(この記事は占星術の基礎的知識をお持ちの方に向けて書かれてあります。)

 人生には明らかに「節目」というものがあって、その前後では人生が質的に変化します。誰でも等しく通る「節目」には、例えば、土星周期があります。およそ29歳で土星が出生時と同じ位置に戻りますが、これは「サターン・リターン(土星回帰)」と呼ばれ、占星術的にはこれが「成人」する時です。そして58歳あたりで二度目の「サターン・リターン」が来ると、その人は「長老」になります。

 土星で言えば、人生は "youth"(若年期)、"adult"(成人期)、"elder"(長老期)とでも呼べる3つのチャプター(章)に分けられるわけです。

 天王星の84年周期を4分の1(出生時と90度のスクエア)ずつに区切る方法もあります。第1期が0〜21歳、第2期が21〜42歳、第3期が42〜63歳、第4期が63〜84歳です。

 この2つは同い年の人なら誰でも歩調を合わせて一緒に迎える「節目」ですが、個人によって異なる「節目」もあります。その中でも重要なのがプログレス太陽です。

 「プログレス図(the progressed chart)」とは、1日の進行を1年として数えるという論理的にはとても奇妙なものですが、やってみると現実に合っているのでびっくりします。生まれて1日経った時のチャートを1歳の状態として読むわけです。私は今年53歳ですから、生まれてから53日目のチャートで現在の状態を読みます。

 私は生まれた時、太陽は水瓶座の約2度にありました。どの星座も30度ずつありますから、1年に1度ずつ進めていくと、私が28歳の時に魚座に入ります。そして58歳の時に牡羊座に入ります。(実際には1日がちょうど1年ではないので、プログレス図を作って確認してください。) 

 私は水瓶座の初めのほうで生まれましたので、28年間ずっと水瓶座にプログレス太陽は進行していくことになります。でも、生まれた時に太陽が乙女座の28度だった人は、2歳の時にプログレス太陽は天秤座に入ってしまうわけです。

 私はプログレス太陽で言うと次のような「節目」を通ります。

 水瓶座期 0〜28歳
 魚座期 28〜58歳
 牡羊座期 58〜88歳
 牡牛座期 88〜118歳

 乙女座の28度で生まれた人の「節目」は以下の通りです。

 乙女座期 0〜2歳
 天秤座期 2〜32歳
 蠍座期 32〜62歳
 射手座期 62〜92歳
 山羊座期 92〜122歳

 牡羊座の16度で生まれた人の「節目」は以下の通りです。

 牡羊座期 0〜14歳
 牡牛座期 14〜44歳
 双子座期 44〜74歳
 蟹座期 74〜104歳
 
 このように誰でも30年で1つの「節目」を迎えるようになっています。

 そして、ご自分の「節目」を調べられると分かると思いますが、人生のチャプター(章)が変わったかのように、それぞれの期間は異なる特徴を持っているのです。

 私の場合、生まれてから28歳まで水瓶座期でした。とても外向的で外に外に出ていった積極的な時期だったと思います。ところが28歳あたりで霊的なものへの興味がものすごく深くなっていったんです。まさに魚座そのものだと言えます。超越意識に興味が向いて、インドへ行ったり、ベジタリアンになったり、様々な伝統の霊的修練を行ったわけです。水瓶座が陽(男性性)なのに対して魚座は陰(女性性)であり、また内向的だと思います。内面の開発や情緒的な共感や癒しに傾倒してきた25年でした。あと4〜5年で魚座期が終わり牡羊座期が始まりますが、これはまた全然違うチャプター(章)になるだろうと期待しています。おそらく、今よりずっと外向的で活動的な時期になるだろうと予想しているのです。

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 さて、プログレス太陽のサインが変わる時、人生のチャプター(章)が変わるぐらいの「節目」になるというお話をしてきました。

 現在30歳の人は、生まれた時のサインの次のサインを生きていると言えます。乙女座の人は今は天秤座的な人生期にある。射手座の人は今は山羊座的な人生期にある。蟹座の人は今は獅子座的な人生期にあるわけです。そう考えてみると腑に落ちることがあるだろうと思います。

 さて、サインの変わり目とともにハウスの変わり目も大事です。サインの変わり目とハウスの変わり目は大抵の場合ずれています。私の場合、6ハウスに山羊座と水瓶座が混じっていますし、7ハウスには水瓶座と魚座が混じっています。私の7ハウスは水瓶座の約18度から始まるので、私が16歳ぐらいの時、プログレス太陽は6ハウスから7ハウスに入ったことになるわけです。高校2年ぐらいの時ですね。

 6ハウスというのは「召使いのハウス」と呼ばれることがあるように、召使いとか弟子とか不均等な人間関係の中で修行したり奉仕したりする人の領域です。自己研鑽を積んで人の役に立つという感じなわけです。それが7ハウスに入ると、社会に出ていってあらゆる人たちと対等な関係を結ぶという開かれた感じになります。また恋愛や結婚なども入ってくる。

 プログレス太陽が7ハウスにあった16〜39歳の時期には、確かに、東京に住んだりアメリカに住んだりしながらたくさんの人たちと交流した時期でした。恋愛も少しはありました。

 39歳ごろにプログレス太陽が8ハウスに入ってからというもの、私の人生は一変したと言えるでしょう。8ハウスは心の闇に向き合って意識変容を起こす場所ですが、この頃から幼少期や前世のトラウマなどに意識的に向き合うようになったのです。そして、40歳を過ぎてから心理カウンセラーの資格をとり、カリフォルニアでスピリチュアル心理学を学びました。

 ということで、現在もまだ私のプログレス太陽は8ハウスにあり、人々の心の闇に向き合うお手伝いをしているわけです。太陽は主な人生の目的を表すので、調べてみると分かると思いますが、必ずその目的はハウスの領域と合致したものになります。ハウスが変わった時、人生の目的もシフトしたと分かることでしょう。

 私のプログレス太陽が9ハウスに入るのは、14年後で
67歳の時です。あと14年は心の闇に向き合うのでしょうね(笑)。

 9ハウスに入ったら、スピリチュアリティーを教える仕事でもしているかもしれませんね。もう少しレクチャーとかワークショップとかできていたら楽しいなあと思っています。それから9ハウスは遠距離の旅行も入るので、世界のあちこちへ旅しながらワークショップができていると嬉しいなあなどと夢見ているわけです。