先日発売の「世界史を変えた新素材」は各紙の書評で取り上げていただき、3刷目と好調な売れ行きです。皆様のご愛顧に感謝いたします。

 これに続き、昨日あたりから書店に新刊「すごい分子〜世界は六角形でできている」が並んでおります。タイトルにある「六角形」は言うまでもなく、有機化学の象徴たるベンゼン環のことです。一度は書いてみたいと思っていたブルーバックスからの刊行ということで、感慨もひとしおです。


表紙はこちら。

 以前から広報担当という形で参加している「π造形化学」の関わりから生まれた本で、有機エレクトロニクスやナノカーボン類など、最先端の成果を紹介しています。ただしそこまで高度ではなく、芳香族化学の基礎からスタートしていますので、高校生くらいでも十分読めることと思います。

 芳香族の化学の裾野は実に広大で、染料、医薬、液晶、有機EL、プラスチック、太陽電池などなど応用範囲は多岐にわたります。筆者あたりには手に余るテーマではありますが、非専門家ならではの暴勇を振るって、ざっくりとかつ面白く書き上げたつもりです。


 筆者にとって、純然たる有機化学の本を書いたのは、デビュー作の「有機化学美術館へようこそ」以来12年ぶりということになります。実は、科学書籍では老舗中の老舗であるブルーバックスでも、有機化学関連の本は非常に少なく、化学分野まで広げてみてもあまり多くはありません。

 ということで、今後ブルーバックスから化学の本が出せるかは、今回の本の売れ行きにかかっております。でありますので、書店で見かけたらひとまず手にとってやっていただければ幸いです。