菅波亮介のエナジー・カウンセリング(石川県金沢市)

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2018年02月

感情的問題を解くために必要な2つの能力

 クライアントさんの中には、私からの支援を受けて感情的問題をどんどん解いていける人もいれば、なかなか上手に解けない人もいます。

 この差には「2つの能力」が大きな要因として絡んでいると私は思うようになりました。

 その1つは「知的能力」で、もう1つは「情的能力」です。

 「知的能力」と言っても、一般的に言う頭の良さではありません。記憶力に優れているとか、回転が速いとか、知識が豊富とか、そういうこととは違います。

 自分の内面で起きていることに対して、無執着(non-attached)の状態で認識できる能力なんです。

 これは、メディテーションなどを通して培うことができる能力で、
自分の思考や感情などと同一化せずに、そのありのままの姿を知覚できる明晰さとでも言いましょうか。

 この能力が育っていない人だと、自分の思考や感情に飲み込まれて、自分の内面をまっすぐに認識することができません。智慧を育むために必要な「ありのままを見る」という作業ができないわけです。

 こういう人がこの能力を育てたいとすれば、自分の思考や感情を対象化して見るという訓練を積むことが大事です。そして、このように自分の内面を客観的に見ることができるためには、瞑想的・観想的な習慣を身に付けることが役立つでしょう。

 2つ目の「情的能力」は、感情を感じることに対して耐えられる能力です。

 感情的問題を解くときに、抑圧された感情を感じることに心を開かなくてはなりません。ところが、多くの人は、感情を感じないことで自分を防衛してきた過去があります。

 これらの人の多くは、感情を知的に分析して理解することでなんとか解こうとします。そして、最も必要とされる「感じる」ということをできるだけ避けようとするのです。

 このように「感じる」ことを避けていると、感情はプロセスされません。

 感じることに耐性のない人が耐性を育もうとするなら、ハードルの低い感情(感じてもいいと思えるもの)とフィーリングで繋がる練習から始め、感情と対話を通してコミュニケーションをとる訓練も重ねることをお勧めします。

 「情的能力」があまりない人の場合、感情的問題が解けずに様々な症状に悩まされることになります。感じられる方向に成長しなければ、薬を使って症状を抑え込むしか対処法がなくなってしまうのです。薬を使わずに解決できるかどうかは、その人の「情的能力」にかかっています。

 「感情を感じることのできる能力」などというものについて語られることは世の中であまりありません。メンタルヘルスにとっては極めて重要なことなので、もっと広く知られるようになることを希望します。

心理的動揺の4層構造

 多くの人の心理的問題に向き合って分かったことは、そこには似たような心理的構造があるということです。

 心理的問題にはだいたい「心理的動揺(psychological disturbance)」が絡んでいます。そして、この「心理的動揺」を解決することが、心理的問題を解くこととほぼイコールなわけです。

 「動揺」がなければ、心は平安で、何も問題はありません。つまり、「心の問題」とは「動揺」だと言ってもいいくらいです。言い換えますと、「心の問題」を理解するとは、「心を乱しているもの」を理解することと同じです。

 「動揺を解く」というときに、その構造を知っていないと、「動揺」に内包されている「自己防衛」からの反発によって阻まれてしまいます。

 ということで、動揺の構造についてお話しすることにいたします。

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 心理的動揺は4層構造をしています。4層とは①傷、②悲しみ、③怒り、④恐れです。

 この4層は、それぞれ全く異なるエネルギーを持っています。

①傷(pain of an unfulfilled need; 欲求が満たされない痛み)

 まず、最も奥深いところには、必要なものが得られなかったことによる痛みが存在します。ここのエネルギーは、重たくて鈍いものです。

②悲しみ

 痛みに対して生じる感情反応の1つが「悲しみ」です。実は「悲しみ」は痛みを癒そうとして生じるものですが、癒し切れないとき、深い絶望感に姿を変えます。

 ここのエネルギーは下に沈み込み、内側に籠る、どちらかと言えば柔らかなものです。

③怒り

 痛みに対して生じるもう1つの感情反応が「怒り」です。「怒り」は「悲しみ」と対極にあり、満たされなかったものを満たすべく、外に向かって積極的・攻撃的に訴えかけようとする感情です。

 ここのエネルギーは外に向かってダイナミックに発散する熱いものです。

④恐れ

 同じ痛みを再び感じさせられるのではないかと想像することで自分を守ろうとするのが「恐れ」です。

 ここのエネルギーは冷たく凍るように固まっていてその人を萎縮させます。

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 「心理的動揺」に接触したとき、まず④恐れが出てくる人もいれば、③怒りが最も表面にある人もいれば、②悲しみや絶望が前面に出ている人もいます。

 最初に接触する感情が何であれ、それに対して共感的に寄り添っていると、しばらくしてその下の層が姿を表します。

 例えば、最初に④恐れがたくさん出てきた人の場合、恐れに寄り添って自由に表現してもらっていると、突然③怒りが出てきたりします。

 また、③怒りが表現し尽くされたとき、②悲しみがど〜っと出てくることも珍しくありません。

 大事なことは、②③④の全てを完全に受け止めてあげることです。

 そうすると、早かれ遅かれ、①の痛みを純粋に感じられるところに到達します。

 この痛みに共感が届くと、癒されていきます。そして、痛みが癒されることで、その上にあった3つの層は全て不要になります。こうして、「心理的動揺」の構造が解体されるのです。

 「心理的動揺」を解決する際に求められるのは、奥にある痛みが露呈するまで上の3層を共感によって溶解させる技能です。

 多くの人が犯す過ちは、②悲しみ、③怒り、④恐れのいずれかと戦い、抵抗を通して変容させようとすることです。こうすると、その層はますます強化され、「心理的動揺」は自己防衛を通して自らを維持させ、奥に埋もれた痛みが癒されるのを妨げてしまいます。

 感情というものは、共感的愛を通してでなければ解決しません。感情と戦うと、必ずその感情は頑なになってますます解けなくなるのです。

 ひとことで言えば、動揺は過去の痛みを封じ込めて自分を守ろうとする反応によって起きています。その反応を叩くのではなく、なぜそういう反応をする必要があったのかを理解し、フィーリングを通して繋がれば、「心理的動揺」は心を開いてくれます。心を開いてこちらを信頼してくれたら、最も奥にあるものに触れさせてくれます。こちらに愛がなければ、こうはなりません。愛があるから、傷に触れさせてくれるのです。傷は愛を求めています。そして愛をもたらす人にだけ傷口を見せるのです。愛以外の動機で近づく者に対しては、3層の感情が防御壁として立ちはだかります。

 悲しみ、怒り、恐れが無防備になれるのは、愛に触れたときだけです。愛が届いたとき、これらの感情は解き放たれます。そして、奥にあった傷が本当に癒されることになります。

 このようにして、「動揺」から「平安」に至るのです。
 

「人間関係の民主化」という革命

 私は1960年代に始まった人間性心理学(Humanistic Psychology)の信奉者です。

 実は、私がやっているこの心理カウンセリングという仕事も、人間性心理学に端を発しています。

 アメリカ社会では1960年代に人間性回復運動人間性心理学が起こり、様々な人間関係のあり方が根底から変化したと言ってもいいでしょう。

 そして、その「人間関係における革命」は、この日本にも多大な影響を与えてきました。我々が過去数十年に経験してきた人間関係における変化の源が、アメリカの人間性回復運動や人間性心理学にあることを知っている人はあまり多くないかもしれません。

 今の日本では当たり前になっている「自己啓発セミナー」や、病気治療における「インフォームド・コンセント」、学校における体罰の禁止なども、アメリカから始まった「人間関係における革命」に基づいたものです。

 「人間性の回復」と言うからには、それまで「人間性が尊重されない関係」が主流だったことを意味しています。 

 古い時代には、親が子供の、医師が患者の、教師が生徒の権威として支配的に振る舞うことが普通でした。子供や患者や生徒は、権威に対して従順であることが求められたのです。


 ところが、新しい時代には、子供や患者や生徒も固有の存在であり、本人の意思を考慮せずに支配してはならないという考え方に変わっていきました。

 一人の人間がもう一人の人間を「支配する」ということは、非人間的なことなのだ、という認識になっていったのです。

 より人間性の高い社会においては、強い立場にある者ほど、弱い立場にある者を支配せず、その人の意思や気持ちや価値観を尊重し、水平で対等な民主的関係を築きます。

 人間性の高い親子関係においては、たとえば、親が子供の嫌がることを強制的にさせたり、命令したり、服従しない場合に処罰を加えるといったことは放棄されています。

 人間性の高い医師と患者の関係においては、患者の納得しない治療を医師が無理やり施すといったことは放棄されています。

 ロジャーズは、カウンセラーとクライアントとの間に「自己一致」「無条件肯定」「共感」がなくてはならないと言いましたが、実はこの三条件はあらゆる人間的関係の必要条件です。 

 親子関係でも師弟関係でも、支配的な要素が強いほど「本音と建前」「内面(うちづら)と外面(そとづら)」は分裂することになります。支配してくる相手と関係を維持しようと思えば、本心を隠すしかないのです。

 「本心を隠す」ということが「自己一致しない」ということです。内側で感じていることと、相手に見せている顔がズレた生活をするということです。

 支配的で非人間的な環境にいる人ほど「自己一致」することができません。なぜなら、本心が尊重してもらえる人間関係の中で生きていないからです。

 また、支配的で非人間的な環境にいる人ほど、「無条件肯定」されていません。固有の存在としてその意思や感情を大事に扱ってもらえていないのです。また「共感」も得られていません。内面を聞いてもらえることなく、「こうしろ」「ああしろ」「これはこうしたほうがいい」と命令・忠告されるだけで、水平の立場から関心を示してもらっていないのです。

 このように、人間的な環境を作っていくには、お互いを固有の存在として尊重し、意思や感情や価値観を無視して誰かを支配するということを放棄する必要があります。

 人間的な人間関係が増えていくと、「本音と建前のギャップ」や「内面と外面のギャップ」はどんどん小さくなっていきます。相手からの支配を回避するために本音を偽るという必要がなくなっていくからです。

 日本は政治体制において民主主義になりはしたものの、実際の人間関係の中には非民主的・支配的要素が全くなくなっているとは言い難い状況です。古い人間関係がまだまだ色濃く残っています。お互いの扱い方が非人間的であるということが多々あります。

 まだまだ個人レベルにおける人間関係の民主化は進まなくてはなりません。

 あなたは「人間関係の革命」をすでに済ませましたか?

 私は心理カウンセラーとして「自己一致」「無条件肯定」「共感」に基づく人間関係をクライアントとの間で実践することによって、非人間的環境によって傷ついた人たちの「人間性回復」を支援するとともに、社会全体に向けて「人間性回復」の必要性を訴えています。

 と言うのは、多くの人の心理的病理のかなりの部分が、人間関係の病理によって生じていることがはっきりと分かるからです。

 人間関係の病理を治さなくては、そこで傷つき精神を病んでしまう人が絶えません。

 世の中には、まだまだあまりにも不健全な人間関係が多いのです。

 人間関係が健全化していくとは、「自己一致」「無条件肯定」「共感」に基づいたものに変わっていくということです。

 本心を隠していた人が隠すのをやめることによって、相手を支配していた人が支配をやめて相手の固有性を尊重するようになることによって、自分とは異なる相手を知ろうとして気持ちを聞けるようになることによって、少しずつ少しずつこの日本は「心から健康な国」になることができます。

 皆さんも是非、この「人間性回復運動」にご参加ください。

日本社会の閉塞感について

30年たっても改革されないままの男女不平等と長時間労働

 日本の男女平等は世界で114位だそうです。

 私は欧米10数カ国をこの目で見てきましたが、どこも日本よりずっと進んでいます。

 1980年代に私が大学生だった頃、これからどんどん男女平等が進んでいくだろうと楽観的に感じていましたが、見事に予想は外れました。思っていたほど社会は変わっていかなかったんです。

 男女平等だけではありません。1980年代に私はすでに、職場の長時間労働という悪習を変えなくてはならないと思っていました。もっと人間的な働き方にならなくてはならないと考えていたのです。ところが、これも30年以上たった今、ほとんど変わっていません。

 日本という社会には、社会的問題を解決する能力がないのでしょうか?

 なぜこの社会は必要な改革ができないのだろうか、と事あるごとに考えてきました。


改革を嫌う日本人の心理

 あらゆる社会構造は人間が作り出している以上、人間の意識の産物だと言えます。改革ができない社会があるとすれば、改革を拒むような意識がそこに必ずあるはずです。

 そこで、日本人の集合意識の中に改革を拒むような要素がないだろうか、と考察してみました。

 実は、社会全体が改革を嫌うだけでなく、
個々人もまた改革を嫌う人が多いというのが私の経験です。

 社会全体の心理的問題と個々人の心理的問題は並行しています。

 個人レベルで改革を欲する人が多数派であれば、集団レベルでの改革は進むはずです。ならば、集団レベルでの改革がなかなか進まないということは、
大多数の個々人が改革の意識を持っていないだろうと想像するのです。そして、実際に、個々人の心理にたくさん触れるカウンセラーという仕事の経験から言えば、確かに改革を嫌う人が多い印象を受けるのです。

 「改革を嫌う」とは「自浄作用が働かない」ということです。「問題を積極的に解かないで、現状維持を図ろうとする」ということです。


要素1:変化に伴う不安定を避けようとする

 日本人は同じ秩序が長く安定的に続くことを好む傾向が強いと思います。1つの仕事がずっと長続きするとか、1つの結婚が死ぬまで続くとか、1軒の家にずっと住み続けるとか、1つの伝統がずっと変わらず続くというように、何かが変わらないことと自分や集団が繁栄することをイコールだと思っているようなところがあるんです。

 これは、アメリカ人の多くが持っている「1つの仕事から新しい仕事にどんどん移っていく事でステージを上げていく」という発想とは対極にあります。住む場所も人生のステージとともに変えていく人が多いのがアメリカです。

 日本人は個人レベルでも社会レベルでも、変化を嫌う心理が強く働いていると感じます。
不安を避けて、できるだけ安定した生活をしたいという気持ちが優先されるのです。

 これは、例えば、
破綻してしまった夫婦生活でも続ける人が多いという現象にも見られます。

 「変化を通して成長していく」という心理が弱いんです。これは牡牛座的な病理だと私は考えています。牡牛座にとっては現実的生活を安定させて生き残るのが至上命題です。なので、安定を脅かすものをできるだけ避けようとします。この心理が強く働き過ぎると、「成長に必要な変化まで拒絶してしまう」という牡牛座特有のシャドーとなるのです。

