雪燐置き場(R系)

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誘惑2

隣の部屋に入ればキングサイズのベッドが二人を迎えた。
その堂々とした姿に15の二人は足が止まる。
「ゴクッ・・・・」
雪男の喉が鳴った。
「雪男・・・・」
燐は不安そうにか細い声で目の前の雪男の名を呼ぶ。
「座って。」
言われるままにベッドに腰を降ろす。

「制服は先に脱がすよ。シワになったら大変だから。」
雪男は燐の上着に手をかけた。
「なっ、いいって、脱ぐよ。」
「いいから。下も脱がすよ、横になって・・・・」
上着が脱げると肩を押されてベッドに横になる。そのまま腰のベルトを外されかかった。


あ・・・
こんな事なら新しいパンツにしてくりゃ良かった・・・・
買ったばっかのがあったのに・・・・


「っ・・・・」
雪男はゆっくりとワイシャツの上から身体を、腕を、脇腹を撫でさすった。
穏やかなマッサージを受けているかのような感覚に燐の瞼が閉じる。
「ゆっ・・・雪男・・・・」
「うん。」
「は、早くするんじゃないのか?」
雪男は手を止めて燐の顔を覗き見た。
二人の視線が絡み合う。
「慣れてきた?」
聞いた顔が笑っている。目が興奮している。
その雄々しい姿が燐の頬を染めた。

するりとワイシャツの裾から手が滑り込み燐の両脇腹をうっとりと撫でる。
「っ!」
条件反射で燐は身体を捻り、両手を上げてたまらず雪男の腕を掴む。

「まだ怖い?」
「違う!くすぐったいだけだっ!もういいから早くしろって!」

「ふ・・・・くすぐったいんだ。」
言うと雪男は両手をさらに奥に進めて燐の大事な胸の飾りに指をかすめた。
「っ、っ!」
「感じる?」
「えっ・・・あっ!・・・・!」
触れるか触れないかだった指の先がそっと小さな粒をいじった。
「ひゃぁ!あっ!・・・・っ!ふっ・・・・」
燐は顔を歪めてまるでこらえているかの表情を見せる。
「・・・!ゆき、や、っ!め・・・!」
雪男はその顔を凝視しながら指の動きを繰り返す。
「兄さんの身体はじきに変わるよ。男から男を受け入れる身体にね。」
「え・・・なに・・・」
雪男はワイシャツの中から手を出し、そのボタンを外し始める。
「あ・・やだ!・・・・」
「やだじゃないよ。これからもっと凄い事をするんだ。」
ボタンが外し終わると雪男は頭を下げて燐の小さな果実に吸い付いた。
「ヒッ!あっ!・・・やあっ、あっ雪男っ!」
燐の身体が緊張で強ばる。
無意識に背が弓なりに反った。
雪男に口の先から全身にチコチコと電流が走る。じっとしていられない。
もどかしい疼きが燐の身体を包んだ。
いつの間にかに脚の間に雪男の腰がある。胸への刺激で堪らず内腿で挟み縋ってしまった。
「あっ・・・ふあっ!」
燐はそれでもふいに横切る羞恥心に気づかされて身体を放す。

一体どう覚えたのか雪男の舌の動きは巧みだった。
「んっ、ふうっ!・・・」
「っぷあ・・・どう?兄さん。」
顔を上げた雪男と目が合った。
「はぁん・・・・」
「良さそうだね。」
にこりと笑う雪男を前に燐は頬が真っ赤に染まり上るのを自覚した。
「っ・・・・」
言葉が出ない!
雪男が急に大きくなんとも言えない恐怖に見えた。
クスリと笑った雪男が頭を下げる。
「!」
今度はもう片方を舐め上げられた。
「あ、だめっ!・・・やあっ!」
身体中の神経がそこに集中したかのように燐の意識を虐める。
「や!やだっ!?雪男ぉ!!」
燐はたまらず雪男の短い髪の毛を掴んだ。掴まれた雪男が顔を上げる。
「痛いよ。」
「やっやっぱ、無理だ。俺、こんなの出来ない!」
「・・・・ここまで来て、・・・無理だよ。もうやめられない。」
「えっ・・・・あっ!」
再度顔を埋めた雪男に胴を抱き締められた。
肌と肌が擦れて宙に漂うかのような気持ち良さを燐に与える。
「はあっ、あん・・・・」
それは雪男とて同じだった。
「はあ、兄さんなんでこんなに肌がすべすべしてるんだ。こんな脚まで!」
「ふあっ!あんまっ、さわん・・・な!」
身体中を撫でまわる腕が履いていたトランクスを掴んだ。

