2008年12月30日
備忘録や手帳の使用法
先日も、読者のAさんから、
『おかげさまで、教員採用候補者名簿に登載されました。』
とお知らせいただいた。
ほんとうにおめでとうございます。教壇に立たれるまで、あと3ヶ月ですね。喜びと期待と、そして、ちょっぴり不安もあるかな。そんな思いでいらっしゃることでしょう。
でも、人生に二度とない貴重な今の時期、健康に留意されるとともに、来るべき日に備え、十分英気を養っていただければと思います。
上記、Aさんも、
『今は、準備段階として、教職関係の本を読んだり、いろいろな先輩からお話をうかがったりしています。』
とのこと。わたしまでうれしくなってしまった。
そうだ。
拙ブログには、この時期、名簿登載がなった方向けの記事もあるので、まずは、それにリンクさせていただこう。まだお読みでなかったら、目を通していただけたら幸いである。
『名簿登載』、おめでとう。
それでは、本題に移らせていただく。
Aさんからは、次のような、お尋ねもいただいた。
『〜。ある本で「仕事の効率化を図るために、手帳の活用を工夫すべし」というような内容の記述がありました。
ちょうど来年の手帳を買おうと思っていたのですが、4月以降のことを考えてから購入しようと思っています。
そこで、toshi先生のお考えや、備忘録や手帳の活用法などを教えていただければ幸いです。』
せっかくのメールでのご質問だったが、
これに関しては、メールというよりも、広くブログにて、読者の皆さんにお伝えしたいと思った。名簿登載者に限らず、現職の方でも、多忙を極めるなかで、仕事の処理に悩まれている方がいらっしゃるのではないかと思ったからだ。
いきなり、結論めいて、恐縮してしまうが、
手帳に類するものは、どうしても必要だ。
どの仕事もそうであろう。しかし、教職には、教職独特の事情がある。
わたしには、民間歴があるのだが、おかげで、会社と学校の仕事で大きく異なる点を指摘することができる。
それはこういうことだ。
会社の仕事の多くは、営業なら営業、経理なら経理。それに専念していけばよいであろう。したがって、どんなに多忙であっても、頭の整理はつきやすい。
しかし、教職は、基本的に異なる。
学級担任だからといって、学級担任の仕事に専念すればいいというものではない。その仕事内容は、実に多岐にわたるのだ。
校内の仕事だけを見ても、学級担任のほか、研究組織、事務分掌など。それも一人でいくつもの組織に所属することになる。
また、校外においても、今はどこも小規模校化しているだろうから、初任のうちから、対外的な仕事を分担させられることもある。
それに、何より、初任者研修があるよね。
ことほどさように、教職という仕事は、四方八方に目配り、気配りをしなければならない。
つまり、一般の仕事なら、手帳一つで済むかもしれないが、どうも、教職という仕事は、それではうまくいきそうもない。
Aさんはおっしゃる。4月以降のことを考えてから手帳を購入しようかと。
以上述べた理由で、わたしは、そうされた方がいいと思う。手帳自体は安いものだが、使い勝手が気になる。
やはり、
・自分に合った手帳
・自分の学校の仕事内容に合った手帳
・市販の手帳でなくても、自分に合った形式を自分で模索し作ってみる。
教壇に立たれてから、ゆっくり自分に合ったやり方を考えてみてはどうだろう。
と言いながら、今から仕事の具体的姿を述べるのは矛盾してしまうが、今は今の段階での腹づもりということで、お読みいただければと思う。
また、仕事につかれてから、ゆっくりご覧いただければ、理解が増すかもしれない。
またまた、結論めいたことを書かせていただくが、
わたしは、上記第三項を推奨したい。
それでは、具体的にみていくことにしよう。
1.日程にかかわること
〇皆さんは、4月、着任すると同時に、学校経営計画をわたされると思う。それには、年間の予定表が入っているはずだ。
また、学校には職員会議があり、常に翌月の予定表が示される。ほぼ、上記年間予定表どおりだと思うが、若干変更されることもある。
いずれにしても、これは膨大な量で、それをいちいち手帳に写していたのでは、それだけで時間がかかってしまう。
縮小コピーし、手帳に貼り付けている方もいるが、これは文字が小さくなり、読みづらい。第一これでは、自分の予定を書き込むことができないから、どうしても、日々の予定は別に書かざるを得ない。あまりおすすめすることはできない。
〇先述のとおり、予定は多岐にわたる。
学校の年間計画以外にも、
・学年研などで打ち合わせた学年としての細々とした予定がある。
・校内研究会にしても、授業研究会、推進委員会など、細かい予定は、別途配布されるはずだ。
・地域ごとに、初任者研修が行われる。
・また、校内の初任者研修があるだろう。
・PTA関係の行事、会議なども、細々としたものは、年間計画にはない。
・地域の研究会の予定もある。
・それに、学級のことで、子どもたちと決めた予定なども入ってくる。
・その他いろいろ。
そうだ。私用も含めておかないとね。
〇日程の管理を無自覚にやっていると、日々、仕事が進行するにつれ、日程があちらこちらに書かれることになる。やがて、『その日程はどこに書いたっけ。』などということも起きる。
