Auto PEEPについての基本
気管支喘息やCOPDの急性増悪では基本的に肺が過膨張になる傾向があり、Auto PEEPは発生してしまうことがあります。この予防のために深めの鎮静や、low tidal volume、呼吸数を抑えてARDS同様にhypercapniaをある程度許容するといった戦略をとることが多いかと思います。また大前提としてSABA+SAMA+ステロイドといった、これらの原疾患の治療が最大限にできていることも前提となります。
Auto PEEPが存在すると呼気終末に吸気に転じる際にAuto PEEP以上の吸気努力を行わないと吸気努力が口元まで伝わらないためにトリガーができなかったりあるいは遅れたりします。そこで理屈としてはAuto PEEPと同じだけの圧をカウンターPEEPとしてかければ吸気を開始することができます。このカウンターPEEPはAuto PEEPの80%以下に抑えておくことが推奨されています[1]。しかしながら問題点として、自発呼吸がなければVCVで呼気ポーズをとればauto PEEPの測定ができるわけですが、自発呼吸では臨床的にAuto PEEPの測定は難しいためカウンターPEEPの至適値を算出するのは困難なことが多いと思われます。なので個人的には少しずつ5cmH2Oくらいから始めて上限が8-10cmH2OくらいまでカウンターPEEPを増やしながら反応を見る感じになるかなあと思います。結局、意識があれば本人が最も楽という値にセットすることが多い気がします。
トリガー不良の場合は人工呼吸器期間が長く予後不良であることが指摘されているため[2]、やはり喘息発作やCOPDでAuto PEEPのハイリスク患者では人工呼吸器のグラフィックのスケールを拡大し、目ざとく呼気のflowがきちんと0に戻っているかを確認し、怪しい場合は深めの鎮静で呼吸回数を抑えておいた方が無難かもしれません。
[1] Ann Emerg Med 1997;29:275-81
[2] Crit Care Med 2009;37:2740-5