 日本人には集合的にも個人的にも、この病理が色濃くあるように思います。


要素2:小集団の中の協調性を最優先する

 中根千枝著「タテ社会の人間関係」にあるように、日本人は「家」や「職場」などの「場」による集団形成が世界一強く、また、ヨコの関係よりもタテの関係への偏りが著しい。タテの集団を形成するとき、上の者が絶対的権力を持って下の者を服従させるというのとは違って、むしろ上から下までが「一つの塊」となって支え合えるように、様々なルールに従っているのです。

 そのルールの中でも「協調性」は最も重要な位置を占めています。つまり、小集団の秩序を脅かすような行為は慎まなければなりません。

 日本人には自分が
小集団の一員として生きているという意識が最も強く、所属する小集団に対する外部からの脅威と共に戦うことで連帯感を保っているわけなのです。

 この
「小集団内の連帯感」は、実はその集団に必要な「自浄作用」に対する極めて強力なブレーキとなってしまいます。なぜなら、「自浄作用」は集団内の秩序への大きな脅威となり得るからです。

 官僚たちがお互いをかばい合い、外部に対して省庁の病理が露呈しないように奔走する姿などは典型です。

 このように「小集団内の秩序維持」が何事にも優先されることによって、集団内の病理は解決されることなく、外部からの改革要求と内部からの抵抗との間のバトルになってしまいます。

 日本人は、所属する集団内において、何かが問題だと思っても、言わないままで済ませようとする傾向が強いと思います。波風を立てないで、自分の立場を守ろうとするのです。

 改革より秩序内の安定を優先する心理が強く働きます。

 「成長に必要な他者との対立を避ける」というのも牡牛座的な病理です。

 ということで、日本社会がなかなか成長できない理由、そして日本人が個人としてなかなか成長できない理由は、「変化」と「他者との対立」という成長に欠かせない2つのことを避けてしまうことだと私は考えています。そして、日本人が小集団に対して抱いている意識の問題でもあると思います。

 では、私たち日本人はどうすればいいのでしょうか?

 次に私なりの回答を試みました。


私からの提言:自己アイデンティティーを小集団に限定せず公益を考える

  私から見て、多くの日本人の問題は、小集団と自分を同化させ過ぎていることにあると思います。中根千枝氏が指摘するように、多くの日本人は、小集団を通して自分というものを保っている度合いが極めて高い。そして、自分が所属する集団以外の人たちとは親密なヨコの関係が持ちにくい。小集団の秩序内だけで生きているような狭い人がとても多い。なので、日本人は一般的に社交性に乏しい

 
社交性に乏しいとは、いろんな世界の人と同じ人間として親しく交流することが下手だということです。「A社の社員」というポジションでしか相手と関わることができない。

 日本人は小集団の外に出ると、信じられないほど失礼なことを平気でしたりする、と中根氏は指摘しています。自分の集団の中での調和だけを考えていると、その外のことはどうでも良くなります。つまり、
公益という感覚が弱くなる

 自分が所属する小集団に病理があるとき、そしてその病理によって社会に害が及ぼされているとき、社会的な意識が強い人、つまりこの集団は社会の利益のためにあるのだという意識が強い人の場合、
小集団の秩序維持よりも、社会への害を止めることを優先したいという感情が勝ることになる。けれども、公益の感覚がそもそも弱く、集団の維持を優先する多くのメンバーたちは、自分の身が安泰であれば公益に害があっても目を瞑るのです。

 公益に貢献するという感覚が育つためには、個々人は所属する小集団を相対化できる必要があります。そのためには、数多くの多様な集団に同時に身を置く方がいい。

 複数の多様な集団に身を置くことで、
社会全体にとって何がいいのかを自分で考えられる個人として成熟していくことが大事です。いろんな世界を知った方がいい。

 多くの日本人が住んでいる世界が狭すぎるのです。


なぜ本音を言うタレントに人気があるのか

 坂上忍にしてもマツコ・デラックスにしても、人に嫌われることを恐れずに言いたいことをバシッと言う人たちがテレビで人気を集めています。

 これは、心理的に見ると、多くの日本人が自分の家庭や職場で我慢していることを代弁してくれているからではないかと思います。自分がなかなか体現できないことを体現してくれている人を見ると、スカッとするのです。

 家庭や職場で自分が抑圧されていればいるほど、ズケズケと物を言える人に憧れるものです。これはポジティブな投影なんです。

 でも、ズケズケタレントに投影しているだけでは個人にも社会にも成長はありません。裸の本音を自分自身が言えるように成長し、これらのタレントに憧れなくてもいい方向へと成長した方がいいのです。ガス抜きにタレントを使うだけなら、自分の家庭や職場は一向に改善しないままです。

 牡牛座の病理を治すために必要なのは対極にある蠍座です。蠍座は自己変革のために裸の真実を明らかにしようとします。そして他者との対立を避けません。「闇を告発する」とか「透明性を求める」というのは蠍座の得意領域なのです。


ひとりひとりが社会を変えていく

 私は、日本に、自分の問題から目を逸らしている個人が減れば、社会全体の閉塞感は減ると考えています。政府から変わってもらうのではありません。ひとりひとりから変わらなくてはならないのです。

 日本人にはびこる病は、「どうせ私が働きかけても何も変わらない」と諦めていることです。

 上(社長、総理大臣、官庁)が先に変わってくれるのを受け身で待っている人がほとんどなのです。だから変わらない。

 日本の閉塞感を作っているのは、破綻した結婚生活にしがみついている多くの人そのものであり、また職場の病理に気づいていながら声を上げない多くの人そのものであり、自分を偽って相手に合わせてしまう多くの人そのものであり、また誰かが変革の声を上げたときに公益よりも小集団の協調性を考えて見て見ぬ振りをする多くの人そのものです。

 病理を抱えているのは何も霞が関の官僚だけではありません。全国津々浦々に生活している、平均的な私たち日本人の多くがそうなのです。

 自分の病理に向き合うことしか誰にもできません。あなたはあなたの、私は私の病理に向き合うことが主な責任なのです。

 政府や官僚だけを責めていてはいけません。


社会改革は自己改革を通してしか達成されない
社会に問題があると思ったなら、同じ問題を自分の中でまず解く


参考図書


この世が得意な「満月生まれ」とスピリチュアルが得意な「新月生まれ」

 これはスティーブン・フォーレストの講義に基づいています。

 フォーレストが言うには、人間が持つパワーには2種類ある。

 1つ目は「この世の現実を生きて成果を出せる人のパワー」。仕事で業績を出したぞお、勇気を持って結婚の誓いを立てたぞお、いろんな国を旅行して見てきたぞお、オリンピックに出たぞお。そういう具体的なことを成し遂げた人が持っているパワーです。

 やはり、仕事をしたことのない人よりも、仕事を何年もしてきた人の方が、何がしかの貫禄のようなものがあります。結婚をしたことのない人よりも、結婚生活を何年もしてきた人の方が、養われているある種の強さがあります。日本を出たことのない人よりも、いろんな国を見てきた人の方が、培われている何らかの自信があります。オリンピックに出たことのない人よりも、出たことのある人の方が、「私はこの人生でできるだけのことをした」というような満ち溢れる充実感がある。


 こういうパワーは「満月のパワー」だとフォーレストは言います。

 それに対して2つ目のパワーは「神様と接触することによるスピリチュアルなパワー」。10日間、あなたの友人が山に篭って修行をしたとします。そして10日目にあなたは彼を車で迎えにいく。10日ぶりでこの友人に会ったとき、あなたは彼がここ10日間、神聖な世界にいたことを肌で感じ、すぐには話し出せない。友人が口を開くのをじっと待っている。この友人は何か重要なことを知っている。彼には「内面を照らす光のようなパワー」が漲っている。

 こういうパワーは「新月のパワー」だとフォーレストは言います。

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 生まれた日時に「満月」に近かった人、つまり太陽と月がオポジションかオポジションから45度以内の人は、「満月のパワー」の方が多い。つまり、この世の形ある世界での達成をしやすい。そちらに意識が主に向きます。

 それに対して、生まれた日時に「新月」に近かった人、つまり太陽と月がコンジャンクションかコンジャンクションから45度以内の人は、「新月のパワー」の方が多い。つまり、この世での形ある達成よりも、スピリチュアルなパワーを多く持っている人。そちらに意識が主に向くのです。

 誰でも霊的なことと3D現実のことの間のバランスをとって生活しているのですが、主軸が霊的なところにある人(新月型)と現象世界の現実にある人(満月型)がいるということです。それ以外の人は、その中間にあります。

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 私は太陽と月が8度差のコンジャンクションで、新月の日に生まれました。いちおう大学を出たり、海外生活をしたり、働いたりもしてきましたが、基本的にはスピリチュアルな環境にいる方がずっと楽なんですね。この世の仕組みにどっぷり浸かってしまうとしんどくなるので、基本的にはフリーランスで仕事をし、社会の既存秩序とは一定の距離を取りながら生活しています。

 それで、私のカウンセリングの先生も、最も親しい友人も、だいたい気の合う人というのはみんな「新月型」なんです。似た者同士で理解しやすいんでしょう。

(2018年10月更新)

「外界との対立」は「自分の中の葛藤」に翻訳して解く

 相手(伴侶、親、上司、隣人など)と自分との間になかなか解けない人間関係の問題があるとき、その問題を「外界(他者)と自分の対立」と捉えるだけでなく、「自分の中の葛藤」つまり自分の内側での問題として翻訳して解く必要がおそらくあります。

 自分の中に「解けていない葛藤」があると、ほぼ確実に「外界(他者)との対立」という形で現れてくるものだからです。

 多くの人は自分の中に問題があるとは思っていません。見えていないし、見たくもないという場合も結構あります。

 そうすると、「内なる葛藤」が解決されるためには、外の出来事を通して訴えかけられることになるのです。

 たとえば、多くの人の中には「自己嫌悪」という葛藤があります。「自己嫌悪」を葛藤と呼んだのは、「自己嫌悪」をすると必ず「自己肯定されたい」という渇望がセットで生じてきて、2つの間の矛盾に悩むことになるからです。

 「自己嫌悪」する人の多くは、この問題をどう解いたらいいのかが分かりません。なので、「自分が大嫌いだあ」と「自己肯定を感じたい」という相反する気持ちを抱えて、解けないまま生活することになります。

 この「内なる葛藤」が解決できなければ、その人の人間関係は、「否定されるのが怖い」「肯定して欲しくてしょうがない」という拒絶と執着に彩られたものになります。

 そうすると、相手から欲しくてしょうがない肯定感が得られないことに悩む人間関係にどうしてもなるのです。そして、「悪いのは自分を否定してくる相手である」と思って犠牲者意識を持ってしまいます。

 これが典型的な「外界との対立」としての問題認識です。

 このままだと、問題を解決するためには、「自分を否定してくる相手を変えて、肯定してもらえるようにする」という発想しか生まれません。けれども、このやり方をどれだけやってもうまくいかないのです。

 なぜなら、自分を肯定してくれない相手に悩まされる、そもそもの原因は、自分が自分を嫌っているというところにあるからなのです。自分が自分を否定しているから苦しい。その事実から目を背けて、この人間関係のパズルを解くことはできません。

 この人が「そうか、私が解かねばならない葛藤は、自己嫌悪と肯定感の渇望との間の対立なのだ」と気づいたとしたら、問題の克服へと向かうことができるでしょう。

 そして、自分を悩ませていたのは相手ではなかった、自分自身だったと悟るでしょう。

 このように、「外界との対立」はしばしば「自分の中の葛藤」の存在を暗示しています。もう1つ例を挙げますと、相手からものを頼まれると断れないというのは、相手との解けない対立ですが、これは「相手の要望を断りたい」という気持ちと「断るのが怖くて避けてしまう」という内面の葛藤によって生じているんです。ですから、これは「相手との間の問題」というよりも「自分の中での解くべき矛盾」と捉えなければうまく解決されません。

 「外界との対立」がなかなか解けないときには、「自分の中の葛藤」がないかどうか吟味してみることをお勧めします。

心理的抵抗(psychological resistance)

 「心理的抵抗」は様々な心の問題に関わっています。

 例えば、「A が欲しい」というとき、「Aが得られないことに抵抗のない『欲しい』」である場合と、「A が得られないことは絶対に許せないという『欲しい』」である場合がある。

 前者は、欲しいは欲しいのだけれども、得られないときのことを心配したり恐怖したりしていないので、力みのない、リラックスした願望です。得られなかったら落胆するけれど、その落胆は受け入れようと思えます。

 それに対して、後者は、得られない場合の落胆はあってはならないと力んでいます。結果を自分が支配できない可能性を実は恐怖しています。これは「執着」であり、強い「心理的抵抗」の存在を表しています。

 前者のリラックスした「A が欲しい」の場合、願望が叶うことを期待するだけで、悩みにはなりません。

 しかし、後者の頑なな「A が欲しい」の場合、「私、A が欲しいんです」と苦しそうに話します。この人の「私、A が欲しいんです」の背後には、「私、A が得られないことを恐怖しています」という心理があるわけです。

 心理的抵抗は苦しいものです。

 この人が「A を得られなくても、その時はその時で受け入れればいいや」と思えれば、こんなに楽なことはありません。けれども、そうしたくてもできないから悩むのです。

 執着しないでおこうと自分にいくら言い聞かせても、執着するのをやめられない。だから困っています。

 多くの人は「私、結婚したいんです」と言うのですが、その心理的な意味は「私、結婚できないことを恐怖しています」ということです。結婚できない可能性を想像し、それに対して抵抗している。それを辛いと感じます。

 心理的抵抗は基本的に恐怖です。何か自分にとって危険だと認知したものに対して防衛しているわけです。防衛している状態は辛く感じます。

 こういう心理的抵抗に出くわしたとき、どうすれば解けるかと言うと、抵抗に対して戦わず、抵抗しなくてはならない理由を解きほぐすんです。

 つまり、何をそんなに恐怖しているのか、その本質を突き止めるということです。 

 「A が得られなかったら、どうなってしまうと心配しているの?」「結婚できなかったら、どんな酷いことになると思っているの?」と心理的抵抗に向かって尋ねます。

 こうやって掘り下げると、「マイナス信念」か「癒されていないトラウマ感情」かが見つかります。実は何に対して自分を心理的に守ろうとしていたのかというと、未来に想定された出来事ではないんです。内側にすでに存在するマイナス信念(「私は価値のない人間だ」等)かマイナス感情(「私は共感されず辛かった」等)に対して起こっていた防衛反応だったと分かります。

 やさしく言い換えますと、自分の中に「毒」があって、その「毒」から自分の心を守ろうとしている。けれど、本人は自分の中に「毒」があると自覚できていない。そうすると、本当は自分の中にある「毒」に対して自己防衛をしているのだけれど、その「毒」が自分の外にあるように認識してしまう。「毒」は外に投影されているということです。外に投影するとき「自分とは違う他人に投影する」という場合もあれば、「現在とは違う未来に投影する」という場合もありますが、ここで起こっているのは後者ですね。

 このように「未来にこういうことが起きたらどうしよう」と恐怖して、それが起こる可能性をなんとかゼロにしようと力んでいるとき、本当の「毒」は自分の無意識にあります

 本当に抵抗している対象は、未来ではなく、自分の無意識にある「何か」です。その正体を明らかにし、マイナス信念やマイナス感情を癒したり手放したりして無毒化すれば、抵抗は止みます。そうすると、未来に何かが得られないことに対する抵抗もなくなります。

 「何を恐れているのか」という質問への真の答えが見えないと、解決できないようなところに恐怖を向けてしまいます。なので、心理的抵抗を解くには、恐れている対象の正体を見極めることが不可欠です。

本当に私が恐れているものの正体とは何か?

