org. Lett., 10 (14), 3105–3108, 2008. DOI:10.1021/ol801135g フリーでダウンロードできるようです)。
2,4,5-トリフェニルイミダゾール(TPI)誘導体は、光を当てるとラジカルを発生することが以前から知られていました。ただしこのラジカルは反応性が高すぎ、周囲の分子と反応してすぐ壊れてしまいます。

2,4,5-トリフェニルイミダゾール
そこで阿部らは、このTPIを2つナフタレン環に縛りつけ、強制的に向かい合わせにした化合物を設計しました。


(黄:元の分子、緑:光が当たった時)
紫外線によって環が開裂するとビラジカルが発生し、化合物は緑に変化します。しかしこれは熱または光によって再結合し、すぐに無色の分子に戻ります。
この様子を収めた動画がYouTubeに上がっています。面白い映像ですのでぜひご覧下さい。
論文で見ると門外漢にはとっつきにくい研究でも、動画で見ればその面白さはすぐ理解できます。ネットの威力を感じると同時に、このような興味深い化合物を自在にデザインし、創り出せる化学という分野の面白さを再認識させてくれる研究です。