「脱がすよ。」
「あっ駄目!駄目だ!・・・やっぱ、やっ!やあああ!」
躊躇いなく引き下ろされてしまった。今、燐の身体を纏う物は肩に引っ掛かるワイシャツのみになってしまった。
燐は雪男の視線から逃れようと必死で身体を捻り、腕は雪男の体を押し上げようともがく。
「良く見せてよ兄さんのを。」
「やだ、やだってば!」
「可愛い。勃ってはないね。でも・・・」
「見るなってば!あっ!やああ!」
雪男の右手が燐の大事なところをそっと掴む。
「ふあぁ!ああっ!!」
「もうヌルヌルだ。感じてるんだよね。」
「違っ!」
「違わないよ。ほら、お尻も濡れてる。」
「あ!・・・」
雪男の指先がさらに奥に触れた。
クチュリと小さな水音を立てて。
言われた通りに尻の間が濡れている。間と言うよりは・・・・
「なっ中!?ああっ!」


なに?
なんだこれ。
身体がおかしい。
雪男の触るところが、おかしい・・・


雪男の指先は燐の中心を滑るように上下を繰り返す。
「あっ、やあっ!雪男っ汚いって!」
燐は居た堪れないもどかしさに身体をくねらせる。
「気持ち良いだろ?兄さんって本当にそうなんだね。」
燐は脚の間でうごめく雪男の手を掴んで動きを止めた。
「汚いっ!汚いって!!俺、今日トイレ行って、」
すると雪男は燐の口元で人差し指を出し、
「し、それ以上は言っちゃ駄目。ムードが壊れるだろう?」
「はあっ、だって・・・本当に・・・んっ、」
「うん。それなら奥まで入れられるね。」
息の荒い笑顔を返す。
「だから、・・・何、が、あっ!指だめ!やめっ」
触れるだけの指が一本燐の中に入り込んだ。
「はあぁぁん、やぁだぁ!」
「嫌だじゃないよ。中がトロトロだ。本当に身体の中なのか?!」
「はあっあっ!・・・あん!」
雪男の指が確認しているかのように。中をかき混ぜる。
身を走る初めての感覚に燐は身体中を震わせた。

何かに掴まりたい!
顔の左右に野放しにされた両腕が空を掴む。
「フェレス卿はね・・・悪魔の身体はすぐに変化するって。兄さんが本心で望んでいればね。」
言うと雪男は燐の胴に片腕を回して寝そべった。
これで互いに顔の真横に相手を窺える事が出来る。
「アッ!やあっ・・・動か・・すな・・・・・!!」
「凄いよこんな・・・・そいつはそんなに良い男なのか?」
「ゆっ、ゆきぃ!・・・」
雪男の指は中をリズム良く押して引いてを繰り返してくる。
「ア、あっ、はっ!あっ、」
雪男の波に呑まれていく身体。燐の口からは抵抗の言葉が消えた。
体中をとろけるような快感に包まれ燐は瞳を閉じかける。

ずるっ
「!」
すると突如雪男の指は出ていってしまった。
急にいなくなった存在が燐の身体の奥をいじめ始めた。
「ふあぁ!あっ!!やあっ・・・!」
燐は顔を雪男の胸に埋めて小さく訴える。
だが雪男の体は燐を残して放れていってしまう。
「はあっ・・・ゆき・・・お・・・あっん・・・・!!」
燐の瞳は雪男を追いかけていた。
不安そうな悲しそうな表情を雪男に見せて。
「ちょっ、ちょっと待って。ごめん。タイミングがわからなくて・・・」
体を上げてベッドに座り直した雪男は腰のベルトを緩め始める。
「あ・・・雪男・・・・」
「ん?」
燐も身体を起こし、ズボンを下ろす雪男に近寄った。
「するなら・・・・もうしてくれ・・・」
「え、もう?でも・・・きっと痛いよ。」
燐の思わぬ申し出に逆に雪男の頬が染まる。
「へっ平気だ・・・きっと。はあ・・・分かる・・・」
燐は普段ならばありえない行動に、雪男の腕にすりよった。
「にっ兄さん?・・・・!」
「俺・・・好きな奴いる。」
「・・・。うん・・・・」
雪男は腕を回して燐の気だるく揺れる身体を支えた。
「でもそいつ、・・・・俺の事なんて何とも思ってない!・・・いいんだ。俺も絶対言わない・・・」
「わからないよ。伝えてみれば何か変わるんじゃないか?」
「いいっ!いいんだ。」
「兄さん・・・・」
雪男は腕をさらに広げて燐の肩を抱いた。