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 いろいろな執着に悩む方々のセラピーをやってきましたが、執着しなければならない理由がはっきりしないうちは止めようがないんです。ところが、何に対して自己防衛しているのかが明確になると、本当の解決が可能になります。

 本当に恐れていたものは「思考」とか「感情」です。

 「思考」や「感情」を恐れるってどういうこと? と不思議に思われる方もいらっしゃることでしょう。 蛇や地震や批判を恐れるのなら分かるけれど、「思考」を恐れる? 「感情」を恐れる?

 たとえば、過去の経験を通して「私はダメな人間なんだ」という風に思うようになったとしましょう。これはその人の「信念(ビリーフ)」です。この信念を抱えている人は、これが現実だと思っています。「私はこういう信念を持つ選択をした」という具合に客観視しているわけではありません。

 これを信じたのは本人ですが、「信じている」という自覚はないのです。本当のことだとしか思っていない。これが無意識の状態です。

 そして、「私はダメな人間なんだ」と信じ込んでおいて何ですが、そのように感じる苦痛から自分を守りたいという思いもまた無意識に起こってきます。つまり、信じ込んでいるのだけれど、できるだけ感じたくないという防衛反応も起こってくる。

 マイナス信念を抱え込むと、必ず2つの現象が起こります。1つは
信念に対する執着で、もう1つは信念への恐怖反応・防衛反応です。

 この2つは矛盾しているでしょう? 「私はダメな人間なんだ」という信念を掴んで放さない一方で、この信念を恐怖し、感じなくていいように抵抗しているんです。

 「私はダメな人間なんだ」という「思考(thought)」にしがみついているのだけれど、本人にはしがみついているという自覚はありません。本当のことだぐらいにしか思っていない。けれど、信じ込んでいるのは自分を苦しめる思考なんですね。自分で自分を苦しめる選択を無意識でしていながら、苦しむことには抵抗している。そういう矛盾したことを無知から行っているんです。

 自分の中にあるこの矛盾を智慧によって解かなくては、他人を支配しようとしたり、未来を支配しようとしたりという変な行動になってしまいます。他人や未来を支配しても、根本的には解決しません。なぜなら、矛盾は自分の中にあるんですから。

 ということで、「思考」を恐れて抵抗している場合、その「思考」にしがみついてもいます。そして、しがみついているのをやめて手放せば、すべて解決します。恐怖していた本当の対象が自分の中からなくなるので、根本的に解決するのです。

 これをやるには、恐怖の対象となっている「思考」を見つけ出せることが必要です。自分を苦しませている「信念」を特定できる技能が要ります。

 これで「思考」を恐れるという意味がお分かりでしょうか?

 さて、「感情」を恐れるとはどういうことか少し説明しましょう。

 私たち人間はみな多かれ少なかれ未解決のマイナス感情を抱えています。過去の体験において消化されなかった怒りや悲しみや恐れなどです。これらも無意識に溜まっているんですね。そして、これらを感じると辛くなるので、感じないように抵抗して防衛もしているわけです。

 未解決のマイナス感情を刺激する相手や出来事を、私たちは恐れます。なぜなら、それらは自分の感じたくない辛い感情を感じさせるからです。

 そう、私たち人間は、自分がまだ処理できていない辛い感情を刺激する相手や出来事に対して抵抗するものなのです。

 しかし、本当に恐れているものは相手や出来事ではありません。自分の中にある「感情」なんです。感じたくない感情を感じさせられることを恐怖しているだけなんです。

 では、相手や出来事に抵抗し、それらを恐怖することから自由になりたいなら、どうするか。それは、感じたくないと抵抗している、恐怖している、自分の中の未解決の感情を特定して癒してしまえばいいんです。

 これにも技能が要ります。マイナス感情を特定して癒す技能です。

 過去から持ち越している未解決の感情を癒してあげると、それを刺激する相手や出来事をもう恐れる必要がありません。抵抗する必要がありません。はじめから、恐れているのは相手でも未来の出来事でもなかったんです。

☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆

 人間は自分の中にある「うまく処理できていない思考」や「うまく処理できていない感情」に抵抗することで常に自分を防衛しています。その正体が分からないため、他人や未来に脅かされているように現実誤認をしているわけなのです。

 自分の心を動揺させ不安定にするものは「うまく処理できていない思考」や「うまく処理できていない感情」ですが、それらの存在に無自覚なため、それらを刺激する外界のもの(他人や未来の出来事)を恐怖するという症状となります。

 これを根本的に解決するには、「うまく処理できていない思考」と「うまく処理できていない感情」の処理が必要です。

 処理してしまえば、症状は消えます。


人間の心を動揺させるのは
「うまく処理できない思考」と「うまく処理できない感情」である。

素の自分を隠さず出すほうが好かれる

 私は20代の頃、ファッショナブルな服を買って、パーマをかけて、実際よりも男らしく振る舞い(自分が女っぽいと思っていたので)、「こういう男が好かれるんだろうな」というイメージを演出していました。

 いい服を着たりおしゃれをしたりすることを悪いとは思いませんが、問題は実際の自分を隠そうとしていたことです。無意識でやっていたことなので、年を取るまでは自覚できませんでしたけれども。

 それで、ある時に気づいたんです。「こういう男が好かれるんだろうな」と自分が思い描いたイメージを出して、もしそれが好かれたとしても、内側にいる実際の自分とは違うわけだから、結局自分が好かれたことにはならないということに。

 自分が演出したイメージがどれだけ好かれて愛されても、それは決して愛されている実感を自分にもたらしてはくれないんです。だって、愛されているのは偽りの自分だから。

 だから、結局「いい格好をする」ことは何にもならないんだと悟ったわけです。虚しさしか残らない。

 大事なのは、相手が内側の実際の自分を好きになってくれることであり、実際の自分を愛してくれることです。

 実際の自分を隠していたのでは、この相手が自分を本当に好きなのか、愛してくれるのかがさっぱり分かリません。

 だから、自分を本当に好きで愛してくれる人と出会うには、勇気をもって素の自分を出すことが大事なんです。

 磁石にはN極とS極がありますよね。磁石を厚いタオルで覆ってしまうと、磁力が働かないので、別の磁石を近づけてもくっつきません。本来、N極はS極とくっつき、同じN極は反発するわけですが、磁石を覆ってしまうと、くっつくことも反発することもできなくなるんです。タオルを取り除くと、磁石の本来の力が発揮できて、くっつくものと反発するものがはっきりします。

 人間も同じで、本当の自分を隠しているというのは、磁石にタオルを被せているのと同じなんですね。本当に合う人とも合わない人ともフラットな関係しか築けません。誰にもひどく嫌われない代わりに、誰にも深く愛されないんです。

 ところが、素の自分を出すと、そういう自分を嫌う人からは嫌われるんですが、本当に好きだという人には好かれることになります。深く理解してくれる人と全く理解してくれない人がはっきりするんです。

 例えば、私は自分の女っぽいところが嫌いで、こういう男は嫌われるだろうと恐れていたんです。だから隠そう隠そうとしていた。ところが、ある日、自分はこういう人間なんだから、もういいやと思った。「実は私って女性性が6割あるんですよ」なんて言いながら、時々女言葉も使うようになったりして。そうすると何が起きたかと言うと、まずと〜っても自分が楽なんです。マスクを被らなくていいので。それで、公言しているわけですから、私のところに寄ってくる人というのは「そういうあなたでもいいですよ」「そういうあなたが好きですよ」「そういうあなたは素敵だと思う」と本心で思ってくれている人ばっかりなんです。女っぽいところのある自分が「気持ち悪い」と思っている人は、私に近寄ってきません。だから、対処する必要もないんです。私の磁石を裸にしたので、反発する人は反発する人ではっきりして、彼らは私に近づかないでいてくれます。だから、私の周囲には素の私をいいと思ってくれる人ばっかり。

 誰でも世の中の50%には嫌われ、50%には好かれるものなのではないかと私は思っています。誰だって誰かしらには嫌われるものなんです。どうせみんなに好かれるなんて不可能なのだから、自分を好きでいてくれる人、愛してくれる人、理解してくれる人と一緒にいられる方がいいと思いませんか? もしそうであれば、素の自分を隠さないことがいちばん大事だと思います。

 敵と味方がはっきりすると言ってもいいでしょうか。

 敵を作るのを怖がってたら、味方もできませんよ、ということです。敵ができることを受け止めるから、味方との絆がしっかりするんです。だから、いちばんもったいない生き方は、自分の磁石を覆ったままで一生を終えることなんじゃないかしら。

 あるがままをさらけ出して本音で生きれば、そういうあなたをいいと思ってくれる人が必ずいます。否定する人も必ずいますけれど、否定してくる人が気にならなくなる方法が1つだけあるんです。それは、自分をさらけ出す勇気を出すことによって、本当に好かれる喜び、本当に愛される喜びを手に入れること。この喜びがあれば、一部の人に嫌われることなんて大したことではなくなるの。怖がっていたら、いつまでも否定してくる人たちに支配されて人生終わるのよ。そんなの嫌でしょ?

 だから、私はどれだけ変人と思われようが、自分として生きますよ!

 心を裸にして仕事ができるって最高の気分よ。私はいま私にしかできない仕事をしているの。そして、そういう私の仕事を感謝してくれる人たちがやってきてくれている。なんて幸せでしょう。

 私はもう20代の頃のように、内面の自分とは違うイメージを差し出して、「この偽りの自分を好きになってください」なんてしません。

 そういう必要はもうないんです。

 あともう1つ気づいたことがあります。自分が「こういう自分はダメで嫌われるだろう」と恐れていたことというのは、実際には恐れるほどのことではないということです。

 例えば、もしあなたが性的虐待を受けたことがあるとすると、そういうことは絶対に人には知られたくないと思っているかもしれません。それを言えば、誰も自分を好いてくれない、愛してくれないと信じているかもしれません。けれど、これが意外と真実ではないんです。超思い込みなんです。

 私は性的虐待を受けたことのある多くの女性からカミングアウトされたことがありますが、「え? あなた性的虐待を受けたの? うわ、気持ち悪い。もうあなたとなんか付き合いたくない」なんて感じたことは一度もないんです。「うわ、すごいなあ」と感動するんです、毎回。慈愛も湧いてきますが、尊敬も湧いてくるんです。どちらかと言うと、前よりその人が好きだと感じるほどです。これは不思議ですね。私も完全に説明することはできないかもしれません。けれども、カミングアウトされたことで、その人への拒絶感が増したということは一切ないんです。

 よ〜く考えてみてください。世の中に「私は性的虐待を受けたました」なんて堂々と言える人が目の前にいたら、あなたはその人を尊敬しませんか? するでしょう? 人ってそういう風に反応するものなんです。だから、「私のこれを知ったら、相手は私を受け入れないんだろうなあ」なんていうのは、ある意味で人間を誤解しているところがあると思うわけです。

 案外と人は優しいもんだよ、と言いたい。気持ち悪いなんて言う奴も出てくるかもしれないけど、そういう奴は放っておけばいい。好かれる、尊敬される方が圧倒的に多いと思います。だから、嫌われても気にならないぐらいだと思います。

 自分の中の「タブー」を誰かにカミングアウトしてみると、本当の自分を理解し尊敬し愛してくれる相手とそうでない相手とがはっきり区別できるようになります。そうじゃないと、あなたの本当の理解者、味方はずっと分かんないですよ。

 だから、自分の汚点だと思っていることこそ人に暴露した方がいい。そこからあなたの魅力的な人生がスタートするんです。

 ヤッホー!

脳性まひのコメディアン メイスーン・ザイード

 メイスーン・ザイードはニュージャージー出身のパレスチナ系アメリカ人。

 自分の脳性まひを逆手にとり、ネタにしてしまうーー「私には99の悩みがあるの。脳性まひはそのうちのたった1つ」。^^/

 それから「抑圧された人たちのオリンピックがあったら私は金メダルだわ。だって、私、パレスチナ人で、しかもイスラム教徒で、それに女性で、障害者と来ている。おまけにニュージャージー州に住んでいるのよ!」

 会場はドカ〜ん! 

 あと笑ったのは「子供のころ私の街にはアラブ人が6人いたの。みんな私の家族よ」「今では街にアラブ人が20人もいるの。みんな私の家族よ」「でも街の人はみんな私たちがイタリア人だと思ってるみたい」。

 アハハハハ!

 私がマサチューセッツに住んでいたころ、スーパーに行くと車椅子の障害者がよく買い物をしていたり、友達の家に行ったらダウン症のお姉さんがいて一緒に食事をしたり、私のピアノの生徒(イタリア系)の家に夕食を食べに行ったら、自閉症の甥っ子ヴィンセント(私がこれまで会った最も優しい人間のひとり)が来ていてお話ししたりと、あちこちに障害を持った人たちが溶け込んで愛されていたのに、日本に帰って来たら姿をほとんど見なくて寂しいです。

 日本ではまだいじめられないように外にあまり自由に出ないようにしているのかしら?

