2007年10月30日

謎の十字架

  元メトロポリタン美術館の館長
トマス・ホーヴィング氏の著書
”謎の十字架 
 King of the Confessors”(現在絶版)は
 メトロポリタン美術館 別館のクロイスターに展示されている
11世紀 英国製の十字架について 書かれています。


前の所有者から 他のライバル美術館を押しのけて
十字架を購入するまでの
息をもつかせぬ 緊迫した交渉もさることながら・・・
セイウチの牙製の銘文が彫り上げられた十字架の
謎解きが とてもスリリングで
まるでミステリー小説のようです。

今まで2度クロイスターを訪れましたが
実は 私この十字架について 記憶がありません。
なので もう一度
クロイスターを訪れたくなりました。

地下鉄A線で190th Stで下車 徒歩10分で到着
歴史の浅い米国で 中世ヨーロッパの修道院を
部分的に移設した美術館
まあ フェイクとはいえ良く出来ています。
クロイスター


















問題の十字架は 奥まった”Treasure”室に鎮座まします。
思っていたより 全体的にほっそりして
少し たわんで垂直ではないので余計 有機的。
目をこらすと びっしりとラテン語で銘文が刻まれています。


十字架 前面
十字架 前面

















十字架 背面にも細かく人物が彫り上げられています。
十字架 背面




















この十字架の銘文は
ユダヤ人を糾弾する内容が面々と彫られていて
その背景に中世イギリスのある地域で
ユダヤ人迫害の事実があったそう。

後に英国は国教会の設立とともに 
カトリックから袂を分かった為
中世のキリスト教遺物はほとんど廃棄され
現存するものが非常に少ないそうです。


美術史上 奇跡の存在というのも うなずけます。
前の所有者は どこでどのようにこの十字架を手にしたのか
全く口を割らなかったそうですが
歴史の闇の中でも 慄然と立ち続ける遺物そのものに
意志が宿っているとしか思えません。
 

しかし ユダヤ人の多いマンハッタンに
曰くつきの十字架が存在するのは
なんとも皮肉ではありませんか。

このような美術品を目にする度に
人は何故 後世に自分の爪あとを残すのであろうか?と
考えるのであります。
私たちは そのメッセージをきちんと受取らなくては
なりません。


と 中世の神秘に思いを馳せつつも 
お腹は ぐううう〜と減ります。

で ミッドタウンにある”めんくい亭”でディナー
美味しいラーメンがほとんどないイギリス
しっかり味わい尽くしました。
ラーメン


ruchika55 at 11:15│Comments(2)TrackBack(0) 美術館 | ジューイッシュ

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この記事へのコメント

1. Posted by goodlady   2007年11月01日 23:24
「謎の十字架」は本当に一気に読んでしまいましたが、その十字架をもう一度見たいものだと思っていました。象牙の細密な細工を施した、世にも見事なものなのですね?(よくぞ誰かが持っていてくれて)、人類の遺産としてクロスターズが保存管理してくれているというのは奇跡にちかいですね。































2. Posted by ルチカ   2007年11月02日 23:41
5 goodladyさまへ 実物を見た後にもう一度本を読み直すと 細部が分かってさらに興味深いです。いや まさに歴史のミステリー 世の中には知らない事が沢山ありますね

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