久しぶりに本を一気読みしてしまいました。ザッポスCEOトニーシェイの文章は洗練されているとは言い難く、体系的に整理されてない部分もあるけど、それすら気にならないほど圧倒的な濃度!正直消化しきれないくらい。久しぶりにこういう本が読めて嬉しいです。
 
本書で一番響いたテーマは、ザッポスが体現するコア・バリュー=哲学についての話(コア・バリューは価値観と訳すのが一般的だけど、「哲学」と解釈する方がしっくり来る)。ザッポスには以下10個のコア・バリューのリストがあります。
 
1.サービス通して「ワオ!」という驚きの体験を届ける。
2.変化を受け入れ、変化を推進する
3.楽しさとちょっと変なものを創造する
4.冒険好きで、創造的で、オープン・マインドであれ
5.成長と学びを追求する
6.コミュニケーションにより、オープンで誠実な人間関係を築く
7.ポジティブなチームとファミリー精神を築く
8.より少ないものからより多くの成果を
9.情熱と強い意志を持て
10.謙虚であれ

正直、その辺の企業で掲げられているものばかり。字面だけみても驚くに値するものはありません。真に驚くべき事は、全社員がこれを実践しているという事。トニーシェイは10個のコア・バリューそれぞれに対して、これでもかこれでもかと事例を披露してくるのです。

ザッポスとその他大勢の違い

ここで一つの疑問。何故ザッポスに出来て、その他大勢の企業が実践できないのか?僕の意見を言わせてもらうと、答えは超シンプル。その他大勢の経営陣が結局会社の哲学を全然大切にしていないから。ホントにそれだけ。

苦境に立った時ほど、人間は本性を晒すものです。口では大層な事を言ってても、経営が大変になった途端に下記の様な事が起こるのはザラ。
  • 「顧客満足が第一です」→顧客に無断で値上げ・質の妥協、約束の反故。
  • 「社員の幸せを追求します」→使えない社員は切り、残った社員を対価なしで容赦なく使い倒す。
  • 「提携企業とwin-winの関係を築きます」→こちらの要求を一方的に伝え、飲まないと関係解消。
会社が瀕死の状態になった時に、例え倒産する事になろうと哲学を貫く覚悟があるか、それとも土壇場で我が身可愛さが顔を覗かせるか、結局そこの違いに尽きます。ザッポスも何度も瀕死の危機を迎えて難しい決断を迫られていますが、最後には自分達の哲学を貫いています。だからこそ危機を乗り越えたときに、哲学が組織に強く深く根を張るのです。
 
この本に書かれているザッポスのストーリーは本当に素晴らしいものです。しかし、本当に価値があるのは、この本に書かれていない日々の積み重ね。哲学が文化に昇華されるまでの無数の意志決定。そんな所に思いを馳せると、ザッポスの真の凄さをより噛みしめられるかもしれません。

最後にトニーシェイが経営をポーカーに例えて表現した下記の言葉を紹介。
長い目でみるゲームであることを忘れない。一回ごとに勝ち負けはあっても、重要なのは最終結果である。

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