 アメリカ社会はいろんな問題を抱えているけれど、どんな人も個人として愛そうというようなダイナミックな空気があって、そういう行為に多くの人が拍手を送るという、とっても素敵なところがあります。私はアメリカのそんなところが大好きです。

 では、お待たせいたしました。メイスーン・ザイードさんで〜す!

 (スクリーン下の「字幕」をクリックすると日本語訳が見られます。)



 

医師が今日クライアントとして来られました

 今日は特別な体験をしました。

 初めてカウンセリングに来られた女性のクライアントは医師で、子供の頃からOCD(強迫性障害)と鬱と診断され、現在でも双極性障害II型という診断のもとに精神科で治療を受けている方でした。

 これはご本人(Aさんとしておきましょう)の許可を得て書いています。

 Aさんは7代続く医師の家系に生まれ、親御さんの意向で医師になりましたが、本当はなりたくなかったのだそうです。

 今でも自分の人生を選べなかったという悔やみを抱えています。

 医学部を出て、医療現場も内側から知っている Aさんは、あまりに多くの医師が「病を見て、人を見ず」であること、数字には強いけれど哲学の話ができないことを嘆いていました。

 精神科に通って薬を飲んできた体験については、「薬を飲むと、辛い感情も減る代わりに、プラスの感情もなくなってフラットになる。喜びもなくなってしまう」と語っていました。患者が本当に必要としている治療とは違うと感じたようです。患者にとって本当に必要なことを理解するためには、精神科医が自ら精神病患者になってみるのがいちばんいいと話してくれました。

 Aさんはとてもスピリチュアルな方で、だいぶん前からシャクティ・ガウェインやディパック・チョプラなどの本を好んで読んでいたそうです。

 「日本の医療がこのままでいいはずがない。これから絶対にこういうスピリチュアルなことが大事になってくる」と熱く語ってくれた Aさんに私は深く共感し、この出会いを嬉しく思いました。

 お医者さんにもこういう方がいるんだあ、と感激したと同時に、Aさんのような方だからこそできるお仕事がこれからあるに違いないと確信しました。どれだけ多くの人が、彼女のような人を探し求めていることだろうと思うと泣けてくるほどです。

 もっともっとこの日本にホリスティックな医療が広がり、意識の深いところでの問題を解決できるような医術者が当たり前の存在になってくれることを切に祈っています。

 私との出会いを「ミラクル(奇跡)!」と言って喜んでくれた Aさんのギフト(天与の才能)は、この日本がいま切実に必要としているものだと信じて疑いません。

 今日は、魂と魂との嬉しい触れ合いがありました。


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私がなぜ認知行動療法を採用しないか

魂のパートナーシップ

 私は自分自身の恋愛体験を振り返ったときにも、また私のところに相談に来られるクライアントさんたちのパートナーシップを考えても、1つのことに気づかされます。

 それは、愛情関係がいかに私たちの最も深い傷を刺激しているかということです。

 私たちに最も深い幸福感を与えてくれるはずの愛情関係が、しばしば私たちに最も深い苦しみを与えるかのように感じます。

 なぜこういうことになってしまうのでしょうか。

 その訳は、記事「ジョン・グレイ『男は火星人、女は金星人』その10」でお話しした通り、誰もが癒されていない過去の感情を抱えながら生きているということと、それらが愛情関係を通して刺激され癒しのチャンスを得るということなのです。つまり、愛情関係はパートナー双方に、深い癒しの場を提供するという意味があるわけです。

 ですから、感情的困難はパートナーシップにおいてはほぼ確実に生じてきます。生じてこなければそれはパートナーシップではないと言ってもいいほど、愛情関係と感情的困難は切っても切れない関係にあるのです。

 私は過去に4つの恋愛を経験していますが、愛情関係が深い癒しの目的を持っていると明確に自覚できたのは10年前に付き合った3番目のパートナーの時でした。

 私たちはお互いの深い傷を頻繁に刺激し合い、両者ともしばしば耐え難いほどの感情的痛みを味わいました。それでも私は彼女が好きだったので、何とか関係を維持し、癒しを前進させてお互いの個性が開花できることを望んだのでした。

 2年ほど、くっついたり離れたりを繰り返した末、私は関係継続を諦めることにしました。その主な原因は、彼女が自分の傷の責任を取ろうとしなかったことでした。彼女の過去の傷が刺激されるたびに、私は彼女から責められ傷つきました。彼女は苦しくなると、その原因を私に求めたのです。

 私は彼女が好きだったので、責められてもしばらく耐えました。そして、彼女自身の癒しのワークをするように何度も促しました。自分の傷の責任をとるなら付き合えるけれど、とらないなら私は他のパートナーを探さざるを得ないと伝えたこともあります。その時、彼女は「じゃあ別れよう」と言いました。なので、一度、私は本当に彼女の元を去り、他のパートナーを探したのです。

 私はこの3番目のパートナーとの経験を通して、愛情関係の癒しの目的についてきちんと意識できる相手を求めたいという明確な意思を持つようになりました。

 不思議なことに、3番目のパートナーと別れて数ヶ月経った頃、他のパートナーを探している最中に、彼女から久しぶりで連絡があり、数日間を一緒に過ごしました。もう一度やり直せるかもしれないと希望に胸が膨らみましたが、私の言動が彼女の傷を刺激したとき、彼女は相変わらず私を責め出したのを見て、私は本当に諦めました。

 お互いの傷が刺激されたとき、双方が意識的に取り組めたら、そのパートナーシップは深い癒しと個性の開花を支えるサンクチュアリー(聖域)となります。

 愛するパートナーとの日々のやりとりの中で浮上してくる過去の傷をお互いに癒しながら、魂として前に進んでいくのをサポートし合えるというのは何と素晴らしいことでしょうか!

 私はそのような「魂のパートナーシップ」をサポートしたいですし、また自分も持ちたいと思っています。

 さて、愛を通して互いの癒しと成長を実現し続けられるパートナーシップも存在しますが、多くの愛情関係においては、過去の癒されていない感情が浮上したとき、それにうまく対処できません。

 過去がうまく癒されず、相手にその責任を負わせていると、3つのことが起こってきます。

 ①攻撃性が増す

  不満が溜まり、それが互いへの怒り、妬み、憎しみとなり、攻撃的な関係になります。

 ②迎合性が増す

  どちらかが相手に折れることで、関係をなんとか維持しようとするので、本当の自分が抑圧された重苦しい関係になります。

 ③回避性が増す

  感情的問題が解けないまま形としての関係だけを続けると、心の距離が離れて、触れ合いのない冷え込んだ関係になります。

 感情の真の解決法を知らなければ、これらの3つの問題を抱えることになるのです。

 Conscious Partnership(意識的なパートナーシップ)においては、感情的問題が起きたとき、意識的に向き合って次に繋げるということにコミットします。なので、未解決のまま放置するということは基本的にありません。攻撃性・迎合性・回避性によって関係が侵されないように絶えず注意を払い、意識的に協力して取り組む関係なのです。


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過去と現在がダブったらまず過去を解決する
トラウマ(未消化の過去体験)を処理する
心の奥の痛み
人間関係の問題から成長するために

ジョン・グレイ『男は火星人、女は金星人』その10

恋愛や結婚は「過去を癒す役割」を持っている

 私たちは恋愛関係や結婚関係において、自分の中の「最も不安定な感情」を刺激され動揺します。あれほど好きだった相手に憎しみや恐怖などあらゆる不快な感情を感じてしまうようになるのです。これはどうしたことでしょうか。

 実は、愛される関係が確保されることで、過去に癒されなかった感情がこれぞとばかりに浮上して、癒されようとします。

 ですから、愛があればあるほど、過去の痛みがたくさん出てくるのです。

 そう、恋愛や結婚は、私たちの過去を癒す役割を担っているのです。

 これを理解しないと、過去を癒す代わりに、お互いを傷つけ合うだけに終わってしまいます。ですから、愛情関係で辛い感情が浮上したとき、「癒しの機能」を発揮できるようになることが重要です。

 私たちはみな、過去の傷という未解決で不安定な感情を胸の奥深くに秘めながら日常生活を送っている。その感情は、誰かから本当に愛されるようになるのを待って表面に顔を出してくるのだ。
 もし、私たちがこのような感情を上手に処理することができれば、より精神状態は安定し、私たちの愛の生活はより豊かで創造的なものとなり、二人の可能性は無限に広がっていく。
 だが、もし過去の傷をいやす代わりに激しく相手と争うようになり、非難を浴びせるようなことになれば、精神状態をますます混乱させ、再び感情を著しく抑圧していくことになる。

(中略)

 もし、あなたが過去に抑え込んだ疎外感や孤立感が湧き起こってきたとしても、あなたは目の前のパートナーによってそういう気持ちにさせられていると感じてしまうのだ。過去の苦痛が現在に投影されてしまうのである。
 ある日、あなたは最愛の異性とめぐり合い、激しい恋に落ちる。そうすると、その愛情が私たちに充分な安心感を与えてくれ、心を開放してそれまで抑えてきた感情に気づかせてくれるのである。
 愛情が私たちの心を大きく開き、そして私たちは苦痛を感じ始めるようになる、というわけだ。

   ジョン・グレイ『ベスト・パートナーになるために』pp. 220-221


「90対10の法則」

 私たちがパートナーに対して感じる感情の90%は、過去に辛い思いをしたときの癒されていない感情です。10%だけが、目の前のパートナーに対して感じているものなのです。

 つまり、夫に対して怒っていると思っていても、実際にはそれは子供時代に父親に感じていた怒りであったりします。

 いま自分が感じている感情の9割は過去のものだと分かると、恋人や伴侶に対して責任をぶつけてはいけないのだと理解できます。二人がこの基本的理解を共有できると、お互いの深い癒しをサポートし合う「魂のパートナー」になれるのです。

 私たちはパートナーとの関係の中で、説明のつかない心の乱れを経験することがある。そして、その原因の90パーセントは、実をいえば自分の過去に関係がある。自分では、目の前で起きている彼(彼女)とのことが原因だと考えているが、実はほとんど関係なく、遠い昔に経験したことに起因している部分が大きいのである。一般的に、現在の経験が関係しているのは、わずか10パーセント程度だと考えていい。

   ジョン・グレイ『ベスト・パートナーになるために』p. 222


パートナーに対して「不安定な感情」になったら「ラブレター法」

 「ラブレター法」はグレイ博士が創作した自分ひとりでするセラピーです。実は、この詳しいやり方は本書には載っておらず、他のところから引用してきました。

 「ラブレター法」とは、誰かに対して困難な感情を持っている時(この場合はパートナーですが、他の人でもOKです)、その相手に対して思っていることを全て手紙に書く作業のことです。基本的に相手に読ませるものではありませんが、パートナーの場合には、読んでもらうこともあります。

 「ラブレター」は感情ごとに5つのセクションに分かれています。①怒り→②傷ついた気持ちと悲しみ→③怖れ(不安、心配、恐怖)→④罪悪感と悔やみ(謝りたいこと)→⑤愛

 私なりの説明になりますが、まず最初に相手に対して感じている「怒り」を全部書きます。「あなたが〇〇した時とても嫌だった」とか「こういうことに腹が立つ」とか「〇〇が許せない」などです。心の感じるままに自由に表現してください。

 「怒り」が底をついたら、「傷ついた気持ち」と「悲しみ」を書きます。

 次に「怖れ」を書きます。相手に対して感じる不安、心配、恐怖です。

 4番目は「罪悪感」と「悔やみ」。相手に対して謝りたいことがもしあれば書きます。5つのセクションの中には該当する感情を全く感じないこともあるでしょう。そういう場合はその感情は抜かして結構です。

 最後に「愛」。これは、相手に対する「好きだ」という気持ちでもいいし、「こんなことをしてくれてありがたいと思っている」という感謝でもいいし、「こんな時楽しい、嬉しい」というのでもいいです。相手に対して感じる嬉しさ、楽しさ、安らかさ、有り難さ、愛おしさなど、心温まる感情を全て書きます。

 これでお終いです。

 さて、「ラブレター法」を実践すると、自分の感情が整理され、また埋れていた感情をしっかりと感じることにもなるので抑圧が解けて心が解放されることも多いでしょう。と同時に、多くの人はこれをやっている最中に、同じような感情が自分の両親との間でも感じていたというような洞察を得るようです。つまり、自分のもっと古い過去の感情的記憶と繋がって、思い出すのです。

 もし、あなたが「ラブレター法」をやっている間に、過去の別の人物との間の似たような体験が思い出されてきたなら、その相手(両親など)に対して次に「ラブレター」を書くことをグレイ博士は勧めています。

 このようにして、自分の夫に対しての怒りや悲しみを書いている最中に、自分の親との経験が蘇ってきて、親との未解決の問題が解決するということがしばしば起こります。

 そうしたら、夫に対する怒りや傷ついた感情が嘘のようになくなってしまうことも珍しくありません。つまり、夫との出来事は、親との体験を癒すために起こってくれたことだと後で分かるのです。

 こういう発見は、夫と分かち合ってもいいですね。

 本書の229〜232ページには、パートナー関係の感情トラブルを通して過去を癒した人たちの実体験が綴られています。いくつかご紹介しましょう。

 ある朝、ジムは目覚めるとなぜか彼女をとても疎ましく感じるようになった。彼女が何をしても、彼には煩わしく感じられ、ただうるさいと敬遠したくなってしまったのだ。そこで、彼は彼女にラブレターを書くことにした。そのプロセスの中で、彼が本当に精神状態を混乱させてしまった原因は、母親による世話のやきすぎだったことを発見した。小さい頃の彼は、母親の過剰なまでの監督下にずっと押さえられていたのである。その感覚が、にわかに湧き起こってきたのだ。
 そこで、彼は短い "ラブレター" を母親宛に書いた。その手紙を書くために、彼は母親の監督下に置かれ、抑圧感にさいなまれていた時代に戻った自分をイメージするように試みた。彼はこの手紙を書き終えた後、直ちに自分を取り戻し、もはや相手に対して疎ましくも煩わしくも感じることがなくなった。

