2007年05月29日

人格者

中学3年の時だった。授業で使っていた数学の問題集を紛失してしまったので、昼休みに職員室に担任の先生に「貸してもらえませんか」とお願いに行ったところ、他の数学の先生と一緒に食事をしていた先生は、予備の1冊を貸してくれた。午後の数学の授業の開始前、先生は軽いお話で始めた。「以前、○○製菓の息子の担任だったことがるけれど、実に礼儀正しかった。彼に用があったから、他の生徒に彼に職員室まで来るように伝言すると、昼休みの食事中に来たんだ。『先生、お食事中大変申し訳有りません、もしかして私のことを呼ばれましたでしょうか』と言ってきて。さすがに老舗名門の云々かんぬん・・・」・・・なんでこんな話しで始めたかは他の生徒は知る由もないが私への当て付けだった。私の頼み方はこれと較べたら誠に無礼だったから。
かといって、じゃぁこの先生がこんなふうにやんわりとでも説諭できるだけの人格者だったかと言うと全くそうではなかった。数年前には生徒を算盤で叩き、鼓膜を破ってしまう事故も起こしたらしい。だから鼓膜破りの○○、と言うあだ名だった。だけれど、私はこの先生が面白かったので好きだった。
当時としては非常に恥じ入って以後気をつけようとは思った。そこで出てきた老舗は鎌倉の、平和のシンボルを象った割と有名な菓子店だった。「食事中にのこのこ来て問題集を貸してくれ、などという言い方は失礼だぞ」ときつく言わなかったのはやはり先生の人徳だろう。
仏教入門というような本の初めにこんな話が載っていた。(記憶曖昧)息子が悪さばかりしているので説法して欲しいとその父親が知人の徳の高い僧侶か誰かに依頼する。(誰かよく覚えてないが誰でも知っている人だったと思う)その家に出かけて行って、3人で食事をする。でも一切説法などしない。十分に世間話をして帰り際に玄関で履物を履こうとしてるとその息子がやってきて履くのを手伝ってくれる。その時、説法に呼ばれた高貴な人がその行いに感激して涙を流す。息子ははっとして、以後悪さをしなくなり立派な人格者になった。
http://www.soto-kinki.net/zenwa/houwa/20021126.php
調べたら出てきた。良寛さんだった。
 
徳の高い人と言うのは無言でも人を改心させる物凄さがあるのだけど、私はそうではないからズバズバ直接言ってしまう事が多い。でも時には言うのもはばかるほど情けない場面に遭遇する時も有る。そういった時は何も言わずにその人とは関わらないようにしている。


Posted by rroyce at 06:33│