吉田初三郎鳥瞰錦絵展@北九州いのちのたび博物館

パノラマ錦絵というものをご存じでしょうか?
大正から昭和にかけて旅行ブームを演出した鳥瞰構図の錦絵がそれで、作者は吉田初三郎。 私がこの錦絵に興味を持ったのは、博多と唐津を結ぶ筑肥線の生い立ちを調べる過程で 一枚の地図 に遭遇したことがきっかけでした。

通常の鳥瞰図、斜め上から俯瞰した地図なら、画面上方のどこか1点に収束する1点消失法によって描かれるのですが、吉田鳥瞰図の場合、魚眼レンズのように画面中心の主要描写部が拡大され、背景が画面に上手く収まるよう器用に折り畳まれるのですが、その折り畳み処理が実に見事で、実際に空中から俯瞰するよりずっとリアルなのです。 吉田は実際に飛行機から俯瞰することなく想像力だけでこの構図を会得したということですから、その豊かな想像力には只ただ驚かされるばかりです。

10月11日〜11月30日、 北九州市立いのちのたび博物館 で開催中の 「美しい九州の旅 大正広重 初三郎がえがくモダン紀行」 では、絵師であり日本の旅行プロデューサーの草分けとして大正・昭和初期に一世を風靡した吉田初三郎が手がけたパノラマ錦絵地図とその原画等177点を一堂に集めた大変興味深い展覧会です。 巡回展ではなく単発で、しかもあまり宣伝されていないのが残念ですが、北九州市JR鹿児島本線スペースワールド駅前という便利な立地の開催場所でもあり、広くお勧めしたい展覧会です。 今回の展覧会の企画者の一人でもあり初三郎研究家でもある益田啓一郎氏の尽力による図録 (1200円、千部限定) も是非手に入れておきたいところ。 博物館の開場時間は 9h00-17h00、休館日はないそうです。 スペースワールドに行った帰りに寄ってみてはいかがでしょう。 それから博物館脇には官営八幡製鉄所1号高炉 (M34 = 1901年) が近代産業遺産として保存されていますからこちらも時間があれば是非訪問を。