June 14, 2009

Figlio Perduto

 

Muri die vento        壁のような風
Notte è scesa         更けゆく夜
Padre e figlio sono insiem 父と息子が共に

Con un cavallo        馬に乗って
Vanno avanti         ふたりは進む
In questa grande oscurità  この暗闇の中を

Ma ad un tratto       しかし突然
Il bimbo trema       子が震える
Dalla paura          恐怖のために
Freddo si fa         辺りも冷えて

Padre oh padre       父さん、ねえ、父さん 
Tu non hai visto      見えないの?
Re degli elfi          魔王が
Eccolo la           ほら、そこにいるよ

Figlio perduto,         迷い子よ
Vuoi far un gioco?     遊びたくないかね?
Gioia ti porto        お前に歓喜をもたらそう
Vieni con me        我と共に来るのだ

Padre oh padre       父さん、ああ、父さん
Hai già sentito        聞こえないの?
Cosa mi dice         魔王が何を言ったか
E che vuol' far'?        そして何をするつもりか

Figlio perduto          迷い子よ
Se tu non vieni            我と共に来ないなら
Io userò la forza che ho   我が力を行使するまで

Padre oh padre       父さん、ああ、父さん
Re degli elfi          魔王が
Mi sta toccando       僕に触れる
Male mi fa           僕を苦しめる

E il bambino,          そしてその子は
Con occhi chiusi        目を閉じた
Lui non si muove        彼は動かない
Perso è già           もはや失われてしまった

Figlio              子よ
Figlio perduto         迷い子よ
Se tu non vieni           我と共に来ないなら
Io userò la mia forza      我が力を行使するまで

Padre oh padre        父さん、ああ、父さん
Re degli elfi           魔王が
Mi sta toccando         僕に触れる
Male mi fa             僕を苦しめる

E il bambino,           そしてその子は
Con occhi chiusi        目を閉じた
Lui non si muove        彼は動かない
Perso è già            もはや失われてしまった

... perso è già          ……もはや失われてしまった

 

ベートーヴェンの交響曲第7番第2楽章のアレンジであり、
ゲーテの「魔王」のアレンジでもある
サラ・ブライトマンの"Figlio Perduto"。

ベト7の2楽章は、
カン・マエがトゥ・ルミの耳を気にする時、
シューベルトの「魔王」は、
カン・マエの口撃?が炸裂する時に出てきますよね。

"Re degli elfi" は「魔王」と訳しましたが、
直訳すると「エルフの王」です。

ただ、「エルフ」と聞いてイメージするのは、どちらかというと
可愛い妖精で、あまり恐い感じがしません。

なので、ゲーテ&シューベルトの「魔王」も、イタリア語では
"Il re degli elfi"だったこともあり、
http://www.recmusic.org/lieder/get_text.html?TextId=25828
左に「魔王」の原詩(ドイツ語)、右の方にそのイタリア語訳があります。
「魔王」と訳しました。


「壁のような風(風の壁)」は、
行く手をさえぎる強い向かい風のイメージでしょうか。

魔王(エルフの王)の登場で風が吹くのは
エルフが風(空気)に属するからかもしれません。
(エルフが空を飛べるのは彼らが空気に属しているから)

音楽の属性も風(空気)ですよね。
音楽は空気の振動ですから。
歌を意味するaria(アリア)は、イタリア語で「空気」、
小歌曲のarietta(アリエッタ)は「そよ風」から来ています。

なので、テレビ東京がベバ第3話につけた副題、
なかなかセンスがあるなあと思ったんですよ。(^^)


「Gioia ti porto」を「お前に歓喜をもたらそう」
という、わざとクドイ訳にしたのは、
"クラシックの国の魔王"に敬意を表してのものです。

ベバ第5話で"クラシックの国の魔王"にやられてしまうのは
おとなの言うことを聞かない子ですが、
ゲーテの「魔王」には、訴えに耳を傾けてもらえない子、
子の訴えに耳を貸さない親のイメージがあります。
子を無視しているのではなく、馬を繰るのに必死なだけですが。

映画「不滅の恋」(1995年)でも、この交響曲第7番第2楽章は、
"親"が"子"の訴えに耳を傾けていればなあ…というシーンで使われています。
"Figlio perduto"が作られたきっかけが、
この映画だったらおもしろいのですが…違うでしょうね。 orz


で、"Figlio Perduto"ですが、
実はこれが一番訳しにくかったです。

素直に訳せば「死んでしまった子」です。

歌詞の題はそういう意味だと思います。

ただ、歌詞の中で魔王がまだ生きている子に「亡き子」と呼びかけるのはおかしいでしょう?

"perduto"という形容詞には喪失・紛失・堕落etc.の様々なイメージがあって、
「絶望した子」は違うし、「呪われた子」「地獄に落ちた子」はいくらなんでも酷すぎますし…

…と、迷ったので英訳を見ると、"Lost son"となっていて、
ああ、「迷子」 と訳せるのか、とやっと気づいたのでした。orz
ピーター・パンも親からはぐれた子、親を失った子たちとネバーランドに住んでいますから、
迷子はエルフにとられやすいイメージがあるのかもしれません。


なお、wikipediaのエルフの項に、ドイツでは

エルフに触れられると死ぬと考えられている

とありました。
エルフかわいくないよ・・・恐いよ・・・



+++++++++++++++++++++++++++++

☆2012年10月26日 わかりにくかったところを加筆・補記
今、Wikipediaを確認したところ、エルフの項は書き換えられていました。orz

Posted by ruhmvollerkaempfer at 11:38│TrackBack(0)

この記事へのトラックバックURL