美術史

2008年06月03日

1冊でわかる美術史

このブログのタイトルは、「美術が好き!」ではなく「美術史が好き!」。
もちろん、美術(絵)を見たりするのも好きなのだけれど、もっぱら私の関心は「美術史」です。
振り返ってみると自分が美術史に興味を持ったきっかけは、「かつてギリシャ彫刻のような均整のとれた作品があったのに、なぜ衰退したかのように見える中世の美術に戻ってしまったのか・・・」という疑問から始まったように思います。
今考えると、人間は進化するものだから美術も進化して(?)完成型に近づく、と漠然と考えていたのだと思います。

発展史的な考えでミケランジェロを頂点とした芸術家列伝を記したヴァザーリ。
同じくギリシャ美術を頂点としたけれども、芸術家ではなく作品に焦点をあてたウ゛ィンケルマン、そして文化史・様式史としての方法論を確立したブルクハルト。
美術を「時代精神」を代表するものとしたヘーゲル。
いわゆる「高級芸術」以外へ作品の領域を広げ、図像学の基礎を築いたヴァールブルク、そして図像解釈学を定着させたパノフスキー。
フロイト流の精神史分析を導入したドヴォルシャック……。
数え上げればきりがありませんが、その後も、美術史は社会学、記号論、構造主義、フェミニスト美術史、ポスト構造主義など、各時代を反映させるように方法論も変わっていっているように思います。

さて、そんな美術史学の歴史をたった1冊で概観してみよう、というのがこの本。
タイトルは美術史ですが、いわゆる様式史を概観するものではなく、まさに美術史学の歴史を振り返る本です。
著者のDana Arnold氏はサウサンプトン大学教授、建築史と都市史の専門家ということですが、訳者の言葉によれば『美術史学の専門家には見られない絶妙な距離感が、かえって「美術」なり「美術史」なり「美術史学」なりを、現代に開かれたものとして考察するためにはよい方向に作用している』とのこと。
英語版は2004年出版のようですが、視覚文化研究やジェンダー論まで概観できる、最良の美術史学の手引き書といえるのではないかと思います。

1冊でわかる美術史 (1冊でわかる)
1冊でわかる美術史 (1冊でわかる)Dana Arnold 鈴木 杜幾子

岩波書店 2006-03
売り上げランキング : 175319

Amazonで詳しく見る
by G-Tools




他にも次々と出ている<1冊でわかる>シリーズ。どれも興味をそそりますね〜。

■<1冊でわかる>シリーズ
歴史 ― HISTORY (〈1冊でわかる〉シリーズ ― Very Short Introductions日本版)歴史 ― HISTORY (〈1冊でわかる〉シリーズ ― Very Short Introductions日本版)
新 広記

by G-Tools


科学哲学 (1冊でわかる)科学哲学 (1冊でわかる)
廣瀬 覚

by G-Tools


ポストコロニアリズム (1冊でわかる)ポストコロニアリズム (1冊でわかる)
Robert J.C. Young 本橋 哲也

by G-Tools


ポスト構造主義 (〈1冊でわかる〉シリーズ)ポスト構造主義 (〈1冊でわかる〉シリーズ)
折島 正司

by G-Tools

1冊でわかる聖書 (1冊でわかる)1冊でわかる聖書 (1冊でわかる)
John Riches 池田 裕

by G-Tools

建築 (<1冊でわかる>シリーズ)建築 (<1冊でわかる>シリーズ)
西川 健誠 鈴木 博之

by G-Tools


フーコー (1冊でわかる)フーコー (1冊でわかる)
井原 健一郎

by G-Tools


1冊でわかるヨーロッパ大陸の哲学 (1冊でわかる)1冊でわかるヨーロッパ大陸の哲学 (1冊でわかる)
Simon Critchley 佐藤 透

by G-Tools


進化 (<1冊でわかる>シリーズ)進化 (<1冊でわかる>シリーズ)
石川 統

by G-Tools



続きは、「美術史」のメモ続きを読む

rsketch at 20:32|PermalinkTrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加

2008年02月27日

ウィーン創世記

ウィーン創世記―絵で読む聖書の物語 (作品とコンテクスト)
ウィーン創世記―絵で読む聖書の物語 (作品とコンテクスト)カルル クラウスベルク Karl Clausberg 加藤 哲弘

三元社 2000-04
売り上げランキング : 253948

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


《ウィーン創世記》とは、ウィーン国立図書館に所蔵されている「創世記」を描いた6世紀ころの写本です。
本書はこの写本について単に解説したものではなく、美術史家がどのようにこの写本を解釈してきたか、という美術史の流れをたどるもので、1つの写本研究を例に美術史学の流れをみることができる、他にあまり例のない本です。
写本に興味のある方や、美術史学そのものに興味がある方には楽しめると思います。
(美しい写本をビジュアル的に楽しみたい、あるいは学術的な記述方法に抵抗のある方にはおすすめできません)

《ウィーン創世記》には、同じ人物が何回も登場します。
下の図では、黄色っぽい服の人物(ヤコブ)が橋を渡る前、渡り終えた後、天使と争っている姿、天使から祝福をうけている姿・・・と計4回も登場します。

ウィーン創世記
(クリックで拡大)

このように同じ人物が何度も登場したりなど、異なる時間のものを同一画面に描く事を「異時同時図法」といいますが、このような図の成り立ちについて美術史家がどのように絵を読み解いて来たかが紹介されています。またその「読み方」は、美術史家がおかれた時代背景を反映したものである事が指摘されています。

ところでこの本、私は頭から読んだのですが、巻末の訳者解説をまず先に読み、その後本文を読んだ方がわかりやすいと思います。
ちなみに、訳者の加藤氏は10年以上も前から充実したサイトを開設していて、リンク集などがとても充実しています。
加藤 哲弘氏のサイトはこちらから

続きは本書の概要とメモです。


続きを読む

rsketch at 00:10|PermalinkTrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加

2007年02月10日

美術史・芸術史の本

Amazon のインスタントストアというツールを使って、「美術史・芸術史の本」リストを作ってみました。

ツールがよくできているので手軽に作れたのですが、みているうちに「こんな本もあったのか」と脱線することしばしば。
結局、かなり時間がかかってしまいましたが、今まで知らなかった本を知ることができてよかったです。

rsketch at 23:18|PermalinkTrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加