アイルワース版モナリザ

2012年04月02日

「レオナルド・ダ・ヴィンチ 美の理想」展

3/31から渋谷Bunkamura ザ・ミュージアムにてスタートした「レオナルド・ダ・ヴィンチ 美の理想」展に昨日行ってきました。
初日ということでかなり混んでいるかと思いきや、風がひどかったせいかほとんど並ばず入場できました。

残念だったのは、、《キリストの洗礼》の天使の習作が見られなかったこと。
自分のブログに4月24日(火)より展示と記載していたのに、すっかり忘れていて探してしまいました。。。

以前から気になっていたアイルワース版モナリザの実物に対面できて、うれしい限り。
モナリザの複数のバリエーションがあって、なんだか笑ってしまうほどでしたが、この展示会は「本物」にこだわる方にはおすすめできません。
というのも、弟子との共同作品や工房、周辺の画家の作品が多数あり、○○○が描いたことが断定されたものだけを見たいと思っていくとだまされた気になるかもしれませんので。。。


さて、アイルワースのモナリザについては、結論からいうと、まったくの私見ですが、やはりこれはレオナルドの作品ではないように感じました。(作品に魅力がないというわけではありません、念のため)

カタログを購入し解説を読んでみて、自分なりにモナリザの周辺を整理してみましたが、やはり謎だらけの状態で、いろいろ考えてみるのが益々楽しくなるほど。

まず、同時代に残っている史料からわかること。



1503年秋:ハイデルベルグ史料。ジョコンダ夫人のリザの頭部が未完成の状態である。
1517年10月10日:アントニオ・デ・ベアティスの『旅行記』。《さるフィレンツェの貴婦人》と《洗礼者ヨハネ》、《聖母子と聖アンナ》の3点が確認。
1525年:サライの財産目録。《ジョコンダ》が100スクーディの高額。
1550年:ヴァザーリの『芸術家列伝』。ルーブルのモナリザは1502-1503年にジョコンダ夫人のために製作された。まゆげが特徴的。



カタログにはアレッサンドロ・ヴェツォージの大胆な仮説も紹介されていて、下記のとおり。


ジュリアーノとリザは、メディチ家がフィレンツェから亡命する1494年より恋仲にあった。
1502年にジュリアーノはレオナルドにリザの肖像画の製作を依頼。
→この肖像画がハイデルベルグ資料として残る
1512年、ジュリアーノがフィレンツェに帰還。
1513年、ジュリアーノは再会したレオナルドにリザの肖像画の完成を依頼。
1514年、頭部を元にモナリザを完成 



ジュリアーノは10年以上も恋心を燃やし続けた、というなんともロマンチックな仮説ですね。


さて、カタログの記載の中で気になったのは、ルーブルの作品は左右がカットされたものではない、という記載。
というのも、ルーブルのモナリザの背景にある柱が一部しかみえていないことで、以前から左右がカットされたのではないか、といわれていたのですよね。
でも、カタログによると「絵画層の端にポプラの板の四辺が見えており、その端の部分は6ミリほど額に覆われているが手つかずのまま下絵も絵の具も塗られていない」のだそう。

これを読んでますます私は混乱してしまいました。

だとすると、アイルワースのモナリザのように、左右に柱がきちんと描かれている作品をどう位置づけるのか?
オリジナルに足りていない柱を追加して描く、ということもあるかもしれないけれど、普通に考えると後の作品のほうが左右を削除しやすいはず。

で思い出したのが、vernon collectionのモナリザ。

vernon collectionのモナリザ


で、ここから妄想がはじまりました(笑)

この作品は以前からレオナルドの作品ではなく、17世紀の複製画とされているのですが、個人的にはこちらの作品のほうがよりレオナルドの作品らしく感じ、ぜひとも再鑑定をして欲しいと思います。

vernon collectionが先にあった、と考えると自然な点がいくつかあります。

・vernon collectionには左右の柱がある。
・『旅行記』に記載されている、《洗礼者ヨハネ》、《聖母子と聖アンナ》と顔の描き方の類似(これがまた説明しにくいですが)。


1506年作のラファエロの《一角獣の貴婦人》には両方に柱がありますが、少なくとも1506年以前に柱のモティーフを描いたモナリザ(vernon collection)があった、と考えるのが自然ではないでしょうか?

ラファエロの《一角獣の貴婦人》
ラファエロ《一角獣の貴婦人》



今回の展覧会では、1594年にフランソワーズ1世がアンブロワーズ・デュボワに製作を依頼したという作品も出品されています。
この作品は、額から取り外してオリジナルを模写したといわれる重要な作品。模写のサイズは、79×52cmとルーブルのモナリザのサイズ(77.9×51.9)と近似しているのだそう。

なので、アンブロワーズ・デュボワが模写したのは間違いなくルーブルのモナリザ。そして、間違いなくルーブルのモナリザを基にした複数のヴァリエーションが生まれたと思います。


それでも、最初にvernon collectionのモナリザがあり、それをもとにアイルワースのモナリザやラファエロの作品が生まれた、と考えるほうが自然な気がします。


つまり、こういう仮説です

vernon collection → ラファエロやアイルワースのモナリザ(柱アリバージョン)
            → ルーブルのモナリザ(柱ナシバージョン)


ルーブルのモナリザは年齢が高くみえ、アイルワースのモナリザは若く見えるといわれています。

vernon collectionをもとに、年をとったルーブル版と若く見えるアイルワース版が生まれた、とは考えられないでしょうか?


