全裸合宿1 半ケツでハミパン

 私の所属しているバレー部は、先輩後輩の上下関係が厳しい。いや、厳しいのではなく、理不尽と言った方がいいだろう。厳しいという言葉には、合理性を追求した結果であるかのごとく肯定的な意味合いが含まれているような気がするから、私の部を表す言葉として、あまり適切だとは思えない。学年が上だというだけで、王様のように振る舞うことを是とする慣習に、いったい何の利点があるというのか。立場の弱い者が虐げられているだけだろう。
 理不尽な上下関係が罷り通っているバレー部には嫌気が差すが、高等部1年生の私にはどうにもならないことだった。練習中にビンタされても、寮で深夜まで雑用に扱き使われても、無駄に偉そうな先輩に頭を下げる毎日を私は送っている。

 練習中の服装は、絶対的な上下関係を象徴していた。
 3年生は、試合と同じユニフォーム。2年生は、ジャージ。そして1年生は、紺ブルマだ。夏であろうと冬であろうと、半袖の体操服にブルマ姿を強制されるのである。
 それだけならまだいい。冬が寒いくらいで、慣れればどうということはない。けれど、ブルマには大きな問題があった。1年生が履くブルマは、そのすべてが借り物なのだ。自前ではない。バレー部で代々の1年生が履いてきた、涙が出るほど有り難い中古ブルマなのだった。
 支給されるブルマは、ひとりにひとつだけ。それを1年間、大事に使わなければならない。入部した時に、使い古しのブルマを渡された時の複雑な気持ちは、今でも忘れることができない。

 ブルマがどれくらい受け継がれてきたのか正確には不明らしいが、10年は下らないのだとか。当然、ぼろぼろになっている。遠目では分からないものの、よく見ると、布地が粗くなっていたり、縫い目がほつれそうになっていたりもする。履いている時に引き伸ばされた状態になるせいか、お尻の部分は紺色が薄くなっているし、手触りもつるつるになっている。
 なによりまずいのは、ブルマがあまりにも小さいことだった。最初からそうなのか、あるいは洗濯を繰り返しているうちにそうなってしまったのか、その辺りのことは分からないけれど、とにかく、サイズが小さすぎて、履いている時は常に半ケツ状態になってしまうのだ。
 それでいて、下着は規定で決められているものしか身に着けてはいけないことになっている。お尻をしっかりと覆うくらいに布地のある白い下着。それしか許されない。
 なので、1年生は、下着をお尻に食い込ませてからブルマを履くことになるのだが、激しい運動をしていると、下着がお尻の谷間からずれてきてしまったり、逆にブルマがお尻に食い込んできてしまうことなんかもある。そうなったらハミパンは避けられない。部活中にブルマを触ることは禁止されているからだ。食い込みを直している姿が見苦しい、とかなんとか、よく分からない理由で監督が禁止にしてしまったのだった。
 だいたいの場合、部活が終わる時間帯には、半分くらいの1年生が、紺色のブルマから白い下着をはみ出させている。
 女子校なので、男子の目を気にする必要はないし、体育館の2階はバレー部が占有しているので、基本的に他の部の人に見られることもあまりない。とはいえ、先輩から与えられる罰として、他の部が練習しているグラウンドの周りを走らされることはある。
 下着がはみでている状態で外を走るのはとても恥ずかしいことだ。バレー部の理不尽な下級生苛めは学内では有名だから、他の部からいちいち奇異の目で見られることはなく、むしろなるべく見ないようにしてくれてもいるのだけれど、やはり恥ずかしいものは恥ずかしい。
 しかし、まあ、明らかにサイズの違う小さなブルマとはいえ、それを履いていられるだけでもまだマシなのだった。私は夏の合宿でそのことを思い知ることになる。
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