2018年04月29日

振り假名の長所:丸谷才一

「 しかし、その初等教育が日本ではなぜうまく行つたのか。日本語の表記が表音文字と表意文字との二重の仕掛けになつてゐるせいだと思ふ。表音文字(つまり假名)を覚えれば、それでいちおうは文盲ではなくなるし、それを手がかりにしてさらに表意文字(つまり漢字)を覚えることもできる。(これはすなはち振り假名といふことである。日本語のこの独特の表記法はどうも評判が悪いようだが、一概に欠点のほうばかり言ひ立てるのは間違ひで、長所もいろいろあるはずだ。)それなのに中国のやうに表意文字一点張りでは、字を教へたりするのに苦労するのは当たり前だらう。(中略)明治維新以後の日本の国力の充実が、とかく軍国主義的な、あるいは侵略主義的な傾向のものであつたことは、ぼくも好ましく思つてゐないが、しかし国力の充実そのものはやはりよいことだし、その国力の基礎として、漢字まじり假名がきの日本語があつたことは否み得ないと考へる。」
(丸谷才一『ウナギと山芋』「漢字を擁護する」中公文庫1995年323〜324頁)

 良い所を探そうという姿勢が欲しい。歴史を振り返ってみよう。


ruby_furigana at 15:03|PermalinkComments(0)clip!ルビの参考文献 

2018年03月13日

読めなくて平気なのか

 昨夜、NHKテレビを見ていて
読めなくて平気であるか皆の衆「蛭子能収」吾首ひねる
 (よめなくて へいきであるか みなのしゅう えびすよしかず われくびひねる)

 ドラマの最初や最後に、出演者や役名が映し出されるけれど、まず、ルビは付けられていないので、読めない名が多い。
 覚えられません。

2018年03月01日

テレビのニュースから聞こえてきた

「重大なインシデント」と一方で「フヨウフキュウのガイシュツ」と言う
(じゅうだいな incident いっぽうで 不要不急の 外出という)
 JR西日本の会見と、NHKの悪天候を伝えるニュース。後者は、民放のアナウンサーも使っていたか。
 「インシデント」は、英和辞典を引いた。「出来事。事件。変わったこと」。大企業の隠蔽体質を象徴する言葉遣いか、などと思ったりする。
 「フヨウフキュウ」は、「不要不急」が直ぐに思い浮かんできた。ただ、「不用」か「不要」か、ちょっと迷った。
 「直ぐには要らない、必要ない、急がない用での外出、外に出ること」は控えてください。

2017年12月21日

戦後の復興を担(にな)った人々

「 戦後の日本の経済復興を成し遂げたのは、戦前に基礎教育をうけた成人層であって、決して戦後の教育をうけた人々ではありません。」
(大野晋『日本語の教室』岩波新書169頁А銑─
「 それから工場労働に従事する人々の知的水準が一般的に高かったことも重要です。
     (中略)
新しい機械を導入しても直ちに説明書を理解消化して運用できる素地があった。」
(同上書168頁〜169頁 法

2017年12月12日

黄ばんだ切り抜き:「一億総詩人」 ('05/11/07)

※埋もれていた切り抜きが出てきました。

日本の新聞には詩の投稿欄があるそうですね」。海外で尋ねられることがある。「たいていの新聞は俳句や短歌という短い詩を募集し、掲載しています」と答えると、感心した表情を見せる人が多い▼巧拙は別にして、誰でも一度は俳句や短歌をつくつたことがあるのではないか。1億総詩人といえるかもしれない。先日催されたNHK全国俳句・短歌大会には12万を超える作品が寄せられた。中学生以下のジュニアの部の俳句は約3万7千句にのぼる▼〈あさおきてくしゃみをひとつあきになる〉。大賞受賞作の一つ、小学1年の作だ。〈図書館に住みたいぐらい本が好き〉は中3の作。技巧をこらさず言葉を投げ出しただけのようだが、まっすぐな勢いを感じる▼要介護・支援の高齢者らを対象にした短歌大会が31日、宮崎市で催される(みやざき長寿社会推進機構主催)。全国から7千首近い応募があった。当日表彰される最優秀賞には、103歳の高橋チヨさんの作品が選ばれた。〈一日中言葉なき身の淋しさよ君知り給え我も人の子〉▼聴力を失って筆談に頼る生活を特別養護老人ホームで送っている。平穏な生活だが、生の声を、皆の話を、お国なまりを、じかに受けとめたい。そんな思いを込めた一首だ。100歳以上の応募が15人、90歳代が502人あった。104歳の今井千代さんは〈これからもお助けをよろしく願いまするありがたき病院でチヨの幸せ〉と詠んだ。『老いて歌おう』(鉱脈社)に収められている▼小学生から100歳まで「言霊(ことだま)の幸(さきは)ふ」国である。(「天声人語」朝日新聞2004年1月23日。太字強調は引用者)

※「言霊(ことだま)の幸(さきは)ふ」国 → 『万葉集』巻第五・894番歌。長歌なので、引用は省略。


朝の、水辺の鳥たち ('08/01/25 撮影)

080125_5112

 よく見ると、数種類の鳥を見つけられます。

 現在は、数年前に、水辺近くに遊歩道が作られて以來、鳥の数がめっきりと減ってしまいました。

2017年11月02日

経皮吸収型鎮痛・抗炎症剤

 只今、使用している湿布薬の正式名称である
 「経皮・吸収・型・鎮痛・抗・炎症・剤」、睨んでいると、意味が納得できる。訓のお蔭である
 「皮を経て、吸って収める型(かた)の、痛みを鎮め、炎症に抗う薬剤」。

