2007年07月07日

子どもの安全を守る(2) スクールゾーン3

f8088cb3.JPG  『スクールゾーンへ進入した車によって、子どもの死亡事故が起きた。』との報道がある。

 お子さんにはなんとも気の毒で、あってはならない事故だが、この報道にはたぶんに誤解を招く内容が含まれているので、今日はそのことにふれたい。

 予想される誤解を勝手に想像するのだが、
『あら。うちの子どもが通う学校にもスクールゾーンはあるけれど、車の進入禁止のところなど、ないわ。』
と思われる方もいらっしゃるのではないか。
 スクールゾーンと車の進入禁止とが、まったく同義であるかのような報道なので、その点が気になったのである。


 全国のほとんどの小学校には、スクールゾーン対策協議会なるものがあるだろう。PTA、地域、学校で構成し、それに、行政、警察、土木事務所などが種々要望を受け止める側として加わる。

 通学路を中心として、子どもの通学の安全を守るための組織である。

 だから、上記、車の進入禁止措置を実施するか否かは、この協議会で話し合い、決定するのである。

 子どもの通学の安全だけを話し合うのなら、車の進入を禁止した方がいいに決まっている。しかし、地域住民には、さまざまな生活がある。当然利害がからむ。
 利害と関連して、危険度のチェックもあるだろう。
 したがって、必ずしも、それが決まるとは限らない。『地域の実情に応じて、〜。』ということになる。

 わたしが勤務した学校においても、これが実施されていた学校は、一校だけだった。それも、学校に近接する一本の道路だけだったのである。
 いざ決定となると、なかなかむずかしいものだ。


 ほんとうに、せまい道しかないところでは、わたしたち教員が、道路に立った。わたしたちが立つことによって、ドライバーはスピードを落としてくれるという面もあった。
 今は、PTA、地域の方々が立ってくださっているようだ。教員は授業準備という本務に専念できるから、これはありがたいことだ。



 ここからは、車の進入禁止にかかわる話ではなくなる。わたしが勤務した学校において、どのような話し合いが行われ、何が決定し、何が決定されなかったか、例示するようなかたちで書いてみたい。


1.PTA内部で考えが異なり、まとまらないこともある。

 ある人は、『歩道に電柱が立っていて、雨の日など、人がすれちがうこともできない。すぐ近くにもう一本あるのだから、撤去していいのではないか。』と考えるし、別な人は、『あの電柱があるおかげで、自転車はスピードを落としてくれる。だから、あってもよい。』と考える。

 多くの学校では、事前の打ち合わせが行われると思うが、このようなケースは、スクールゾーン対策協議会の議題にはならない。

 
2.行政、警察、土木などは、けっこう迅速に行動してくれる。

 『ガードレールが道路の横断を妨げている。かなり迂回しないと渡れないようになっている。そのため、ガードレールの手前から、車道を歩き出す人が多い。これは、大人がそうしてしまっているので、子どももまねする。だから、ちょっと一箇所だけでもはずしてくれるとありがたい。』

 この要望に対しては善処を約束し、半月ほどで撤去してくださった。
 その後、学校もきちんと、道路の歩き方について、子どもたちに指導したことは言うまでもない。

 信号機や横断歩道の設置の要望、取締りの強化など、予算面、人的な面での裏づけを要するものについては、なかなか要望通りいかない部分もあるが、やれることはけっこう迅速にやってくれるという感じをもっている。


3.警察から不満を言われてしまうこともある。

 「歩道橋設置の要望は、ここのところ、毎年のように出ています。そして、我々はなぜそれができないのかを毎年のように説明しています。それなのに、今年もまた出てくるのは、どういうことなのでしょう。」

 なぜ、こう言われてしまうのだろう。

 多くのPTAでは、改善要望を、校外委員会といった組織がまとめていると思う。そして、この組織は、毎年、構成メンバーが変わる。引き継ぎはなされているものの、新しいメンバーにしてみれば、やはり、警察の話を直に聞いてみたいと思うのだろう。その結果ではないか。

 こういう場合は、わたしのような立場のものが、とりなしの発言をする。
「昨年は地権者の問題があり、歩道橋設置は無理とのことでしたが、今年の要望には、それにくわえて、『なお、こういった点ではどうなのだろう。やはり無理なのだろうか。』といった点もあります。警察の方には、そうした面からもご検討、ご回答いただけると、ありがたいのです。」


