イタリア

2009年04月04日

フロイトのイタリア

以前から気になっていた、岡田 温司氏の本を読みました。

フロイトのイタリア―旅・芸術・精神分析
フロイトのイタリア―旅・芸術・精神分析岡田 温司

平凡社 2008-07
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目次
イタリアからの便り
「イタリアへ向かって」/「生殖器」
「石は語る」
レオナルドとミケランジェロへの挑戦
イタリアのフロイト―カトリシズムとファシズムの狭間で



精神分析はイタリアで生まれたと聞くと、「フロイトはイタリア人でもないしどうして?」と思ってしまいますが、本書によると、フロイトの度重なるイタリア旅行が精神分析の理論の形成に深く関わっていたというのです。
本書のタイトルが『フロイトとイタリア』ではなく『フロイトのイタリア』であるのも、それだけ関係性が深い事を強調するためだった、とのこと。

本書の前半は、イタリア旅行に関するフロイトの書簡のやりとりを丹念に追い、フロイトにとってどれだけイタリアが特別な存在だったか、また旅行の時期と著作物が密接に関係があったことを明らかにしてくれます。

後半の「レオナルドとミケランジェロへの挑戦」は、下記の2つのフロイトの論文についてです。

・「レオナルド・ダ・ヴィンチの幼年期のある想い出」1910年
・「ミケランジェロのモーセ象」1914年

これまでに散々議論しつくされたのに今更……と思う方もいるかもしれませんが、ここでは2つの論文を「個別」に扱うのではなく、対になるものとして比較することで新しい捉え方ができることを示しています。
私のように論文を未読の場合は、概要や現在の評価を知る事ができるので、美術史に興味のある人はこの章だけでも読むと面白いかと。

最終章の「イタリアのフロイト」では、フロイトの思想がイタリアでどのように受け取られてきたか、という受容史的な内容になっています。



さて、本書とちょっと離れますが、先日読んだ『ロレンツォ・デ・メディチ暗殺』でもたくさんの書簡が紹介されていましたが、昔の人はなんて筆まめだったのでしょうね。
しかも、その書簡が大切に保管されているという事実にはとても驚かされます。

手紙やハガキが電話やメールにかわりつつある昨今ですが、今でも毎日メールでやりとりしている人は案外多いのかもしれません。でも、メールのやりとりは、メーラーをかえたりPCをかえるタイミングで削除されちゃいますよね。

フロイトもそうだったでしょうが、個人的な手紙のやりとりが後世になってから公開される、なんて考えなかったかと思います。
後世有名になる予定の人(笑)は、普段やりとりしているメールに(電話は残らないので心配ありませんが)あまり変な事を書いておかないようにしたほうが良いのかも??
若桑先生だってパソコンに残っていた原稿が書籍化されちゃうし、PCはもちろん携帯メールは、相手方に「元原稿」は届いているわけですし……(笑)

近い将来、有名人の「メール書簡集」や「PCに残された遺稿集」なんてものが出版・PC上で閲覧できるようになるのかもしれませんね。



rsketch at 10:44|PermalinkTrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加