「いつか、兄さんの想いが通じるといいね。」
雪男は燐の肩を押し腰を支えてゆっくりとベッドに倒した。
そのまま雪男も燐の身体に横たわる。
「目を瞑っておきなよ。僕を見ないように。」
「・・・・・うん・・・・」

目を瞑る。
身体を大きく広げられた。頭の中が心臓の音でいっぱいだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・
大丈夫だ。
きっと嫌じゃない。
嬉しくてたまらなくなるんだ。

これ逃したら、
そう。
一生、後悔しそうだからさ・・・・

そうだよ。
してみたいよ・・・
雪男が好きなんだ!
一度でいい・・・・

雪男がいいって言ってくれるんなら・・・
こんなチャンスを逃すなんてないだろ?

そうだろ??



ズクリと雪男自身が遠慮なく入り込んでくる。
「アッ、わあっ!んうっ!!」
想像した通り、痛みは無かった。これが悪魔である身体の変化なのだろう。
だが、その圧迫感は想像なんて出来たものではない。
「あっ!あっ、・・・はあん・・」
じわじわと、そして、ゆっくりと身体中に広がる快感。
無理矢理高い場所から落とされたかのように燐にその感覚を拒否する術は無かった。
熱く、太い雪男自身が燐の中でその存在を主張していた。
「っく!・・・は、」
雪男の男くさい呻きが上った。
「あっ!ア!ああっ!!」
「ごっごめん・・・じっと出来なっ、い!」
ゆっくりと中を確認するかのように雪男が動く。
「んうっ!ゆきぃ・・・あぁ!」

「っ、兄さん・・・凄い、すごく・・・綺麗だよ。」
「は、ゆき、あは・・・っ!あぁ!」
雪男の言葉に思わず燐の瞼が開いた。
「ああ・・・本当・・・こんな、僕、気付かなかったよ・・・」
目の前の顔が歪んでいくのが燐の目に写る。
体の動きも止まった。
「もっと早く気づいていれば、どうにかなったのに・・・」
「はあ・・・ゆき、な・・・に?・・・」

「本当なら好きな人と・・・。僕なんかで、ごめん。ごめんね・・・」

「!」



雪男!
・・・・・・・・
後悔してるんだ!
俺とこんな事したの・・・

しなきゃよかった!
こんなズルいけなかったんだ!?

「うっ・・・・うえっ・・・」
燐の瞳に一瞬にして涙が溢れた。
『泣くのは良くない。』
その考えには至らなかった。
唯、雪男をこの行為で苦しませてしまった事が悲しかった。
雪男が自分を抱いた事を後悔しているのが悲しかった。

「うあぁ、わああっ・・・」
溢れた涙が燐の両頬を次々と零れ落ちた。
「ああっ!兄さん、ごめん、ごめん!っ!すぐ止めるからっ!」
雪男が体を離そうと腕を伸ばして上体を上げる。
「やっ、やあっ!!やだぁぁ!」
「兄さん!?」
「ああっ嫌だぁぁあ!雪男っ!やだ、やめんなぁぁあ!!」
驚いた燐は雪男の体に腕を回してしがみついた。
「うえっ、ええっ・・・」
直ぐに雪男も抱き締め返す。
「兄さん、泣くな!大丈夫だから、誰にも言ったりしない!大丈夫だっ!!」
「うえっ、ゆっゆきぃ・・・俺、とんでもねぇ事しちまった・・・」
「大丈夫だって、兄さんの好きな人にも言ったりしない!」
「俺、お、れ・・・」


言わなきゃいけなかったんだっ!?
雪男が好きだって、
最初に聞かれた時すぐに、
さっきの時にでも、

もう言えない・・・!
あんなにウソついて、
今更雪男が好きなんてもう言えないっ!?

