菅波亮介のエナジー・カウンセリング(石川県金沢市)

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2018年08月

コミュニケーションの3つのレベル

 私はコミュニケーションには3つのレベルがあると考えています。

 最も深いレベルAでは、根本的に相手のことをどう思っているのかということが伝わるのですが、これは二人の間の「空気」みたいなもので、話している「内容」に表れるというよりも、内容以前の「関係性の性質」がそのまま発信・受信されているわけです。

 例えば、どれぐらい相手のことを信頼しているか、どれぐらい相手に心を開いているか、相手に関心があるかないか、相手が好きか嫌いかといったことがコミュケーションの底流を成します。

 ある二人のコミュニケーションを観察していると、ものすごく親しい関係だと分かったり、反対に、心の通い合いのない遠い関係だと分かったりします。こういう「情報」は、その二人が具体的に何の話をしているかというよりも、「どのような雰囲気のコミュニケーションをとっているか」に表れるのです。

 その次に深いレベルBでは、
今どういう動機でコミュニケーションをとっているのかということが伝わります。コミュニケーションをとるには必ずその時々で目的があるわけです。例えば、自分の不満に共感を示して欲しいと思って喋っているとき、「相手から共感を得たい」という動機で話しています。誰かに悩み相談をするとき、「解決を手伝って欲しい」という動機が働いているかもしれません。このように「何のために今コミュニケーションをとっているのか」ということはコミュニケーションの重要な部分なのですが、意識して言葉で表すということをしない場合も多いので、伝わりにくいこともあります。

 最も浅いレベルCでは、言葉として明確な形でやりとりしている「内容」が伝わります。このレベルのコミュニケーションは、交わされた言葉を紙に書けば、その言葉に完全に表れている部分だけを扱うわけです。

☆   ☆   ☆   ☆   ☆   ☆

 Aさん(女性)とBさん(男性)が話をしている場面を例にとりましょう。

Bさん:兄弟は何人ですか?

Aさん:姉と妹が一人ずついます。私は3人姉妹の真ん中です。

Bさん:ああ、そうですか。兄弟が3人もいていいですね。

 さて、BさんはAさんの兄弟について尋ね、Bさんがそれに答えています。そしてBさんが、兄弟が3人もいていいですねとコメントを付け加えています。こういう情報のやりとりが行われたわけですが、これはレベルCの話です。

 なぜBさんはAさんの兄弟について尋ねているのだろうか。その動機はここからは分かりませんよね。例えば、BさんはAさんに異性としての関心を持っていた。そして近づきたいなあと思っていた。親しくなるきっかけとしてAさんに喋りかけていた。そうだとすると、「Aさんと親しくなりたい」という動機が働いているわけです。その動機は言葉で明確に表現されていません。「私はあなたと親しくなりたいのでこの質問をしているのですよ」などとはっきり言わないわけです。けれども確実にBさんの心の奥に原動力として働いている。

 AさんはBさんの質問を受けて「ひょっとして、この人は私に興味があるのかしら?」なんて考えたりします。これはレベルBのチャンネルで相手の心を感じようとしているわけです。

 けれども、AさんはBさんに全く興味がなく、恋人として考えられないとしますと、
レベルCでのやりとりが成立したとしても、レベルB(つまり動機のレベル)ではズレているわけです。そうすると、兄弟についての質問に答えながらも、困惑しているかもしれませんね。

 質疑応答は形として成立はしているけれども、気持ちはひとつになっていないわけです。

 Cさん(女性)とDさん(男性)は夫婦ですが、Cさんは離婚を決意しています。Dさんはまだ夫婦関係を改善して継続したいと思っています。

 そうすると、DさんがCさんと話し合おうとするとき、「関係を修復する」という動機で全てコミュニケーションをとろうとするわけですが、Cさんにとっては「関係を修復したくない」わけなので、コミュニケーションが成立しません。最も深いレベルであるレベルAで二人は不一致の状態にあります。「この関係がどういうものなのか」という根本的なところで合意ができませんので、それより浅いレベルであるレベルBとレベルCのコミュニケーションがそもそも成り立たなくなります。