ルーブル版
ルーブル モナリザ


アイルワース版
アイルワース版モナリザ


さらに、17世紀に作成されたというオスロ・国立美術館のモナリザには柱はありませんが、アイルワースのモナリザと背景が酷似しています。こちらはアイルワースをもとに左右の柱の一部を削除したのではないでしょうか。


オスロ・国立美術館のモナリザ
 オスロ・国立美術館のモナリザ



妄想終わり


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2012年01月14日

アイルワース版モナリザ

2005年に日テレで放送され話題になった、アイルワースのモナリザが来日中ということで、最近このブログにも「アイルワース」「モナリザ」でアクセスしている方が多い模様。

本ブログでの過去記事一覧はこんな感じ。

2005年3月26日 TV放送 「たけしの歴史的大発見 名画モナ・リザはもう1枚あった」
2005年3月28日 拡大画像発見
2005年3月29日 モナリザ誤報で日テレに抗議文
2005年4月2日 アイルワース版モナリザが掲載されている本
2005年4月2日 『世にも恐ろしい世界史の迷宮』のモナ・リザ真贋論争


アイルワースのモナリザが見られる展覧会は以下のとおり。

【静岡展】
2011年11月3日(木・祝)〜12月25日(日) ※終了
「レオナルド・ダ・ヴィンチ美の理想」展|静岡市美術館
http://www.shizubi.jp/

【東京展】
2012年3月31日(土)〜6月10日(日)
「レオナルド・ダ・ヴィンチ美の理想」展|Bunkamuraザ・ミュージアム(東京都渋谷区道玄坂2−24−1)
http://davinci2012.jp//

【福岡展】
2012年1月5日(木)〜3月4日(日)
福岡市美術館(福岡市中央区大濠公園1-6)
http://www.davinci-fukuoka.com/


美術ファンとしては、東京展でしかみられないですが、《キリストの洗礼》の天使の習作も見られるというのはうれしいですね。習作の時点で既に師匠を超えている、といえるほど美しいです。
(ただし、4月24日(火)より展示)
展覧会みどころで習作が確認できます。

《キリストの洗礼》は、レオナルドの師匠であるヴェロッキオとレオナルド共同作品ですが、ルネサンス美術研究の重要な文献とされているヴァザーリの「列伝」では、レオナルドが20才頃に描いたこの天使のできばえがあまりにもよく、師匠のヴェロッキオが絵筆を折ったというのは有名な逸話です。
キリストの洗礼(部分)
http://www.wga.hu/html/l/leonardo/01/1angel.html
by WEB Galley of ART



《裸のモナ・リザ》と関連しそうな彫刻もあるようですが、このあたり、どこまで研究は進んでいるんでしょうね
裸のモナリザ フローラ?

レオナルド派?《Bust of Flora》 
http://www.wga.hu/html/l/leonardo/15sculpt/5flora.html
by WEB Galley of ART


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2006年04月29日

ダ・ヴィンチの封印-隠蔽された史実

久々に面白い漫画に出会えました。
ジャンプでずっと連載されていたらしいのですが、全然知りませんでした。

扱っている題材は世界にまたがっていて、シェークスピアや伊能忠敬の地図など分野もさまざま。
もちろんフィクションもりもりの内容ですが、単なる漫画とは思えないです・・・。
以下は、マスタービースコレクションということなので、手頃ではないかと。

ダ・ヴィンチの封印-隠蔽された史実?ゼロMasterpiece Collectionダ・ヴィンチの封印-隠蔽された史実?ゼロMasterpiece Collection
愛 英史 里見 桂


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この中で、「モナリザ」は本物として有力視されているものが世界に6枚あり、そのなかに「エピナル美術館」「ヴァーノン・コレクション」「ワルター美術館」のものが含まれている、と記載されています。
(もちろんルーブルのものが最有力候補)


原作者「愛 英史」のことを知りたくてネットで調べてみたら、どうやら複数のペンネームをもたれているみたい。

遠崎 史朗 = 杉 四郎 = 愛 英史 = ジョー指月(= 原田 大輝?)