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2017年10月28日

『昭和天皇実録』第一 20頁「御健康祈願の加持」

明治34年(1901)8月10日
 「真言宗律師雲照」は、明治初年、1868年、慶応4年に出された「神仏分離令」をきっかけに吹き荒れた「廃仏毀釈・排仏棄釈」の折、仏教擁護に大きな役割を果たした人物らしい。
 依拠資料にある、「雲照大和上伝」と「川村伯爵と雲照律師」、電網で調べると、後者は見当たらず。『新編明治維新神仏分離史料』全10巻、名著出版、あたりに入っているのか。


2017年05月10日

『昭和天皇実録』第一 16頁「万那料」

明治34年7月6日 天皇皇后東宮御所に行幸啓

16頁◆ 屬海瞭、親王は天皇・皇后より銀製雌雄鶏置物及び万那料を賜わる。」

  「まなりょう」と読むのだろう。「万那」は、万葉仮名という説明で良いか? 「ま」「な」の、変体仮名の字母としては、代表的なものである。

ま-な【真魚】(「真の肴(な)」の意)/料に供する魚。△泙併呂瓩了の食物。(『広辞苑』)

マナノ 魚味祝 禮一 四六四
マナハ 魚味始 禮一 四六三 (『古事類苑』索引)
「魚味(まな)の祝(いはひ)」「魚味始(まなはじめ)」

 また、翌7日にも、「皇太子・同妃は河村夫妻に万那料・紅白縮緬各一疋等を賜い、また天皇・皇后も河村伯爵に万那料を賜与される。」(16頁〜)

 「雌雄鶏」。明治34年(1901年)の干支は、「辛丑」。
 

2017年05月06日

『昭和天皇実録』第一 13頁「廉」「金員」 

明治34年5月28日(火)
13頁〜「勤労の廉をもって、・・・白羽二重・金員等を、・・・金員をそれぞれ賜う。」
 「廉」は、「かど」。「白羽二重」は、「しろはぶたえ」。「金員」は、「金銭」の意。金員を戴くのが一番嬉しい。


2017年05月02日

これで「飛」なのか?

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『河海抄 傳兼良筆本 一』(天理図書館善本叢書、八木書店)50頁である。
 赤色の傍線を引いた字の読みに首をひねった。初め、「散」と読んだ。
 しかし、手元の『源氏物語』の注釈書が引く『長恨歌』本文では、「飛」となっている。
 玉上琢彌編『紫明抄・河海抄(天理図書館蔵、文禄五年の書写記のある二十冊本を底本)』でも、左の行、「夕殿螢飛思悄然」(203頁)と翻刻されている。
 「夕殿螢思悄然」とする『長恨歌』は、ないのか。
 
工事中

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2017年01月19日

『昭和天皇実録』第一 一一頁「やないばこ」など

明治三十四年五月五日 宮中酺宴(ホエン。「酺」:国の慶事に天子が臣下や人民に酒宴を賜ること。『新潮日本語漢字辞典』)
 相変わらず、人名は読めない。
一一頁
◆嵬筥」の「筥」は常用漢字には入っていないだろう。
 読みは「やなぎばこ」であろう。と思ったら、音便形の「やないばこ」でした。初めからルビを付けよう。
「案上に奉る。」→「案(あん)」は、「机(つくえ)」なんだぞ。
─崛鯛一尾ずつを」→ええと、「鯛」の音読みは、やっぱり、「チョウ」だ。「センチョウ」と読むのか?
 『字通』を見ると、「鯛」は、篆文(てんぶん)にある。『説文解字』にも載っている。国字ではないのでした。
「これが宮中の御宴において万歳が唱えられた初例という。」→へえ〜、そうだったのかい。 
一二頁
「宴酣の際に」→「宴(えん)酣(たけなわ)」 
   


2016年12月31日

『昭和天皇実録』第一 一〇頁「御名を裕仁、御称号を迪宮と」

明治三十四年五月五日 

「御名を裕仁(ひろひと)、御称号を迪宮(みちのみや)と」一〇頁ァ銑

「裕は易経に「益徳之裕也」、詩経に」 (工事中)



2016年10月11日

『昭和天皇実録』第一 八頁「御尋」

明治三十四年四月三十日

「また公爵九条道孝より皇太子妃へ御尋として五種交魚一折が献上され、御返礼として五種交魚一折を下賜される。」(一−八ぁ銑ァ

「御尋」とは何ぞや。

 読みは、「おたずね」でよいのか。これで国語辞典を引く。出て来ない。
 意味は、祝の品であろう。

2016年10月09日

『昭和天皇実録』第一 五頁

着帯の儀・明治三十四年三月九日

「皇太子は御手ずから皇太子妃に末広及び白縮緬・袖入文鎮・人形等を贈られる。」:(一−五ぁ銑ァ
「袖入文鎮」とは何ぞや。

 「そでいりぶんちん」で辞書を引けども、見当たらず。
 「袖入り文鎮」でネットを検索すると、画像が掲載中であった。袖に入れても持ち歩けるという小型の文鎮であろう。

「皇太子・同妃はまた互いに三種交魚料及び小戴を御贈進になる」:(一−五〜)
「小戴」とは何ぞや。

 初めは、「ショウタイ・ショウダイ」で辞書を引く。見当たらず。その中、「こいただき」の訓読みかと思い当たる。これなら、『広辞苑』で解決できた。「小戴餅」(こいただきもちい)の略。





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