 関係を終わらせるということで合意しなければ、あらゆるコミュニケーションはズレます。「同じものを求めていないんだ」ということで合意することがコミュニケーションを成り立たせることです。

 レベルCでの工夫、例えば「どのような言葉で伝えれば伝わるだろうか?」といったことは、レベルAとレベルBで一致している相手であって初めて意味を持つことであって、より深いレベルで不一致の相手に対して、言葉遣いを工夫したところで、コミュニケーションが成立するわけではありません

 関係性に対する思い(レベルA)やどういう目的で現在コミュニケーションをとろうとしているのか(レベルB)が、コミュニケーションにおいてはより重要です。

 相手とコミュニケーションをとろうとするとき、まず最も深いレベルAから順々に意識していくことをお勧めします。

〜〜相手に伝わること〜〜
レベルA:相手をどんな存在だと捉えているか
レベルB:何を動機として今コミュニケーションをとろうとしているか
レベルC:実際に口に出している言葉

トランスジェンダーの女性がバーモント州知事候補に

 8月16日放送の NEWS ZERO からの引用です。

 アメリカ東部バーモント州で14日、11月の中間選挙に向けた予備選挙が行われ、民主党の州知事候補に、心と体の性が一致しないトランスジェンダー が選ばれました。

 バーモント州知事選の民主党候補に選ばれたのは、エネルギー関係の元会社経営、クリスティーン・ハルクイスト*さんです。ハルクイストさんは男性として生まれましたが、男性から女性への性別適合手術を受けたトランスジェンダー だと公表しています。

 ハルクイストさん(62):大変光栄に思っている。今夜私たちは歴史をつくった!

 アメリカで心と体の性が一致しないトランスジェンダー が主要政党の知事候補に選ばれるのは初めてで、11月の知事選で共和党の現職に挑みます。
 *注:「ハルクイスト」は誤りで、正しくは「ホールクイスト」です。

 歴史の時計がまた動いた感があります。

 ホールクイスト氏の受諾演説を聞き、嬉し涙が出ました。

☆   ☆   ☆   ☆   ☆   ☆

2018年11月25日追記

 11月6日に行われた選挙では現職フィル・スコット氏(共和党候補)が再選されました。得票率はスコット氏が 55.2%、ホールクイスト氏が 40.3% でした。

我慢強い人の欠点

 「我慢強い」ということは長所だと捉えられることが多いですが、欠点にもなります。

 無理をしたり不自然なことをしても耐えられてしまうものだから、自分を傷つけるような選択をしておきながら気づかないなんてことになるわけです。

 無理が利かない人ならば、自分を傷つけるような選択をするとすぐに苦しくなってくるので、早めにコースを修正できますが、無理が利く人は学習するのに時間がかかることがあります。ある意味で鈍感なので、自分が誤った選択をしたということに気づきにくいわけです。

 例えば、体が頑丈な人は、暴飲暴食をしたり、徹夜を重ねても、我慢できてしまう。そうすると、体を酷使できてしまうわけです。注意しないと、気がつかないうちに重い病気になっていたりします。

 それに対して、体が虚弱だと自覚のある人は、無理をするとすぐに症状に出ますから、自分を労わるわけです。できるだけ体に負担をかけないように注意する。そうすると、頑丈な人よりも長生きしたりします。

 また、精神的にタフな人は、精神的ストレスに結構耐えられてしまいます。すると、気づくと「心の問題」が「体の症状」にまでなってしまうわけです。これを「心身症」と言います。

 精神的に繊細な人は、精神的ストレスに対してもろいので、「体の症状」になる前に「精神的症状」に悩まされることになるわけです。

 「心の問題」が「体の症状」になるまで分からないというのは、いろんな過酷な状況でも生きていけるという強さでもありますが、「心の問題」に対して鈍感なため、問題がまだ微妙なレベルのときに対処できないわけです。

 それに対して、精神的に繊細な人は、「体の症状」になる前に「内面の不調和」に気づくし、無視できません。いろんなことが気になるわけですね。この敏感さは弱さともとれますが、ちょっとしたミスにも気づいてコースを修正することで短期間に多くのことを学習していけるという長所でもあります。

