【ラスト数百メートル】
高校生達3人がすさまじいスパートで前をいく。多分キロ3分切っているぐらいの速度だろう。こちらも必死で追いかけるがキロ3分10秒ぐらいまで上げるのが精いっぱい。前を行く高校生達からじりじりと離されていく。
そうだよなあ、彼らは本来10kmなら32分-33分、5kmなら15分台で走るようなランナーだ。このぐらいの末脚は当然持ち合わせている。元々の実力からして相手の方が上だったということなのだろう。ただそれでも諦めたくないから、とにかく必死で前を追う。
この時、そういえばと思って後ろを振り返ってみると、一度突き放したはずの若人ランナー(20代半ばぐらいで5kmは16分30秒ぐらい)が3000m9分15秒の健脚を活かして猛烈に追い上げてきているのが見えた。このランナーの追い上げもすさまじい。こちらがキロ3分10秒ぐらいで走っていても、じりじりと差が詰まってきているのだから、多分この若人ランナーもキロ3分切るぐらいでスパートしているのではなかろうか。
前も後ろもキロ3分切りの世界・・・何だろう、ほのぼのとした復帰戦にするつもりだったんだけど、次元の違う世界に無理やりアラフォーおじさんが放り込まれた感じだ(笑)。つうかなんなんだよこの草レース、市立船橋とか八千代松陰とか、このわけわかんねえスパートとか。もっとおじさんにやさしくしようぜ(笑)。
【2年前の自分と1年前の自分を超えろ】
あと数百メートル。あと数百メートル頑張ればゴールだ。あの猛暑の大井リレマラを思い出す苦しさ。
フィニッシュ地点の学校グランドに入る。もうあとフィニッシュまで300mぐらいだろうか。手元の腕時計を見る。このままいけば去年の習志野マラソンでのタイム(34分51秒)よりも明らかに速いタイムでゴールできそうだ。それは1年前の自分に勝つことを意味する。
そしてこのまま若人ランナーから逃げ切れば、2年前の船橋市民マラソンの雪辱を果たすことにもなるし、2年前の自分に勝つことをも意味する。
しっかりと集中して、最後に一度後ろとの距離を確認し、このまま自分が逃げ切れることを確信した上でフィニッシュ地点横にいる嫁に向かってガッツポーズをしたままゴール。
手元の腕時計を見る。タイムは34分31秒(キロ3分27秒)。
良かった。去年よりも20秒ぐらい速いタイム。そしてあの若人ランナーにも勝った。2年前の雪辱を果たした。おれは1年前の自分と2年前の自分に勝ったんだと思う。
そして今日のレースは何よりも内容がとにかくよかった。終始一定のペースで走れたし、何よりかなり余裕をもって走れた。まあラスト数百メートルはホント苦しかったけどね。ただ裏を返せば苦しかったのはこの数百メートルだけだった。
こんなに楽に走れた10kmレースは初めてだ。
ふと海老川の力のⅠ藤さん(新潟シティマラソン優勝者のサブ25ランナー)との会話を思い出す。
(ある夏の日の早朝、二人で海老川でビルドアップ走をしながら)
Ⅰ藤さん「Fさんはさあ、10kmのレースってどういう感じで走ってる?」
F「ええー、いっつも必死で終始苦しいなあと思って走ってますよ」
Ⅰ藤さん「そうなんだー、おれはさあ、フルマラソンの延長みたいな感じで気持ちよく走ってるよ」
F「ええー?気持ちいい?そんなの自分はこれまで一回もないっすよ」
この時はⅠ藤さんの言っている意味がよくわからなかったけど、今日この習志野マラソンを走り終えてなんとなくⅠ藤さんの言っている感覚が少しわかったような気がする。この感覚はとっても大事だ。きっとこの感覚がフルマラソンに活きてくるんだと思う。もう一段上に行きたいな。頑張ろう。
【還ってきたんだと思う】
走り終えて故障個所が痛む感じは特にない。それどころか乳酸が発生している感じもないし、割と脚もピンピンしている。走り終えた後のダメージの少なさも考慮すれば、今回の復帰戦は十分合格点。よくやったなと思う。故障中ということもあって、今の状態は50%ぐらい。でももともと12月の時点で習志野マラソンまでに50%の状態に持っていくことを目標としていたから、それはしっかりとこの1ヶ月の積み重ねで達成できたと思う。
記録証を受け取りに行きながら何度も嫁にガッツポーズをする。
多分おれはある一定のレベルには還ってきたんだと思う。
もちろんもっと上を目指したいけど、今はしっかりと故障を治しながら少しづつまた積み重ねていけばい。そして今日みたいに気持ちよく良い走りがしたい。走り終えた感じからすれば、ここから故障をより治してどんどん状態が上向けば、もう少しで楽に10km33分台が出せるぐらいのところまではいけると思う。今日のレースはそれぐらい手ごたえがあった。
記録証を受け取る。順位は10位。やはりあの集団が入賞(8位)のボーダーラインだったか。まあ相手が強かったということなので今日は仕方がない。一応非学生ランナー1位は死守したしね。でも来年出るならもっとすごいタイムを出して、相手が強くてもきっちりと入賞したい。そう強く思った。
ちなみに1位は市立船橋の子で31分、2位は八千代松陰の子で32分。さすがにこのレベルは無理ゲーだな(笑)。しっかしまあこんな草レースなのに上位ランナーだけを見ればすさまじくレベルが高く、入賞者ラインだけを見れば千葉マリンマラソンの10km部門よりもレベルが高い。おっかしいなあ、ランネットで取り扱っていないようなドマイナーレースのはずなんだけどなあ(笑)
ま、なんにせよおれは還ってきたぜってことだ。
これからもよろしく!
レポ完
去年のつくばの出走リストでFさんの名前を見つけてましたが、当日お会いできなかったので何かあったんだろうなと思ってましたが、故障されてたんすね。
でも徐々に復活されてきてるようで安心しました。
33~34分って世界は今の自分には想像ができませんが、この年でもまだまだやれるんだぜ、という自信になりました!
まだまだここからっすね!