2011年04月22日



「数独(SUDOKU)」は2004年に世界中に爆発的に広がったが、同じ年にもうひとつ、Sから始まる6文字(つまり、SUEOKA)も世界の舞台に向けて日本を飛び出した。道のりは決して平坦ではなかったが、スエオカはついに遅ればせながらも海外の舞台を制し、難問を解くことに成功したのだ。

その難問とは、I-League。シンガポールやタイで何年も足踏みしながらも、スエオカリュウジはゲーム(試合)を、ゴアの山々に囲まれて、象徴的により高いレベルへ引き上げた。31歳という、その改革を成し遂げるには決して若くない年齢で、だ。

それを後押ししたのは「サルガオカー スポーツ クラブ」 。I-League経験の浅いこのチームは今シーズンはじめのフェデレーションカップやドゥランカップでは無残に大敗し、「ゴールド(優勝)」に全く手が届かない状態だった。

しかし今月17日の、現在2位につけるチャーチルブラザーズとの一戦では2-1で勝利し、見事に勝ち点3ポイントを獲得。カリム監督率いるこのチームは、さらに下位チームとの差をつけた。残り6試合だが、間違いなく「ゴールド」の候補であることを見せつける形となった。

この勝利と現在の順位の貢献者はスエオカだ。試合開始90秒で35ヤードからシュートを試みたり、オーバーヘッドシュートで相手ゴールキーパーを頻繁に振り回し、また走っては身をかわして前へ突き抜け執拗に一撃を放つことで相手をかく乱させ、チームに勝利をもたらした。

これで20試合で15点、11アシストという個人成績になった。山口県出身のスエオカは、いつもフォワードのポジションであるが、今シーズンでは中央もしくは左右のミッドフィールドを務めるときもある。

「チャーチル戦でゴールを決めた時は興奮した」とFIFA.com.に話すスエオカ。

「この嬉しさをサポーターと共有するために彼らのいるスタンドに向かって走った。でももっと重要なのはこのあと得点を許さなかったこと。この勝利はチーム全体がもたらしたものだ」

「シーズンが始まったばかりのころは、サルガオカーのポテンシャルを十分感じてはいたが、正直なところ、優勝することは難しいと思っていた。それなのでここまで上りつめることができ、それが周りにインパクトを与えていることは嬉しい驚き」

チームの結果が驚きであるとすれば、スエオカ自身の成果への驚きはもっと大きいかもしれない。数年間アルビレックス新潟でベンチ要員を経験し、レンタル移籍などでシンガポールやタイを行き来、2009年にはインドのモハンバガンに移籍するも、結果を出すチャンスは限られたものだった。

一体どのようにして「ほとんど知られていない外国人選手」から「I-Leagueのスーパースター」へ変身したのだろうか。しかも31歳という年齢で。

「年齢については質問が出ないと良いと思っていたのだけれど」とスエオカはジョークを飛ばす。そして続けた回答はユニークだった。

「毎試合後、練習後でさえも、自分のパフォーマンスの良かったところ、特に良くなかったところを分析するようにしている。パフォーマンスが良くなかったときは、その原因を考えるようにしている。決して“運が悪かった”では済ませない。そうやって問題を理解し、分析し、改善するように努めている。それはサッカー選手として、たとえ30を超えている年齢でも、上達する助けになるように思う。」

スエオカは、素晴らしい成績をカリム監督のおかげだと考える。

監督はインドで最も洞察力が優れており、スエオカをコルカタのモハンバガンやゴアの現在のチームに引っ張ってきた人物だ。「カリム氏は素晴らしい監督です」と小柄な日本人スエオカは43歳のモロッコ人監督について話す。

「彼は、優秀な指導者であり、考察力があり、正確な分析者、頭の切れる戦略家、そして素晴らしいモチベーターでもある。練習では、テクニックのある選手という一面も見せる。彼は常にコミュニケーションを大事にし、選手とだけでなくコーチングスタッフやマネージャー、そして取材陣ともよく話をする。彼のような監督には初めて会った」

カリム・ベンチェリファはFIFA.comに対し、「2004年からスエオカを知っている。シンガポールリーグで指導をしていたとき、何回かオールスターゲームの監督をし、それにスエオカを選抜したときからだ。スエオカをモハンバガン、そして今シーズンはサルガオカーに誘った。サッカー選手としての強みと特質、性格も分かっているつもりだ」

「スエオカは、真のプロフェッショナルであり、インドのサッカー界にとって重要な存在になった。彼は非常にうまくインドの環境に適応している。彼の今シーズンの結果がそれを物語っている。チームのカギとなる選手である。それはレベルだけでなく、彼にはオプションが多数あることが大きい。対戦相手によってポジションを変えて配置することができる。そしてスエオカは何よりチームプレイヤーでもある」

謙虚なスエオカは、受ける賞賛をチームのおかげと受け取る。

「確かに、個人の成績としても今シーズン今のところ悪くないと思う。しかし、すべてチームメイトのおかげ。彼らもとても良いプレーをしていて、それもこれも素晴らしい監督、それを支えるスタッフ、強力なサポーターがあってこそだと思っている。インドの、特にゴアやコルカタの人々は、サッカーを愛している。公園や空き地、ビーチや道端でサッカーを楽しむ子どもたちや若者をよく見かける。ここではみんなサッカーに夢中になっている」