 「我慢強い」と不満があっても問題を解決せずに何年も甘んじて受け入れてしまったりするわけです。ところが「無理ができない」人は、ちょっとした不満でも長い間ほうっておけません。気持ち悪さが耐えられないと感じるので、すぐに状況を改善するのです。

 敏感な人は不満に耐えられないので、満足に向けてすぐに行動するしかありません。長いあいだ問題を未解決のまま放っておけないからこそ不満に対してきちんと迅速に対応できると言えます。

 このように「我慢強さ」のために、問題が深刻化するまで気づけないということが起こり得るわけです。

優柔不断という問題

 「優柔不断(ゆうじゅうふだん)」の文字を眺めてみると「優しい」「柔らかい」「断つことをしない」と読めます。これは男性性か女性性かで言うと完全に女性性です。しかも成熟した女性性ではなく未熟な女性性だと言えます。

 男でも女でもある程度の健全な男性性を持ち合わせている人は「優柔不断」にはなりません。

 あらゆる物事は陰と陽のバランスでできています。陰というのは「受け入れる」「許す」「聞く」「委ねる」「従う」といった受動的な側面で、陽というのは「発信する」「切る・断つ・断る」「話す」「導く」といった能動的な側面です。

 陰が強い人は、あるがままの相手や状況を受け入れます。それに対して、陽が強い人は、自分の意志で相手や状況に働きかけていきます。

 私が女性性と言っているのはこの陰の性質であり、男性性は陽の性質です。

 問題が起きたとき、女性性が必要な面と男性性が必要な面があります。女性性が必要な面とは、受け入れなくては解決しないことです。それに対して、男性性が必要な面とは、逆に、受け入れていては解決しないこと、つまり決断によって何かを捨てて何かを選びとらなくてはならないことです。

 この男性的決断力が不足している状態を「優柔不断」と呼びます。

 例えば、相手の言動に困っているとき、①困っていることを相手にきちんと伝える、②そして場合によっては相手と距離をとったり相手との付き合いを断つ、ということが必要です。健全な男性性を持っている人は、こういうことが自然にできてしまいます。

 ところが、健全な男性性が足りない人は、こういう状況で、①困っていることを相手に伝えられない、②伝えても相手がやめてくれない場合に付き合い続けてしまう、という弱さを持っているわけです。

 「どうして困っていることを伝えないんですか?」と尋ねると、「波風を立てたくない」とか「嫌われたくない」とか「拒絶されるのが怖い」という心配をしていることが分かります。

 相手に拒絶されるのが怖くて、相手の問題行動を「許してしまう」のです。

 「困っていることを何度も伝えた」とおっしゃる人でも、相手が答えてくれないので、仕方なくそのまま受け入れてしまっています。男性性がしっかりある人だと、相手が答えてくれないとき、相手の行動を「許さない」という行動に出ることができるわけですが、それをしないのです。

 このように「受け入れるべきでないことを受け入れてしまっている」「許すべきでないことを許してしまっている」「委ねるべきでないことを委ねてしまっている」「従うべきでないことに従ってしまっている」と、問題が解けないまま不満に悩み続けることになってしまいます。

 これは女性性の病理で、男性より女性によく見られますが、優柔不断な男性というものも存在します。

 優柔不断という問題を解きたい場合、思考力・決断力・実行力を育てるとまず思ってください。

 まず「思考力」ですが、受け入れるべきでないことを受け入れているから問題が解けないのだということをしっかり認識して、解決のためにはどういう考え方や行動の仕方をしなくてはならないかを冷静に考えます。

 そして「決断力」ですが、必要な決定を実際にするわけです。このとき、何を捨てて何を取るかを「はっきりさせる」のです。あらゆる人にいい顔をするとか、あれもこれも欲しいというのはうまく行きません。

 最後に「実行力」。これは「決断力」をもって決めたことを実際に行動に移すということです。コミュニケーションをとるならとる。とらないことにしたならとらない。

 このようにして「思考力」「決断力」「実行力」を育てていくと、男性性が自然と成熟していきます

自己防衛が自分の首を絞める

(これは2016年5月に投稿した記事の復刻版です。)

