日銀が低金利政策の方針を具体的に転換。 1998年と同水準となる0.5%にまで引き上げました。 従来比0.25%増となります。 これで銀行預金の金利も少しはマシになることでしょう。

長引く不況の影響で最近は貯蓄率が低下してきましたが、少し前まで 「日本の高い貯蓄率は世界から高く評価されている」 と私たちは説明されてきました。 しかし貯蓄率の高い理由は日本人の美徳たる勤勉倹約もさることながら、実は 「社会保障の不備」 の裏返しであり、株式その他の 「個人投資市場の未成熟」 の裏返しであったことを私たちはその後、知ることになります。

貯蓄率という1項目の比較だけでは経済感覚の実態など判るはずがありません。 北欧諸国のように社会保障の充実した国では貯蓄は最低限で済ませられる訳ですし、アメリカのように個人投資の盛んな国では、預金金利より収益率の高い株式投資に傾斜するのは当然のことです。 貯蓄率だけ比べても本当はなんにも判らないのに、さも (政治家と官僚の経済手腕が優れているから) 日本経済が順調であるかのように言われてもなぁ…。 ついでに言えば冒険を嫌う日本の国民性というのも定期預金指向の根底にあると思いますね。

国民の貯蓄率が低い国の金融機関では高金利の定期預金商品を売り出しています。 長期間預けることが前提の定期預金で高い金利を設定するのはなかなか勇気がいることなのですが、日本のように蓄財の定期預金指向がもともと強く高金利商品に人が殺到する国と違って、貯蓄性向の低い国ではそんな商品を発売したところで関心を示す人の数はたかがしれているからこそ設定可能な商品なのでしょう。 でないと全国民がこぞってこの高金利定期預金にお金を預けたら、消費が停滞し、銀行も金利を払えなくなって経済恐慌を招いてしまいます。 そんな国のひとつフランスで私も1990年秋に郵便局の12年定期預金のチラシを読んだ時には自分の目を疑いました。 12年複利で元金の2倍という大盤振る舞い定期預金だったからです (日本では銀行に預けるお金を預金、郵便局なら貯金と呼び分けていますね)。 この12年ものの金利をパーセントで表すと年利約6% (5.9463%) となります。 当時は現在と比べてまだ預金金利はまともでしたが、それでも6%という数字は預金金利に限れば日本ではまずあり得ないものでした。

現在の日本の定期預金金利を調べてみると最も金利が高いといわれている商品でも1%に届くものは皆無です。 これに対してドル、ユーロ等の外貨立て定期預金では5〜6%に及ぶ商品もありますねぇ。 いやはや別世界! もちろん外貨建て預金は為替変動リスクと再び円に戻す場合の両替レートというマイナス要因があることも事実ですが、日銀の低金利政策を理由に預金金利を非常識な低い利率に抑え、一方では公的資金 (税金) 投入で息を吹き返し巨額の黒字を計上しながら顧客への利益還元を渋る銀行の所業は絶対に納得できるものではありません。 日銀のゼロ金利政策にしても 「経済動向の見きわめ」 を理由に、長期にわたって金利引き上げの決断を先延ばしにしてきたことは (責任回避)、経済政策を司るトップの姿勢としては情けないかぎりです。 政・官・財、どこもかしこも 「持ち帰って検討します」 だの 「時期尚早に付き暫く様子を見る」 だの、トップの責任回避発言が目立ちます。 決断できないトップなんて要らんわい!

12年で2倍になる預金金利は音楽の平均律と一緒です

さて前述の12年もの元金2倍還元定期預金、音楽をやっている人間にとって、これは別の意味で大変興味ある商品なのです。 それはこの 「複利計算12年で元金の2倍」 という金利が、音楽で使う音の高さの変化率と一緒だからなのです。 ピアノに代表される近代の楽器では転調の自由度を高めるためにあらゆる調で演奏できるよう、全ての音が隣接する半音上 (または下) の音に移行する際の周波数変化率を一定にしています。 これを 平均律 と云います。 たとえば鍵盤中央のドから半音上のド#への周波数 (音の高さ) 変化率は5.9463% (1→1.059463) で、この上方に隣接する音への移動を12回行なって…

 01 : ド → ド#
 02 : ド# → レ
 03 : レ → レ#
 04 : レ# → ミ
 05 : ミ → ファ
 06 : ファ → ファ#
 07 : ファ# → ソ
 08 : ソ → ソ#
 09 : ソ# → ラ
 10 : ラ → ラ#
 11 : ラ# → シ
 12 : シ → ド

…1オクターブ上のド (周波数は中央のドの2倍) に至るという一連の流れが 「12年もの複利定期預金元金2倍」 と全く同じだからです。 変化率は12回掛け合わせて2倍になるということで 「12乗根ルート2」 と表し、これを小数表示したものが5.9463% (0.059463) なのです。 この定期預金を 「音楽的」 と云わずして何と表現しましょう!