さて明日12日は、科学技術館にて一席ぶってまいります。テーマはカーボンナノチューブ関連。まあ筆者の講演はともかく、このシアターの星空は大変な迫力ですので、御用とお急ぎでない方はご来館いただければ幸いです。例により、折り紙のナノチューブ模型など性懲りもなく持ち込む予定です。

 というわけで、古くからの読者の方はご存知の通り、筆者の趣味は折り紙です。この趣味の人間は、形あるものなら何でも紙で折ってみようとするものです。で、筆者もふと思いつきました。今年ノーベル賞を受賞した、準結晶をなんとか折り紙で作れないものか。
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非周期的タイル張り・ペンローズタイル


 この図形、角度が36°・144°の菱形と、72°・108°の菱形から成ります。このパーツをひとつひとつ折り紙で作って組んでいけばいいわけですが、実は辺の長さを揃えようとすると結構面倒であることに気づきました。三角関数とかを駆使して計算し、面倒くさい紙の切り出しをする必要があります。うーむ、どうすっかな……(-_-)。

 と、筆者はここでひらめきました!筒状の角柱を作り、これを上から見れば簡単にサイズの揃った菱形が作れるではないか!これなら面倒な計算なしに、サイズ合わせが可能ですよ!(べっ、別に三角関数の計算ができないわけじゃないんだからねっ!より簡便な技法をみなさんに提供したいだけなんだからねっ!)

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こういうことっすね。

 用紙は折り紙や紙テープを切ってもいいし、なんならチラシの裏でも何でもいいわけですが、ここでもうひとつひらめきました!ポストイット、和風にいえば付箋を使えばよいではないか!ついている糊も役立ちます。

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ポストイットふせんハーフ

 付箋用紙はわざわざ切るまでもなく細長いものが売っていますし、カラフルで紙質のいいものがたくさん手に入るので、気兼ねなく使えるのもいいところです。筆者は手元にあったポストイットふせんハーフを使いましたが、100円ショップのものでも十分でしょう。この規格は12.5mm×75mm、つまり1:6の比率です。

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こんな感じで6等分してゆく。


 で、これを一番上の写真のように四角柱の形に巻き、外側を付箋の糊で止めれば完成。図解するとこういう感じです。
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上から見たところ。巻くように折って止める。

 うむ、賢いな俺!ふだんの仕事でもこれくらい頭が回ればいいんだがな!まあとにかくこの要領でガシガシと作っていきます。菱形は36°と72°の2種類ですから、これを水色とピンクで色分けして作ってみます。

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量産ッ!
ryousan2
さらに量産ッ!折り出したら止まらない、折り紙界の暴走特急とは俺のことだッ!
(↑落ち着け馬鹿)


 で、これを側面に糊をつけてぺたぺた貼り合わせてゆきます。

10gon
まず正10角形。


 注意すべきは、5回転対称を保ちながら貼っていくこと。また菱形の角度は先ほども述べたように36°を基本としています。36°を1単位としたとき、2種の菱形の頂点はそれぞれ1,4と2,3になります。ですので1点に10単位、すなわち360°が集まるように貼っていけば間違いありません。

10unit
1頂点に10単位が集まるよう貼り合わせる。


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貼っていくッ!
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まあこのへんにしといたるわ!


 実はこの形、上記のルールさえ守っていれば、どう貼ろうと破綻せずにどこまでも広げていけます。かなり柔軟性の高い形であることが実感でき、このへんは実際に作ってみて初めてよくわかるところです。材料も手近で手に入りますし、科学教室のワークショップの題材などにいかがでしょうか。

 ただこれは実は準結晶ではなく、その2次元版というべきペンローズタイルですから、「折り紙準結晶」というのは若干誇大広告です。3次元版も現在考えておりますので、できたらまた発表いたします。

 ということでまた!

 ※角柱を木口から見るというアイディアは、川崎敏和氏の「バラと折り紙と数学と」から拝借しました。