 多くの心理的問題は
自己防衛に起因しています。

 自分の感情を出したら否定されて傷ついた人は「次から感情を出さないでおこう」と自己防衛します。

 男に暴力を振るわれた人は「次から男は信頼しないでおこう」と自己防衛します。 

 ノーと言ったら激怒されて怖かった人は「次から相手にいい顔をしよう」と自己防衛します。

 このように、私たちは自己防衛によって安全を確保しようとするものです。 「二度とこういうことがないように」と構えて、自分自身を制限することで守ろうとするのです。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
 
自己防衛パターンは良かれと思って自分を支配する

 さて、「ノーと言ってはダメだよ」と自分に禁止してくる自己防衛パターンは、私が傷つくことから守ってくれようとしていますよね。 
 
 あくまで善意で私を守ってくれているんです。

 ところが、イヤなことを頼まれて断りたいときに、この自己防衛パターンが作動して、「ダメダメダメ! 断ったら大変なことになる!」と騒ぎ出すものだから心が動揺して断るのが怖くなるんです。

 そうして、断るのが不安なのでやっぱり断らないでおこうと決めてしまう。こうやって自己防衛パターンに従うことでどんどん正当化されていくし強化されていくんです。

 ということは、この自己防衛パターンがある限り、そしてそれに従っている限り、私は一生ノーと言えない人間で終わってしまうことになります。ずっとイヤなことをやり続けることになってしまう。

 これは自分で自分の首を絞めることですよね?

 自己防衛パターンは1つの危険から自分を守ってくれるのですが、この自己防衛策をとると別のニーズが満たされず困っちゃう。そう、自己防衛パターンは、1つの欲求を満たす代わりにもう1つの欲求を必ず阻害するのです。

 良かれと思って自分を守ってくれているこれらの自己防衛パターンは私たちの自己実現を妨げます。
なので、自己防衛パターンに気づいて手放していく必要があります。

自分の自己防衛パターンに気づく

 自分がやりたいことをやろうとしたり、イヤなことをイヤだと言おうとすると、「ダメダメダメ!」と禁止が入って怖くなることって何ですか?

 それがあなたの自己防衛パターンです。

 たとえば、答えたくない質問をされたら、体が凍ったようになって、話を逸らすことがありませんか。嘘をついて自分を守ることがありませんか。「嘘をつく」というのも「話を誤摩化す」というのも自己防衛パターンです。

 「親孝行をしなくてはいけない」と思って、やりたいことを我慢するのも自己防衛パターンです。

 自己防衛パターンが作動すると、本当にやりたいことにブレーキをかけてきますので、葛藤が生じます。そう、自己防衛パターンを見つけたいなら葛藤を探せばいい。

 自分らしく生きる(=自己実現する)ために自己防衛を処理するのがなぜ重要かと言うと、自己防衛がある分だけ自分らしく生きるのが妨げられるからです。自己防衛を意識化して乗り越えた分だけ、自分らしく生きられると言えます。

 葛藤というのは、「大きい幸せに向かいたい衝動」と「小さいままで危険を避けたい衝動」との闘争状態です。

 「自由になって幸せになりた〜い」と「また怖い目に遭いたくな〜い」との戦争が自分の中で起きるんです。これを創造的に解決できた人は自己実現に向かえますし、自己防衛の収縮から出られなかった人は過去のトラウマの支配下に留まって自己実現が前進しません。