スエオカのサッカーへの大きな情熱のルーツは日本にある。

その日本はいま、地震と津波に大きな打撃を受け、途方もない被害を受けている。「(震災は)一番心配していることのひとつ」スエオカは説明する。

「しかしながら、インドを含む、世界中のサッカーが盛んな国から多数の人々が支援してくれていることに感激している。それがどれだけ日本にとって、そして私たち日本人にとって、意味があることか言い尽せない。心の底から感謝している。そしてサッカーがこのように世界をつないでいることは素晴らしいと改めて感じた」

スエオカは祖国の復興を切に願う一方、現在住むインドという国でも望むものがある。

それは12か月前には夢でしかなかったものだ。「今の目標は、サルガオカーがI-Leagueで優勝するためにベストを尽くすこと。今後予定している4位と5位のデンポSC戦、ムンバイFCは簡単にはいかないだろう。チーム一丸となって戦わなければならない。成果を褒められて気を抜いている場合ではない。常に努力して前進しなければならない。チームの誰もが同じような気持ちだ。これがリーグのトップでいるための秘訣かもしれない」

「優勝した後はその先に進みたい。アジア・チャンピオンズ・リーグだ。アジアのチーム、特にJ-Leagueのチームと対戦することをずっと夢見てきた。それが叶うならもう言うことがない」

スエオカがサルガオカーにI-Leagueチャンピオンにもたらし、大陸選抜同士の対戦が実現すれば、真に迫っているインディアンサマー(小春日和)が具体化するであろう。

(02:01)

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この記事へのコメント

1. Posted by hanano   2011年04月22日 10:27
まずは、FIFA公式サイトへの登場『おめでとう!!』
すごいね!!
近所のサッカー少年が、紆余曲折を経て
FIFAのインタビューを受けるまでになったんだね。
FIFAが、龍くんを知っていてくれてた事に感激!!
そして、記事に又感激!!
努力は報われるものなんだね。
龍くんとJ-Leaguerの対戦を
テレビで観るのも夢じゃないね。
その日を楽しみにしています。
くれぐれも身体を大切に。
そして、傍にいる人を大切に・・・ネ。
2. Posted by Ryu   2011年04月22日 15:50
Hananoさん>FIFAで働くMarkさんとうちの妻がうまく書いてくれました(笑)。本当に人はどこで繋がっていくか分かりませんね。僕は自分からメディアにアプローチはしたことないけど、見ている人は本当に見てくれているんだなと…。僕も改めて実感して、感激しました。これもみんなのおかげです!常に傍にいる人にももちろん感謝ですね!。これからも精進します!
3. Posted by 三原和也   2011年04月22日 18:25
すごいですね。大活躍してるみたいで勇気付けられますね。
記事の内容もすごくてブラボーです。
4. Posted by ひな5    2011年04月22日 20:55
こんにちわϵ( 'Θ' )϶
ひさしぶりに投稿さしていただいた
ひなです!(覚えていますか?)
私は、4月に4年生になりました‼クラブは、ダンスクラブで、委員会は、放送委員になりました‼で…部活はサッカー部に、なりました。4年生になったら、いろんな事が始まりました。
ダンスクラブは、放課に集まって、練習を、しています。3月にある6年生を送る会で、おどります。
でわ………………さようなら( T_T)\(^-^ )
5. Posted by るか   2011年04月22日 21:57
日本語訳ありがとうございます!

和訳を読んで、更に感動 泣泣

よい金曜日になりました☆
6. Posted by ryu   2011年04月22日 23:53
三原君>久しぶり!勇気付けられるなんて言ってくれてありがとう!たまにブログ見てるよ!もう少し更新してくれたら嬉しいかな(笑)。
7. Posted by Ryu   2011年04月22日 23:58
ひなちゃん>おひさしぶり!コメントありがとう!もちろん覚えてますよ!ひなちゃんはダンスもできて、放送もできて、サッカーもできるんだ!お兄さんはびっくりです!!!“6年生を送る会”でもダンスがんばってね!お兄さんもサッカーがんばります!またね。
8. Posted by Ryu   2011年04月23日 00:25
るかさん>妻が僕が練習に行っている間に翻訳してくれていました!感謝です。いつも応援ありがとうございます。良い報告ができるように明日の試合がんばります!
9. Posted by Jun   2011年04月23日 08:08
いつも刺激を受けてます!
こうして身近な方の活躍を聞くと自分もポジティブになれますね!

Jリーグは地震の影響で中断してましたが、今日から再開です!
サッカーのチカラで国内を活気づけていきたいです!
10. Posted by ryu   2011年04月23日 12:30
Jun>ありがとう!俺もそうやって言われるとポジティブになります!いよいよJリーグも再開かぁ。本当にサッカーの力で国内を盛り上げて欲しいね!サッカーにはそれだけの力があると思うから。俺もがんばります!
11. Posted by 桑の実   2011年04月25日 23:19
FIFA COM すごいですね。日本語の名訳でよくわかりました。龍二さんの毎回の試合後の反省と分析の姿勢に感動します。「彼は、真のプロフェッショナルだ」との文にも。奥さんの内助の功も大きいでしょう。皆で、応援していますよ。
12. Posted by ryu   2011年04月26日 19:37
桑の実さん>ありがとうございます!本当に名訳だと思います!こうやってサッカーに集中できるのも奥さんのおかげですね。感謝です。これからもお互い支え合って頑張っていこうと思います!
13. Posted by 機械式 腕時計1    2011年09月03日 02:07
漆黒の腕時計

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