4. すべて、行政、警察、土木などが対象になるとは限らない。

 あるお店のドライブスルーが危険であり、『登校時刻は、ドライブスルーだけでいいから、営業を停止してほしい。』という要望が出された。

「これは、わたしたちがお答えできることではないですねえ。スクールゾーン対策協議会がお店に申し入れたらいかがですか。」
と、行政の答え。

 そこで、スクールゾーン対策協議会会長とわたしとでお店に出向き、店長さんに申し入れを行った。
 店長さんは、『分かりました。わたしにも小学生の子どもがいます。できるだけ前向きに検討しましょう。ただし、営業時間の短縮は、店の一存で決められないことになっておりますので、本社の方に伝え、できるだけ早くご回答できるようにします。』

 そして、お客さんに周知してもらう期間を設けた上で、次々月より、実施してくれた。これなど、販売実績が落ちるわけだから、ほんとうにありがたかった。

 お店からの要望もあった。
『学校がこよみと違う休日を設けた場合は、それをお知らせいただけませんか。学校の休日は、ドライブスルーも営業する日としたいのです。』
 それで、毎月、学校だよりをお届けするようにした。



 以上、この、学校ごとに設置されるスクールゾーン対策協議会は、『けっこう権限がある。』というのが実感である。行政、警察、土木も、真剣に対応してくれる。そして、できないものについては、なぜできないのかを説明してくれる。



 最後に少し話を変える。

 今回、『スクールゾーン』を検索にかけて、いろいろ調べてみた。やはり、『これは、かなりあいまいな概念だな。』ということが確認できた。

 スクールゾーンを、歩行者用道路のこととしているものがある。これはまさに、冒頭の車の進入禁止措置のことだろう。これはすでに誤解であることを述べた。

 また、保育園、幼稚園、学校を中心に、おおむね半径500メートル以内としているものもある。
 わたしの解釈もほぼこれに近い。つまり、市街地では、ほとんどすべてがスクールゾーンなのだ。その範囲が、交通安全への取組についての検討可能な地域ということになる。

 また、わたしの勤務校の多くの保護者は、スクールゾーンは通学路のことととらえていた。『通学路を中心として』であって、通学路に限定してはいない。
 また、逆に、通学路であれば、500メートルを超えていても、検討可能な地域ということができる。
 なお、通学路ついては、今後もふれたい。

 以上、これらが混同され、いろいろな意味合いで使用されている状況がある。

 
にほんブログ村 教育ブログへ

ninki



 わたしにはわからないことですが、

 今、全国各地で、学校選択制がとり入れられています。こうした地域では、遠距離通学がふえていることでしょう。
 今後、ますますそうなっていくとすると、通学の問題は、複雑さ、困難さをましていくのではないでしょうか。

 気がかりな点です。

 それでは、今日も、1クリックをよろしくお願いします。


rve83253 at 09:59│Comments(2)TrackBack(0)子どもの安全を | PTA

トラックバックURL

この記事へのコメント

1. Posted by きゃる   2007年07月08日 23:34
教育再生会議のテーマの一つに「教育バウチャー制の導入」がありますが、
国内では公立学校の校区の緩和というイメージが強いですね。
公立学校も競争にによってサービスがよくなるのでしょうか。
通学路のことも考えると、この制度、いろいろとデメリットもあるようですね。
2. Posted by toshi   2007年07月09日 23:38
きゃるさん
 教育バウチャー制は、学校選択制の次にくるものでしょうね。
 わたし、以前、学校民営化?と題して、3回ほど記事にしたことがあるのですが、学校選択制までは言及していませんでした。
 保留という感じだったのです。
 市民は、どうなのでしょう。『学校を選ばせてくれ。』という思いは強いのでしょうか。
 我が地域では、学校選択制は採り入れていません。しかし、市民からそういう声が起きているとは聞いたことがありません。わたし自身も聞いたことはありません。
 真の意味の教育の成果を競い合うことは否定しません。しかし、それは、地域・保護者が感じてくださるものでいいのだと思っています。決して、国や国が指定した第三者機関ではないと思います。

コメントする

名前
URL
 
  絵文字