 自己防衛が自分の首を絞めることになるのです。 

 では次に自己防衛パターンの手放し方についてお話しします。

自己防衛パターンを解くとき2つの意識をケアする

 さて、自己防衛パターンは2つの意識から構成されています。1つは「防衛してくれている保護者」、もう1つはその保護者に守られている「傷ついた子供」です。

 そして、自己防衛パターンを解くには「保護者に納得して防衛をやめてもらうこと」と同時に「傷ついた子供が癒されること」が必要です。

 1つ注意をしておきますが、自己防衛パターンをいじろうとすると、保護者の不安と子供の傷ついた感情が浮上してくるので、それらに向き合う覚悟が必要です。

保護者の意識に感謝と理解を伝え解いてもらう

 たとえば、過去にノーと言って断ったらバカにされた、否定された、我がままだと叩かれたという人は、「ノーと言うのが怖い」という症状をもっています。

 つまり、「ノーと言うのは危険じゃぞお!」と警告することで自己防衛してくれている保護者が自分の中に存在するんです。

 その保護者と対面して、「あなたは私をずっと守ってくれてきたんですね。私の安全を考えて『ノーと言うな』と警告してくれるんですね。ホントにありがとう」と伝えます。

 体が暖まりますよ。保護者は感謝されて喜んでくれますから。

 次に「ノーと言ってイヤな経験を以前したのはしたんですが、ずっとノーと言えないとなると私が困るんで、今度からはノーと言おうと思うんですよ。でも私、それでも大丈夫ですから。心配しなくていいですよ。今では私も成長して、ノーに対して文句言われても『ああ、あの人は受け入れられないんだな』と理解してやれるぐらいになりましたから。もうあなたに守ってもらわなくてもOKです」と対話して、保護者に納得してもらうんです。ちゃんと心の中でやりとりをして、向こうが安らかな気持ちで自己防衛を解いてくれるように関わってください。強制的にやってもうまくいきませんよ。

傷ついた子供の気持ちを聞いて安心させてあげる

 
ノーと言って傷ついた子供が自分の中にいる場合、このプロセスをすると、当時の悲しみや怒りや自己否定などが浮上してきます。

 「気持ちを理解してもらえなくて辛かったんだね」とか「悲しかったよね」と寄り添って、全部感情を吐き出させてあげてください。理解を示して寄り添うんです。

 傷ついた子供の感情は抑圧されてきました。そして、その子を守るために保護者が出現したのです。だから、この子が癒されれば守る保護者も不要になります。

自己防衛パターンが解除されたら

 こうやって自己防衛パターンの解除に成功すると、次にノーと言う状況になったとき、「ああ、ノーと言ったら大変なことになるぞお」と騒ぎ立てる意識がもうありませんから、平穏な気持ちでノーと言えます。

 そうすると、やりたいことを安らかな気持ちでやれるようになる。自己実現が進んだんです。

 おめでとうございます!

自己防衛パターンを卒業することが成熟

 私たちは幼いとき、辛い目に遭って苦しくなったとき、自分に寄り添ったり現状を理解したりできるだけの成熟度がありませんでした。なので、苦しい感情から自分を守るために無意識に追いやったし、似たような経験を避けることで自分を守ることしかできなかったのです。

 自分の成熟レベルに即して、自分を制限することで生き延びようとしたのです。

 ところが、この自己防衛手段は自転車の補助輪のようなもので、つけている間は本物の走行ができない。邪魔になる。なので卒業しなくてはならない。

 ただ、卒業するには補助輪なしで乗れるだけの成熟度を証明しなくてはならない。

 補助輪を外せるだけ成熟したかどうかの試験は何かというと、この辛い目に遭った昔の子供を安心させてあげられるだけの度量を身につけたかどうかが1つ。もう1つは、無意識に生じてくれた保護者に代わって「ここからは私が自分を守れます」と言うだけの智慧と勇気を身につけたかどうかです。

 自分が自分を守れるだけの智慧と勇気があると思えたら、この古い保護者を辞めさせることができる。同時に古い保護者が守っていた子供の意識を自分で救い出すことができる。この子を自分で抱擁できるのを見て、「よし、今のお前なら大丈夫だろう」と古い保護者が辞職してくれるんです。

 そうして初めて、自己防御パターンを脱して、あらたな幸福拡大へ前進できるという訳です。

 宇宙の秩序はうまいことできていますね。

 つまり、「新しい成長への衝動」と「古い恐怖への執着」との間で葛藤しながら成長していくのは、すべての人間の成熟過程なのです。これを避けて通れる人はいないのです。

自己防衛は恐怖である
成熟とは恐怖の克服であり
恐怖による支配から自分を救い出すことである 

人間は恐怖を克服した分だけ
自分自身になることができる

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 「保護者に辞めてもらう」と書きましたが、保護者の存在やエネルギーは存続します。より正確に言えば、保護者の役割を自分が納得できるものに変更してもらうプロセスを経ることが大事です。

