ミケランジェロ

2009年06月16日

解剖学者がみたミケランジェロ

先日も紹介した本ですが、ようやく読み終えました。

解剖学者がみたミケランジェロ (RV選書)解剖学者がみたミケランジェロ (RV選書)
篠原 治道

金沢医科大学出版局 2009-01
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気になった所の個人的なメモ。
精気Spiritsについては、特に気になる話題。

P36
……青年期以降のミケランジェロの作品にはこういったサル足的な足指の配置、つまり母指と四指との離解と対置が観察できる。

P48
つまり、ガレヌスの学説では肝臓こそが精気Spiritsすなわち生命の初源を宿す臓器であり、一次的臓器である。(略)そう考えると、右側胸部の創痕は単なる傷の跡ではない。肝臓の損傷により生命の初源である精気Spiritsが断たれたことを、つまり死の確実性を象徴しているのである。
(略)もう一つ、ガレヌスの説では動脈ではなく静脈こそが生命の源である精気Spiritsの主要な運搬路をなすことにも留意したい。つまり皮下静脈の怒張は現代の我々が考えるような、単なる交感神経系の緊張表現ではない。怒張をもたらすに足る大量の精気=生命そのものが静脈内に横溢している状態を表象するのである。


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2009年05月31日

解剖学者がみたミケランジェロ

今日図書館で借りてきた本。

解剖学者がみたミケランジェロ (RV選書)解剖学者がみたミケランジェロ (RV選書)
篠原 治道

金沢医科大学出版局 2009-01
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あとがきによると、本書は2004年1月から2005年12月までの2年間、月刊雑誌「最新医学」で連載されたエッセーに加筆、修正を加えて単行本化したもの、とのこと。

先日、ミケランジェロによる「初の生前キリスト像確認」というニュースを記載しましたが、この本によるとあの「ピエタ」が、生前のキリスト像、とのこと……。
その理由も、解剖学者にしかかけないだろうという専門用語がずらり。

「顔面を右上方へ向けることでより浮き出た、左の頚部をかすかな彎曲を描きながら斜走する胸鎖乳突筋。同じ大胸筋でありながら、鎖骨から起こる筋束と胸骨から起こる幾つかの筋束との境界を示す浅い溝。鳩尾から恥骨へと縦走する腹直筋を幾つかに分画する腱の存在を示す、球を飲んだような小さな起伏。右の膝から足首にかけて強調されている微妙な、縦走する筋のシルエット。これらは明らかに筋収縮によって初めてもたらされる生存兆候である。」

何よりも生存を確認させるのは「静脈」ということで、この後延々とその静脈の説明がされるのですが、「医学的」な話でついていけず・・・・。

でも、すべてがこの調子ではないので、わかるところだけでも読んでおこうと思います。


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2009年05月21日

初の生前キリスト像確認 16世紀ミケランジェロ作品

最近ゲームの話題ばかりでしたが、ひさびさに美術ニュースを。

ミケランジェロのキリスト像が見つかったのだとか。

産経ニュースの記事はこちら

47NEWSの記事はこちら

「木製像のまぶたや背中からミケランジェロの署名やイニシャルが見つかった」ということですが、「人間の目では判読が不可能」とは……。
顕微鏡やコンピューターの解析画像なども公開してほしいです〜。

ちなみに、「生前の」といわれているのは、ピエタはもちろんですが、昨年末に発見されたキリスト磔刑像のように、死後の像は既に確認されているからですね。



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2009年04月04日

フロイトのイタリア

以前から気になっていた、岡田 温司氏の本を読みました。

フロイトのイタリア―旅・芸術・精神分析
フロイトのイタリア―旅・芸術・精神分析岡田 温司

平凡社 2008-07
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目次
イタリアからの便り
「イタリアへ向かって」/「生殖器」
「石は語る」
レオナルドとミケランジェロへの挑戦
イタリアのフロイト―カトリシズムとファシズムの狭間で



精神分析はイタリアで生まれたと聞くと、「フロイトはイタリア人でもないしどうして?」と思ってしまいますが、本書によると、フロイトの度重なるイタリア旅行が精神分析の理論の形成に深く関わっていたというのです。
本書のタイトルが『フロイトとイタリア』ではなく『フロイトのイタリア』であるのも、それだけ関係性が深い事を強調するためだった、とのこと。

本書の前半は、イタリア旅行に関するフロイトの書簡のやりとりを丹念に追い、フロイトにとってどれだけイタリアが特別な存在だったか、また旅行の時期と著作物が密接に関係があったことを明らかにしてくれます。

