RS485を使ってシステム接続したがとてもノイズに弱い、すぐ止まる
現場が語る  その原因は、こんなミス あんなミス だった。。。特集!


と言う事で、
意外と現場で見落とされているミスと基礎を
システム接続と言う観点からちょっとまとめてみた。


これらの症状として、

     ノイズにとても弱い

     なぜか通信が停止する


結果として とても 重 症 なので見逃せない。

元来RS485やRS422は古くから世界中で採用されている長距離伝送方法なのだ。
昨今では光通信やインターネットと思われるだろうが、そのコストパフォーマンスは
まだRS485やRS422が勝っていると言えるだろう。

RS485やRS422は単純で原始的な為に
使用方法を間違えると思うようにパフォーマンスが出ないのも
事実である。なので以下のようなミスがあれば直ちに修正してしまおう。
そうすることで元来のノイズに堅牢なRS485やRS422性能が引き出せる。


では、
色々な現場でのミス例です。


ミス
 ツイストペアケーブルを使用していない


 バラ線
R0011247










 特にコネクタがDsub9ピンの場合、RS232C用のケーブルを使用している場合
R0011287
もちろん内部がツイストペアで
ピンアサインも合致していればOKですが、
RS232Cは基本的にありえないのでボツです。








 3本がまとまってネジってある、
 いわゆる普通のケーブルを使用している場合
これもボツです。
R0011284









ミス
 複線のねじれをツイストと考えた
 芯線が複数のモノ(単線でない)の場合、
 その芯線同士が普通ねじれている
 電話ではツイストケーブルを使用してますか? - - - - はい
 見るまで判らない。。
 はい、これもボツです。
R0011248









 ★これが正しいツイストペア★ 
(CAT5ケーブの被服を剥いての拡大写真ですのでかなり大きく見えますが、
 線径にしておよそ 0.3□ 程度です。内部が単線の方が特性もよろしいようです)
私は、このペアを、青の方を+へ、白青の方を−へ 接続するくせがあります。
ですので、これを使っていればOKです。
R0011286






















ミス
 ケーブル自体はまともな上記写真のツイストペアですが・・・ 
 2本のツイストペアを一まとめにして+へ
 別の2本のツイストペアを一まとめにして−へ接続している
 電話ではツイストケーブルを使用してますか? - - - - 「はい」
 
「はい」とお客さまに言われてしまったら、、、
写真を写してもらうか、実際見るまで私には本当に判らない。。
 それでは、この例を見てください。

「ツイストペア接続 : これは使い方が間違いです↓」
なのでボツです。
R0011242










実際、こうなっていました。。。ボツ



「ツイストペア接続 : これは正しいです↓」
R0011243












ペアを使うと言うことなんで、やはりこうでしょ。




「ツイストペア接続 : これはとても正しいです↓」
  (空き線をまとめてSGへ接続しています)
R0011245










Good!!



ミス
 スター接続になっている(1mなど短距離であればそれほど支障になりません)
 一箇所から(例えば端子盤)複数のRS422やRS485端末へ何百mも分岐配線している
教科書的にボツですねぇ。(実際には、何年も問題なく動作している例もありました)
スター接続 例
















 

やはり基本は一筆書き(カスケード接続)
 下記は、正しい接続例です
カスケード接続 例















ミス
 端末が3ヶ所以上の場合、終端抵抗が全ての端末でON(接続)になっている
 オシロでみると非常に低い電圧になっている(通常5〜1V)
 もちろん、複数の端末で終端がONになってもダメです。
 大事なことなので繰り返しますが、物理的に一番遠い、
 両端の2台がそれぞれONが正解です。




ミス
 終端抵抗が全てOFF(未接続)あるいは1ヶ所だけとかになっている。
 オシロでみると非常に高い電圧(10V以上)になっておりノイズにとても弱くなっている




ミスと言えるかどうか・・・・
 ツイストペアケーブルのシールドタイプ(理想)なのだが、
 そのシールドをパワー系のFGに接続している
 ノイズをしっかりもらっている可能性あるので、
 一旦、FGからSGを外して様子をみてみてください。
 (実際には教科書のような理想のアースはみあたりませんので注意が必要です)
  