言えない、言えない、
もう一生・・・

言えなくなっちまった・・・・

バカだ。俺・・・
こんな急にじゃ解んないじゃないかぁっ!

ひどい!
メフィスト・・・!

ひどい、ひどいよぉおおお!!


燐の腕は力いっぱい雪男にしがみつく。
「っう、く!」
悪魔である燐の腕は細いのにバカ力だ。
雪男はあばらが折られる程の痛みに耐えた。
「にっ、兄さん、一旦放してくれ。痛いって。」
「嫌だぁ!怖い!雪男ぉぉ!」
「怖くないよ。落ち着いて・・・」
放れる事を諦めた雪男は逆に燐の頬に自分のそれをくっつけた。
「あ・・・あっ・・・」
「そう、落ち着いて。」
燐の腕が緩んだ。雪男はしばしの間そうしてから体を上げた。
「んっ!ゆきお・・・」
「うん。兄さんは何も悪い事はしていない。大丈夫だよ。」
「うっ・・・ふえ、」
そう言って雪男は燐の頬を優しく撫でる。
「今は何も考えなくていい・・・ね。」
「うん。う・・・ん・・・」
気が振れた燐はそのままゆっくりと目を閉じ、そして気を失った。








あの悪夢の出来事から一週間。
燐は毎日休み時間毎にメフィストのいる理事長室を訪ねた。
塾が終わってからも雪男が帰ってくる時間ギリギリまで待ち伏せしたが、燐が望むようにはいかなかった。
まるで逃げられている。
そうとしか思えなかった。

だが一週間が過ぎた月曜朝、ホームルームに担任から伝えられた。
「奥村はこの後すぐ理事長室に行くように。」




燐は理事長室に着くと堪らずドアを突き開けた。
「メフィスト!お前っ!何考えてんだ!?」
広い部屋に入ると、メフィストは奥のデスクには居らず、代わりに数ある装飾品達が燐を出迎える。
部屋の中心で足が止まった燐は身体を回転させて広い部屋中を見回した。
「!メフィスト!メフィスト!」

「そう慌てなさるな奥村君。」
背後から耳元で囁かれる。
「わあっ!?」
燐は飛び上がって振り返った。
「お待ちしておりましたよ。先週は出張ご苦労様です。」
メフィストはお決まりのふざけた白スーツと白マントに身を包み、腕を揺らして礼のポーズをとって見せた。
「何だよあれ!あんな仕事ウソだっ!お前が勝手に作ったんだろっ!?」
「嘘とは何ですか?あのホテルの経営難も、欲望で生きる悪魔も、あなた方の行為も全て本当の事です。」
メフィストは身体を上げると緩やかな手振りをつけて話し出す。
その姿は逆に燐の動きを弱めた。
「あんな事するもんじゃない・・・」
「はい?」

「お前のせいで、雪男。もう普通に話してくれない!目も見てこないっ!お前のせいだっ!お前のっ!!」
燐が叫びのようにうったえると、
メフィストは片手の平を燐の目の前に差し出して、その勢いを止めてしまう。
「貴方、彼を超人かなんかと思っているのですか?」
「は?」
「急な出来事に戸惑っているのですよ。彼とてまだ15歳の少年なのです。」
メフィストは燐の周りをゆっくりと歩きながら話を続けた。
「それは・・・」
「しばらくすれば落ち着きます。」

言うとメフィストは横から燐の肩に手を置き、
「私はね。奥村君。貴方を気に入っているのですよ。弟のように思っている。」
耳元でそっと囁く。
「誰がだよ!」
「ふふ、可愛い弟の悲願はどんな手を使ってでも叶えてあげたいのです。あの依頼はまさに打ってつけでしたね。」
燐は顔を覗き込むメフィストと目が合った。
「悲願?って・・・」
「抱いてもらったのでしょう?奥村先生に。」
「!・・・・」
「うんといたわってやれと指示しておきました。恋人の夢は見れましたか?」
「ッ!?」
「好いた男の腕は心地好かったですか?」