後半の「レオナルドとミケランジェロへの挑戦」は、下記の2つのフロイトの論文についてです。

・「レオナルド・ダ・ヴィンチの幼年期のある想い出」1910年
・「ミケランジェロのモーセ象」1914年

これまでに散々議論しつくされたのに今更……と思う方もいるかもしれませんが、ここでは2つの論文を「個別」に扱うのではなく、対になるものとして比較することで新しい捉え方ができることを示しています。
私のように論文を未読の場合は、概要や現在の評価を知る事ができるので、美術史に興味のある人はこの章だけでも読むと面白いかと。

最終章の「イタリアのフロイト」では、フロイトの思想がイタリアでどのように受け取られてきたか、という受容史的な内容になっています。



さて、本書とちょっと離れますが、先日読んだ『ロレンツォ・デ・メディチ暗殺』でもたくさんの書簡が紹介されていましたが、昔の人はなんて筆まめだったのでしょうね。
しかも、その書簡が大切に保管されているという事実にはとても驚かされます。

手紙やハガキが電話やメールにかわりつつある昨今ですが、今でも毎日メールでやりとりしている人は案外多いのかもしれません。でも、メールのやりとりは、メーラーをかえたりPCをかえるタイミングで削除されちゃいますよね。

フロイトもそうだったでしょうが、個人的な手紙のやりとりが後世になってから公開される、なんて考えなかったかと思います。
後世有名になる予定の人(笑)は、普段やりとりしているメールに(電話は残らないので心配ありませんが)あまり変な事を書いておかないようにしたほうが良いのかも??
若桑先生だってパソコンに残っていた原稿が書籍化されちゃうし、PCはもちろん携帯メールは、相手方に「元原稿」は届いているわけですし……(笑)

近い将来、有名人の「メール書簡集」や「PCに残された遺稿集」なんてものが出版・PC上で閲覧できるようになるのかもしれませんね。



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2009年03月08日

ミケランジェロの暗号

以前紹介した、気になっていた本を図書館で借りて読みました。

ミケランジェロの暗号―システィーナ礼拝堂に隠された禁断のメッセージ
ミケランジェロの暗号―システィーナ礼拝堂に隠された禁断のメッセージ飯泉 恵美子

早川書房 2008-12-18
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読み始めてちょっとで、これはもしかしてトンデモ本?と読むのをやめようかと思ったのですが、せっかく借りたのだから、と読み進めたら途中からかなり面白くなってくれました。

この本では、ミケランジェロがいかにユダヤ教の教えやカバラの影響を受けていたか、また何故それを隠さなければならなかったかをミケランジェロの生涯と主な作品を追いながら解き明かし、システィーナ礼拝堂の新解釈を提示しています。

全体としてあまりにもユダヤ教によりすぎていると感じますが、それは著者の略歴からくるものだと納得。
※著者はベンジャミン・ブレック というユダヤ教徒でタルムード研究をしているイェシーバー大学の教授と、ロイ・ドリナー というタルムードやカバラの研究をしているコンサルタント。

それでも、わかりやすく謎を読み解いていくプロセスは流石。
読む方は「これは本当?」「これは信じられなーい」と常に問いかけながらミステリーを読む感覚で楽しめば良いのかと。

個人的に○と思った点やイケテナイと思った点の一部をメモ。


○と思った点
・ミケランジェロの生涯と主な作品を概観できる
・ミケランジェロの作品には、新プラトン主義の思想が反映されていて、フィチーノやピコの影響があるとしているところ
・最新の研究成果の報告が(部分的ではあるけれども)含まれている
 ※近年レーザーを使って『ピエタ』象の表面を調査した結果、細かく震える手で飾り帯に銘を彫りつけたらしいということがわかった、ミケランジェロには腎臓障害があった、『アミナダブ』のマントにユダヤ人の証拠である黄色の輪が描かれていることがわかったなど。
・当時のユダヤ人の立場がローマとフィレンツェでどのように変わっていくかを知る事ができる
・当時システィーナ礼拝堂がどのような位置から見られる事を想定していたかを知る事ができる
・ゼカリヤをユリウス2世の姿で表現することで、天井画の構成をミケランジェロに一任するよう説得することに成功したことを推測している
・天井画にキリストはおろか聖人を描かず、旧約の人物や巫女、預言者を描いたことに疑問を投げかけ、説明を試みている
・四隅の逆三角形(ペンデンティウ゛)に描かれた内容が、向かい合う一対とみなし、英雄である男女のストーリーが描かれている事を明らかにしている
・『ノアの泥酔』を何故最後に場所にもってきたのか、また天井画中央の順番についての説明は、説得力があって二重丸○
★最初は三連作(トリプティク)として、天地創造、アダムとエヴァ、ノアの画面で描こうとした。最初の描いたのはノアの画面で、ノアの物語のクライマックスである大洪水を中央の一番大きく描き、それをはさむ上下に祭壇を築く画面とノアの泥酔を描いた。ここで白カビの問題が発生し作業を中断、しかも途中段階で一般公開をせざるを得なくなった。
この中断により、人物の姿が小さすぎ数が多すぎることがわかったため、絵は単純化され、人の姿はずっと大きくなるよう変更した。さらに、トリプティクのアイデアが当初の予定通りの効果を出していない事に気づき、見物人の視線がフレスコ画の単純な直線の並び通りに流れるように変更した。
→天井画をトリプティクで構成しようとしたという視点はとても魅力的○
・ミケランジェロが考案した「アーチ形空中架橋」しか修復のための足場を作る方法がなかったという事実は、ミケランジェロの才能の凄さがわかる


