エルピーダ会社更生法からのクレジット投資インプリケーション


今日のクレジット市場に大きな衝撃が走った。


エルピーダ:会社更生法申請、負債
4480億円-製造業最大の破綻 

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M01KPE0UQVI901.html



円高、タイ洪水、DRAM価格下落。
うんちゃらかんちゃら理由は述べられていたが、今後製造業のリカバリーを見越した値付がされることでしょう。

現物債市場は、先週から60円以上の下落、CDSのリカバリーロックも大きく下落。


まぁ潰れてしまったものはしょうがない、ここではあえて、マクロな意味で、今後の日本のコーポレートクレジットに関して、投資のインプリケーションがあるので、少し書きたいと思う。
 

■日本における再建プロセスのスタンダードの形が出来たか?

2CEと3CE垣根がなくなる?
従来、派生商品といわれながらもCDSプレミアムと現物債スプレッドの差異はなぜだ?という際に、プレーヤの違いだとか、2CEか3CE(金銭債権のリストラクチャリングを含む)かという論点で語られて来た。

しかし、現状の流れでは、2CEも3CEも大差ない方向に向かうようだ。


JALの更生法適用から、IPOまでこぎ着けたというところに、今後の再建プロセスのヒントがある。
すなわち、会社更生法適用を行って、事業継続に必要な買掛金等を守りつつ、株主、ローンレンダーに負担させるという形が、スタンダードな再建スキームになりつつあるという雰囲気がある。

何より、公的負担の最小化という名目のもと、この手の再建スキームが与党の間でも支持されているように思われる。


ということは、社債市場におけるプライシングは、

①最悪の場合の会社更生法等の債権カットを前提としたプライシングに移って行くことが予想される。

②リカバリー問題:倒産確率が高まる、または業績の悪化が起きると、ローンレンダーは担保権を設定して債権保全を図るされることが多い。大半の社債が無担保で発行されている現状を考えると、リカバリーで劣後することも織り込まれるべきという話になる。

となると、業績が悪化している格付けの低い製造業から社債市場のプライスが崩れることが予想される。
 

■最後に

日本の社債市場は、グローバルにみて信用リスクのプライシングがタイトだという実情がある。

それは、金あまりもさることながら、日本政府、銀行が最後はめんどう見るという暗黙の前提があり、欧米のように一気に債務をカットするとういうプロセスを踏むことがあまりなかった。

今回、日本企業の根幹ともいうべき製造業に本ケースが適用されたことにより、クレジット投資を行う上で、リスクのベースシナリオを訂正する必要があるだろう。


7733.オリンパス


7733.オリンパス

最近、CMは自粛してるんですかね?株主、ローンレンダー、宮崎あおいも泣いてるぞ!!

ニュースなんかでは、あまり取り上げられてませんね。残念。



1014日。

代表取締役社長執行役員だった、マイケルウッドフォード氏の解任を決議。

http://www.olympus.co.jp/jp/info/2011b/if111014corpj.cfm

その後の報道としては、

①英医療メーカー•ジャイラス社買収に伴う巨額FA報酬問題。総額687億円。

②2006年から2008年の買収した国内企業3社(アルティス、News Chef、ヒューマラボ)の買収額が計734億円(288億、214億、232億)にのぼり、2009年3月期に556億円の減損を実施。


企業買収やガバナンスの問題については、専門外なので、ご専門の方に任せます。

ブルームバーグで以下のような記事が出てたので、ちょっとこれについてクレジット面から本件を考えたいと思います。


■オリンパスCDS、債務保証コストが大幅拡大ー3年ものは750bp

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=aRBB8jOHuSlE


(ブルームバーグ公表ベース)

ローン残高:約3528億

債券残高:約1103億

合算後の4600億超の債務償還スケジュールは以下の通り。

2011 200

2012 30,000

2013 94,456

2014 57,040

2015 58,412

2016 50,000

2017 95,000

2018 78,100


463,208.008M JPY


CDSのレベルがここまで吹っ飛んでいるには、以下のような背景が考えられます。

①社債の売りに伴うヘッジオペレーション

前も書きましたが、CDSと現物債の価格が連動するようになるときは、デフォルトリスクが上昇した時、社債の取引価格がCDSのプレミアムと連動するようになります。証券会社のディーラーは、多少なりとも社債のヘッジオペレーションを実施するからです。


②ローンレンダーのローンヘッジ

CDSの保険対象って、社債だけを対象にしてるわけではないんです。広義の借入債務(BORROWED MONEY)を対象としてますので、ローンも含まれます。上記の例だと、ローンは、社債の約3倍以上あるわけです。ボンドは売ってしまえばいいですが、ローンって、譲渡するの大変です。そうすると、レンダーはCDS買って、少しでもヘッジしようと思いますわな。


■3年物が750bpの意味は?

CDSのオプションプレミアムから計算した債券の理論価格は、82.688。

この水準で債券なりを持っている人が、CDS買うということは、債券を82円超で債券を売却してしまうということと考えて良い。18円弱が損失として確定。デット市場では、額面100円に対して、18円弱かえってこないことを、織り込み始めているということです。


債券市場にいる身としては、社債以上に、ローンの残高が多いので、ボンドというよりは、今後ローンレンダーの動向が気になるところ。

エクイティホルダーサイドからも、様々な動きが出てきて、委員会が設立されたり、当局に書簡が送られたりと動きがあります。元CEOからさまざまな指摘が出ていることも、不透明感の一因です。


■財務データ(2011年3月期)

純資産:1668億、流動負債:3259億、固定負債:5780億、負債合計:8967億、自己資本比率15.4%。

現金および現金同等物2103億、のれん1754億。


有価証券報告書は以下でご覧になれます。

http://www.olympus.co.jp/jp/corc/ir/data/annual/pdf/annual143PB5.pdf

■格付け

R&I A 格付け(ネガティブ)

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-23729320111020
このままいくと、デットを守る自己資本が毀損する確率が高くなるので、格下げは必須です。


■最後に

次の決算までに、純資産どのくらい減りますかね?