 単にこれまでの守り方を辞めて欲しいとだけ伝えると、「私のことはもう必要ないのか?」とたいてい心配そうに聞いてきます。なので、担って欲しい役割を考えて、「次からはこういう風に私を守ってくれない?」と交渉してください。お互いが同意できる新しい関係を築くのです。


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「体験」と「自己概念」の一致

(これは2015年8月に投稿した記事の復刻版です。)

 ロジャーズは、精神的に健康な人ほど「体験」と「自己概念」の一致する領域が広く、不健康な人ほど狭い、そして心理療法とはこの領域を広くすることだと考えていました。


 「体験」と「自己概念」が一致するとは、実際に自分が体験していることをきちんと捉えているということです。

 「自己概念」とは「自分はこうである」「自分はこうしたい」「自分はこうあるべきだ」など、自分に対する意識的な捉え方のことで、これが実際に自分が体験していることと一致していることが、精神的な健康状態なわけです。

 それに対して、精神的に不健康な状態では「歪曲」と「否認」が多く、「自己概念」と「体験」が一致していない領域が広い。

 「歪曲」とは、実際には体験していないのに、「そうだ」と思い込んだり、「そうあるべきだ」と決めつけていることです。

 また「否認」とは、実際には体験しているのに、否定され無視されていることです。 

 たとえば、実際には1人か2人に嫌われただけなのに「僕は全員に嫌われているんだ」と思い込んだとしたら、実際の体験とずれた「自己認識」をしてしまっているので、「体験」と「自己概念」が不一致ですよね。自分のことを、実際とは歪んだ形で捉えてしまっている。これが「歪曲」です。

 もう1つの例は、自分は悲しくて泣きたいけれど「男は泣いてはいけない」という「自己概念」をもったとしたら、これは実際の自分とずれているわけです。だから、「男は泣いてはいけない」と思うことは「歪曲」なのです。

 このように、「歪曲」の多くは、実際の自分とは違う理想像を自分に押し付けることで生じます。フロイトの言う「超自我」に相当します。

 実際の自分を許さず、「こうあるべき」と思う領域が広い場合、そして実際をよく見ていないため「こうに違いない」という思い込みが激しい場合、その分「歪曲」が多いことになります。

 つまり「こうあるべき」と「こうに違いない」が多い人ほど精神的に不健康であり、あるがままの自分を認め許せるようになることが心理療法の目的であり、精神的健康への前進なのです。

 もう1つの「否認」についてお話しししましょう。

 「否認」とは、実際に体験しているのに認めないことです。たとえば、同性に対して恋愛感情を感じているけれど、それを受け入れられないという場合、その感情は実際にはあるのに、ないことにされてしまいます。同性への恋愛感情は「否認」されたわけです。

 もう1つの例は、「さぼってはいけない」という「自己概念」をもっている人は、本当は体が疲れていてもう頑張りたくないけれど、それは「さぼることになる」と考えて、休みたいという自然な欲求を無視します。すると「休みたい」という感情は「否認」されます。

 このように、実際の自分のうち、無視したり抑圧したりして否定している部分が広い人ほど、精神的に不健康であり、実際の自分を受け入れ、認められるようになるに従って、健康になるわけです。フロイトの言う「抑圧」の部分を意識化して統合するという作業になります。

 精神的に健康な人は、あるがままの自分を受容している割合が高く、またあるがままを正確に知覚している割合が高い人です。

 ですから、健康になるには、「歪曲」している領域と「否認」している領域に向き合って、狭めていく作業をすることが有益だということになります。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

実際の自分は悲しくて泣きたい

 自己概念と一致の場合:私は悲しくて泣きたい気持ちだと認識し、それを許している。
 歪曲による不一致の場合:私は悲しんではいけないし、泣くのはダメだと思っている。
 否認による不一致の場合:私は悲しくなどないし、泣きたくなんかないと思っている。

