花咲舞が黙ってない

2019年07月07日

世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」



世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」 (光文社新書)


2017年7月に出版された本ですが、Amazonのアート・芸術のカテゴリーで今でもランキング2位に入っている本です。
図書館で予約していたのですが、予約が多くてようやく読むことができました。

グローバル企業がアートスクールに幹部候補を送り込んだり、ギャラリートークに知的専門家が参加している、という紹介文を読み、蔑ろにされてきたアートをエリートがいまさら箔をつけるために学びなおそうということ・・・?と思って読み始めたのですが、中身は全然違いました。

本書の著者は、山口周氏というコンサルティングを経て人材育成のグループに所属されている方。
ロジックや分析、というサイエンス重視で経営判断をすると、正解のコモディティ化(皆が同じ結論にたどり着き、陳腐化する)が生じ、結果として競争力を失う。また、VUCA(不安定、不確実、複雑、曖昧)が進み、複雑な要素がからみあう現代では、分析に時間がかかりすぎ、正しい判断ができなくなる。
確かに、これらは科学信奉者が多い日本の多くの会社、特に優秀と言われてきた会社が陥っている問題なのかもしません。
だからこそ、アップルのようなデザイン思考の経営を今こそとりいれる必要があるのだと著者は言います。
でも、ジョブズのような直観でものをいう人は、理由を聞かれても説明できません。
アートとサイエンスが戦うと、必ずアートは負けてしまう。
アートとクラフト(本書ではこの言葉を使っていますが、いわゆる現場)が戦っても、やはりアートは負けてしまう。現場の具体的な数字や根拠に対して、アートはふわっとした感情論(美意識)となるので説得力がない。
ではどのようにしたら、うまく経営できるのかというと、アートが主導し、サイエンスとクラフトが脇を固める、というのがベストなバランスになるといいます。
Planをアート型人材が描き、Doをクラフト型人材が行い、Checkをサイエンス型人材が行うのだ、と・・・。


本書の中で使われている「アート」という言葉は、美術ではなくむしろ倫理観に近いと思います。
真・善・美を判断する力、それがアートや美意識というワードで語られているのです。

読んだ後も、本当にエリート層がギャラリーに通って効果があるのかは疑問です。
使命感を感じて美術館に通っても、そこにあるのは義務感や向上心で、むしろ美術館は好きな人が楽しむ場所なのではないかと思ってしまいます。ただ、類似書も出ているようなので、そちらで実際にどのように変化があるのか紹介されているのかもしれません。


予想とはかなり違った内容の本でしたが、新たな視点を持てるという意味では、おススメです。

rsketch at 19:22│Comments(0)このエントリーをはてなブックマークに追加  

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