ゼロのマスタービースコレクションとして、下記も出ているようなので、要チェックです。

ゴッホの解放-究極の贋作者?ゼロMasterpiece Collectionゴッホの解放-究極の贋作者?ゼロMasterpiece Collection
愛 英史 里見 桂


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2006年03月26日

3枚目のモナリザ

以前、アイルワーズ版モナリザの存在が話題になりましたが、この本の中でかなり信憑性の高いもうひとつの説が紹介されています。

世にも恐ろしい世界史の迷宮
世にも恐ろしい世界史の迷宮桐生 操


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それは「謎深き世紀の名画 『モナ・リザ』真贋論争」という章です。
ここでもっとも有力として紹介されている説が、ヴァーナン版といわれる作品の存在です。
本によるとヴァーナン版は、語学勉強の為にフランスに留学していたアメリカ人、ウイリアム・ヘンリー・ヴァーナンがフランス王妃マリー・アントワーネットから直接贈られた物。エックス線写真や赤外線写真の分析の結果、ダ・ヴィンチの作品に間違いないと一度は断言されたものの、その後の美術調査国際財団が行った鑑定では、17世紀の複製画とされました。
ところが、もし複製画とすると矛盾する点があります。
・複製であるなら、なぜ本物よりモデルが若く描かれているのか?
・ルーブルのモナリザには柱があったが1500年代の中頃に両側を削られた。17世紀の作成された複製画に見えないはずの柱があるというのは、おかしい。

そこで、作家ライトは興味深い仮説を組み立てます。
・1502-3 年 ダ・ヴィンチはデル・ジョコンドから婦人の肖像画を注文される
・1507年末、デル・ジョコンドは作品を豪邸の壁に飾る → ヴァーナン版
・ダ・ヴィンチはミラノに移る。
・1512年、メディチ家の復権と供にダ・ヴィンチはフィレンツェに戻る
・1513年、ジュリアーノ・デ・メディチが愛人(リザ・デル・ジョコンド)の肖像画を注文する → ルーブル版

つまり、最初に描かれたのがヴァーナン版で、その後同じモデルでもう一度描かれたのがルーブル版だというのです。

ルーブル版、アイルワース版、そしてヴァーナン版・・・。謎は深まるばかりですが、本書は1999年発行のものなので、アイルワース版が話題になった時なぜヴァーナン版が話題にならなかったのか、ちょっと不思議です。

3つを比べてみたい・・・という方は、こちらをご覧くださいませ。


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2005年04月02日

アイルワース版モナリザが掲載されている本

アイルワース版モナリザは、サイトでの紹介はおろか、10年以上前に出版されていたというのを知ってびっくりしました。

詳しくは、こちら

本は今ではもちろん発売されていないけど、さっき確認したらユーズド価格1050円で入手可能なようです。ちなみに、著者が日本テレビ社会情報局・・・。

TVムック 謎学の旅
日本テレビ社会情報局
二見書房 1990-06


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2005年03月29日

モナリザ誤報で日テレに抗議文

Yahoo!のニュースによると、アイルワース版のモナリザ発見は誤報だということで、日テレに抗議文があったらしい。
講義したのは、東北大学の田中英道教授。

いやー、あれだけ「番組が今回発見しました〜」なんて吹かれると、抗議をしたくなるというのもわかります・・・・。
番組だから、面白くしようという意図があるのでしょうが、やっぱりやり過ぎ・・?

イエスが結婚していたという可能性は十分あっても、こういうネタになっちゃうと、すべてが怪しく思われちゃうのですよね・・・。もったいない・・・。



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2005年03月28日

アイルワース版モナリザ

昨日のたけしのTVを見てから、どーしても気になってアイルワース版のモナリザの件を調べてみました。

そしたら・・・やっぱりこのモナリザはずっと隠されていたものではないことがわかりました。

まず、このサイトをご覧あれ。
どうやら1800年代半ばにイタリアからアイルワースに運ばれ、コレクターの手に渡ったことが記載されています。もしかすると、アイルワースにいったら案外有名な話なのかも・・?

次に、こんなサイトも発見しました。
ちょーっとスクロールして、"Will the REAL Mona Lisa, please stand up? " までたどりついてください。
そこには、モノクロではありますが、ルーブルのモナリザとアイルワース版モナリザ、それにラフェルロのデッサンがあるではありませんか!

・・・でも、クリックしても拡大画像が見れないんですよね。
何故か拡大画像は、File Not Found。

というわけで、どーしても見たい!という方だけ、続きをどうぞ・・・!続きを読む

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2005年03月26日

日テレ「たけしの歴史的大発見・・・」

今日、日テレで「たけしの歴史的大発見 名画モナ・リザはもう1枚あった」が放映されました。

失念していて、後半しか見れなかったのですが、スイスの地下に眠るという「アイルワース版モナ・リザ」は見ることができました。

で、印象なのですが・・・
「え? これって本当にダヴィンチの作品???」

これまでの「モナリザ」の印象があまりにも強いせいなのか、なんだかダヴィンチの作品とは思えなかった、というのが本音。
むしろ、ラファエロの作品に近いような印象を受けました。
特に、あの愛らしい感じの目となき袋・・・、そして微笑み方。

それに、撮影の仕方がよいのかきちんと洗浄されているのか、奇麗すぎる、という印象を受けたのですよね・・・。(汚れているのに慣れ過ぎ???)

私に先入観がありすぎるのかしら・・・???

rsketch at 23:20|PermalinkTrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加