 彼と知り合ってから数か月、激しい恋愛に身を焦がしてきたリサは、このうえもなく幸福な日々を過ごしてきた。だが、ある日突然、何とも言えない嫌悪感を恋人に対して覚えるようになった。
 だが、彼女はラブレターを書いていくにつれ、本当は自分が彼に充分なことをしてあげていないのではないかと恐れていることに気づいた。そして、彼はそんな自分にもう愛情を失ってしまったのではないかと恐れていることを発見していったのである。自分の内面に潜んでいた恐怖心に気がついたリサは、そのおかげで再び彼に対して強い愛情を感じ始めることができた。

 夢のようにロマンチックな一夜を共に過ごしたビルとジャンは、その翌日、激しい喧嘩をしてしまった。それは、ビルがちょっとした約束を忘れてしまったことに対して、ジャンが少しばかり腹を立てたのが発端だった。いつも冷静な彼と違って、その時、彼はいますぐ別れたいと思うほど自分を失ってしまっていた。
 後になってラブレターを書いてみると、彼が本当に恐れていたのは彼女が自分のもとを去り、捨てられてしまうことだと気がついた。彼は、子供時代に自分の目の前で両親が喧嘩したのを見て、どのような感情を持ったのかを思い出したのだ。そこで彼は両親に向かって手紙を書いた。すると、たちまち妻に対する深い愛情を再び感じ始めることができるようになった。

   ジョン・グレイ『ベスト・パートナーになるために』pp. 229-231


おわりに

 「その1」から「その9」までは、男性心理と女性心理の差を扱いました。多くの人は、私のように、男性心理と女性心理の両方を併せ持っているのではないかと思います。占星術の出生図では、すべての人が火星と金星を持っていて、本書に書かれた男性心理は火星の、女性心理は金星の特徴と重なります。確かに男性的な人は火星の影響を、女性的な人は金星の影響を強く受けています。男性性は火星の他にも太陽や土星によって、女性性は金星の他にも月によって表される面があることは付け加えておかねばなりません。私の出生図の太陽は金星や月とコンジャンクションを成しているので、私の中で女性性は中心的位置を占めます。アドバイスや干渉をされたくない部分は男性ですが。

 「その10」の内容は、「愛情関係を通して過去を癒す」という深いお話でしたね。実はこれ、私が心理療法家として社会にもっと発信したいと日頃から思っていたことと全く同じだったので、最終章でこれが出てきてビックリしました。

 取り上げなかった部分もたくさんありますので、このシリーズが為になったと感じた方には、本書の一読をお勧めします。533円+税とけっこう安いです。


推薦図書


 

ジョン・グレイ『男は火星人、女は金星人』その9

男性に愛される最大のコツはソフトパワー(受容力)を使うこと

 女性が最もやっていけないのは、男性とまともに戦うことです。ハードパワーを使って彼を責める、非難する、罵倒する、ばかにする、命令するということをやると、あなたが男性力を使って彼を屈服させようとしているわけですから、男と男の関係になってしまうのです。仮に彼がこのバトルで負けて、あなたの要求に応えたとしても、彼の中には敗北感屈辱感が増えます。そして、彼の男性としての自信はむしろ減ってしまうのです。

 このようにして、男性とまともにバトルをすると、あなたの要求が通っても通らなくても、あなたの女性としての幸せは遠のいてしまいます。あなたは彼の男性性をちっとも育てていないのです。

 「北風と太陽」で言うと、ハードパワーで男性に言うことを聞かせようとするのは「北風」です。それに対して、女性が愛されるために必要なのは「太陽」であり、ソフトパワーで男性に働きかけることです。

 ソフトパワーを使うとは、彼が抵抗した時(嫌だ、できない、したくない、迷う、もがく)、それに対して完全無抵抗の状態になることです。

 これは彼の抵抗に対して屈服するのとは違います。屈服しないで受容するだけです。能動的(男性性・陽性)なことを一切しないで、受動的(女性性・陰性)に徹するのです。

 「牛乳買ってきてくださらない?」とあなたが彼に言った時、「そんなこと今できないよ」と彼が抵抗したとします。

 この時、あなたが能動的・男性的に反応し、「あなたはいつもそうやって文句を言うのね」とか「たまにはさっと言うこと聞いてくれてもいいでしょ」などと言うと、男性はますますカチンときて抵抗を強めます。男性は戦いたい種族なのです。あなたの喧嘩を買ってしまいます。こうなると両方が負けなんです。

 では、彼が「そんなこと今できないよ」と言った時、「分かりました。私が行きますよ」と折れたけれど、心の中では「まったくもう、しょうがないわね」と怒っているとします。これは表面では物分かりのいい女性を演じてはいますが、内面では男性として戦い負けただけです。女性パワーではありません。

 女性パワーを使うとは、彼が「そんなこと今できないよ」と言った時、彼は今やりたくないという気持ちだということに対して完全に受容的になるということです。戦うのとは対極に行くのです。内面においてです。内面を無抵抗にするんです。これは「今してもらわなくてもいい」と諦めるのとは違います。あくまで、この瞬間のあるがままの彼を受け入れて、柔らかくなるんです。そして、「私の願いを聞いてくれたら嬉しいなあ」という期待を温めます。でもそれは口に出しません。心の中で感じるんです。そして、黙っている。結論を出さないニュートラルの状態でひたすら待つ。そして、相手に委ねるんです。

 そうすると、男性は「あれ? 反抗してこないな?」と気になります。自分の反応に対して相手が承諾したのか拒絶したのかはっきりしません。いつの間にか「ひとり相撲」になってしまっています。

 女性がバトルをやめて黙って委ねてくると、男性は自分の中にある「応えてあげたい気持ち」と「応えてあげたくない気持ち」との対立を解かなくては気持ち悪くなります。

 そして、彼自身が自分の答えを出さなくてはならなくなるのです。仮にそれが「応えてあげられない」だとしても、女性が彼の抵抗を受け入れたことで、そして彼の決断の過程を尊重したことで、彼の男性力は育っているのです。そして、できるだけあなたの要求に「応えてあげたい」という感情はむしろ深まっています。

 彼の出した答えが「応えてあげたい」だったとしたら、彼はあなたとのバトルに屈服したからではなく、あなたを愛したいという素直な気持ちからあなたの要求に応えてくれることになり、その方があなたも彼も幸福感に満たされることができます。

 つまり、相手の男性力を育てたいのであれば、男性力を尊重し続けることが要です。そして、女性力のパワーとは、男性力を信頼し、彼の抵抗を彼自身に返し、彼の決定を尊重することです。尊重された男性力はますます女性を愛したくなります。それを女性が信頼できるかどうかが鍵でしょう。

 女性は男性と戦わなくても勝てるということを知る必要があります。なぜ女性が勝つかというと、男性は女性を幸せにしたいものだからです。その男性力を味方につけるには、女性力で相手を抱擁することです。女性のソフトパワーに包まれると、男性は負けてしまいます。しかも喜んで負けてくれるのです!

 女性にはそういう最強の武器があるのに、男性の戦い方をしてしまっては本当にもったいない、もったいない。

 さて、「その8」でご紹介したグレイ博士自身の体験には続きがあります。

 私は、素直に「なんとすばらしい妻を私は持っているんだ」と思った。私があれほど反抗的な態度を示し、文句を言ったにもかかわらず、彼女はそれでも私に感謝をしてくれているのである。
 その次に再び彼女から牛乳を買ってくるようにと頼まれた時、私はそれでも少しは抵抗感を示してしまったことを覚えている。だが、もちろん彼女の思惑どおりに私はスーパーマーケットへ車を走らせた。家に帰ってくると、彼女は同じように感謝の気持ちを表してくれた。三回目に頼まれた時、私はまったく抵抗することなく、すぐ自動的に「もちろんさ」と答えることができるようになった。
 それから約一週間後、彼女は私に牛乳の買物を頼まなくなった。それに気がついた私は彼女に自分から「買ってこようか?」と申し出たのである。だが、彼女はもうすでに自分が買ってきてあるから大丈夫だと言った。
 驚いたことに、それを聞いた時の私は、なぜかガックリと失望感に襲われたのである! 私は牛乳を買いに行きたかったのだ。彼女の愛情が私に「YES」と言わせるようにプログラムを組んでしまっていたのである。それ以来、今日に至るまで私は彼女からスーパーマーケットまで牛乳を買いに行ってきてと頼まれると、喜んで「YES」と答えている。
 私自身、このような心の内側の変化を経験した。妻が私の反発を受け入れてくれ、牛乳を買って帰ると心から感謝の意を表してくれたことが私の抵抗感を一掃し、逆に自発的に彼女を手助けして支えてあげたくさせてしまったのだ。あの時以来、彼女がこれまでやらされたことがないような新しい手助けや雑用の要求をしてきても、私はずっと気軽に、抵抗感を覚えることなく、素直にそれに応じてあげられるようになった。

   ジョン・グレイ『ベスト・パートナーになるために』pp. 203-204

 男性の抵抗感は、それに対して女性が抵抗すると強まる。そして男性は愛せなくなる。反対に、男性の抵抗感を女性が許し受容すると、男性は抵抗感を弱め、女性を愛したくなる。男性が喜んで女性を満たすたびに、女性が感謝を伝えれば、男性はますます愛したくなり好循環が生まれる。

 男性の与える能力をうまく引き出すには、「受容」と「感謝」という女性からの栄養が必要です。この二つを浴びせられた男性は、女性を満たしたいという本能を素直に発揮できます。


「不満」を隠さず素直に顔に出す

 このセクションは本の内容から逸れて、私自身の考察です。

 女性が不満であるとき、その不満は男性に伝わる必要があります。しかし、多くの女性は自分の不満を怒りを通して伝えようとして失敗するのです。それ以外にうまく伝える方法を知らないからです。

 女性の不満が純粋に伝わってきたなら、男性は「応えてあげたい」と感じるものです。ところが、伝え方が素直でないと、つまり男性を否定するものであるとき、応えてあげることに対する抵抗が強くなります。

 では、不満を純粋に素直に伝えるにはどうすればいいのでしょうか?

 不満を隠さないということです。表現しようという能動的なものをなくし、でも不満を感じているときの不安や落胆や悲しみを隠さず、顔に出すということです。

 強がって顔に出さないようにすると、その心の壁によって不満が伝わるのを妨げます。ですから、女性は虚勢を張って強がるということをやめなくてはなりません。

 怒りの鎧を着ることで、素直な不満感情は顔に出なくなります。そして、攻撃的手段以外に不満を男性に伝える術がなくなってしまうのです。

 具体例をあげましょう。

 男性が運転する車の助手席に女性が乗っているとします。男性の運転が荒っぽく速すぎるので、女性は怖いと感じています。

 このとき、気の強い女性は男性を叱ってスピードを落とさせようとします。これは男性的なやり方です。「おい、お前ちょっと荒っぽいぞ」とか「もうちょっとスピード落とせよ」などと命令口調なわけです。

 女性的に伝えるには、「もう少しゆっくり行ってくださらない? 私怖いわ」と言うんです。「スピード落とせよ」じゃなく「落としてくださらない?」が女性的です。なぜなら、相手の男性を尊重した言い方だからです。そして、怒りではなく怖い気持ちを伝えることが女性的です。

 「怖い」と言われたら、男性は女性を守ってあげなければという気持ちになれます。

 「怖い」という気持ちを素直に顔の表情に出せると、男性は素直に「あ、申し訳ない。ゆっくりにしますね」と言いたくなる。

 ところが、「お前乱暴なんだよ」と怒りで来られると、「何だと!」と反撃したくなるんです。

 多くの女性は、怖いという感情を素直に出せません。内面の女性性の上に男性性の鎧を着て自分を守ってきたため、女性性を出すことに抵抗があります。男性への不信があり、男性に対して無抵抗になることに恐怖を感じます。怒っている方が安全に感じるんです。女性性を奥にかくまって、外に出せません。

 男性不信女性性の抑圧がある場合には、女性パワーへのブロックをまず解く必要があります。


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ジョン・グレイ『男は火星人、女は金星人』その8

ほとんどの人は相手から愛情を効果的に引き出す術を知らない

 もし、パートナーとの関係において自分が望んでいるような愛情や思いやりを得ていないと感じているのなら、その最大の原因の一つはあなた自身の求め方にある。
 相手に対するアピールが充分でなかったり、あるいはその方法自体が非効率的で誤ったものである場合が多い。
 どんな人間関係においても、愛情や思いやりある扱いを自分から積極的に相手に対して求めていくことは、うまくいくために欠かせない条件である。もし、本当に幸せな愛情生活を手に入れたいと望んでいるなら、自分の手でそれをつかみにいかなければならないのだ。
 だが、現実にはそれができる人はとても少ない。たいていの人がーー男も女もーー相手に対して効果的に愛情を求め、それを手に入れる術をわかっていないのである。だから、なす術もなく、ただ手をこまねいているだけでいらだったり、方法を誤って落ち込んでしまう男女があまりにも多い。
 とりわけ女性は、相手に愛情や思いやりある扱いを求めることを恐れ、フラストレーションや絶望感にさいなまれる傾向が強い。そこで本章では、女性が相手の男性の愛情と思いやりある行動を自分の手で勝ち取る方法について述べていくことにした。

   ジョン・グレイ『ベスト・パートナーになるために』p. 169

 女性は求めることを遠慮したり、不満が溜まってから感情的に責めたり命令したりすることで、「愛の求め方」が消極的と攻撃的の両極端を行ったり来たりする傾向があります。

 不満が溜まる前に積極的に伝えること、そして攻撃的にならないことを学ぶと、男性はもっと喜んで応えてくれるものだと分かるでしょう。

 次に、グレイ博士がこれまで何千人もの女性に教えてきた「男性への上手な要求の仕方」をお伝えします。

第1段階:いつもやってくれることに感謝を伝える

 彼があなたのためにいつもやってくれることーー重い荷物を持ってくれるとか、壊れたものを修理してくれるなどーーに関してあなたの感謝が伝わっていますか。頼むときに命令口調になっていませんか。彼は快くやってくれていますか、それとも抵抗を示しながら重たい気持ちでやっていますか。

 まずこの段階では、特別なことを要求しません。いつもやってくれていることを、彼が抵抗なく快く引く受けてくれ、あなたの感謝を受け取って彼があなたを満たすことができた実感をちゃんと味わっていることを習慣化します。