「っ!おっ、お前ぇ!俺はそんな事何も願ってないっ!勝手に決めつけんなっ!!」
「ええ、確かに私は勝手にさせて頂きました。ですが貴方。やるなら今しかないのですよ。」
「は?」
「奥村先生は・・・貴方を守り抜く事だけを真摯に取り組んでいらっしゃる。それはサタンからであり、
この社会から。ですが、貴方が彼の助けなく一人で生活出来るようになったらどうなると思います?
貴方の貞操を守る為にご自身を犠牲にするでしょうか?」
「何だよ・・・」
「成人してしまっては遅いのです。来年だって解りません。貴方が守るに値する無知で、無垢で、愛らしい今でなくては。」
「!」
「貴方のお心は一生ひとつであっても、彼はいずれ貴方から離れて行ってしまう。」
「・・・・・・」
燐は身を固めたままメフィストの言葉を聞き続けた。
「私はね。貴方を心配しているのです。その未来が来た時貴方が泣いてしまわないか?どうか?」
メフィストは燐の前に来ると体を大きく捻り、
「人生は長い!特に我々悪魔にとってはね。ですから今、この時に!最高の思い出を一緒に作ろうではないですか!」
その頭上に両腕を勢い良く広げて見せた。
「・・・・・・」
燐の頬には無言の涙がこぼれた。
振り返ったメフィストに顎を持ち上げられる。
「おやおや。そうワンワン泣くのはお止めなさい。涙は最後の切り札にとっておかなくては。」
「うっうるさい!」
燐がその手を振り払うと、メフィストは奥のデスクに向かって歩き出した。
「そろそろ時間です。さあ、顔を拭いて。背筋を伸ばして!」
背中のマントが軽やかに靡く。
「貴方は私の言う事にただ返事だけしていれば良いのです。後は私が上手くやります。」
「何を・・だよ・・・」

メフィストが奥のデスクに腰を降ろすと同時にドアのノック音が鳴った。
燐の心臓がその高い音につられて高鳴った。

もしかして・・・!

「はい。どうぞ。開いてますよ。」
メフィストが中に招く。
「失礼します。奥村です。」
嫌な予感通り、現れたのは雪男だった。
「ゆきお・・・」
雪男もまた部屋の中央に立つ燐に気付いた。
「兄さん?・・・!!、っ!まさかっ!?」
「なに?雪男?・・・」

「先日の出張では難しい仕事ではありましたが、お二人共良くやってくださいました。先鋒からも感謝の電話を頂いた所です。急に客の入りが良くなったそうですよ。」
「フェレス卿、それで、まさか・・・」
「ええ、今日お二人を呼んだのは次の依頼についてのご相談です。」
「あ、ウソだ・・・そんな仕事ウソだ!」
「嘘ではありません。依頼は本当にあるのです。ただ、今まで適任者がいなかっただけです。」
メフィストは笑顔でありながら、突き刺す視線で燐を制する。

「奥村先生。貴方に関しては強制は致しません。ここで辞退されても構いませんよ。」
「えっ?あ・・・」
急な投げ掛けに雪男の顔がメフォストを再度捉えた。
「奥村君ももう初めてではありませんし、他の男を、適任者を探します。何なら私が出向いてもいい。」
燐の身体が小刻みに震え出した。手は拳を握っている。

「っ、ぅ・・・!」


・・・・・・・・・
何言ってんだ・・・!
メフィスト!!

これで終わりじゃないのか・・・?
こんなズルまだ続けろって言うのかよっ!?
こんな・・・!

「あっ、メ」
「っ!やります。・・・僕がやります!」
燐が口を開こうかの所で雪男が声を上げた。
「雪男!」
思わず離れた位置に立つ雪男を見上げた。
「ああ・・・良かったですね。奥村君。私も奥村先生が引き受けてくだされば助かります。」
雪男と視線があう。久しぶりに見た雪男の顔は少し疲れたようでいて・・・

ふいに、
唇が動いた・・・・!

『大丈夫だ。』

あ、
ああっ!!
ごめん・・・
ごめんなさい・・・!

雪男!!

ああああぁぁ!!

俺が雪男を好きになったばっかりに、こんな任務に巻き込んじまった。




針積めた空間の中。燐と雪男の表情は張り付いたように強張って。
道化の悪魔だけがゆるく笑っていた。
















つづく
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