ギリシャ神話に登場する、ミダス王という人物をご存知でしょうか。彼はリディアという国の王だったのですが、ある時神様にお願いして「手に触れたもの全てが黄金に変わる」という能力を手に入れます。しかしこれによって食べようとした食事も、飲み水も片端から黄金に変わってしまうことに気づき、あわてて取り消してもらうというストーリーです。まあドラえもんとのび太の紀元前バージョンみたいなお話ですね。

自然金(ウィキペディアより)
しかしなんと、黄金のかたまりを作り出す細菌が実際に発見されたという報告が、Nature Chemical Biologyに掲載されました。といってもこの細菌は、錬金術師のようにいきなり金を作り出すわけではありません。まわりに存在する金イオンを捕まえて、金の微粒子に変えるという働きを持ちます。
このように、生物が鉱物を作り出すことを、「バイオミネラリゼーション」と呼びます。貝が炭酸カルシウムで真珠や貝殻を作り出すのも、このバイオミネラリゼーションの一種です。この仕組みはまだわかっていない点も多いのですが、解明されればナノ材料などの製造法に応用できるかもしれないということで、現在注目を集めています。今回の細菌は、金のバイオミネラリゼーションを行う最初の例ということです。

真珠もバイオミネラリゼーションの産物。
黄金を作る細菌Delftia acidovoransはどういう手段を使っているのか。研究の結果わかってきたのは、彼らが「デルフチバクチンA」という物質を分泌していることでした。下図のように、いかにも金属イオンにキレートしそうな官能基をあちこちに持っています。これによって金イオンを集めてくるのだと思われます。

デルフチバクチンA
この構造は、ある種の細菌が作る「シデロフォア」という物質に似ています。これは、細菌の生存に必要な鉄イオンを捕まえて集めるための物質です。

シデロフォアの一種、ムギネ酸が鉄イオンを捕獲したところ
では、Delftia acidovoransは生存のために金を集めているのか?どうやらこれは逆で、毒性のある金イオンを周辺から集め、無害な金属の金に変えるために、こういうことをしているようです。できた金の粒子は、彼らのすみかにもなっているということで、いわば黄金の宮殿に住んでいるわけだから豪華なものです。
この細菌をたくさん培養してやれば、そこらから金を集めてきて金塊を作ってくれるのか?そううまく行けばいいのですが、どうやら現実は甘くありません。デルフチバクチンは金以外に鉄などともくっつくので、そこらでこの細菌を育てても、よくて鉄の塊を作ってくれるのがせいぜいでしょう。
とはいえ、土壌中の毒性重金属の処理などに使えるようなこともあるかもしれませんから、金の卵とはいわぬまでも、面白い可能性を秘めてはいそうです。研究の行方に注目しましょう。

自然金(ウィキペディアより)
しかしなんと、黄金のかたまりを作り出す細菌が実際に発見されたという報告が、Nature Chemical Biologyに掲載されました。といってもこの細菌は、錬金術師のようにいきなり金を作り出すわけではありません。まわりに存在する金イオンを捕まえて、金の微粒子に変えるという働きを持ちます。
このように、生物が鉱物を作り出すことを、「バイオミネラリゼーション」と呼びます。貝が炭酸カルシウムで真珠や貝殻を作り出すのも、このバイオミネラリゼーションの一種です。この仕組みはまだわかっていない点も多いのですが、解明されればナノ材料などの製造法に応用できるかもしれないということで、現在注目を集めています。今回の細菌は、金のバイオミネラリゼーションを行う最初の例ということです。

真珠もバイオミネラリゼーションの産物。
黄金を作る細菌Delftia acidovoransはどういう手段を使っているのか。研究の結果わかってきたのは、彼らが「デルフチバクチンA」という物質を分泌していることでした。下図のように、いかにも金属イオンにキレートしそうな官能基をあちこちに持っています。これによって金イオンを集めてくるのだと思われます。

デルフチバクチンA
この構造は、ある種の細菌が作る「シデロフォア」という物質に似ています。これは、細菌の生存に必要な鉄イオンを捕まえて集めるための物質です。

シデロフォアの一種、ムギネ酸が鉄イオンを捕獲したところ
では、Delftia acidovoransは生存のために金を集めているのか?どうやらこれは逆で、毒性のある金イオンを周辺から集め、無害な金属の金に変えるために、こういうことをしているようです。できた金の粒子は、彼らのすみかにもなっているということで、いわば黄金の宮殿に住んでいるわけだから豪華なものです。
この細菌をたくさん培養してやれば、そこらから金を集めてきて金塊を作ってくれるのか?そううまく行けばいいのですが、どうやら現実は甘くありません。デルフチバクチンは金以外に鉄などともくっつくので、そこらでこの細菌を育てても、よくて鉄の塊を作ってくれるのがせいぜいでしょう。
とはいえ、土壌中の毒性重金属の処理などに使えるようなこともあるかもしれませんから、金の卵とはいわぬまでも、面白い可能性を秘めてはいそうです。研究の行方に注目しましょう。