 彼のやっていることを当然のことだと見なして感謝を伝えなかったり、命令口調で彼を動かしてきた期間が長ければ、この段階をマスターするのに時間がかかるでしょう。

 あなたの要求の仕方と応えてくれた時の反応が変わると、相手は「どうしたの?」とビックリするかもしれません。でも、きっと嬉しいと思いますよ。

 それから、頼む内容は、理由をクドクドと説明せず、短く具体的に伝えましょう。「ゴミ箱がいっぱいなんだけど」などと曖昧な言い方は避けて、「ゴミを捨ててきてくれる?」とか「ゴミを捨ててきて欲しい」と素直に直球で伝えることが肝心です。応えてくれたら、笑顔で「ありがとう」と言いましょう。「すごい助かった」でも伝わります。

第2段階:少しハードルの高いことを頼み彼の NO を快く受け入れる

 第2段階に進めるのは、彼がふだんあなたからたっぷりと感謝を受け取り、結構あなたを満たせているという喜びを感じられている場合だけです。まだそこに到達していない人は、もうしばらく第1段階をこなしてください。

 さて、第2段階では、「これはちょっと断られるかな、無理かな」と思われるハードルの高い頼み事を彼にします。ここで肝心なのは、彼が断った時にこちらはそれを受け止める覚悟があるということです。つまり、ダメ元で頼んでみるという練習です。

 例えば、「三日間いっしょに温泉行きたいんだけど、連れて行ってくれない?」などです。叶ったら本当に嬉しいことじゃないとダメですよ。ひょっとしてイエスと言ってくれるかもしれません。そしたら、メチャメチャ喜べばいいんです。それが彼に伝わるように。そして、仮に答えがノーだったとしても、「そうだよね。無理だよね。いや、考えてくれただけでありがとう」とかなんとか言うわけです。彼のノーを快く受け入れるんです。

 ここで彼のノーに対して女性が怒り出すと、「これは命令だったんだ。強制だったんだ」と男性は感じて嫌な気持ちがします。ノーを女性が受け入れた様子を見て、「これはお願いだったんだ」「イエスとノーの選択を俺に委ねているんだ」と感じて、男性は尊重されていることを知ります。そして、そういう女性のリクエストを覚えていて、
次にできるときに叶えてあげたいなという気持ちが生じるんです。そして、忘れた頃に、「来週末、温泉行こうか」なんて言ってくれるかもしれません。

 男性はハードルの高いことを頼まれても、ノーを快く受け入れてくれる女性であれば、頼まれることは嫌ではなく、むしろ自分を頼ってくれていることに自信を深めます。そして、愛する女性のためなら少し無理をしてでも叶えてあげたいという気持ちになっていくのです。この段階では、女性がノーを快く受け入れてくれることを男性に深く印象付けることが大切です。

第3段階:彼が NO と言っても粘り強く YES を引き出す

 第3段階に進めるのは、彼の NO をあなたが快く受け入れてくれるという信頼と安心が彼の中に根づいてからです。第2段階では、彼が NO と言えば、それを受け入れて引き下がりました。今度は、彼が NO と言っても絶対に通したい要求である場合、そこで引き下がらずに YES と言ってもらう方法です。

 たとえば、あなたが彼に「スーパーで牛乳を買ってきて欲しい」と頼むと、「疲れているからもう寝たいんだよ」と彼が答えたとします。そのとき「じゃあ、いいわ」と諦めず、もちろん「何よ。私がこれだけしてあげているのに」などと文句を垂れるわけでもなく、何をするかと言うと、ただ沈黙を通すんです。

 もし、あなたが沈黙したとき、彼がうめき、うなり、抵抗を示したなら、それはあなたの要求に応えたい気持ちを他のこと(寝ること)との間で葛藤しているということです。つまり、あなたの要求を真剣に考慮している最中だということです。

 大事なことは、彼がもがいている間は、何も言わないこと。このとき、彼の抵抗を読み間違えて、「すぐにイエスと言ってくれない」と腹を立てたり、応えてもらわなければならない理由をクドクドと説明してはいけません。そうすればするほど彼の抵抗は強くなります。

 沈黙することによって、あなたは彼のあるがままを受容していて、彼を信頼していて、どういう答えを出そうが彼を尊重しているというシグナルを送っているのです。

 このように女性に完全に受容されればされるほど、男性は女性の要求に応えてあげたくなります。命令されたり、強制されたりすれば、応えてやらないという気持ちになってしまいます。

 彼がこのようにもがいた後でイエスと言ってくれたなら、彼は喜んであなたの要求に応え、しかもそのようにしている自分を誇らしく頼もしく感じることもできるのです。

 これは著者のジョン・グレイ自身の経験に基づいています。

 私自身にも、妻から寝る前に牛乳を買ってくるように頼まれた経験がある。
 その時に、はじめてこのプロセスに気がついたのである。彼女から夜の買物を頼まれた時、私もまた抵抗し、大声で反論した。だが、私と論争する代わりに、彼女はただ黙って私の声に耳を傾けていただけだった。彼女は、最後には私が頼みを聞いてくれると心密かに確信していたのだ。案の定、最終的には私は彼女の思惑どおりにバタンとドアを閉めると車に乗り込み、スーパーマーケットへ向かった。
 そこで、私に何かが起こった。それは、すべての男性に共通して起こることなのだが、女性はまったく気がつかないことだった。私は車を運転してスーパーマーケットへ向かううちに、牛乳のことも、抵抗したこともすべて忘れてしまったのだ。気がついてみると、私は妻に対する愛情と彼女の頼みを聞き入れ、力になることの喜びを感じ始めていた。そして、自分がつくづくと "いいやつ" だと感じるようにもなった。
 信じてほしい。私は、その感覚が非常に心地よかったのである。
 スーパーマーケットに到着するまでには、私は心の底から牛乳を買うことに幸福感を持てるようになっていた。私の手が牛乳パックをつかんだ瞬間、私は自分の新しい目的を達成できた気がした。一つの目標を達成するたびに、男性はいつもいい気分になる。自信がついてくる。
 
(中略)

 私が牛乳を買って家に帰ると、妻のボニーはことのほか喜んでくれた。私に飛びついてきて抱きつきながら「ありがとう。本当にありがとう。おかげでわざわざ着換えなくてすんだわ」と言った。

   ジョン・グレイ『ベスト・パートナーになるために』pp. 201-202

 男性の愛する能力をここまで引き出せる女性はすごいですね!

 恐喝・命令・強制・罵倒を一切使わず男を動かし、しかも彼を最高の気持ちにさせる。いやあ、私もされてみたいです(笑)。


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ジョン・グレイ『男は火星人、女は金星人』その7

男性は世話を焼かれること以上に女性からの称賛と感謝によって満たされる

 男性は、女性と違った方法で相手を採点する。自分がしてあげたことをパートナーが認めてくれるたびに、彼は彼女の愛情を実感することができ、そのお返しとして彼女に点数を与える。
 覚えていると思うが、男性はまず何よりも、自分の能力や存在価値を認められるのが嬉しいのだ。もちろん、彼も家事や自分の世話などを彼女からしてもらいたいと望んでいる。だが、男性にとっての主な愛情源は、彼の行為に対する女性の愛情ある反応である。

(中略)

...彼のタンクは必ずしも彼女が彼のためにしてくれることによって常に満たされている必要はない。その代わりに、いかに彼女が彼の言動に「感謝しているわ。うれしいわ」というメッセージを送っているか、ということによって満たされる要素のほうが強い。

(中略)

 男性を満足させる秘訣は、むしろ行動を通してではなく、フィーリングを通して「愛情を表現すること」なのである。

   ジョン・グレイ『ベスト・パートナーになるために』pp. 155-156

 男性にとって愛情源になるものと女性にとって愛情源になるものは違っています。この差を理解しなければ、相手が必要でないものを一生懸命に与え、必要なものを全く与えていないために、愛しているつもりでも相手はちっとも愛されている実感が持てないという悲劇が起きます。

 女性が男性のためにいろいろと世話を焼いても、それが彼に対する称賛や感謝の気持ちでなされたものでなければ、彼にとってはマイナス点かもしれません。男性の心を開かせるものは女性からの行動ではなく、女性から感謝され認められているという実感です。

 極端な話、女性は男性に何もしてあげなくても、彼からしてもらうことに対して心の底から満たされていることを伝え、彼の愛を讃えることができたら、彼の心は大きく開き、あなたにもっともっと与えてあげたい、愛してあげたいと思うことでしょう。

 女性は「私は彼に対してどれだけ多くのことをしてあげたか」と問うのではなく、「どれだけ私が彼を認めているか、彼に感謝しているか、彼の行動によって満たされた喜びを彼に伝えられているか」と問うことが重要です。

 愛され上手の女性とは、男性が自らの愛する能力に自信と誇りを感じられるように接することのできる人なのです。「俺はすごい」と男性に感じさせてあげられる女性という言い方もできます。


まず男性側の「愛情ある行動」からスタートする

 一般的に女性は、相手から気にかけられず、理解も尊重もされていないと感じると、相手に愛情を感じるようになることはまず、あり得ない。
 だから、男性は "愛情ある行動" を優先させる必要がある。そうすることで女性の心を開かせると同時に、自分の心をも、より多くの愛情を感じられるように大きく開かれていく。男性の心は、相手の女性を満足させることによって開いていくのである。
 これに対して女性は "愛する姿勢とフィーリング" を優先させる必要がある。そうすることによって、彼の愛情を求める気持ちを充足させてあげることができるからだ。彼女が最愛の男性に対して愛する姿勢とフィーリングを上手に表現できれば、彼はより多くのものを彼女に与えようとする強い欲求に駆り立てられるようになる。これはまた、彼女の心をより広く開かせていく。
 女性の心は、彼女が必要としている精神的な支えを得られるようになるにつれ、より大きく開いていくのである。

   ジョン・グレイ『ベスト・パートナーになるために』p. 157

 やはり、愛情関係においてまず動かなくてはならないのは男性側です。男性が愛情ある行動を通して女性を満たしてあげる。男性は女性が満たされたことを実感することによってしか心を開けません。女性の満足が伝わってくるごとに、男性はもっともっと愛してあげたくなるのです。

 女性は女性で、男性が必要としている愛情は、彼への感謝や充足感の喜びを表現することによって伝わるのだと理解し、積極的にこれらの気持ちを表現するようにします。と同時に、彼が自信を失うような言動を慎むことが鍵です。

 女性はたびたび男性の神経を逆なでするような言動をして嫌われます。男性が神経過敏になっているときに、女性からどういう優しさを必要としているのかを次にお話ししましょう。


男性の失敗を許しストレートに甘える女性は愛される

 男性が失敗したとき、運転中に道に迷ったとき、頼まれたことを忘れてしまったとき、女性のリクエストに応えられないとき、男性の自信がもっとも揺らぎやすくなります。こういう繊細な瞬間に、彼はいつもより女性の愛情を必要とします。

 男性が自らの不足や弱さを感じて自信を失いがちなこういった状況で、彼のあるがままを許し受容できる女性は、彼に感謝されます。逆に、こういう状況で彼に文句を言ったり、彼をバカにしたりする女性は、彼の神経を逆撫でし、嫌われるのです。

 男性の失敗や不足に対して「どんくさ」「あり得ない」「またか」「何考えてんの」などと不機嫌をぶつける女性は、男性の心理的急所を攻撃して彼の心を閉じさせているだけです。批判と攻撃をしても、彼はあなたをさらに愛したいという気持ちにはなれません。逆効果なのです。

 彼の失敗や不足を許せないのであれば、彼を男性として尊敬しているのかどうか問うてみることをお勧めします。尊敬していないのなら、付き合うべきではありません。この男性では無理だと判断して別れればいいのです。

 根本的には尊敬していて、ありがたいと思っているのであれば、彼と一緒にいる喜びに比べて彼の失敗や不足は小さく感じるはずです。こういう場合ならば、女性側が許すキャパを育てることが女性として成長することになります。

 男性がもっともされたくないことを控えてあげるだけの優しさが持てないのであれば、それは女性側の課題です。

 彼が約束を忘れたとき、「また忘れたの!?」と責めずに「次は覚えておいてね」と言って信頼する。約束を覚えておいてもらうことは大切です。そのメッセージは伝え続けるのです。ただ、忘れたことを責めることによってではありません。そして、一回でも覚えておいてくれたら「覚えておいてくれてありがとう」と伝える。これによって、男性はできるだけ彼女のために約束を守りたい、覚えておきたいというプラスの感情になれるのです。

 信頼して待てるかどうか、そして望んでいることは優しく頼み続けられるかが、女性力の試されるところだと言えましょう。

 女性が不満になったとき、不満を伝えず我慢することはお勧めできません。満たされていないことを男性に分かってもらい、男性に満たしてもらえるよう働きかけることは重要なのです。問題は、どのように働きかけるかです。

 簡単に言ってしまうと、男性が女性に与えたくなるのは、ストレートに甘えられたときです。「なんで毎週毎週ゴルフばっかり行くのよ」とか「ちっとも私の話を聞いてくれないじゃない」などと責めるのではなく、「もっと私にだけ注意を注いで気持ちを聞いて欲しいわ」とか「二人だけでもっと外食したいわ」と言えばいいのです。こういう言い方には棘がありません。素直に欲しいものをお願いしています。そういう女性を男性は可愛いと思うのです。

 「そんな恥ずかしいこと言えないわ」という女性もいることでしょう。もしあなたがストレートに甘えられないと言うのなら、プライドが素直になるのを邪魔しているのかもしれません。

 素直で可愛がられる女性になりたいのなら、プライドという防御壁を取り壊す必要があります。あなたにとって、プライドと愛されることのどちらが重要なのか、よく考えてください。

 「その8」では「愛の求め方」についてお話しします。


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ジョン・グレイ『男は火星人、女は金星人』その6

女性の「不満」と男性の「拒絶感」が関係を危うくする

 もし彼女がパートナーから愛されず、少しも大切にされていないと感じていれば、彼がしてくれたことに対して素直に「ありがとう」と言えなくなる。彼女は、憤りやいらだちを感じているーー自分はとことん尽くしたのに、彼は何もしてくれないーーそう思っているからである。この憤りが、小さなことでも認めてあげる彼女の能力の発揮を妨げてしまう。

(中略)

 女性がこのいらだち病にかかってしまうと、相手の男性が自分に何をしてくれても、それを否定してしまうようになる。なぜなら、彼女から見れば、二人の関係があまりにも不公平だからである。

(中略)

 その結果、一般的にどういう具合に事態が展開していくかというと、彼が拒絶感を感じ、それ以上彼女のために何かしてあげようというやる気を失っていく。

(中略)