そして、増資が必要になった場合、だれが引受ますかね?

大口エクイティホルダーは減損で無理でしょう。


そんな中、レンダーはローンをロールしますか?

大丈夫ですから!!と社内で言える勇気ある社畜はいますか?


最後は、事業再生ADRって手もあるね。

株主に日本の金融機関も大口にいるし、レンダーとしても貸し込んでるだろうしね。株が全部やられる更生法なんかは選択肢としては取りにくい印象。


というわけで、個人的には本件はレンダー主導で幕引きに向かうと思ってます。

まぁ、今後もレンダーの動向見て行きましょう。

Let's see how it goes...

ついに民主党不況がやってきた?


5月13日枝野かんぼーちょーかん会見

震災前の融資が債権放棄されなくても、公的資金投入に国民の理解を得られるかという問いに対し、「到底得られないと思う。」とコメント。

http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20110514-OYT1T00240.htm

「聞いてねぇぞ、こんな話!!」

(10時過ぎの弊社ディーリングルームで自分珍しく叫びました。)


クイックでは流れたが、海江田が社債や株式のステークホルダーも協力するんじゃないの?的な国会答弁。

「本気でアホだ、こいつ」(本音でつぶやいた)



今回はこみあげる怒りを抑えて、冷静に書くことを心がけます。

---------------

①会社法上の優先劣後って何ぞ?

デットとエクイティの優先劣後の認識は、みなさんよくご存知だと思いますが、キャピタルストラクチャーではエクイティが一義的な損失吸収機能を持っていて、今回の東電に一義的な責任を負っているという現状を考えれば、まず責任を取るべきはエクイティホルダーというのが、金融市場に携わるものとしての認識です。

すべて、この原理原則で金融市場というものが成り立っています。

よって、



②金融市場を襲うクレジットクランチ

実体経済は悪くないというスタンスの方が多いと思いますし、これを機にモラルハザード相場の株式投資で一儲けする方もいらっしゃると思います。

でも、債券市場の威力を甘く見ないで下さい。
 

(1)東電社債の残高は5兆

(2)電力債はクレジットのベンチマーク

っていうのは、前回のブログで書きました。


今回は、さらに

(3)優先劣後が崩れたデットマーケット

(4)痛む銀行/証券/保険のバランスシート

を追加します。

がクレジットクランチを誘発してしまうリスクが現実となってきます。


鷹鳩さんやはちごんも書いてたけど、

優先劣後が崩れた以上は、債券保有者はたまったもんじゃないですよね?

優先債務のはずが、まさかの最劣後のエクスポージャーをありえないレベルで保有していた、ということになる。

ということは、少し国の関与が強そうな発行体の債券を売るということになりますわな。


イメージつきますか?

すべての投資家さんが一度に同じ方向を向いた時のインパクト?


さらに、貸付金銭債権を持っている金融機関は、引当金の増加、バーゼル上のリスクウェイト問題(銀行)が発生して、バランスシートに大きな負荷がかかる。

そして、電力エクスポージャーを落とす方向になれば、資本市場での資金調達はもちろん、融資はしにくくなる。(実際にメガの首脳とかも発言していますね。)

ということは、今後、原子力から火力への転換を迫られて、お金が必要な電力さんにお金がわたらなくなる。そして、さらに節電をお願いする、そして、GDP3位の日本の内需産業は死亡フラグ。日本列島不況。民主党不況。


金融機関の貸付が難しくなる(一種のクレジットクランチ)が、経済回復に必要な信用創造を積極的に出来ないって言うことは、つらいですね。


(ノ∀`)アチャー

実体経済は悪くないんですが、金融市場の混乱に伴う実体経済の悪化が起こったとすれば、戦犯は上記2閣僚です。

東電をつぶして再生しようといってる人は、自分東電が潰れるなら失業も覚悟してます!っていってるようなもんですよ。



最後に少し、CDSの話をUpdateしますね。

公開情報として、金融機関の債権放棄が行われれば、これはクレジットイベントに該当します。

リストラクチャリングですな。

私的な話なので、東電が個別の金融機関と交渉するんだろうけど、事業再生ADRもあるかもしれませんな。

ほとんど、無担貸付だと思うけど、10-20%くらいなんですかね?カットは。。

自分、ローンの世界は知りませんが。


東電のCDSは、200台前半から300台半ばへオーバーシュート。

公式の付値は、330bp。

3m_s_5Y3TOKELP


これでもまだまだ足りないんじゃないかな。もっとワイドニングすると思うけどね。

ヘッジしたい人多いでしょ。

Markit iTraxx Japanにも一応、東京電力って含まれてるんだよね。

ジャパンソブリンもそうですが、中部電力とか、その他のユーティリティネームなんかも、ワイドニングしそうですね。


3m_s_5Y3CHBELP3m_s_5Y3NTT
3m_s_5Y3EASTJR

chart1

iTraxx Japanは、121とかみたいですけど、どっちに行きますかねぇ~。


今後、民主党リスクが顕在化した日本金融市場からの実体経済への影響、外人による日本アセットのバルク売り、アインホーンちっくな日本ビックショートが懸念されます。株式市場もただではすまんでしょう。

でも、こんな民主党を選んだのはぼくらなんですよ。


復興してかなきゃいけないってのに。。。

せっかく日本がひとつになったと思ったのに。。


残念です。





livedoor プロフィール
カテゴリ別アーカイブ
タグクラウド
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