ミス
 光絶縁型の変換器なのに、485や422側のシールドを変換器のFGに接続している。
 この場合、光絶縁の意味がなくなり返ってノイズをもらうことになる
 SGとFGがここで接続されるので非絶縁と同じになるので意味がなくなる。
 また、 ±  だけの相手機器接続で、SGを接続していない場合はもっとまずいだろう



ミス
 SG(シグナルGND)を接続する目的は、
 機器間のGNDループのインピーダンスを下げる為だが
 いわゆるアースは金属筐体に人が触れた場合の保安が目的で
 感電しないように大地に接続している
 しかし実際には工事担当さんがSGとFGを「全て」接続していることがある
 特に強電系の(パワー系)のFGだとノイズに弱い場合がおこる。
 やはりSGとFGの意味を分けて考えないと・・・




ミスではないが、、
 SGが接続されていない
 相手機器にGNDが無い場合があるので接続できない
 なければ接続しょうが無い
 しかしノイズや耐性的には不利なのも事実



 相手にSGが無い場合の対策は、、、

 つなぎたくてもつなげない・・・では、

 485機器のSGをシールドラインを用いて相手機器まで近づけます。

 意味としては下図に示す TIのドキュメント で説明している、

 仮想的な GroundLoop を短くします。

 それでも通信エラー頻度が下がらない場合は、

 もしかすると相手機器のFGへ落とすことで、

 通信エラーが減少する可能性もあります。

 あるいは数KΩの抵抗を用いてFGへ落とす、

 あるいは数pFのコンデンサを用いてFGへ落とす、

 など色々と試行錯誤が必要かもしれません。




:::::補足説明:::::

信号GNDを相手機器の信号GNDとつなぐかつながないか?
についての補足説明をしておきます。
インターネット記事には、あちこち誤った記事が多いので、心配になりました(^^;;


 ネットに流れている間違った記事について

 【 絶縁式RS485は ± の2線だけで良い 】これは大きな間違いです。

 【 低速ならば ± の2線だけで良い 】これは大きな間違いです。

 絶縁式だろうが非絶縁だろが、高速だろうが低速だろうが、

 基準電位となるSG同士の接続せずに良いはずがありません。

 接続しなければRS485の原理的に、

 下図で説明するGroundLoopが必ず生まれます。

 2点間電位差がRS485デバイスの許容電圧範囲を超えると劣化や破損を引きおこします。

 現象として通信エラー頻度が異なるので良いだろうと思われがちなのです。

 プロの工事や365日可動システムでは可能な限り接続してください。

 大地の電位はさまざまな影響により変動していますので、

 忘れたころに通信エラー頻度が上昇します。



信号電圧基準であるシグナルGND:SGを

機器間で繋ぐことは回路設計者なら常識です。


なぜかと言うと、

RS485やRS422は電圧で判断する通信手段だからです。


+側も −側も GNDを基準にした電圧であり、

+と−のペアに同時に入るノイズ(コモンモードノイズ)は、

受信する側のアンプでキャンセル(除去)されます。

(この除去性能も色々あるのですが)

だからノイズに強いと言われる由縁です。


しかし、この電圧基準のGNDが直接接続されていなければ、

仮想的なGND(GNDループ)が自動的に形成されてしまい、

(あなたの足元の床や壁を伝います)

基準GND電位がゆるくなります。


要するにそのルートで帰還する電流が戻るわけです。

だれが想像しても判るとおり、

ちゃんとSG同士を直結する方が素直に電流も戻れます。



参考資料として、

TIのドキュメント抜粋図を以下に載せます。

TI-RS485jpg

上図を含む詳細資料(TexasInstruments)

http://www.ti.com/lit/an/slla272c/slla272c.pdf




話しを戻して、
±信号の受信側の耐圧(GNDを基準として(± 間電圧ではありません))は、

±7V〜12Vがふつうで、

最悪値データ(Absolute maximum)ですと±14Vが限界値となります。

 (デバイスで多少変わります)

それを超えると破損する可能性が高くなる。

デバイスメーカは動作保証しないと示されています。

 (デバイスデータシートを見る時の注意は、

  回路図で原理や接続例があるのですが

  GNDは省略して描いてある場合があります)

さて、
± の差動で送っているのに なぜ? と思われた方は、


別の手段(原理)である


 「 デジタルの”1"と"0"を電流量で判断する

   通信手段のカレントループ通信方式 」 と

混同もしくは混乱されているのではないかと思われます。


これは2線式で電流がループしているので、

この方式の場合は、GNDは不要です。



 ご注意! 

