今回は長編SRPG「ツギハギパズルス」をレビュー

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タイトル画面

DL・紹介ページ

フリーゲーム大賞2015 入賞作品

作者:友永 きるく 殿
【あらすじ】(一部抜粋)
未来歴史書に選ばれた候補者の一人、『ライチェ=カーウェン』。
世界を救う物語のインスピレーションを得るため二人の幼馴染達と共に
旅をしていた彼女は、ユースレイ帝国から託された未来歴史書の複製本に、
ある願望を綴ってしまう。

すると、複製本はその願いに呼応し、異世界から人間を召喚してしまい――!?

果たしてライチェは、世界を救う事ができるのか!?

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惑星が地上に落下するのを防ぐために主人公は旅に出る。

【プレイ時間】

30~35時間
(話数は35話程度)


【ゲーム概要】

本作は複数の創作作者殿が昔に作った自キャラを提供し合い、
制作された長編SRPG。

ここのサイトの旧作「えるまに」に近い作品です。


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登場キャラも序盤はパロディネタ(?)が満載。


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主人公ライチェ、またの名を「勝手姫」




【シナリオ・ストーリー】
・序盤~中盤まではギャグと勢いがメインで物語が進むに連れてシリアスがメインになる。
・ギャグがオチと共に締め方が非常に上手い
・メインストーリーは物語で置かれていた伏線の回収が秀逸。



【グラフィック】
・物語の最初から最後まで随所にイベントスチルが置かれている
・戦闘アニメーションはほぼオリジナルアニメ。この作品に対する気合いが入っているのがよくわかる。


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ギャグからシリアスまで随所なイベントスチル

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ver1.10からは待望のキャンプ画面+主要キャライラスト&紹介が追加!プレイをしながら登場人物のことがわかるようになる。

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マスコットキャラも登場


【システム】
SRPGツクール95は古いツールなため、色々な制約がありますが、
これこれに負けないくらい
SRPGツクール95の限界に挑戦しています。

特に「不屈の信念」カット戦は必見です。

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伏兵の挟み撃ち等飽きさせない戦いがある。



【短所】

異世界からやってきた登場人物達が物語の最初から最後まで成長も変化もなく「ただの寄せ集めステレオキャラ」で終わってしまう。

せっかく別の作品からやってきたのだから、このゲームならではの彼らの変化や事件が起きればいいのにと感じてしまう。

また、途中から
ライチェ「みんないくよー!」
 その他「おおおーーー!」
とバトル開始時に言うのだが非常に違和感があった。


「いつからこんなに君達は仲がいいの???」


そもそも異世界に勝手にとばされたら普通は反発します。
「不屈の信念」カットが色々あって「元の世界に今すぐ返せ」と詰め寄ってきますが
そりゃ当たり前のことです。でも、このゲーム ほぼ無条件で途中でぶつかり合いや衝突
も何もなく最後までライチェについていきます。

端から見たら「ライチェ教」にしか見えません。


サブ、ディック、ししょーは過去話で繋がりはわかりますが、
ツギハギキャラ達はまったくそんな「納得できる人間関係の構築話」がありません。
仲間になってからほぼずっと無条件でライチェに協力的です。

一部のツギハギキャラに至っては「回復キャラ」もしくは「ネタキャラ」としか
覚えていない「物語において実質死にキャラ」もいます。

まともに衝突してくれる相手は黒幕以外では「不屈の信」のカットぐらいで
「審判」リーアに至っては実質「ライチェの協力者」に近い存在。

「殺人鬼」アリスは結果的に「因縁の相手」になるのになんかリンクがうすい。
(ていうかサブやディックがいたらまっさきに殺人鬼殺そうと思うよね)

人間関係の変化などで色々面白そうだったのは
もう一人の候補者である「キル」だと思います。

彼の方が色々コンプレックスもあり、ぶつかりあいもそこそこあったりと
面白そうだったんですが、残念なことにあまり出番がありません。

その他の候補者達が召還したキャラをほぼ無条件(ぶっちゃけバトルで倒してちょっと雑談しておしまい)で
ライチェに引き継ぐのも残念でしょうがない。

どうせなら

「ライチェチーム」「キルチーム」「ししょーチーム」でそれぞれ
3PTで話を進めて人間関係をうまく盛り上げて最終的に引き継いで欲しかった。


この作品は最初から最後までほぼライチェで締めているため、
彼女なしでは物語が作れないという脆弱性もあります。

人間関係の変動もないためか、で物語終盤で熱い展開や最終奥義修得シーンの
カタルシスががくっと半減してしまってます。


「不屈の信念」カットと「チャイナ娘」ラウルの因果関係を初めとした、ツギハギキャラ達それぞれの固有問題と伏線が未消化で終わってしまっているのも消化不良すぎます。
(原作がないとわからないネタが多く、そもそも原作も公開どころか未完成だとか・・・)


「オールスターをとりあえず無理矢理まとめてみました」感が非常にもったいなさすぎです。


【総評】
ギャグのオチの付け方、アニメーションの演出及び物語の伏線消化が良い作品。
ただし、登場人物については短所で述べたとおり、「問答無用のライチェゲー」と「ネタキャラ」構成になっている故か、主人公の「ライチェ」が嫌いになったら終了感があります。

ここのサイトの旧作「えるまに」に近い懐かしい雰囲気を味わえ、かつ作者殿ならではのスパイス物語を楽しめる作品です。


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「ツギハギパズルス」長所短所まとめ

【長所】
・本編の物語において、ちりばめられていた伏線が終盤しっかり回収している。
・ギャグのセンスが上手く、ギャグ話におけるオチの付け方が秀逸している。
・イベントスチルや演出を物語の最初から終わりまでふんだんに利用している。
・SRPGならではの「伏兵」「オリジナルアニメーション」「ユニットの差別化」をしっかり搭載。
・SRPGツクール95の制約の中、「不屈の信念」戦のような独特のバトルを作り、SRPGツクール95のツールそのものを使いこなしている。

【短所】
・ツギハギキャラ達が物語序盤から最後まで結局「ツギハギキャラ」止まりで終わったこと。
・主人公「ライチェ」に対する「アンチキャラ」が不在でリーダーとしてのカリスマ性に疑問。
・主人公「ライチェ」ありきのゲームなので、ライチェなしでは物語が進めない。(準主役の存在が弱い)ライチェが嫌いだったら終了。
・物語終盤で熱い展開があるが、上記3つの理由でカタルシスが半減しておりもったいない。
・「不屈の信念」カットと「チャイナ娘」ラウルの因果関係を初めとした、ツギハギキャラ達それぞれの問題と伏線が未消化で終わること。


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【おまけ】

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他人のキャラ管理は非常に難しいもんです
作品の評価とは別に、作者殿には「お疲れ様でした。」の一言に尽きます。