実際の自分はもう休みたい

 自己概念と一致の場合:私は疲れたから休みたいと認識し、それを許している。
 歪曲による不一致の場合:これ位で疲れているなど弱っちい。負けていられるかと思っている。
 否認による不一致の場合:私は疲れてなどいない、休む必要などないと思っている。

☆6つの実践

(これは2015年10月に投稿された記事の復刻版です。)

 自己治癒・自己理解・自己実現をしながら、自分らしく幸せな人生を送るために、私自身が実践している6つのことをご紹介いたします。


 これは、私のクライアントさんたちにもお伝えし、やって頂いていることです。必要に応じて1つずつお教えしているため、6つ全部をお伝えした方はこれまでおりません。

 気が向いたものからやってみてください。どれに目が止まるでしょうね。「あれ、これ面白そう!」とハートが囁いたらご注意あれ! 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

1.Follow Your Bliss  心の喜びに沿って生きる

 これが生きる上での基本中の基本。これを外せば、他の5つは崩壊します。それぐらい大事なことです。

 自分がやりたいことをやる。見たいものを見る。行きたいところへ行く。学びたいものを学ぶ。会いたい人に会う。読みたいものを読む。

 やりたくないことはやらない。行きたくないところへは行かない。会いたくない人には会わない。見たくないものは見ない。

 「べき」で生きない。「したい」で生きる。そうすると、自分を大切にできます。そして、自分が何者か分かってきます。

 「こんまり先生」の片づけ術と同じです。家の持ち物は、「いるかいらないか」で選ばない。「ときめくかときめかないか」で決める。「ときめくもの」を残して、後はサンキューと言ってお別れする。

 人も物も場所もセミナーもコンサートも仕事も、すべて同じです。 

2.Set Healthy Boundaries;
  Distinguish Your Business and Others' Business
  相手の課題と自分の課題を区分けして、健全な境界線をひく

 自分の人生の責任を背負い、相手の人生の責任を背負わない。自分の感情への責任を背負い、相手の感情への責任を背負わない。

 自分が相手の言動に困っているなら、困っていることを伝えて解決への協力を要請する。相手が自分の言動に困っているなら、相手の問題を解決するために協力しようとして聞き手に回る。

 自分の責任でないことで責められたら、責められても困ると伝える。相手の責任でないことで相手に依存するのはやめる。

 自分の問題と相手の問題を混同しない。相手と自分は違う人間だということを弁えて付き合う。 

3.Practice Win-Win Communication
  ウィンウィン・コミュニケーションを実践する

 相手の気持ちを考えずに自分を押し通す「ウィンルーズ(自分が勝って相手が負ける)」コミュニケーションはしない。自分を殺して相手に迎合する「ルーズウィン(自分が負けて相手が勝つ)」コミュニケーションもしない。

 対立が起きたら、暴力的にならず積極的に自分を主張(アサーション)し、相手の言い分や欲求には共感的に耳を傾ける(エンパシック・リスニング)。常に、相手も自分も満足できるような、敗者を作らない「ウィンウィン・コミュニケーション(自分も相手も勝つ)」を心がける。

4.Core Belief Work
  コア・ビリーフを処理する

 心の苦しみの根底にある、否定的な思い込みの中の核心的なものを「コア・ビリーフ」と言う。これがある限り、様々な苦しみの感情が無意識から意識に浮上し続ける。

 だから、心を解放してあげるには、無意識のコア・ビリーフを除去することが重要である。

5.Emotional Healing of Traumas
  トラウマ感情の癒し

 無意識に抑圧された、過去のトラウマの否定的感情は、掘り起こして共感を送り込むまでその人を苦しめ続ける。

 だから、心を開放してあげるには、無意識のトラウマ感情を癒すことが重要である。

6.Meditation(Awareness Practice)
  メディテーション(アウェアネスの実践)

 多くの人間は自分の自我(エゴ)と同一化してしまっている。そして、自分の思考や感情と一体化して距離をとることが難しい。

 自我のパターンから自由になるには、自我を客観的に観察できるだけの静寂と気づきが必要。

 自我と脱同一化し、気づきの状態にいつでも行けるようになるには、日頃のメディテーションの実践が効果的。 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 これらの6つには相乗効果があり、お互いを補助します。

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