△と思った点
・創世記のアダムとエヴァの話では一般的にりんごの木だが、ミドラッシュ(ユダヤ教の教え)ではイチジクの木であり、天井画の『原罪と楽園追放』ではりんごではなくイチジクが描かれている→イチジクの実かどうか確認できないので△
・同様に、アダムとエヴァの話にユダヤ教の解釈(エヴァはだまされたのであって誘惑に負けたわけではない)がとりいれられているという説→ユダヤ教の解釈はとても面白いけれども、ミケランジェロはそこまで意図したのか???
・スパンドルやルネッタに描かれた人物たちを説明している(説明を読む限りつじつまがあうが、本当にそうなのかはわからないので△)
・描かれた巫女や預言者について、何故その巫女や預言者が選ばれたのかを説明している(一応つじつまはあうが、今ひとつ理解できない=納得できないので△)



×と思った点
・レオナルドについても記載があり、『岩窟の聖母』(1483、ルーブル美術館)にレオナルドのサインが手話で記載されているという新説(「マリアの手は旧式の指文字のLを形づくり、天使の手はDの文字、キリストの手が示すのはVの文字である。LDV、つまりレオナルド・ダ・ヴィンチ。P74)は新しい見方で個人的は好きだけど、信憑性は低いのかと……???
・ゼカリヤの背後の子供が女握りをしており、ユリウス2世の誹謗となっているという主張(作品でははっきりと確認することができないので×)
・『ダヴィデとゴリアテ』や『ユディトとホロフェルネス』にはヘブライ文字が隠されているという説(個人的にどうしてもこの手の話は信じられない)
・大地と水の分離で紫のケープが人間の腎臓な形となっている、『アダムの創造』の神のマントの形は、知恵を源として創造がなされるというコンセプトを伝えるために人間の脳の断面図をあらわしている→ユダヤ人の外科医、フランク・メシュバーガーが発見したという説。
→ミケランジェロがいくら人体解剖をしていたとしても、理解し難い。
・ミケランジェロは、ユダヤ哲学の善への傾向と悪の傾向という考えを十分に理解し作品に反映したという説については、人間の二面性などユダヤ哲学でなくても他の哲学でも散見されるのかと?
・預言者ヨナが重要な位置を占めており、ミケランジェロはヨナを自分の姿に重ねていたという説については、ヨナは復活の予兆であることから重要な位置を占めるべきと説明できるので、ユダヤの慣習に結びつけたりヘブライ語と結びつけたりしなくても良いのかと?
・『最後の審判』がモーセの十戒の石版をかたどっているという説→意図せずそのような形になったと考えた方が自然。キリストを中心とする渦巻き状の上下運動の動きは、石版に彫られた直線上の文字とは重ならない。
・天井画にもし名前をつけるなら「架け橋」というのも「ヤコブのはしご」とかけていると思うがピンと来なかった。



それにしても、日本ではレオナルドの人気が高くミケランジェロの人気は低いですね。この本も『ダ・ヴィンチ・コード』のように売れる事はないのかと……。宿敵の2人ですが、現代の日本ではレオナルドの圧勝、ということで……。



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2009年01月05日

ミケランジェロの暗号

今とっても気になっている本。
昨年の12月18日に発売となった本ですが、出版社が早川書房ということもあり、ミステリー感たっぷりのタイトルです。
書評をさがしてみましたが、今のところ見つからず……。
購入しようか迷います……。

ミケランジェロの暗号―システィーナ礼拝堂に隠された禁断のメッセージ
ミケランジェロの暗号―システィーナ礼拝堂に隠された禁断のメッセージ飯泉 恵美子

早川書房 2008-12-18
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