そして、うっかり予定を見落としたり、重なりに気づかずあわてたりすることが起きる。
〇わたしがおすすめする方法は、
日程に関して常時もつものは、次の3種に限定するとよい。
・年間の予定表は常に持ち歩くが、これは、日常あまり見ることはない。必要があるときだけ見るようにすればよい。年間を見通す必要があるときに役立つ。
・職員会議で示される翌月の予定はそのままの大きさでコピーし、当月分とともに持ち歩く。これは、年間予定表とほとんど同じだが、変更されることもあるから、やはり持ち歩いた方がいい。
・自分のパソコンの月ごとの予定表を使い、上記2種類以外の年間予定はすべてそれに打ち込むようにする。これはかなりの手間だが、あとで、あっちこっち見たりさがしたりしなくて済ませるためには、絶対に必要である。
そして、これも、当月と翌月の分については印刷して、持ち歩くようにする。
・いろいろな場所で生じる新たな予定は、すべて、パソコンから印刷した予定表に書き込む。翌々月以降の予定が生じたら、欄外に書き込む。そして、それは、パソコンに向かうとき、必ず該当月の予定表に打ち込むようにする。
・私用もこのパソコン予定表に打ち込む。こればかりは、公私混同でいきたいものだ。自分だけのものだものね。
〇なぜ、こうしたか。
一番の理由は、手帳を購入し、何もかもそれに記入するとなると、ものすごく時間をとられる。したがって、一番時間をとられると思われる校内の予定は、すべて、コピーで済ませるようにした。
だからと言って、すべての予定を、コピーで済ませるとなると、これはもう繰り返し述べているように、どうしても見落としがでてしまう。
したがって、わたしの場合は、いつも手元におく予定表は、上記3種類で済ませるようにした。
こうすることにより、
予定は頭に叩き込むのではなく、頭の中は常に空っぽ。何かあれば、すぐ予定表を見るクセをつけた。
〇一つ、留意点がある。
初めのうちは、何が自分に関係する予定なのか、分からないこともあるだろう。その場合は、その予定はやはり持ち歩く必要がある。そして、先輩教員にうかがった上で、対応を決めるようにする。
2.学級経営に関すること
〇指導要録補助簿(以下、補助簿とのみ記入する。)なるものが購入できると思う。ネットでも購入できるが、校内に出入りする業者からも購入できるだろう。
ただし、先輩教員に尋ね、どのようなものを利用しているか、聞いてみるのがよい。また、お願いできるのであれば、それを見せてもらうとなおよい。
これがあると、年度末の指導要録記入がスムースにいくし、第一、通信票の作成にものすごく役立つ。
簡単に言えば、一人ひとりの児童についての評価の記録。日々の記録だ。
しかし、一番大事な記入の目的は、指導要録や通信票記入のためではない。あくまで、日々の評価の積み重ね、明日の指導に役立てるための記入である。
〇それでは留意点から。
・評価と言っても、そんなに大仰なものではない。日々のできごと、それについて担任としてどう思ったか、何がすばらしかったか、あるいは、何が問題か、また、どんな願いをもったかなど、率直に書き連ねるようにする。何しろ、これを見るのは自分だけなのだからね。
・『毎日、児童一人ひとり、全員記録しないと。』などとは思わないこと。書きやすい子、印象に残らず、書きにくい子などが出てくる。まずはその時々の気分で気張らずに書くのがよい。
時間がなければ一・二行で済ませてもよい。その一・二行で、思い出せるということもあるものね。
・ただし、一週間たったら読み返す。そして、何も記録できなかった子が出るだろうから、そうしたら、翌週はその子を重点的に見ていこう。
・あまり補助簿の項目を意識しない方がいい。
何をどこへ書いたらいいか分からないこともあるだろう。その場合は、補助簿は項目を見て必要最低限のみ記入し、あとは、自分のパソコンに無秩序に書き込む。
・もちろん、初めから、パソコン一本にしてもいい。
・無秩序と言っても、あとで検索しやすくなるような工夫は必要。また、最低限、日付は入れておかないとね。
・ときどき、数ヶ月前の記録を振り返ってみる。一人ひとりの子どもの成長にあらためて驚かされることも多い。『そうだった。Aちゃんは、以前こんな問題を抱えていたのだった。今はほんとうによくなっているな。よし、明日ほめてやろう。』などということも起きるだろう。
3.備忘録
冒頭に書いたように、教職という仕事は四方八方に目配りしなければならず、そのためには、どうしてもこれは必要不可欠だ。
〇忘れずに処理しなければいけない仕事を書き記すには、パソコンを使うのが一番いいのではないか。
・必要事項をそのつど、打ち込むようにする。何もかもいっしょくたでいい。
・仕事を終えたら、削除する。
・いつまでも残っているのは、仕事が進んでいないものとなるから、それは自然に上に行く。すぐやらないといけないという気分になるのではないか。
・必ず、印刷し、上記日程表とともに持ち歩くようにする。ただし、最新のもの一枚だけですよ。
・新たに発生した仕事、必要な連絡、それらは、この日程表に随時書き込む。
・書き込んだ日程はパソコンに向かうとき、必ず打ち込むようにする。
