久々のレビューとなりました。
今回は「グレイメルカ」をレビュー。
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貴方が選ぶベストフリゲ2015 5位入賞作品

作者HP

DL

作者:シニカルとレトリック 殿
【ストーリー】
銀髪のロマテア人に囲まれて育った
黒髪の青年ハルカ。

80年前 ロマテア帝国は
隣国を滅ぼす為にグレイメルカ作戦を実行した。

その残虐非道な作戦により一つの国が地獄に叩き落され
帝国は怨嗟の的となる。

そんな膨張を続ける帝国で皇子達と同じ屋根の下
ハルカは生まれ、ロマテア人として育って行く……。


【プレイ時間】
30~40時間

【ゲーム概要】
本作は、多くの人物が登場して物語を織りなす群像劇のシミュレーションRPGである。


【見所】

本作の見所は 簡単にまとめると4つ

1 脚本・構成力

2 リアリティーある登場人物達と複雑な人間関係

3 システム周りのユーザビリティー

4 コンシューマに引けをとらないオリジナルBGM


これら4つの見所のおかげで「30時間越えの長編」といえども、途中で投げることもなく最後までプレイすることができるといっても過言ではない。

1 脚本・構成力

物語の構成力が秀逸で、長編作品であるにもかかわらず、風呂敷を広げてしっかり畳みきっている。

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第1章主人公、クナタとカタリ。

本作は全5章(話数でいうと31話)で構成(おまけシナリオの6章は省略)されているが、それぞれの章に起承転結が確実に組み立てられているため、物語全体としても大コケするところがなく、盛り上がるべきところで盛り上がり、収束するところで収束する

一言で言えば、
「大きな風呂敷を丁寧に広げてそれをしっかり畳みきっている」

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世界の多国が関わる長い歴史を創り上げている。

たいていの長編作品は、風呂敷を広げたのはいいが、畳みきることができずに
とにかく力ずくで風呂敷を畳めて残念になるモノが多い
が、

本作は一つの世界における戦争を長い年月と歴史を描写している(=でかい風呂敷を広げている)も関わらず「納得のいく風呂敷の畳み方」で畳みきっている。


2 リアリティーある登場人物達と複雑な人間関係

2-1 多くの登場人物が登場するにもかかわらず、それぞれの考えを持ち、その時代を生きている。

本作は敵味方を含めると50人以上は軽く超える登場人物が登場する。
しかし、ほとんどの固有キャラがその時代や世界観に対して考えや哲学を持ち、その時代を彼らなりに生きている。

普通の作品であれば作者の傀儡や作者自身が味方キャラに自己投影してしまうのだが、この作品同様、そういった「作者の欲望」がまったくない。

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祖国のために帝国に抗うクナタとカタリだが・・・・

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ある事件により、一族が衰退してしまった「デト家」


2-1 人間関係が複雑で単純に好き・嫌いと片づけられるような関係が無く、リアリティーがある。

この作品ほど、複雑な登場人物達の人間関係を描写している作品は中々ない。

単純に「AさんはBさんを好き(嫌い)」と語ることができないのだ。
(これは現実の人間関係も同様)

リアリティーある登場人物や人間関係が創り上げられ、物語が進むにつれて変化しているため、

1で述べた「脚本の構成力」と相乗効果で、ゲーム全体の面白さを格段に上げている。

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一言じゃ語れない人間関係が複数あり、変化していくのが本作品最大の魅力といえる。


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バトル中、特定の人物同士で行われる「会話」、メインでは語り尽くせなかった人間関係が描写されており、最近ありがちな「ただダベってるだけの意味のないスキット」ではない。