インターネットの 例えば、ヤフー知恵袋などに書いてある回答を見ますと、 

間違った回答がたくさんありますので安易に信じないでください。



::::::補足説明:::::をここまでにします。







では、理想をまとめてRS485(2線式)を例に図にすると

RS485について図
つづけて、

同ブログの別記事で 通信エラー発生 の記事をお読みください。

http://blog.livedoor.jp/rs485/archives/1728526.html

これは、通信エラーは、これまで書いた

ハード的な内容だけでは問題は100%解決できない

と言う 通信の誤解 についての記事です。





最後に 推奨事項をまとめると(黒丸は必須)

● ツイストペア
    ±信号線はツイストペアケーブルにします。
    非平衡用ケーブルなどを使用しますと、
    信号の平衡度が低下するので
    伝送距離が伸びるほど通信劣化となります。



● 終端抵抗
    伝送システムの最両端の2ヶ所へ終端抵抗をそれぞれ接続します。
    適切な終端抵抗で無い場合、
    伝送電圧レベルの低下や、上昇をまねき通信劣化やIC故障となります。
    KS-485PTIの入力電圧範囲は±間で最大12Vです。最低0.2Vです。
    抵抗値は、100Ω 〜 120Ω の 1/4W を推奨します。
    ケーブルの特性インピーダンスと合致させるのが理想です。


○ シグナルGND
    接続された2つ以上の全機器は、
    同じ電位にする為に各シグナルGNDと接続します。
    接続されない場合、(他社機器にSGが無い場合もあります)
    回路を流れる信号の基準と成る電圧が狂い、
    通信劣化やIC故障となります。
    その場合グランドループを経由して
    とりあえず電位を保っていますが、ノイズに弱い欠点があります。


○ ケーブル
    シールド付き平衡伝送用
    ツイストペア 必須
    AWG24 程度
    【特性インピーダンス100Ω±20%程度】
    を使用します。

    電話用の600Ω オーディオ用 高周波用など
    あまりにも異なるケーブルですと、
    反射現象により信号波がくずれ通信劣化の原因となります。
    近距離での一時的な実験などは大丈夫ですが
    長時間使用する場合は思わぬ所で通信不良を招きます。


    【 推奨ケーブル 】
    イーサーネット用ケーブル いわゆる LANケーブルですね。
    これは CAT5 とか CAT5E などがあり、
    これらの特性インピーダンスは、100Ω です。
    シールド付きを推奨します。
    購入時は、コネクタ付き RJ45 が両端についている場合が多く、
    システムサコムの製品には、RS422でもRS485でも
    そのまま RJ45 を直結できる変換器もあります。
    もし端子台なら、RJ45コネクタを切断して芯線を剥き出して使って下さい。

    あるいは、各社電線メーカが発売されている、
    KPEV-S_1.25 も推奨します。
    2線式485なら 2P〜
    4線式485や422なら 4P〜 です。


○ 接地
    機器間シグナルGNDの接続は伝送信号の基準となるものであり基本的に必要です。
    FG接地いわゆるアースと呼ばれるものは感電防止など保安上の目的で行います。
    強電機器の接地はノイズに汚染されている可能性が高いので
    弱電機器の接地と距離的に分離した方が良い場合があります。


○ シールド
    シールド線のシールドは内部からのノイズを外へ出さぬようにする目的と、
    外部からのノイズを受けない様にする目的があります。
    基本的に安定した電位に接続することで目的は達成できます。 
    しかし、SGと未接続のFG(互いに浮いている)と接続された場合も
    互いに干渉することになります。

    


全ての RS422、RS485 使いの方々へ
   少しでも参考になれば幸いです。




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       By システムサコム工業