わたしにとっては、この方法が一番便利だった。仕事が錯綜しても、頭が混乱することを防ぐことができた。
〇さきほど、何もかもいっしょくたと書いた。
これは子どものことも同様だ。
ちょっと話が変わるが、
我々の仕事は、子どもが相手ゆえ、ともすると、いい加減になることがある。うっかりミスをしても、『ああ。また、やってしまった。でも、謝ればいいや。』で、気楽に過ごす者がいないでもない。
子どもにしても、担任に謝られれば、それでも追及してくることは、まあ、ふつうの場合はない。
しかし、それに甘え、安易に過ごすことは厳禁だ。
それは謝らないよりは、謝った方がいいに決まっているけれど、
でも、ミスをしない手だては講じないとね。
そのためにも、パソコンを使うとよい。
いっしょくただから、個々の児童対応にしても、学校運営にかんすることも、学級経営に関することも、対外的なことも、すべて一枚になる。
しかし、その一枚を見れば、仕事は確実に処理されていく。
保護者からの連絡帳も大切にしたい。どんなに忙しくても、見た証拠になる印(サイン)は忘れない。そして、少なくとも1・2行は返事を書く。
返事が膨大になりそうで、しかし、多忙を極めることもあるだろう。
そういうときは、コピーをとり、翌日返事をすればいい。あるいは、電話を使う方法もあるね。とにかく遺漏のないようにする。
〇ノートを使う場合も、できれば、一冊で済ませるほうがいい。何もかもその一冊に書き込む。
しかし、あとで、どこに書いたかさがすのが大変ということにならないように、パソコンに『項目一覧表』を作成し、その記載ページを記録する。
4.以上で終えるが、
お願いしたいことは、
あくまで、これは、参考的にとらえてほしい。
まずは、冒頭書いたように、自分に合ったやり方を自分で発見することだ。
失敗したり、時間がかかりすぎたりすることもあるだろう。
最初は仕事の全貌がつかめないから、試行錯誤もあると思う。
しかし、だんだん、仕事のイメージがもてるようになるから、経験しながら、自分なりのやり方を発見していくのがいいのではないか。
5.特に、
〇パソコン等使用上の留意点
これは重要だ。
子どもの情報など、機密事項は多い。
わたしは、パソコンにくわしくないので、もし違っていたらご指摘いただきたいが、
・できれば、自分のパソコンは2台持つことにしたらいいのではないか。
・一つは、インターネット接続しているもの。もう一つはしていないもの。
・そして、もちろん、区別して使うようにする。
・USBのたぐいは便利だが、できるだけ持ち歩かない。持ち歩くのは必要最低限の印刷されたものだけ。上記日程表も備忘録も、常に最新のものだけにする。そして、だいたいは、ぺらぺらの一枚だから、クリヤーファイルを使用する。
・そのためにも、本稿にかかわることでの学校のパソコン使用は、極力控えた方がいい。
・わたしが校長を務めていたとき、教員には次のようにお願いをした。
『USBに限らず、子ども等の個人情報を持ち歩かなければならないときは、必ず家へ直行すること。たとえ買い物でもダメ。寄り道は絶対しないように。』
と言っていた。
しかし、もちろん、これは、『持ち歩き禁止』が正しい。
たとえ印刷物でも、この点では常に神経を注いでほしい。
必要最低限の持ち歩きだ。
6.最後に、
この記事に関しては、これからも、随時、補足、追加、削除していくことをお許し願いたい。
ただし、その場合、どこを、補足、追加、削除したかは明瞭にするので、ご理解いただきたい。
そのために、質問、提案など、どんどんいただければと思う。
冒頭の、Aさんにも、よろしくお願いします。
それでは、皆さんのご健康、ご健闘をお祈りします。
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この記事へのコメント
1. Posted by miya 2008年12月31日 12:51
詳しく、わかりやすい説明
ありがとうございます。
すごく参考になりました。
現場に出て、仕事をしながら
作って生きたいと思います。
また、何かありましたら、質問
させていただきたいと思います。
そのときはご教授いただければ幸いです。
toshi先生も、よいお年を。
ありがとうございます。
すごく参考になりました。
現場に出て、仕事をしながら
作って生きたいと思います。
また、何かありましたら、質問
させていただきたいと思います。
そのときはご教授いただければ幸いです。
toshi先生も、よいお年を。
2. Posted by toshi 2009年01月02日 07:44
miyaさん
あけましておめでとうございます。こちらこそ、本年もよろしくお願いします。
《また、何かありましたら、質問させていただきたいと思います。》
そうですね。教壇に立たれてから、また、聞いてみたいことというのは出てくるでしょう。そのときはどうぞ、遠慮なく書き込んでみてください。
あけましておめでとうございます。こちらこそ、本年もよろしくお願いします。
《また、何かありましたら、質問させていただきたいと思います。》
そうですね。教壇に立たれてから、また、聞いてみたいことというのは出てくるでしょう。そのときはどうぞ、遠慮なく書き込んでみてください。