3 システム周りのユーザビリティー

システムインターフェースが非常に丁寧でSRPG初心者でも遊ぶことができる。

ゲームのシステム周りについても隙がない。

基本、消耗品である武器や魔法アイテムを駆使して相性を考えて敵を倒す。

それにレベルや貢献度で受動的に覚える「スキル」、装備品やステータスに
影響が出る武器・魔法・体術レベル、キャラ相性支援(命中回避に影響)が加味されている。


能動的に学ぶ必要があり覚えるのが面倒な合成・配合・育成配分システム等は一切無い。


やり込み要素も至ってシンプルで爽快感もあるため、キャラ育成に励むプレイヤーも多い。

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視覚的にもわかりやすいステータス画面。スキルの内容も1クリックで細部説明してくれる。

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武器や魔法には3すくみの相性で原則ごり押し無双でクリアというものはない。


4 コンシューマに引けをとらないオリジナルBGM

本作品のBGMはすべてオリジナルであり、コンシューマに引けをとらないクオリティーである。
(オリジナルBGMを採用している作品はこちらの作品も代表的)

1~3の述べた見所にオリジナルBGMを採用したことで本作品のクオリティーがさらに相乗的に上がっている。

筆者がお気に入りの曲は

・出撃準備(グレイメルカを代表する曲)
・デト家戦(エスニックなメロディーを採用し、で魔術師の一族をうまく表現している。)
・アリミア(フバーラインの悲しい歴史を語るかのような和風BGM)
・グレリア戦(フバーラインのバトルといえばレムスよりこういった和風BGMが思い浮かぶ)
・シアセット(漆黒の騎馬兵部隊が押し寄せてくるのを表現している。フェクテンとエンカウントしたときのBGMとセットでどうぞ)
・ハルヴィン城攻防戦前半とジェライ戦(物語のピーク時の熱い曲だというのにこれや分家曲がサウンドプレイヤーに入っていないのが残念。更新希望)


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出撃前BGMは何度も聞くグレイメルカを代表する曲の一つ。


【短所】
一点だけ上げるとすれば
「物語導入時期、固有名詞が大量にでて歴史を語るところがあるため、最初プレイするときに困惑することがある。」


ファンタジー世界、特に戦争物では鬼門の「固有名詞」、本作も序盤世界の歴史を語るために多くの固有名詞がでて、プレイヤーは情報量の多さに困惑してしまうだろう。

しかし、本作はその短所をしっかりカバーしている。

会話の途中で固有名詞に「緑色のハイライト」がされるが、そこをワンクリックするだけで、情報があればすぐにその用語の解説ページに飛んでくれる。

これにより、序盤固有名詞がわからなくても、見所要素にのめりこんでいる内にプレイヤー自身がその世界観を能動的に学ぶことが容易になるのだ。

作品の短所をしっかりカバーしているのが本作品のスキのなさに含まれます。

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用語は随時調べることができ、更新もされるので中盤以降はまったく気にならなくなる。

【総評】
以上4つの見所から
歴代フリゲで傑作の部類に入る作品。

短所についても前述したとおり、カバーするシステム機能があるため
「隙」といえる「隙」がありません。

プレイ時間が30時間を超える長編で「フリゲでそんなに時間をかけたくない・・・」と思う人もいるでしょうが、

この作品に至っては例外です。

長時間かけてやる価値は充分あります。

大作の長編ファンタジー軍記物をやりたいという方は「グレイメルカ」をオススメします。

腰をじっくりと据えて一つの世界の歴史を、登場人物達の生き様を見てください。


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「グレイメルカ」長所短所まとめ

【長所】
・物語の構成力が秀逸で、長編作品であるにもかかわらず、風呂敷を広げてしっかり畳みきっている。
・多くの登場人物が登場するにもかかわらず、それぞれの考えを持ち、その時代を生きている。
・人間関係が複雑で単純に好き・嫌いと片づけられるような関係が無く、リアリティーがある。
・システムインターフェースが非常に丁寧でSRPG初心者でも遊ぶことができる。
・コンシューマに引けをとらないレベルのオリジナルBGM


【短所】
・物語導入時期、固有名詞が大量にでて歴史を語るところがあるため、最初プレイするときに困惑することがある。
(ただし、この欠点については会話中にでもすぐ用語を調べられる機能でカバーされている。)