こうして二人の関係は悪くなっていくばかりになるのである。
 この問題を解決する方法は、パートナーとお互いの心情を理解し合うことである。男性は相手から認められ、受け入れられていることを実感したい。彼女は、相手から支えられていると実感したい。

   ジョン・グレイ『ベスト・パートナーになるために』pp. 144-145

 カップルの関係が悪化していくときに頻繁に出くわすパターンが、女性が満たされずイライラしていく、そして男性がそれによって拒絶感を深め、お互いの気持ちが冷えていくというものです。

 私も2度ほどこのような恋愛の終結を経験しています。

 女性が不満を男性に訴えるとき、往々にしてヒステリックになり、男性の心理的急所(自分は相手を満たせない無能な存在ではないか)を直撃することで彼の心はますます閉じてしまう。また、男性が穴にもぐればもぐるほど女性の心理的急所(私は愛されるに値しない存在ではないか)を直撃し彼女の不安を強めてしまう

 このような負のスパイラルに陥らないためにはどうしたらいいのか。

 本書には男性ができることと女性ができることが書かれていますが、まずは女性側から見ていきましょう。


女性側から与える量を調整する

 女性が、こうした精神状態から脱け出すためには、まず自分の責任を自分で取ることである。彼女は、自分自身が彼にあまりにも尽くしすぎ、二人の関係のバランスを崩してしまった責任を取らなければならない。

(中略)

そのためには、一方的に男性に多くのことをしてあげるのをやめなければならない。彼女は、もっと自分自身を甘やかし、自分のやりたいことを優先させるべきだ。相手の男性に対しても、もっと自分のめんどうを見るようにさせていく必要がある。
 こうして、自分が相手の世話をやきすぎていたことを自覚することで、彼女は彼ばかりに問題の責任を押しつけることを止め、新しいスコアカードを使って採点できるようになる。そして、彼への理解と思いやりの気持ちが深まるのだ。

   ジョン・グレイ『ベスト・パートナーになるために』pp. 145-146

 女性は基本的に優しいので、まず自分の方から多くを与えようとします。そして、後でその分は彼から返してもらえばいいと思うわけです。金銭に例えるなら、お金をまずは彼に貸してあげる。ところが、彼がなかなか借金を返さないのでイライラする。

 こういう「お人好し」なことを止めなくてはなりません。

 借金が返って来ないとき、信じて貸したことを反省しなければならないように、自分が与えた分より男性が与える分が少なくて不満になったとき、自分が与えすぎたことを反省しなくてはなりません。

 アンバランスを感じた瞬間、与えることはストップして、自分を優先させるのです。彼を放っておくのです。女性は、自分が不満にならない程度に与える量を抑えることで、不公平感が生まれないようにする必要があります。

 あくまで男性が女性に与える方が多くなくてはなりません。女性は男性が多くを与えたとき、感謝を伝え、それより少なめに与え返すことが大事です。男性が与えるより多くを女性から与えてはなりません。

 男性は、女性が尽くし続けてくれている間は、自分がたくさん与えたのでまだ自分の点数の方が高いからお返しをしてくれているのだと解釈します。女性が不満であるなどとは思いもよらないのです。女性が与えるのを止めたとき、男性は初めて同点になったと解釈して再び与え始めます。

 女性はこの男性心理をしかと心得ておかなくてはなりません。つまり、男性に自分の不満を分かってもらう最善の策は、与えるのをストップすることなのです。


察してほしい女性と言われないと分からない男性

 男は、何事も独力で切り抜けていく自分にプライドを持つ。本当に追い詰められて誰かの助力が必要となるまでは、けっして救いを求めない。したがって、相手から頼まれもしないのに自分から勝手に救いの手を差し伸べていくことなど、非礼極まりない「マナー違反」なのだ。
 ところが、女性はこれとは正反対だ。彼女たちは、頼まれもしないのに進んで他人の世話をしたがる傾向がある。誰かに愛情を感じたら、その相手のために全力で身を尽くす。相手から救いを求められるまで待つことなど絶対にできない。愛情が強くなればなるほど、その度合もまた強くなる。
 恋人が積極的に救いの手を差しのべてきてくれないと、女性は彼が自分を愛していないのでは、と邪推してしまう。だが、彼の愛を試すために、自分から相手の助力を求めようとはせず、彼のほうから積極的に動き出してくるのを待つだろう。そして、彼のほうから行動を起こしてこないと、彼女はいらだちを募らせ、ついに怒りを爆発させる。彼が頼まれるのを待っているということがわかっていないのだ。そして男性は男性で、彼女が男性のほうから積極的に救いの手を差しのべてくれるのをじっと待っていることをまったく知らないのだ。
 こうした相違点も、男女双方が充分に心得ておかなければならない要素である。
 彼はあなたからの直接的な要請を待っているのである。あなたが働きかけた時に、はじめて彼は何をしたらいいかがわかるのである。

   ジョン・グレイ『ベスト・パートナーになるために』pp. 149-150

 これは私にも経験がありますが、女性は「なんで〇〇してくれないの?」と文句を言ってくる。そこで私は「え? 〇〇して欲しかったの?」と驚くとともに、「なんで〇〇して欲しいと言わなかったの?」と不思議に思う。

 女性のこの「言わなくても察してくれるのが愛でしょ?」という態度は、男性には通用しません。ですから、女性はして欲しいことは不満になる前に明確にリクエストすることが大事です。それと同時に、男性にとっては頼まれるまで助けないのが相手への礼儀なのであり、愛していないということではないと理解しましょう。

 また、男性は男性で、女性はして欲しいことをリクエストすることに抵抗があると理解し、して欲しいことがないか彼女に尋ねる習慣をつけるといいでしょう。女性は黙っているからといって満足しているわけではないということを男性は心得る必要があります。女性が幸せなのかどうか、満たされているのかどうか、しょっちゅう彼女の気持ちを知ろうと質問を投げかけると、彼女は気にかけてくれているあなたの気持ちに感謝するでしょう。

 また女性は無理をしてYESと言ってしまう、つまりNOと言いづらいところがあるので、男性は彼女が無理に自分に合わせてくれているのではないかと気遣うことも重要です。「NOと言ってもいいんだよ」という大きくて温かい心遣いを彼女に伝えると、女性はますます自分が大事にされていると実感することができます。男性より女性は自己主張を遠慮して自己犠牲的に動いてしまいやすいということを、男性は優しく理解してあげることで、心のボタンの掛け違いを未然に防ぐことができるのです。


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ジョン・グレイ『男は火星人、女は金星人』その5

男性は愛情の一括払いをしようとする

 えてして男性は、相手の女性のために何か大きなことをしてあげれば点数を稼げると思い込んでしまう。高価なジュエリーをプレゼントしたり、海外旅行へ連れていかないと女は満足しないものだと信じている。
 
(中略)

 だから、男性は愛する彼女のために大きなことをしようとひたすら時間を費やし、女性の気持ちを自分にひきつけようと努力する。
 しかし、この男性の "思惑" はまったく的はずれなものである。なぜなら、女性は男性の愛情表現をまったく違う観点から見ているからだ。
 女性は、男性の採点をする時に次のような基準で行なう。贈り物の大小にかかわらず、一つのことは一点として評価するのだ。一つひとつのプレゼントやちょっとした心づかいが、ほぼ同じ価値を持っている。
 しかし男性は、小さなことをしてあげれば一点、大きなことをしてあげれば三十点と勝手に計算する。彼は、女性がまったく違った採点基準を持っていることを知らないために、自分のエネルギーを一つか二つの大きな "プレゼント" に集中させる。
 男性にとってはごく些細なことも、女性にとっては大きな贈り物と同じくらいに重要であることがわかっていないのだ。言い方を換えれば、女性にとって一輪のバラをもらうのも、高価なジュエリーをもらうのも、自分を気にかけてくれている証拠だと考えるのである。

   ジョン・グレイ『ベスト・パートナーになるために』pp. 119-120

 妻をもっと幸せにしようと思い、仕事量を増やし収入を増やした夫がいました。彼の中では、もっと点数を稼いだのだから、家に帰ってからは何もしなくていいだろう、あとは妻が点数を返してくれるだけだと考えたのです。ところが、妻にとっては夫の仕事量が増えたことで、家でしなくてはいけないことが増えてしまい、自分の方が夫に与えているものが大きくなったという不公平感を持つようになりました。

 男性は仕事で稼いでくるということが三十点にも四十点にもなると考え、その分は妻から喜んで返してもらえるものだと思い込みます。ところが、妻にとっては稼いできてくれることは一点なのです。そして、掃除に洗濯に料理をしている自分の方が多くを与えているように感じます。

 男性は、女性にとって大事なのは、形の大きさ小ささにかかわらず、自分のことを気にかけてくれ、大事に思ってくれているのだと実感できることを日々の生活で細々と回数を多く提供することなのだと理解する必要があります。

 愛情表現はドカ〜ンと大々的に一回やっておけば、あと2ヶ月はしなくていいなどと男性は発想するものですが、そういう「一括払い」は女性には通用しません。女性は、毎日の生活の中で、ちょっとした思いやりや心の触れ合いを重ねることで、少しずつ、けれども頻繁に愛を確かめたいものです。

 なので、男性は、「大丈夫?」「これ持とうか?」「髪切ったね。似合ってるよ」「美味しい」などと声をかけることが、女性にとっては外で稼いでくることと同等に価値があることなのだと理解しなくてはなりません。

 本書では、夫が仕事の量を減らし、妻と過ごす時間を増やすことで、壊れかけていた夫婦関係を建て直した話が紹介されています。


女性の感謝が男性をやる気にさせる

 男性が女性に対して小さな愛情表現をし続ける一方、女性はそれに対してとりわけ注意を払い、感謝の気持ちを表す必要がある。
 けっして「当然のことよ」というような態度をとってはならない。相手に向かって微笑みながら感謝の言葉を伝えれば、彼は得点を稼いだことを実感できるのだ。男性にとって小さな愛情表現を心がけるのは、ちょっとした仕事である。だから、女性はパートナーの努力を認めてやることが必要なのである。
 彼らは、「そんなこと当然よ」と女性が思っていると感じれば、すぐに止めてしまうだろう。特別な努力を払っていることを認めてほしいのだ。女性は、それを認めてあげるとともに、感謝していることを示そう。

(中略)

 男性という生き物は、感謝されたり、頼りにされてその気にさせられたりしながら、小さな作業をコツコツと重ねていくことが、大きな目標に向かって一心に突き進んでいくのと同等の価値があることを学んでいくのである。そうやって、ただ単に大きな人生の成功に駆り立てられるだけではなく、恋人や妻や家族と一緒にリラックスした時間を過ごすようになっていく。

   ジョン・グレイ『ベスト・パートナーになるために』pp. 138-139

 男性は感謝され、尊敬され、頼られると一肌も二肌も脱ぎたくなります。けれど、感謝されなければ、期待に応えられていないのだと思い、与えるのをやめるのです。

 なので、女性がちょくちょく小さな愛情表現を必要とするように、男性はちょくちょく小さな感謝を必要とするということを心得ておくと、あなたはますます大事にされるでしょう。

 また、男性はとかく大きなことばかり考えがちですが、女性を愛していくうちに、小さな親密なやりとりに価値があるということを学んでいくのです。女性は男性よりも深い親密な心の触れ合いを必要とするがために、男性は女性を理解するにつれて、成功や達成とは違った心の充足を自分の中にも見つけていくわけです。

 男性は、人生の成功を目指して必死に努力するものだ。それが人間としての価値を高めることになると信じているからだ。そして、女性に愛される条件もそこにあると思い込んでいる。男性はまた、異性からばかりではなく、同性からも信頼されて称賛されることを心の奥深くで望んでいるのである。だから、男性は仕事や人生で成功しなくても他の人々から愛情や信頼感を得られることがわからない。
 しかし、女性には、そういった男性の思い込みを、彼らが自分に示してくれるちょっとした言葉や行動を認め、感謝をすることによって修正する能力がある。

   ジョン・グレイ『ベスト・パートナーになるために』pp. 143-144


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ジョン・グレイ『男は火星人、女は金星人』その4

ストレスが溜まると男性は引きこもり、女性はおしゃべりをする

 男女間の違いでもっとも大きいのは、ストレスの対処法である。
 ストレスと直面した時、男性は、ストレスの種となっている問題を解決することにより気持ちを取り直し、女性はその問題に関して話すことによって気持ちを切り換えようとする。


   ジョン・グレイ『ベスト・パートナーになるために』p. 69 

 問題が起きた時、男性は解決に集中するため心の穴にもぐる。そして他者との交流を断つ。反対に、女性はこういう時、悩んでいる気持ちを他者と分かち合って一緒に解決しようとする。

 二人の関係に問題が発生した時、女性は男性と気持ちで繋がって一緒に解決しようとするのだけれども、こういう時に限って男性はひとりになる時間を必要とします。

 男性は問題に直面した時、ひとりになって答えを出そうとします。男性のこういった特徴を理解できなければ、女性は自分が拒絶されたと誤解してしまうでしょう。

 男性は男性で、女性がストレスに晒された時ほど気持ちを聞いて欲しいのだということを理解し、ひとりで考えたい時には「これからひとりになって考えるけれど、君を拒絶しているからではないからね。済んだらまた戻ってくるからそれまで待っていてね」と安心させてあげるといいでしょう。

 それから、できれば男性には共感的傾聴を身につけていただきたい。また、マイナス感情を人にさらけ出して聞いてもらうことがどれほど気持ちいいのかをご自分でも経験していただきたい。そうすると、女性の気持ちがよく分かります。


男性にとって女性のまとまりのない話し方は耐え難い

 男性が女性の話に耳を傾けることに抵抗を覚える理由は、彼がまず問題解決のため話の要点を知ろうとすることである。話の要点を自分なりに把握しなければ、自分が何をしてあげられるかがわからない。
 にもかかわらず、女性は話の要点を簡潔にまとめるどころか、取りとめもなくダラダラと話し続けるのだ。彼女が詳しく語ろうとすればするほど、彼のいらだちは募り、耳を傾けるのが耐え難い "作業" となる。


   ジョン・グレイ『ベスト・パートナーになるために』p. 80

 考えをまとめてから秩序立てて話すのが「男性的な話し方」だとすると、瞬間瞬間で感情の動くままに即興で話すのは「女性的な話し方」です。前者が理性優位の話し方、後者が感情優位の話し方だと言えます。

