年末最後のレビューとなりました
今回は正統派長編SRPG「Heartium」をレビュー。
Her_title


貴方が選ぶベストフリゲ2016 6位入賞作品
作者HP

DL

作者:T.S 氏

【ストーリー概要】
アトゥムという名の大陸における2国間の「原典」を巡る戦争を背景にした群像劇。

Her_1
細部はゲームをやると次第にわかります。

【ゲーム概要】
本作は、SRPG Studioで作成された長編SRPGである。
※ SRPGStudioは某炎紋章のような作品ができるツール。

【プレイ時間】
30~40時間

【見所・長所】
1 ゲームシステム、バランス、テンポがちょうど良く、やり込み勢にも満足な難易度。

本作はSRPG初心者でも1から遊べるゲームバランスとなっている。
操作方法も感覚的に覚えられる内容なので、わざわざ長いチュートリアルをだらだらやるようなことはまずありません。ゲームにおける細部アドバイスも物語が進むにつれて少しずつ紐を解いていくかのように説明してくれるのでユーザビリティーは非常に良い。

Her_26Her_16
戦闘前は装備をしっかり調えられるようにショップも利用可能。シナリオパートだけでは語れないエピソードや新アイテムの紹介もこの画面で収録されている。

Her_9Her_4
戦闘もXキー等でハイスピード化もできる。ステータス画面で簡易登場人物紹介も。

また、本来倒す必要のないボス等を倒すと、レアアイテムが入手できるマップもあるので、ゲームをガッツリやり込みたい方にもそういったやりこみ舞台が整えられている。
(ただし、やり込みプレイをすると、一部極悪難易度なステージ有)
※ このゲームの詳しい攻略法についてはこちらのサイトが一番オススメ

Her_8Her_99
3すくみだけどだからといって極端なバランスではないのがミソ。普通倒す必要性のない敵も頑張ればこのとおり倒せる。


2 複数の人物の物語、変化、そして成長が描かれており、中盤以降は安定した火力。敵味方共に死にキャラ(=空気キャラ)がほぼいない。

本作はこちらの作品同様、群像劇を丁寧に創り上げている。
味方サイドであるフェルミ国サイドはもちろん、敵サイドであるポゾン国の敵将も個性的、人間味のある登場人物がいる。

Her_42Her_41
敵との因縁や仲間とのぶつかり合い等、物語に必要な要素を確実に手がけている。

Her_105Her_78
敵将にも基本死にキャラ(=空気キャラ)がほとんどいない。

また、本作が正統派作品といえるのは

・ボーイミーツガール要素を交えた男女間の関係変化
・ちょっとわけありな男女間の三角関係

etc....

メインシナリオの他に欠かせない人間関係の変化や成長プロセスを丁寧に描写しているところも大きい。
例で挙げたボーイミーツガールも題材としては既に「陳腐」となっているように見えるが、本当に大事なのは題材の「中身」。
「中身」がなければどんな斬新な「題材」でも最終的には大味、雑または一発芸の内容になってしまいます。

王道とは何なのかを改めて思い知らされる作品です。


Her_15Her_40
ボーイミーツガールの正統ネタ要素も丁寧に描写されているのも◎。題材よりも「中身」を描写しているのが重要。


Her_159Her_132
NPCクラスの登場人物にも基本死にキャラがいないのも本作の魅力の一つ。


【短所】
序盤の展開はスロースターター気味で、物語のギアが入るには多少時間が掛かる。

本作の短所は、主人公の立ち位置の都合上、序盤の展開と本シナリオがあまりつながっていないからか、スローペース気味なこと。
戦争に参戦するようになるまでが少し時間が掛かるので、SRPG Studio慣れしている人や「とにかく1秒でも早く面白いゲームをやりたい!」という短編モノが好きな人にはオススメできません。

それをカバーするために主要登場人物を少しずつ増やしてエピソードを足していき、中盤移行の戦争編にスムーズに移行できるようにしているのはお見事です。

Her_79Her_72
メインシナリオの題目となる「原典」が主人公サイドに深く波及するのも中盤から。

【総評】
ゲームバランス、テンポ、システム、脚本、登場人物、これらにおいて「面白いゲームとして押さえておきたい大事な要素」を一通り備えているバランスのとれたオススメの秀作
※ プロ野球でいえばトリプルスリープレイヤーのようなものです。

「原典」を巡る2国間の戦争を背景に、ボーイミーツガールをはじめとした多くの人物のドラマ、変化、成長があります。

序盤スロースタート気味でプレイ時間が30時間超えると聞くと、ちょっと気が引けるという方もいるでしょうが、この作品はそれに見合うだけの価値は充分あります。


SRPG Studio製の作品で正統派作品をやりたい方、筆者は「Heartium」をオススメします。



-------------------------------------------------------
「Heartium」長所短所まとめ

【長所】
・ゲームシステム、バランス、テンポがちょうど良く、やり込み勢にも満足な難易度。
・複数の人物の物語、変化、そして成長が描かれており、中盤以降は安定した火力。敵味方共に死にキャラ(=空気キャラ)がほぼいない。

【短所】
・序盤の展開はスロースターター気味で、物語のギアが入るには多少時間が掛かる。