 女らしい人ほど話があっちこっちへ飛ぶ脈絡のない話し方をします。人の上に立つような職業婦人の場合は「女性的な話し方」では仕事にならないので、秩序立った話し方が自然と身についているようです。

 さて、この男女差に対応するために、男女ともに歩み寄ることができます。

 まず、男性は女性の感情的な話し方に対して問題解決モードで分析的に聞かないことを学ぶといいです。問題を分析して解いてやろうとするから聞きづらいのですから、「問題を解いてやる必要はない。気持ちを瞬間瞬間に受け止めることに集中すればいい」と思って、肩の力を抜いて時間と空間を共有することに意味があると捉えるようにします。

 また、女性は女性で、前もって要点をできるだけまとめておいて、聞いて欲しいことや解決を手伝って欲しいことなどを、大きな枠組みだけでいいので考えておくといいでしょう。大きな枠組みだけ予告しておいて、それぞれについては感情的な話し方になっても、男性は随分と聞きやすくなります。


男性の沈黙について

 女性が肝に銘じておくべき大切なことは、男性がまだ準備不足のうちに、彼の口を開かそうとするのを慎むことである。
 たとえ彼が何かに悩んでいたり、ストレスに苦しめられて自分の穴の中に閉じこもってしまっても、それが自分に対する個人的な理由によるものだと受け取ってはならない。そういうことは頻繁に起こることだ。けっして彼女に愛想をつかしたわけではない。時が来れば、彼は必ず帰ってくる。大切なことは、穴の中まで彼の後を追わないことである。もし、そんなことをしたら穴を守っている竜に焼き殺されてしまうだろう。
 数多くの不必要な争い事が、女性のこうした愚かな行為によって引き起こされている。彼女たちは、男性が問題を抱えて苦悩している時に沈黙の世界にひとり浸っていていいのだということが、どうしても理解できないのである。


   ジョン・グレイ『ベスト・パートナーになるために』pp. 105-106

 男性は悩んでいる時、困っている時、穴の中に入ってひとりで考え、ひとりで解こうとするものなのだということを女性は理解する必要があります。そして、ある程度の見通しがついたり、整理ができるまでは、口を開かないものなのだということも。

 女性と正反対のこういった特質が理解できず、自分を大事に思っていない証拠だと女性が捉えてしまうことで、気持ちのすれ違いが起こってしまいます。男性には沈黙する必要があると理解することで、愛されていないわけではないと分かると、女性もリラックスして男性と付き合っていけますね。

 男性が「別に」とか「大丈夫」と言った時、女性は男性が本当のことを自分に話してくれないんだ、自分と親密になりたくないんだと解釈するのですが、「信頼して任せておいてくれ」「ちゃんと対処している」と伝えることで女性に心配をかけまいとする優しさであることが多いんですね。

 男性の心の中には女性には見せたくない「ひとりになるテリトリー」があります。それを女性が尊重し、足を踏み入れないようにすることが大事です。


推薦図書

 

ジョン・グレイ『男は火星人、女は金星人』その3

女性は感情を共有したくて話す

 女が男に対してぶつける不平不満の中で、いちばん多いのが「私の言うことをちっとも聞いてくれない!」だろう。
 相手の男は、彼女が話しかけてもまったく耳を貸そうとしない。あるいは、最初のくだりだけ少し聞こうとするが、彼女の抱えている問題が何であるかを把握すると、直ちに "ミスター・フィクサー(調停屋)" の本領を発揮して、独善的な解決策を押しつけようとする。

(中略)

 彼女が単に "感情移入" を望んでいるのにもかかわらず、男は彼女が具体的な "解決策" を欲しがっていると勘違いしているのだ。そこに男女の、根本的な悲劇がある。


   ジョン・グレイ『ベスト・パートナーになるために』pp. 39-40 

 悩みを打ち明けられたとき、男性は「じゃあ、こうすれば」というように具体的な解決を出して導こうとする傾向が強い。けれども、女性が望んでいるのは解決策ではなくて自分の感情に寄り添ってもらうことなのです。女性が「あなたは私の話をちっとも聞いてくれない」と言うとき、「私の感情に共感的に寄り添ってくれていない」という意味なのだと男性は理解しなくてはなりません。

 妻の話を聞いて解決策を出すたびに嫌な顔をされたことから、妻の求めているものが解決ではなく気持ちを受け止めてもらうことだと悟ったある夫の話です。妻が解決策を求めて相談してくることもあるので「この話はただ聞いて欲しいの? それとも解決策が欲しいの?」と毎回聞くようになったとのこと。この夫は、女性が求めているものを理解し、うまく適応できた男性ですね。


男性は今の自分を無条件で受け入れて欲しい

 逆に、男が女に対してぶつける不平不満の声の中でもっとも頻繁に耳にするのは、「相手が絶えず自分を変えていこうとしている」というものである。
 女は、ひとたびひとりの男と恋愛関係に入ると、その相手を人間的に成長させ、仕事や出世の手助けをしなければならないという義務感に駆り立てられる。そこで彼女は、"教育委員長" に就任するのである。その主なターゲットが最愛の異性であることは言うまでもない。
 男は迷惑がって、このよけいな "おせっかい" に抵抗を示す。だが、彼女はそんなことにはおかまいなし。チャンスを見ては干渉し、有難迷惑なアドバイスや手助けを繰り返すのである。
 彼女は、自分が立派な人物を養成しているのだとすっかり思い込んでしまっている。だが、そうされればされるほど、男は女の手の平の上で踊らされようとしている自分を感じ、不快感を募らせていく。彼が望んでいるのは、現在の自分を百パーセント無条件で受け入れてくれることなのだ。

   ジョン・グレイ『ベスト・パートナーになるために』p. 40 

 私の周りにも "教育委員長" を務めている女性がたくさんいます。彼女らは頼まれもしないのに、「あなた、ここはもう少しこうしたら?」とか「その洋服どうなの?」とかお節介を焼いて男性に嫌がられているのです。

 男性はアドバイスを受けるということにおいて女性とは違う感じ方を持っています。女性にとっては愛情の表現であり親密な触れ合いなのですが、男性にとっては違うということを理解する必要があるのです。

 男性は自分の体力や知力、物事の達成に価値を置き、絶えず自分の能力を実証することで自己証明しようとします

 女性が「自分は愛されるに値しない存在ではないか」という基本的な不安を持っているように、男性は「自分は相手を満足させられない能力不十分の存在ではないか」という基本的な不安を持っています。つまり、男性は自分が「できない」「能力がない」と思われることがもっとも辛いのです。そして、善意に基づく女性の一方的なアドバイスや指導は、男性のこの「心理的急所」を直撃し、「今のあなたではダメ」と言われているような気持ちにさせてしまいます。

 男に対して、頼まれもしないのに勝手に忠告をするということは、相手が何をしていいのかわからず、自分ひとりの力では何もできないと見なしていることになる。男というものは、そういう接し方にはとりわけ神経過敏になり、気分を害するのである。
 自分の問題はすべて自分の力で片づけていこうとするために、男性はよほどの場合でない限り、その問題に関することを人前で口にしようとしない。せいぜい、その道の専門家に専門的なアドバイスを受ける時ぐらいである。

 (中略)

自分の力でできることなのに他人から力を借りるのは、自分の弱さを自分でさらけ出すことだと認識しているからである。

   ジョン・グレイ『ベスト・パートナーになるために』p. 43 

 人の助けを借りずに自分の能力で何事にも挑んでいく男性は、自分の能力の限界を認めた時でなければ他人にアドバイスや援助を求めません。女性は男性のこの特質を理解し、彼に求められないときに一方的にアドバイスを与えたり指導をしたりしてはならないのです。彼にとって本当の支えになるのは、今の彼をそのまま無条件に受け入れ、彼を信頼して、彼のことは彼に委ねておくことです。女性がたっぷり持っている才能で、男性がもっとも必要としているのは、無条件受容だと思います。

 女性から無条件受容をされた男性は、自信を深め、どんどん成長していきます。女性がアドバイスすればするほど、男性は抵抗を示し、自信を失っていく危険があります。良かれと思って男性を変えよう変えようとすればするほど、彼は女性を愛せなくなるのです。

 女性が愛され上手になるためには、男性の急所を守ってあげる優しさを持つ必要があります。

 私は女性に、これからの一週間、パートナーにいっさいよけいなアドバイスや批判を加えるのを慎むことを勧めたい。そうすれば、あなたの恋人や夫は、それに感謝し、あなたをよりいたわるようになり、物わかりも良くなって、あなたは驚くことだろう。

   ジョン・グレイ『ベスト・パートナーになるために』p. 66 


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ジョン・グレイ『男は火星人、女は金星人』その2

男性の成長過程と女性の成長過程

 男性と女性の成長過程を見てみよう。女性は年齢が若ければ若いほど、自分を犠牲にして相手の要求を満足させてあげようとする。対する男性も、若ければ若いほど自分本位の発想と行動を取り、他人の要求などにはまったく気を回さない。
 しかし、成長していくにつれ、女性は他人を満足させるために生きていくことがいかに自分自身をないがしろにしてきたかに気づくようになり、男性は他人を尊重し、尽くしてあげることがいかに自分を高め、満足感を与えてくれるかを認識できるようになる。
 これが男と女の最大の変化であり、成長なのである。

   ジョン・グレイ『ベスト・パートナーになるために』pp. 25-26 

 男性の未熟さは自分のことしか考えず、ひたすら自分のやりたいことを追求し、他人の必要としていることに無頓着なことです。そういう男性が成熟するにつれて、他者を愛せるようになる。他者を満たしてあげられることで自己中心性を超越し、愛を与えることで自信をつけていきます。

 それに対し、女性の未熟さは自分を犠牲にして相手に世話を焼くことです。そういう女性が成熟するにつれて NOと言うことを学び、愛されることを学んでいきます。自信のない女性ほど尽くすことで捨てられないようにするのですが、こうされた男性は自発的に愛する喜びを奪われてしまう。迎合的奉仕を超越し、愛されるだけの自信をつけた女性は、男性に備わった「女性を愛したい欲求」を引き出し、愛を受け取れるようになります。

 男性は愛し上手になることが成長であり、女性は愛され上手になることが成長なのです。


尽くし過ぎるという女性の過ち

 女性は、往々にして自分が相手に尽くしすぎたと気づいた時、その不幸を相手のせいにする。彼女は、自分が相手から得たものよりも与えたものの方が大きかったことについて不公平を感じ、損をしたと思うのだ。そして、相手を責める。
 しかし、女性にとって本当に大切なのは、相手の不誠実さに対して憤る前に、自分から "与える” 度合いに限度を設けることである。相手に対して "ギブ・アンド・テイク" を均等にするように求めるのではなく、自分のほうで調節をして限界点を設ける必要があるのだ。
 男性は女性からはっきりと「それはできないわ」といった言葉を受けると、二人のつきあいにも節度(けじめ)があるのだと気づく。そして、男性はより多くのことを相手に与えたいという気持ちに駆られていくものだ。
 つまり、女性はより多くのものを相手の男性から受けるためには、彼との接し方に自分から節度を設ける必要性があることを学ばなければならない。それができた時、彼女は相手に対して寛大な気持ちを抱けるようになり、次第にリラックスもし、人生からより多くのものを学ぶことができるのである。


   ジョン・グレイ『ベスト・パートナーになるために』pp. 26-27 

 未熟な女性はまず男性にたくさん与えようとします。たくさん与えれば男性は自分が欲しいものを与え返してくれると信じているからです。男性は女性が与えてくれている間、女性は満足しているのだと解釈します。そして、何かを与えてあげる必要を感じないのです。女性が与えるのをやめた時、男性は自分から与えてあげなくてはと思い始めます。

 ですから、もし女性が男性から多くのものを与えてもらいたいのなら、自分から多くを与えるのをやめなくてはなりません。パトリシア・アレン博士によれば、男性(あるいは男性的な女性)の方が女性(あるいは女性的な男性)よりも多くを与える立場でなくてはならないと言っています。女性は多くを与えてくれる男性に対して満たされる喜びと感謝を伝えます。それによって、男性は多くを与えることのできる自分に、女性を満たしてあげられる自分に自信を感じるわけです。男性は女性から「あなたは私を満たしてくれた。とても嬉しい。あなたって凄いね」というメッセージを受け取ったならば、もっともっと与えたくなります。このように男性に備わった与える喜びを味わわせてあげられる女性が、愛され上手なのです。もちろん女性も男性に与えますが、それは男性が与える分量を超えてはならないとアレン博士は言います。

 愛される自信のない女性は、「相手が私にたくさん与えることを喜びだと感じるはずがない」と信じてしまっています。だからこそ、尽くすことで相手に愛する義務を生じさせようとしてしまうわけです。この義務感は、愛したいという男性の自然な欲求を殺してしまいます。

 男性に愛されたいなら、女性から多くを与えてはならないのです。

 自分は、他人から愛される価値がある人間だと心底から思えるようになった時、女性は男性からの愛情を招き入れる扉を開放したことになる。

   ジョン・グレイ『ベスト・パートナーになるために』p. 28

女性が、与える度合を少なくすればするほど、男性はかえって大切に扱ってくれるようになるものなのである。

   ジョン・グレイ『ベスト・パートナーになるために』p. 29

 女性は自分の奉仕を決して安売りしてはいけません! 自分を安売りする女性を男性は大切にはしないのです。安売りしないだけの自信のある女性を何とか喜ばせたいと熱くなるとき、男性は活力が漲り、そういう自分が好きになるのです。

 ですから、女性が男性に愛されたいならば、男性に対して都合のよい召使いになり下がらないように注意しなくてはなりません。自分はお姫様か女王様であると思い、男性が与えてくれるものを受け取り、満たされる喜びを彼に伝えることで、彼が自分のことを誇らしく感じられるように接するのです。彼があなたに与えるたびに自分の力を誇らしく感じるならば、もっともっと与えてくれるでしょう。

 女性が男性にたっぷり与えるべきものがあります。与えても与え過ぎることはないものです。これは渋ってはいけません。それは彼によって与えられるたびに、満たされた喜びを素直に伝え、彼の愛を讃えることです。彼の愛を当然視すればするほど、彼は与える喜びを感じにくくなります。あなたの喜んでいる表情や本心からの賞賛ほど、彼の愛する能力を育て、あなたが受け取る愛をさらに大きくしてくれるものはありません。


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